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2月19日に下船させてよかったのか?

武漢ウイルスの蔓延により、横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号ですが、日本政府が設定した”2月19日(2020年)”の検疫期間の少し前に、アメリカを始めとした諸外国は自国民を船から下ろし、チャーター機で帰国させました。
どの国もマスコミが「日本政府のやり方は間違っている!これでは監獄だ!すぐに救出しろ!」と騒いでいたものの、タイミングから見るに、政府の方は日本政府の”下船させない”という方針を一応認めていたのだと思います。
ただ、もちろん各国ともウイルス検査については、日本政府が行ったからそれでよしというわけではなく、陰性とされた帰国者でも2週間は特別な場所に隔離し、その後に自由の身とさせると決めているようです。
そもそもDP号では連日のように感染者が明らかになり、検疫作業に当たっていた職員までもが感染しているのですから、”19日”が過ぎれば安心とはいえませんしね。
帰国者の多くは船から下りられることを喜んでいましたが、隔離機関がさらに続くことを理解しているのでしょうか…。

そんななか、BBCによると、さるアメリカ人夫婦はそれを理解していて、17日のチャーター機での帰国を断ったそうです。
「私たちは予定通り船内での隔離措置をただ終えたい。日本で数日間、隔離されていない状態でリラックスしてから、私たち自身で手配した通りにアメリカへ空路で戻りたい。それのどこが悪いんだ?」というのはアメリカ人らしい合理的な考え方ですね。
日本にいれば19日になったら下船できて、自由の身になるのだから、アメリカでまた2週間隔離されるのは馬鹿馬鹿しいということでしょう。
ごもっとも、としかいいようがありません。

ただ、日本人として恐ろしいと感じたのは、このアメリカ夫婦が19日になったら完全に自由になれると考えていることでした。
日本政府が設定した”2月19日”というのは、感染者が頻発している状況からして、正しいとはいえない設定です。
常識的にいえば、新たな感染者が発覚する度に、その期間を伸ばすべきだと思います。
これが武漢からの日本人を受け入れた千葉県の〈ホテル三日月〉のように、検疫期間中に感染者がひとりとして出ていないというのであれば、2週間で解放されることに我々はまったく危険を感じませんが、DP号はそうではないのです。

私はそんなふうに考えていましたけど、今日2月19日、日本政府は予定通り、陰性のひとの下船を認めました。
今日は443人が下り、21日までに残りの2千数百名があとに続くとのことです。
乗客たちは運航会社(イギリス船籍)が用意したバスでターミナル駅に運ばれ、そこから三々五々散らばっていったそうですけど、そのひとたちは本当に陰性なんでしょうか?
報道によると検査の正確性は高いとはいえませんし、検査で陰性と出たひとでも、そこから日数が経っていて、その間に感染していないともいいきれません。
メディア取材に応える下船者のなかには、感染の不安があるので保健所に行きたいといったり、すぐに家に帰って仕事を始めると、家族や同僚に移すかもしれないので、しばらくどこぞに身を寄せると話しているひとがいましたけど、感染者が頻発する船内で過ごしていたのですから、そう思うのも当然です。

それでも政府、いや厚生労働省が19日という予定を押し通したのは、ひとえに彼らの面子のためとしか思えません。
延期してしまえば、この2週間の検疫体制に不備があったと認めることになりますからね。
ただ、今後、陰性とされた下船者から陽性反応が出たら、厚労省はどう責任を取るのでしょう?
もちろん下りたあとに感染する可能性はありますけど、国民はそうは思いません。

中国に忖度し過ぎる日本政府もそうですし、国民全体の安全を第一にして欲しいものです。
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武漢ウイルス、有事には有事の対応を

2月13日(2020年)に国内での感染者が発覚したことで、「新たなフェイズに入った」といわれるようになった武漢ウイルス(新型コロナウイルス)は、日に日に感染者を増やし、外国の病気ではなく、”すぐ傍にある危機”という認識になってきました。
今日17日には天皇誕生日の一般参賀の中止や東京マラソンの規模縮小などが発表され、国民の防衛意識にも拍車をかけたといっていいでしょう。
加藤勝信厚生労働大臣が、外来の窓口を広げる新たな受信の目安を示し、咳や熱のあるひとに対して会社や学校を休むよう呼びかけていたように、日本にはすでに武漢ウイルスが上陸しており、いまはそれが拡散しないよう、国民が一丸となって立ち向かう段階に入ったということです。

ところが、国民の代表者が集う国会でなにが行われていたかというと、特定野党が顔を真っ赤にしながら桜を見る会やら安倍総理の野次やらを追及しているのですから、国民不在もいいところです。
この土日に報じられた各社の世論調査によると、安倍内閣の武漢ウイルス対策について「評価しない」が「評価しない」を上回っていて、それに伴い内閣支持率も5ポイントほども低下している調査もあるんですから、本来ならば野党もそこを攻めるべきなんです。

安倍内閣の武漢ウイルス対応に対する不満というのは、具体的にいうと「中国人の入国を厳しくしろ」ということです。NHKの調査では「厳しくすべき」が74%もありました。
安倍内閣と二階幹事長の自民党は、先月の下旬、中国での武漢ウイルスの蔓延が明らかになっているにも関わらず、中国人観光客の「訪日を歓迎する」といって、ウイルスごとウェルカムしてしまいましたけど、日本人の一定数はそれに憤りを覚えているわけです。
野党がすべきことは、その憤りの受け皿になることでした。
しかし、野党はそれをしませんでした。同じくウェルカムなのでしょう。
マスコミも一緒になって「中国人差別はよくない!」という論陣を張るのですから、インバウンド重視の政府与党とはまた違った意味で、中国人が大好きです。

そんな野党とマスコミが、ようやく政府を批判し始めたと思ったら、それは横浜港に停泊するダイヤモンドプリンセス号の案件のみでした。
政府が選択した”乗員乗客すべての船内待機”について、野党は「最初から全員検査を検査を行い、陰性の方はすぐに下船させるべきだった」と主張したわけです。
船内で毎日のように陽性患者が発覚する状況から、船内での処置や隔離が上手くいっておらず、船内パンデミックが起きているのではないかという指摘です。
これは海外メディア(DP号の乗客の半数は日本人以外)が報じている内容と同じですし、日本のメディアも船内では乗員乗客が「劣悪な環境で監禁されている」というニュアンスで報じています。
つまり、乗員乗客の人権を尊重しろ!ということですね。

これは一見一理ありますし、異常なほど感染者が増えるDP号の状況や、船で検疫業務に当たった厚労省職員が感染した事実を踏まえれば、政府の対応になんらかの落ち度があったと考えるのが自然です。
乗員乗客の隔離と、彼ら彼女らが触れたもの・使ったものの処理をきっちりしていれば、船内感染がこれほどに拡大することはないはずです。3000名以上が乗る豪華客船で作業が難しいとはいえ、それをこなすのが政府の義務というものです。
それがこの始末ですから、批判を受けるのも仕方ありません。

ただ、日本政府からすると、ウイルスが新型だけに検査のスピードには限界があり、また、陰性のひとを下船させたとしても念のため感染可能性のある日から2週間は隔離せねばならず、3000人以上の乗客・乗員がいるなかで、その隔離施設の用意も簡単にはできないわけです。
しかも、施設に隔離するための法的根拠はなく、”お願い”という超法規的な強制をするしかないわけですから、上陸させた場合のトラブルは予想もできません(遁走するひともいるはず)。
それに対して、”船から下りさせない”というのは法的に可能ですから、政府はそれを選択したのでしょう。
私も”隔離”という部分だけは賛成です。その後の船内パンデミックを防げなかったことが落ち度なのです(横浜に停泊する前に感染が拡大していた可能性もありますが)。

その”下りさせない”でいうと、日本やフィリピンやタイが入港を拒否したクルーズ船・ウエステルダム号というのがありましたけど、日本や世界のマスコミは「非人道的ではないか!」とわんばかりの報道姿勢でした。
ですから、そのウエステルダム号をカンボジア政府が受け入れたとき、世界のマスコミが喝采を持って伝えていたのはいうまでもありません。
下船する上客の笑顔や、それを自ら迎え入れたフン・セン首相の男気が眩しかったですよね。
カンボジア政府が検査した結果、”感染者はいない”という結果だっただけに、入港を拒否した国はちょっとバツが悪い感じになりました。

ところが、昨日16日になって、”やっぱり感染者がいた”ということがわかったんです。
カンボジアで下船した乗客は1000人くらいで、そのあとそこかしこに自由に散らばっていったみたいですけど、感染者が他に何人も潜んでいたら、とんでもないことになると思いますぜ。
発見された感染者が、マレーシアで症状が出て発見されたことを考えれば、東南アジア全域の問題になる可能性もあります。
これでカンボジア政府は大混乱、ウエステルダム号に残っていた乗員・乗客も今後どう扱われるかわからず、大きな不安を抱えているというのですから、目も当てられません。

こうして見ると、日本政府の対応は”感染を船の外に広げなかった”という意味では正解かもしれません。
人権に配慮しすぎれば、国や地域が危険にさらされるんですからね。
政府(行政)や議員、マスコミには、”有事には人権が制限される”という正論を語る義務があると思います。
武漢でのパンデミックが確定したとき、中国共産党政府は都市封鎖という強権的で非人道的な措置を断行しましたけど、日本で似たような状況になったらどうするのでしょう?
そういうときに責任あるひとたちが勇気を持って決断できるかどうか、私はとても心配しています。
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武漢ウイルスと秋元議員事件、どちらが先に終息するのか

新型コロナウイルス(武漢ウイルス)の発生と蔓延とほぼ時期を同じくした事件があったのをみなさん憶えておいででしょうか?
そう、統合型リゾート・IRに絡んだ収賄容疑で逮捕起訴された秋元司衆議院議員(自民党)の一件です。
”内角府のIR担当副大臣”の地位にあった秋元議員が、事業参入を目指す中国企業〈500ドットコム〉から数百万円の賄賂を受け取ったとして、昨2019年12月25日に逮捕され、明くる2020年1月14日に起訴、さらに別件の収賄罪で追起訴されたがの2月3日。
あとは裁判を待つのみだったわけですが、秋元議員側が保釈を請求し、東京地検の準抗告があったものの、東京地裁は保釈を認める決定をしました。
容疑を”否認”している国会議員の保釈が通たのは異例中の異例だそうです。

そうして武漢ウイルスで世間が混乱するなか、2月12日にひっそりとシャバに戻ってきた秋元議員は14日に記者会見を開き、あらためて容疑を否認しました。
「講演料はもらったが賄賂ではない」「視察も接待を受けたのではなく、旅費も自費で支払うよう秘書に命じた。払っていないのであればすぐに支払う」
「マカオではチップ代をおごってもらっていない。そのときにブランド品を買ってもらったが断れない雰囲気だった。あとで食事でもおごって返そうと思った」
「議員会館で300万円は受け取っていない」
この話を全面的に信じるならば、確かに賄賂とはいえないかもしれませんね。
信じれば、ですけどね。
ただ、中国企業と気持ち悪いくらいべったりだったというのは確かですから、東京15区の有権者はそこを厳しく見るべきだと思います。

また、ここで重要なのは、仮に金品をもらっていたとしても、収賄罪に問えるかどうかというのは別問題だということです。
基本的に、この罪は金品などをもらった上で、相手方の要求に応じる、もしくは応じる約束をした場合に適用されるものです。
ただお金をもらっているだけならば、政治資金収支報告書を修正するか、返金すればいいだけです。
秋元議員意外にも何人かの議員が〈500ドットコム〉からお金をもらっていたことが明らかになりましたけど、みんなそうして逮捕も起訴もされていません。
政治資金規正法ってザル法すぎ…。

秋元議員は逮捕前から、この”便宜供与”を強く否定していました。
メディアに語った言葉は無罪への自信に満ち溢れ、東京地検とも「徹底的に戦う」と明言していたのも記憶に新しいところです。
なぜこんなにも秋元議員は自信満々なのでしょう?
それは彼がIRの設置自治体選定にも、事業者選定にも関わらない立場だということです。
IR実施法では、自治体は政府が選び、事業者は当該自治体が選び、カジノ管理委員会(独立性の強い第三者委員会)が審査することになっていますから、秋元議員が絡む余地はありません。

それでも東京地検が逮捕に踏み切ったのは、将来的な不正行為を抑止するという意味(加重収賄罪)や収賄罪は必ずしも便宜供与を必要としないという解釈があるからだと思うんですけど、私は個人的にはかなり無理筋な感じがしています。
しかも、これ、裁判で無罪になってしまった場合の影響が大きすぎます。
国民の代表たる国会議員を無実の罪で逮捕・起訴したことになってしまいますし、なによりもこの一件で安倍内閣肝いりのIRのイメージが大きく損なわれ、時事通信が14日に発表した世論調査でも反対が62.4%、賛成が22.8%という大差になっちゃっているんですから、もう取り返しがつきません。
いわゆる三権分立があるなかで、検察が強権を振るって立法と行政をコテンパンにしておいて、「あ、無実でした、ゴメンナサイ!」では、日本がおかしくなっちゃいますよ。

もちろん私は外国企業と国会議員が癒着することを断固として許しませんが、今回のようなあやふやな事件で検察が国会議員を逮捕し、内閣の政策に壊滅的な影響を与えるというのはどうかと思います。暴走にしか見えません。
こういう場合は、検察からマスコミに議員の疑惑をリークし、それが報道され、議員が反論し、また国会で与野党が議論した上で、有権者が判断するというのが正しい筋道ではないでしょうか。
日本は民主主義の国なのですからね。
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日本人はノムさんの野球が大好き

昨日2月11日(2020年)、野球評論家の野村克也さんが急逝したという速報を見て、私も思わず「え!?」と声を上げてしまいました。
17年に奥さんを亡くした頃のノムさん(こう呼ばせてもらいます)はずいぶん気落ちしたように見えましたけど、ここ最近はかつてのふてぶてしさを取り戻し、メディアにも精力的に顔を出していたので、84歳の高齢とはいえ、まだまだ我々に野球の面白さを届けてくれると思っていました。
死因は自宅浴槽でぐったりしていたところを発見された虚血性心不全とのことですけど、やっぱり高齢者にとって冬場のお風呂は危険ということでしょう。
避けられた可能性を考えると残念でなりません…。

メディアではノムさんのこれまでの功績が語られ、長島茂雄氏など野球関係者からのコメントが数え切れぬほど発せられ、高津臣吾監督の涙や新庄剛志氏のインスタグラムのように、こちらがグッとくるような追悼の場面もあったわけですが、それらを見ているとどれだけノムさんが愛されていたかがわかります。
偉大な三冠王であり、名捕手であり、名監督であり、名解説者であったノムさんは、それぞれの顔で多くの人間とふれ合い、強い影響を与えてきたのでしょう。
とりわけ、指導を受けた教え子たちが、心からの敬意と感謝を述べていたことに、ノムさんの功績が集約されているように思えます。

そんなノムさんを、私が初めて知ったのは、家にあった著書でした。
私の父は有名人、とりわけスポーツ関係者が書いた本を買うのが好きで(買って満足)、ノムさんのも家あったうちの一冊ですが、幼い私が何気に手に取ったその本は、ノムさんの自叙伝のようなものでした。
京都府網野町の寒々とした景色のなか、極貧の母子家庭で苦労して育ち、野球の才能を頼りに学生時代を過ごし、契約金ゼロ円で夢のプロ野球選手に当初は才能のさなさから常に首の危機にさらされるも、持ち前の粘りと努力と人間観察で南海ホークスの正捕手の座を掴み取り、押しも押されぬ名選手へと成り上がってゆく。
非常に読みごたえがありました。

ただ、その内容を思い返してみると、野球という競技のことはほとんど書かれていません。
人間とはどういうものか、集団で生きるというのはどういうことか、競争で勝つためにはどうすべきか。
そういう一般人でも共感できることばかりが散りばめられていたわけです。
名言王・ノムさんの言葉に「野球人たる前に社会人たれ」というのがありますが、その本がいいたいことはまさにそれだったと思います。

そういえば野村克也という野球人のエピソードには野球の技術的なことはほどんどでてきません。
捕手では〈ささやき戦術〉で相手打者を惑わせ、解説では〈ノムラスコープ〉で配球を読み、監督では〈ID野球〉でデータや選手ごとの能力を重視しました。〈野村再生工場〉も人情話のようなものです。
もちろん偉大な三冠王として打撃理論を語ったり、生涯一捕手としてキャッチャーの技術を語ったこともありますが、メディアで取り上げられるのは、いつも”人間を考える、野球を考える”という話でした。
そして、日本の野球ファンも技術論よりそちらを好んでいたように思います。

私はプロ野球が面白かったのは90年代だと思いますが、その中心にいたのは間違いなく野村克也でした。
イチローや長島監督が輝けたのもノムさんがいたからです。
阪神タイガースが面白いチームになったのもノムさんのおかげです。
そうして我々を引きつけたノムさんの野球とはなにか?
それはやはり人間対人間の野球です。

日本人と野球の関係の特質としてよく語られるのは、”日本人は高校野球とプロ野球は好きでもメジャー中継は観ない”ということです。
日本人は野球の競技レベルに価値を見出していないわけです。
そんなことよりも、母子家庭で育った選手が甲子園で名を挙げ、プロでスターになるも、晩年は怪我に苦しみ、代打家業となったあとも腐らず努力し、ここ一番で殊勲の一打を放つ、みたいな話が大好物なんです。
”日本の野球はキャラゲー”などといわれるのも、そういうことでしょう。
どんなにレベルが高くても、知らない外国人のプレイには興味がわきません。

ノムさんはそういう日本人の気質を見抜き、野球を浪花節にしたのです。
私はそこに日本野球の目指す道があると思いますし、メジャーと決別し、ベースボールではなく、野球として突き進む道があると思っています。
日本人は野村克也の野球が大好きなんですからね。
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2020四大陸フィギュア、紀平梨花の分析力

四大陸選手権といえば、大会前にメディアが「日本女子表彰台独占も!」といって煽るのが決まり文句のようになっていますが、この2020年大会は表彰台云々よりも、3月の世界選手権や来季に向けて、日本女子がどこまで可能性を伸ばせるかというのが真の見所でした
現在の女子シングルはロシア勢が支配的な地位を占め、日本勢はその次の位置につけてはいるものの、下からアメリカ勢や韓国勢が突き上げてくるという厳しい状況にあります。
再び世界のトップを狙うためには、ジャンプのレベルをロシア勢のラインまで引き揚げねばならず、紀平梨花さんは4S、坂本花織さんは4T、樋口新葉さんは3Aと、それぞれがFSでのチャレンジを掲げたのが今大会でした。

そのFSを前にしたSPは、3選手ともほぼミスなく終えて、1位紀平さん81.18(PCS35.02)、4位坂本さん73.70(PCS35.44)、5位樋口さん72.95(PCS34.13)という好位置につけます。
紀平さんは怪我で封印していたルッツをしっかり決めたのがFSに向けて好材料でしたし、坂本さんは久々に70点を超え、樋口さんはSBでしたから、気持ちよくFSを迎えられたはずです。

そうしてまず最初にFSに臨んだのは樋口新葉さん。
冒頭は初挑戦の3Aを予定し、本人だけではなくスタンドも緊張で息の呑むなか、力強くテイクオフしたジャンプは…悔しい転倒。
回転はまずまずでしたけど、着氷のイメージを持っていなかった感じですかね。トゥクタミシェワの3Aに似ている印象です。彼女のようにあくなき挑戦を繰り返し、ブレードで氷を掴めるようになるといですね。
その転倒はあったものの、次の3Lz+3Tを何事もなく決めたのは立派でしたけど、サルコウが2Sになる悪癖が出てしまったのは猛省しなければなりません。かりに3Aでなんとか立ったとしても、2Sならば差し引きゼロのようなものです。
しかし、そこからは慌てず騒がず、ジャンプはノーミス、コレオやステップで見せ場もしっかり作り、新葉流の躍動感のある『Poeta』でした。似合いますね。
FSは134.51(PCS67.08)、合計207.46。
全日本に続いてジャンプの確率が高くなってきましたし、そこに自信がついてくれば、課題の繋ぎも分厚くなってくると思います。
3月の世界フィギュアでは、3Aを決めてのFS150点超えを期待します!

所属先の予定表ではこの四大陸選手権が今季最後の試合となる坂本花織さんは、気持ちよく来季を迎えるためにも、いい演技で締めくくりたいところでしたけど、冒頭の4Tを3Tの回りすぎくらいで転倒すると、続く3Fでもステップアウト、エッジが気になる3Lzは丁寧に仕上げ、3S+3Tは豪快なジャンプ。
前半はほぼ想定の範囲か。
ステップシークエンスでは持ち前のよく伸びるスケートとすっかり上達した表現で『マトリックス』の世界観を膨らませ、後半冒頭も3Lo+2Tを成功させたものの、3連続がタイミングがズレた2A+1T+2Tになってしまったのは残念。
それでも加速するコレオで盛り返し、そのままなんとか最後までゆくかと思われましたけど、最終版の3Loでも着氷を乱し、大崩れといった印象の演技になってしまいました。
FSは129.72(PCS68.99)、合計202.79。
終わってみれば、全体的に集中力に欠け、今季の坂本さんそのものといった内容でした。
戦う気持ちを奮い立たせることができなければ、来季も同じようになってしまいますぜ。
フィギュアスケーターとして、いまが正念場ですし、ここを乗り越えてこその本物だと思います。
がんばれ。

ジャンプのレベルでいえば先輩2人よりも一歩先にいっている紀平梨花さんですが、FSではもう一歩先は選択せず、冒頭は4Sではなく3Sに。
これでリズムが出なかったのか、次の3Aが1Aになってしまい、優勝にも暗雲が垂れ込め始めますが、復活した3Lzをばっちり決め、安定したキャメルスピン、そしてリカバリーの3A+2T!
空気が一気に変わった!
ステップシークエンスでは細かいフットワークや正確な振り付けで技術の高さを見せつけ、後半は3F+3T+2Tと3F+3Tを続けて豪快に決める怒涛の攻め、スピンとコレオも疲れ知らずで駆け抜け、余力十分の3Loから綺麗なビールマンで貫録のフィニッシュ。
序盤のミスを忘れさせる圧巻の巻き返しでした。
FSは151.16(PCS70.82)、合計232.34。
2位ユ・ヨンに10点差をつける快勝で連覇達成。おめでとう!
(樋口さんは4位、坂本さんは5位。3位はブレイディ・テネル。)

ただ、この四大陸は枠取りや次の大会の権利などがない、負けてもいい大会であり、チャレンジできる大会にも関わらず、紀平さんが4Sを回避したことは私も少々がっかりでしたし、同じ思いを持ったフィギュアファンも多いかもしれません。
ぶっつけ本番で世界フィギュアで4Sを導入するのは考えづらいですし、このままではロシア3人娘の後塵を拝したGPファイナルを繰り返すだけです。
むろん対手がミスをすれば勝つこともあるでしょうけど、その考えはアスリートとしては悲しすぎます。

紀平さんは4S回避の理由について、「(FSの)朝、起きたら疲労がすごかった。公式練習でも他のジャンプがゆがんでいることが多かったので、そっちを修正しなければならず、4Sを練習している場合じゃなかった」と語っていました。
自己分析力が売りの紀平さんらしいコメントであり、”成功しそうもないなら跳ばない”という彼女ならではの冷静さと強い信念が感じられます。
そういえば、GPファイナルを初制覇した18年のとき、記者から北京五輪での金メダル獲得について聞かれた紀平さんは、「いまのジャンプ構成(3A2本)は80%、残りの20%を埋めるのが4回転」だと答えていました。
これは当時ジュニアだったロシア娘たちが4回転の導入に向けて動いていたからに他なりません。
彼女たちに勝って北京で金を獲るためには、4回転が必要だという状況分析だったわけです。
なんという的確な分析でしょう。これこそが紀平梨花の一番の強味かもしれませんね。

そういう紀平さんの類まれな分析力を見ていると、”北京で金”から逆算しながらジャンプ構成を作っているように思えなくもありません。
今季は今季で彼女なりの目標があって、その階段を着実に登っているのかもしれないわけです。
”冷静と情熱の間”でいえば、熱狂と興奮を求める日本のフィギュアファンは冷静寄りの紀平さんに物足りないものを感じてしまいますけど、北京で爆発するカタルシスをじりじりしながら待つのも一興かもしれません。

我々には紀平梨花を信じるしかないのですからね。
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