2014年12月、パルセイロの夢破れる

いま、正直いって、なにを書いたらいいか自分でもよくわからないんです。
今日2014年12月7日、香川県丸亀市で行われたJ2・J3入れ替え戦の第2戦、我がAC長野パルセイロはカマタマーレ讃岐に0-1という無念の敗北を喫し(第1戦は0-0)、夢であったJ2昇格を逃してしまいました。
試合が終わった午後2時半から私は半ば放心状態です。

試合内容でいうと、前半は完全なるカマタマーレペース。
パルセイロはほとんどの時間を自陣で過ごし、自分たちのチャンスは数えるほどしかありませんでした。
相手のCKなんて数えきれないほどで、現地丸亀に馳せ参じたオレンジ色のサポーターも、南長野のパブリックビューイングも、テレビ応援する私のようなサポーターもピンチのたびに心臓がきゅっと縮んだのではないでしょうか。
ただ、パルセイロがベタ引きだったこともあって、”決定機”と呼べるカマタマーレのチャンスは前半1本くらいで、ある意味、しっかり守れていたとは思います。

入れ替え戦はアウェイゴール有利のルールを採用しているので、長野市での第1戦が0-0だったことから、第2試合のパルセイロは勝利でもいいですし、1-1、2-2という点を取り合う形の引き分けでも昇格決定というやや有利な条件(0-0だと延長)。
そうなるとカマタマーレ側が意識するのは、先に点を取って、さらに追加点を取って2-0の形にすることに違いありません。カマタマーレの立ち上がりからのアグレッシブさから見てもおそらくそうでしょう。
敵のゲームプランとしてはホームの大声援のなか、前半から圧力をかけて先制、そこから畳みかけて追加点、もしくはパルセイロが同点に追いつこうと前掛かりになるところをカウンターといったところだったと思います。

しかし、前半はカマタマーレが完全に押し込みながらも決定力のなさから0-0。
パルセイロはボランチがずるずる下がって最終ラインに吸収される悪癖が出てしまって苦労したものの、美濃部監督は前半の終わり頃に4バックから3バックへのフォーメーションチェンジによって無理やりそれを打開。これでようやくラインが高くなってチャンスも生まれました。
こういう流れはカマタマーレからしたらかなり嫌だったはずです。メンタル的にも肉体的にも消耗したでしょうしね。

そのせいか後半はパルセイロペース。ボールと選手が連動して動き、得意の両サイドからの形が出始めます。
これを繰り返しながら相手の守備網にほころびが出来たとことで決める!それがパルセイロのサッカーです!
実は第1戦も前半はややカマタマーレのペースで、後半はそれが裏返るという展開でしたから、ひょっとすると、こういう試合運びはアウェイゴールルールを考えてのパルセイロ側のプランだったのかもしれませんね。
第1戦ホーム0-0だと、アウェイ第2戦では先制されても追いつけば実質勝利。そのため前半は手堅く入るのもありです。

そうしてパルセイロが主導権を握った後半、カマタマーレの方はというと、先に点を取られれば致命傷になりかねないので、ラインが下がって引きこもり、それにともなって攻守の切り替えも遅れがち、カウンターにも人数とエネルギーを割くことができません。
そうなるとセカンドボールもパルセイロが拾って波状攻撃に。
勝又慶典が右サイドから放ったシュートが惜しくも枠を外れ、左サイドから駆け上がってきた松原優吉もそこに詰め切れない、というシーンは本当に惜しかった!
前半後半でこうも流れが変わるのかと、私も呆れるほどでしたけど、こうなれば真綿で締めるようにしてパルセイロが先制点を挙げる、そう思っていました。

ところが、後半26分、カマタマーレが前線にひとり残った木島良輔を的に、長いボールを蹴ってきたんです。
木島が恐ろしい選手だということは彼が松本山雅にいたときからわかっているので、この試合もパルセイロの守備陣は常に2人で彼を見ていて、このときも川鍋良祐が先にボールに追いついたので、事なきを得るはずだったんです。
それなのにまさかあんなことになるなんて…。

確かにボールは川鍋の前で少々嫌なバウンドをしましたけど、処理しきれないボールではなかったと思うんです。
しかし、それも木島のプレッシャーだったのかもしrません…。
川鍋がミスったボールを抜け目なくかっさらった木島は、そのままゴール前に持ち込むと、GKを冷静にかわしてシュート。
これがパルセイロゴールに突き刺さってカマタマーレ先制。
白昼の悪夢と呼びたくなる場面でした。
こんなミスはリーグ戦でもほとんど見たことがありません。

しかし、まだ時間は20分も残っているんです。
そして、1-1ならパルセイロの昇格なんです。
もともと攻めるのが好きなチームなのですから、望むところでしょう。

なんて私は思っていたんですけど、ピッチ上の選手たちは、自分たちが押している展開でのミスからの失点が予想以上に堪えたようで、チーム全体の動きががっくり落ちます。
ビハインドから死に物狂いになれないメンタルの弱さに私の方もがっくり。
パルセイロはもともとガツガツしたところのないチームで、攻守ともに肉弾戦を好みませんし(相手のボール保持者への
アタックも弱い)、ここ一番の試合でも何度ももろさを見せてきました。そのせいで地域リーグからこちらの昇格も遅れましたしね…。

もちろん、点を取るために懸命に走っていた選手もいます。
宇野沢祐次や勝又慶典や山田晃平そうでしょう。
ただ、今度はその攻めが強引になって、連動性がなかなか出てこない。いわゆる空回りというやつです。

そうして追いつくために必要な決定機も作れないままに、丸亀競技場に終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、私はすぐにテレビを消してしまいました。
敗れたとはいえ、この1年間がんばってきた選手たちを労うために、テレビ越しとはいえ、拍手を送らねばならないのはわかっていましたけど、堪えられなかったのです。
パルセイロ以外に特定のクラブを応援してきたことがなかった私には、残留という現実を真正面から受け止めるだけの精神的余裕がありませんでした。

しかし、冷静になってこのホーム&アウェイの入れ替え戦を振り返ってみれば、試合後のインタビュー記事で美濃部監督がいっていたように、「相手の方が上」だったと思います。
身びいきで”互角”といってもいいかもしれませんが、それでもカマタマーレはJ2ブービーなのですから、パルセイロの実力もそこまでということになってしまいます。
であれば、たとえ昇格できたとしても、来年は入れ替え戦です。
この2試合で、私も力のなさを痛感しました。
昇格できなかったことのショックよりも、その現実の方がショックです。

ですから、来年はとにかく力を付けることです。
そして、J3で優勝し、入れ替え戦などせずに昇格すればいいんです。
パルセイロの今後の目標は、資金力やホームの人口規模からして、”J2に定着しつつJ1をうかがう”という立ち位置のはずです。
昇り降りを繰り返すよりも、一段一段しっかり踏ん張ってゆきましょう!
人気ブログランキングへ

ガンバのみなさんおめでとう!そして明日は

2年前はJ2降格、去年はJ1昇格、そして今年はJ1制覇。
ガンバ大阪サポーターにとってのこの2年間というのはなんというドラマだったのでしょう。
しかも、今季も一度は降格圏まで順位を落とし、そこから粘りつくような形の逆転優勝なのですから、まさに小説より奇なりです。

ちなみにシーズン直前に放送された『やべっちFC』の優勝予想は、解説者の松木安太郎さんは浦和レッズ、ゴン中山さんはアルビレックス新潟、サッカーダイジェストの谷沢編集長は浦和レッズ、エルゴラッソの寺島編集長はセレッソ大阪、漫画家の高橋陽一先生はサンフレッチェ広島、そして名波浩さんは柏レイソル。
ガンバ大阪を予想したひとは誰もおらず、上位予想でも松木さんが2位、ゴンさんが3位に挙げているだけです。

もちろん昇格組が優勝してしまったことで、J1のレベルを問う声があるのは私も承知しています。
2011年にも柏レイソルが昇格即優勝をしていますし、「J2と大差ない」といわれても反論のしようがありません。
世界各国を見渡せば、財政規模の大きなクラブがリーグ自体の人気や試合内容を引っ張り、優勝争いも独占するという形を取っていますから、こういうドラマはほとんど聞いたことがありません。
「Jリーグのレベルがなかなか上がらないのはビッグクラブがないせいだ」という意見ももっともです。
今季だって普通ならば巨大戦力を持つ浦和レッズや巨額補強をしたセレッソ大阪、連覇中のサンフレッチェ広島が優勝争いをすべきなのでしょう。
そうしうてそこに人気とお金が集まって、ビッグクラブ化して、リーグ自体を盛り上げる、ということです。

それも確かに大切でしょう。
日本サッカー全体のことを考えれば正しいのかもしれません。
しかし、私自身長野市という地方に住む人間として、有力企業と巨大人口を持つ都市のクラブが富も名誉も独占することに、感情的には賛同しかねるのです(大部分がやっかみです)。
私たちだって夢が見たいじゃないですか!

そう、明日12月7日はAC長野パルセイロの夢が叶う日です。
もう断言しちゃいます。
絶対に勝ちますよ、パルセイロは。
目をつむれば選手たちの歓喜の輪が見え、美濃部監督の勝利インタビューが聞こえてきます。
私は丸亀には行けませんが、テレビにかじりついて応援したいと思います。
獅子よ、J2昇格という千尋の谷を駆け上がれ!
人気ブログランキングへ

長野市は味噌ラーメンが楽しい!

明日12月6日の信州の天気予報は、県内ほぼ全域が”雪”。
私の住む長野市もいよいよ初雪が降りそうです。
信州のみなさん、車は冬タイヤにしましたかー?
今年は妙に温かいのでタイミングを履き替えのタイミングが掴みにくかったですよね。

そんなわけで今日はもう夕方からかなり冷え込んできました。
おそろしいことに我が家ではまだリビングのストーブを出しておらず、この記事を書いているいまもコタツに入っているだけなので、タイピングの指先が鈍くなって仕方ありません。
こんな日は何かあったかいものが食べたくなります。
味噌ラーメンなんかいいですよねえ、信州といえば味噌ですし。

その信州の味噌ラーメンですけど、いわゆる専門店も他県に比べて数が多いですし、ラーメン屋さんや中華料理屋さんだけではなく、定食屋さんなんかでもそれを看板メニューにしているところも多いので、各お店が個性を出して、その種類は豊富です。
長野市内の私が行ったことのあるお店でいっても、ニンニク多め、炒め野菜たっぷりの『蕃龍』さん、土鍋に盛った豚骨ベースの『たけさん』さん、白味噌でも使っているのか癖になる甘さの『笑楽亭』さん、豆の味が強い味噌を使った『らぁめん みそ家』さん、豚骨主体と魚介主体でスープを選べる『麺匠 佐蔵』さんと、それぞれ特徴的です。
長野市内のお店で、あえて味の共通点を挙げるとするならば、”信州味噌”を使っていて、豚骨ベースでニンニクを利かせているお店が多いということでしょうか。麺はもちろん太めです。
”こってり”、”がっつり”といった印象です。

そんななか、最近の私のお気に入りは、長野市高田にある『蔵出し味噌 麺屋竹田』さん(ドンキホーテの近く)。
ここは市内では珍しく、お味噌を”信州”、”九州”、”北海道”から選べるというのが面白いんです。
それぞれの特徴でいえば、信州は香り、九州は甘味、北海道は味の濃さ(やや塩辛い)といったところでしょうか。
どれもベースは豚骨なのでかなり迫力があります。その脂のせいか熱々でこの季節にはほんとぴったり(ニンニクも利いているのでひとと会うときは気をつけたいです)。
ちなみにそれぞれトッピングが違って、信州は山菜、九州はさつま揚げ、北海道はなぜかフライドポテトが入っていんですけど、私は個人的にはこれは必要ないかなと感じています。
たぶん、お店のひとが注文を間違えないためでしょうし…。

この『麺屋竹田』に相方と連れ立って行くと、珍しがっていつも北海道と九州を選んでしまいます。
前に旅行をしたときのこととかも思い出しますしね。
ただ、耳をダンボにして注文を聞いていると、「信州味噌!」が多い気がするので、そこはやはり信州人の郷土愛であり、信州味噌に対する誇りなのだと思います。
私も次は信州を選ぼうっと!

というわけで、県外から冬の信州にお越しの際は、味噌ラーメンの食べ比べもお勧めです!
人気ブログランキングへ

2014NHK杯男子FS、フィギュアはスポーツだ!

SPを終えて無良崇人が2位以下を5点近くもリードして、初優勝への足場をしっかり固めた2014NHK杯男子シングルもいよいよFSへ。
昨季の世界王者・羽生結弦はSP5位からの巻き返しはなるか、SP3位の村上大介はその順位を守り切ることができるか。
日本男子の表彰台独占に期待しつつテレビ観戦した感想をざっくばらんに。

SPでは4T転倒、3Lzでお手つきという大きなミスで失速した羽生結弦ですが、動き自体には中国大会での衝突事故の影響はあまり見られなかったので、FSでの挽回は十分にありそう。
私は大きなミスを1つ2つに抑えれば逆転優勝もあると思っていました。負けん気の強い選手ですしね。
しかし、冒頭の4S予定が2Sに、4T予定は3Tになって転倒という阿鼻叫喚の立ち上がり。
『オペラ座の怪人』だけにシャンデリアが落ちてきて粉々に砕けたようでした。
それでも羽生結弦は流れを切らさぬよう3Fは綺麗に跳んで、柔軟性のあるスピン、ステップでは純愛からドロドロした感情に変わってゆく様を演じていい雰囲気。
後半も3Lz+2T、3A+3Tと抜群のジャンプを並べ、まだまだこれから!
と思われた3Aからのコンボ予定が1A+1Lo+3Sという勝負を決するようなミス。
ここは踏み切りのタイミングがずれていましたけど、3Tと2Sを跳んでしまっていので、ザヤック(同一種類ジャンプ制限ルール)を心配して迷いが出たのかもしれません。
その後は3Loは成功させたものの、3Lzで着氷を乱し、終盤は相変わらずスタミナ切れが目立ち、コレオやスピンの輪郭がぼやけてしまっていました。大崩れといっていいでしょう。
FSは151.79(TES70.31・PCS82.48)、合計229.80。
今季は例の衝突事故だけではなく、シーズン序盤のフィンランディアを怪我で欠場するなど、どうもリズムがよくありません。
ただ、フィジカルコンディションは上がってきていると思うので、”終わりよければ”という気持ちで、我慢しながら練習するしかないでしょうね。シーズンはまだまだこれからです。

日本勢の最大のライバルと目されるセルゲイ・ボロノフ(ロシア)は弩迫力の4T+3Tと3A+2Tでなみはやドームを沸かせてスタートするも、次の4T予定が3Tに、3Lz予定も2Lzになるという急失速。
しかし、ベテランのボロノフはそんなことではまったく動じず、手堅くレベルを取るキャメルスピン、丁寧なステップで『Caruso』のペースを取り戻すと、後半は3A、3S、3Lo+2T+2Lo、2Aをしっかり決め、その勢いのままシットスピン、コレオ、コンビネーションスピンと駆け抜けて、終わってみれば”まとまった演技”になっていました。さすがといっていいでしょうね。
FSは157.72(80.34・77.38)、合計236.65。
ボロノフはスケーティングスピードや表現技術に課題のある選手ですが、プログラム全体の流れをしっかり意識して演技ができているのか、”まずまずよくやった”といった印象が残ります。
逆に技術要素も振り付けも綺麗なのにプログラムが作品にならない選手もいるのですから、フィギュアって面白いですよね。

NHK杯初表彰台を賭けた村上大介のFSはラフマニノフピラのピアノ協奏曲2番。
この曲は選手に力を与えてくれると同時に、ミスをすればするほど雰囲気が壊れてゆく曲でもあります。
果たして村上くんの滑りはどちらに向かうのか、100か0か、勝負のときです。
まずは4Sを独特の切れ味で成功させ、4S+2Tもまったく同じ呼吸で決めた村上くん、きっちりしたシットスピンの後の3A+2Tも完璧。こういうのを”ゾーンに入った”というのでしょう、凄まじい集中力を感じました。
ただ、邪念が出るのは後半から、それがフィギュアスケートです。表彰台や優勝がチラつき、それで崩れてゆく選手が何人いたでしょう。”無欲”とは言葉にすれば易しいですけど、それをなかなか体現できないのが人間というものです。
しかし、村上くんは違った。
後半冒頭3Aを爽快に着氷すると、3Lzと3Loもクリーン、会場の手拍子に押されるようなステップシークエンスのあとの3Fはやや詰まるも、3Sはばっちり!ガッツポーズも出た!(コンボは前半に2Tを2本跳んでしまっているので打ち止めにしたのでしょう。)
そこからは疲れはやや見えたものの、拍手と歓声を気持ちよく浴びて恍惚としコレオ、喜びがあふれるようなコンビネーションスピンで、会場が爆発するようなフィニッシュ!
非の打ちどころのない4分半、一点の曇りもない4分半、眩いばかりの4分半。日本にはもうひとりの素晴らしいダイスケがいた!村上大介だ!ムラ神だ!
感極まって顔を覆いむせび泣く村上くんに、私も思わず自宅でスタオベ。こちらも村上くんのゾーンにぐいぐい引き込まれました。鳥肌が立つ演技でした。
FSは166.39(86.53・79.86)はパーソナルベスト、合計246.07もパーソナルベスト!もちろん暫定1位。
これはサルコウの村上の復活であり、”3M”の復活です!
ブラヴォ!

ジェレミー・アボット(アメリカ)のFS『弦楽のためのアダージョ』は名筆の一筆書き。
細くなったり太くなったり、強くなったりたおやかになったりしつつも、4分半を一息で貫くというある意味究極のフィギュアスケート。それを成し遂げるために必要な技術と体力と精神力は並大抵のものではありません。
結果を先にいってしまうと、このNHK杯のアボットはまた一歩その究極に近づきました。
今季はプログラムか4回転を外しているのと、スピンの調子がいいので流れがほとんど切れませんよね。
この日は3T、3F+2T、アップライトスピン、3A、3Lo、シットスピン、3F+1Lo+3S、3A、ステップ、2A、2Lz、コレオ、コンビネーションスピンという演技構成でしたけど、目に見えるミスは2本目の3Aと2Lz、最後のスピンのところだけ。
そこがまとまったとき、私たちはひとつの理想を見ることになるでしょう。
FSは148.14(64.28・83.86)、合計229.65。羽生くん下の暫定4位。
アボットはジャンプ構成が低いので、この日の出来だと羽生くんに負けてもおかしくないのかもしれませんが、0.15差というのはまるで計ったようです。
”羽生くんのGPF出場がフィギュア界の総意”ということなんでしょうかね…。

パーソナルベストが255.81の無良崇人にとっても、村上くんの246.07はそう簡単なスコアではありません。許されるミスは1つか2つといっていいでしょう。
最終滑走の重圧のなかでそれをどう打ち破るのか、これはNHK杯の歴史に名を刻むための試練です。
しかし、最初の4Tで大きくステップアウト(回転不足)、次の4Tは軸が曲がりながらも強引に+2Tに、3A予定は1Aに抜けて、もうこの時点で貯金は使い切りました。あとはガチンコ勝負です!
昨年までの無良くんならここから簡単に崩れていたでしょうけど、シットスピンとステップシークエンスを集中して乗り越えるうちに、『オペラ座の怪人』の世界も徐々にリンクに現出し始め、後半の3Loと3A+2Tは軸も修正!
ここからすべてジャンプを降りれば(3連続の2Sは3Sでリカバリーできればなおよし)、まだまだ優勝はある!
そんな矢先の3Fが中途半端な回転での両足ふんばり着氷、これで勝負はあったといっていいでしょう。
それでも無良くんは汗みずくになりながらキャメルスピンを回り、3S+1Lo+2Sを降り、ありったけの気持ちをこめたコレオ、豪快な3Lz、最後の力を振り絞るコンビネーションスピンでフィニッシュ。
根性と誇りは見せました。ファンの方もある程度納得したのではないでしょうか。
FSは148.16(67.88・80.28)、234.44。
今回は重圧に負けたのは確かでしょうけど、真向挑んだのもまた真実。
気持ちは負けていなかった!
次は勝てるさ!

この結果、優勝はSP・FSをノーミスで揃えた村上くん!本当に見事な演技でした、おめでとう!そして『君が代』を聞かせてくれてありがとう!
2年前に布石が置かれた復活劇は歓喜の幕を閉じました!
表彰式では2位のボロノフと3位の無良くんが涙を抑えきれない村上くんの背中を抱き、男くさくも美しい光景。
ボロノフも無良くんもスポーツマンらしい清々しい態度でした。
その”スポーツ”でいえば、最近の男子フィギュアは大きなミスをしても”序列の高い選手”が優勝するというもやもやが多くありますけど、村上くんの優勝はフィギュアスケートがスポーツであることを証明したと思います。きっちり演技をすれば優勝のチャンスはあるんです。
フィギュアにもスポーツらしいサプライズはある、そしてサプライズが必要なんだと、あらためて実感しました。
SPのあと村上くんは「FSでは僕の順位は下がる」といっていましたけど、もうそんなことはいわないでください。
村上くんはトップ選手を脅かす存在になりました。
全日本が本当に楽しみです!
人気ブログランキングへ

2014NHK杯女子FS、繋いだものと繋がらなかったもの

五輪の翌年のフィギュアスケートはよく”新時代到来”といわれるわけですが、浅田真央が休養し、鈴木明子が引退した今季の日本女子は強制的なまでにその状態。
そんななか、”新女王”の座を争う村上佳菜子さんと宮原知子さんにとってこのNHK杯の直接対決は全日本に向けてのまさに前哨戦。互いに負けられない戦いです。
SPでは村上さんが64.38の3位、宮原さんが60.69の4位とやや点差は開きましたけど、まだまだ十分に逆転は可能。
では、熱戦を期待しながら視聴した2014NHK杯女子FSのテレビ中継を振り返ってみたいと思います。

SPでは初GPSの緊張からか得意のジャンプで転倒してしまった加藤利緒菜さんでしたけど、このFSでは冒頭から開き直ったいいジャンプ!
3F+3T、3S、2A、3F、2A+3T、3Lz(eでしたけど!になるといいですね)、3Lo+1Lo+2Sという予定構成のすべて思うように成功させ、スピンもいい軸で回れていましたし、フットワークや振り付けも丁寧でした。3連続の後の笑顔がよかったですねえ。
そしてノーミスの演技の後は涙を溢れさせながらコーチと歓喜の抱擁。私も思わず、ぐっときました。
FSは117.51(TES63.75・PCS53.76)でパーソナルベスト、合計168.38もパーソナルベスト!
初GPSのNHK杯でこの結果は本当に素晴らしいです。おめでとう!
加藤さんは同世代に比べても(98年2月生まれ)演技がたどたどしいのは事実でしょうけど、ジャンプやスピンが得意な選手なだけに今後はそこを強化する余裕もあるはずです。大きな癖もありませんしね。
今後が本当に楽しみです!

今大会はアメリカ、カナダ、中国から期待の若手が3選手出場していて、私も表彰台争いにからんでくると思っていましたけど、みなSPで失敗してしまってがっかりしたものです。
しかし、FSでは実力をある程度見せてくれました。
まず、アメリカのポリーナ・エドモンズは3Lz2本、3F2本という難度の高いジャンプ構成をほぼノーミス。長身を生かした演技の大きさといい、潜在能力を見せつけたといっていいでしょう。FSは112.83(59.29・53.54)、合計161.79。あとはSPでのミスを減らすこと(2戦連続出遅れ)とスタミナ増強でしょうね。
カナダのガブリエル・デールマンはものすごいスケーティングスピードからのパワーあふれるジャンプを繰り返すも、それを制御できず四苦八苦、ミスがいくつか出てしまいました。それでも6本の3回転の入った構成を強引にまとめて111.28(56.95・54.33)、合計164.74。ジャンプの成功率が上がってきたら怖い選手になりそうです。
日本でも人気の李子君は冒頭の3F+3Tでステップアウトするも、2A+3Tを綺麗に跳んで巻き返すというスタートでわかるように、不安定ながらも3回転7本の構成をなんとか完遂(ルッツはエラー)。特に後半はバテてジャンプはどれもふらふらしていました。FSは106.46(50.29・56.17)、合計162.90。彼女に必要なのはとにかく体力、それだけです!

期待の若手というくくりでいえば、宮原知子さんもそれにあたるわけですが、克己心のあふれる演技はすでにベテランの風情。
しかし、さしもの宮原さんでもこの大会は硬くなりすぎたのか、冒頭の3Lzでお手付き回転不足+2Tという珍しいミス、3Fは成功させたものの、3Loでは着氷時にブレードが氷にひっかかるミス。ジャンプはどれも軸が斜めになっていてちょっと嫌な感じ。
しかし、機械のように正確なステップシークエンスとスピンで落ち着きを取り戻した宮原さんは、後半になるとジャンプも修正し、3Lz+2T+2Lo、気迫の2A+3T、3Sと連続成功!しかも最後の2A予定を3T(冒頭が+2Tだったので)に変更する冷静さまで見せるのですから、もう痺れました。さとちゃんかっけー!
また、宮原さんの凄味といえば終盤まで衰えない体力と集中力。へばったのを観たことがありません。
ですからこの『ミス・サイゴン』でも終盤のコレオで世界観を際立たせることができますし、最後の力強く正確なコンビネーションスピンで演技全体の印象を良くすることができるのです。
FSは118.33(60.34・57.99)、合計179.02。
このFSは本当に内容の濃い4分間でした。宮原さんの実力を存分に示したといっていいでしょう。
ただ、緊張して演技に入って、徐々にそれがほぐれてゆくというパターンは改善する必要があります。SPでもそうですけど、もっと思い切って入ったほうがジャンプの回転不足もなくなるはずですからね。
もっと大胆に、もっと堂々とした宮原知子が見たい!

宮原さんとは正反対に伸び伸びとしたスケーティングから豪快な3T+3Tで演技を始めた村上佳菜子さん、2Aもしっかり決めて、安定感のあるスピンを2本、ステップでは『オペラ座の怪人』のファントムを演じるために力んだ感じでしたけど、前よりはよくなっているように思いました。
その前回大会の比較でいうとジャンプ構成も大きくテコ入れ。昨季とほぼ同じにして(違うのはエラーがあった3Lzを2Aに
したくらい)滑りやすくしたのでしょう。前の大会はかなりミスがありましたからね。
しかし、後半冒頭が2Loになり、3Fで手痛い転倒、3F+2Tはそれを引っ張らずに成功させたのは立派、3S+2Lo+2Loも思い切って決めた!…といいたいところなのですが、2Loをすでに跳んでしまっているので、”同じ2回転は2本まで”のルールに抵触してしまってこの3連続はキックアウト…。
しかも、終盤のコレオでは珍しくヘバリが見え、2Aはふらり、最後のスピンも勢いが出ませんでした。
FSは108.71(48.51・61.20・減点1)、合計173.09。
演技の失速はジャンプのミスもあるでしょうけど、振り付けで力み過ぎているようにも感じます。村上さんの良さは大胆さや伸びやかさなのですから、そこを生かして欲しいと思いますし、ジャンプ構成にしても”村上さんのやりやすいように”組むのが一番ではないでしょうか。シーズン中にいじってばかりではプログラムの質が上がりません(昨季もそう)。
ジャンプ構成が弱い村上さんなのですから、完成度で勝負しなければ、世界のトップレベルで戦うのは正直厳しいといわざるをえません。
もうこんなことをいうのは遅いかもしれませんが、五輪も終わって一段落なのですから、村上さんはコーチを変更してはどうでしょう。
もっと能動的にフィギュアスケートと向き合う経験は、今後にも必ず生きてくると思います。

SPのチャップリンから一転、マダム路線のFSとなったアリョーナ・レオノワ(ロシア)は毒々しいまでの振り付けから、好調の3T+3Tでスタートするも、苦手の3Lzでステップアウト、3Lo予定が2Loに抜ける不安な立ち上がり。
後半冒頭の3Fでも着氷を乱し、前の大会同様そのままそのまま崩れるかと思いましたけど、3F+2T、3S+2T+2Lo(回転不足)、2Aは粘っこく着氷。今季にかけるレオノワの意気込みが見えましたね。
終盤のコレオでもスタミナ切れは明らかでしたけど、顔や状態の演技でそれを上手くごまかし、最後も気合の入ったスピンでフィニッシュ。お疲れ様でした!
FSは118.29(56.23・61.06)、合計186.40。暫定1位。
私は演技が終わった瞬間はさとちゃんの勝ちだと思ったので、ほんと悔しかったんですけど、レオノワの粘り勝ちといったところでしょうか。SPでのリードもありましたしね。
レオノワはもうちょっと体を絞って、ロシア選手権の台風の目になることを期待しています!

ここまでの選手がスコアを伸ばせず、余裕がある状態でリンクインしたSP1位のグレイシー・ゴールド(アメリカ)は、冒頭の3Lzのバランスが乱れて+2Tになるも、次の2A+3Tはばっちり。
そうして3Loを丁寧に着氷し、調子の戻ってきたスピンで流れを作り、成功させたい後半冒頭の3Fでしたけど、2Fに抜けるミス、3Lzは綺麗に決めるも、3Sでは転倒(コンボ予定)。今季はやっぱり調子よくないですねえ。
それでもステップシークエンスでは失敗を少しも引きずらない正確な振り付けとフットワーク。
こういうプライド、気高さというのがゴールドらしさであり、彼女の美しさの本質。
2Aにもしっかりリカバリーで+2Tを付け、美しいレイバックスピン、完璧な笑顔が印象的なコレオシークエンスで『オペラ座の怪人』を彩って、堂々たるフィニッシュ。根性を見せました。
FSは123.00(59.67・64.33・減点1)、合計191.16。
ジャンプミスも多く、演技の方も相変わらずメリハリがなくて、スコアは高すぎるようにも思いますが、それでも順位は1位でしょうね。執念を感じました。
しかもこれはゴールドにとってのGPS初優勝!おめでとう!来季はアメリカ大会制覇だ!

この結果、優勝ゴールド、2位レオノワ、見事3位に入って14年連続日本女子表彰台を繋いだのは宮原知子さん!よくやってくれました!
ただ、ここで残念なお知らせがあるんです。
その連続でいうと、日本女子は11年連続でGPFに出場していたのが、今季は惜しくも途絶えてしまいました(日本女子最高は本郷理華さんのGPSポイント7位、宮原さん8位、村上さん9位)。
そのことが示すように、いまの日本女子は世界のトップに比べて、わずかに力が足りないのは事実でしょう。世界選手権で3枠を取るのも厳しい戦いになるはずです。
しかし、希望がないわけではありません。
宮原さんや本郷さんは着実に成長していますし、加藤さんという新しい芽も出てきました。
いまはそれを温かく見守り、大切に育てる時期です。
もちろん、育成の現場を抜本的に改革し、すそ野を広げることも必要でしょうけど(私は中学高校との連携を深めてはどうかと思っています)、それにはまだ時間がかかるのですから、我々も我慢をしなければなりません。
いい時代を振り返るのではなく、新たなる春を待ちましょう。
それが日本フィギュアにとっての真の進歩というものです。
人気ブログランキングへ
プロフィール

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
スポンサードリンク
月別アーカイブ
スポンサードリンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード