解散に慌てるのは野党とマスコミだけ

一昨日9月17日(2017年)に「28日からの臨時国会で衆院解散の方針」という報道があって、一気に吹いた解散風ですが、国連総会に出席する安倍晋三総理も「帰国後(22日)に判断したい」とって解散を否定せず、与野党トップも選挙モードに突入したことで、”9月28日解散、10月22日投開票”がほぼ決定的となったようです。
降って湧いたような解散風だったので、国民の側もふいを突かれたようになっていますけど、衆院はだいたい3年前後で解散していますし、前回の選挙が2014年12月だったことから「年内にも総選挙がある」と目されていたので、そう慌てるようなことでもありません。
まあ、時期が来たということなのでしょう。
(※衆院の任期は4年で満了。)

ところが、この総理の解散の方針を受けて、野党とマスコミは大騒ぎの上に、息を合わせてバッシングの嵐です。
「森友・加計問題隠しだ!」「北朝鮮問題があるのに政治空白を作るのか!」「大義がない!」
そんなことを叫びながら滑稽なほど慌てふためいているわけですが、森友・加計問題などはもう半年も野党とマスコミが「疑惑!疑惑!」と国会を空転させながら世論操作したにも関わらず、安倍総理や政府の不正はいっさい出てきません(野党の空騒ぎこそ政治空白)。
また、北朝鮮情勢でいえば、選挙が数ヶ月後になろうとも、ロケットマンの暴走が止んでいるはずもなく、総選挙による空白期間は絶対に出来てしまうわけです。むしろ来年の方が状況が緊迫している可能性もありますから、選挙をやるならいまのうちという考えもできます。

そして、”大義”。
過去の総選挙を振り返ったって大義がある選挙の方が珍しいです。
衆院は、なにもなければ3年くらいで解散するのがほとんどなので、そのくらいの頃合いで、ときの総理が自分の党に最も有利なタイミングを計るにすぎません。

”大義”が掲げられたケースでいえば、「国民に信を問う」といって行われた05年の郵政解散や14年の消費税解散の場合は、両方ともわずか2年で衆院を解散させています。
選挙というのはお金も時間も手間もかかりますから、短期間でそれを行うならばそれ相応の理由がいるというわけです。
それに対して、今年の解散は、前回が2014年11月だったわけですから、9月解散となれば任期は2年10ヶ月になります。
衆院の平均任期は2年半なので、大義がいるほど短いようにも思えません。
しかも、年内の衆院解散は以前から予想されていたわけですしね。

それなのになぜ野党やマスコミが眉を吊り上げているのか?
答えは簡単ですよね。
民進党は今月の代表選で共産党との協調路線で党が分裂しかねないような戦いの末、前原誠司新代表が誕生したものの、幹事長に内定していた山尾志桜里議員に不倫疑惑が発覚し、前途多難。
前原代表は共産党との連携は解消する方針を明言していますけど、共産党はいまだに秋波を送り続け、野党共闘とやらの足並みは完全に乱れています。
また、数ヶ月前までは国政の目玉になるとマスコミが期待していた小池百合子東京都知事と若狭勝議員の新党も、小池知事の評価と人気がじわじわ下がっているのと、新党の立ち上げが遅れていることで、完全に出鼻をくじかれた格好。

自民党と内閣の支持率も高くはありませんが、野党が混乱しているので、いまならば”消去法”で有利な状況にあるというのが安倍総理側の分析なのでしょう。
そして北朝鮮情勢。
日に日に緊迫の度合いが増しているのですから、早めに総選挙をやっておくというのも”危機管理”ということなのかもしれません。
もちろん、国会が始まって、野党やマスコミがまたあらぬ”疑惑”で印象操作をする可能性もありますから、それを避けたいという思惑だってあるでしょう。
ようするに総合的に判断して、いまが一番いいタイミングなんだと思います。

というわけで、我々有権者も総合的に判断することにしましょう。
野党やマスコミのように慌てる必要はありません。
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自分らしさを名前に

「差別や偏見がなく、誰でも自分らしく生きられる世界」

美しい言葉です。
世界の多くのひとびとが共感する言葉です。
そしてこれは誰も否定できない強い言葉です。
しかし、そういう世界を本気で目指すひと、本気で目指したひとは本当に少ないと私は思うのです。

その少ないなかで、まず最初に思い浮かぶのはモハメド・アリです。
公民権運動のシンボルだったアリは、1960年、名前をそれまでの”カシアス・クレイ”から”モハメド・アリ”に変えます。
その理由は、「奴隷だった先祖が白人から与えれた名前だから」というものでした。
これは、”自分らしい名前”で、ひとりの人間として白人社会に立ち向かうという強いメッセージでもあります。
ちなみに、日本人ボクサーで、アフリカ系アメリカ人と日本人のハーフであるカシアス内藤はカシアス・クレイを尊敬してリングネームに”カシアス”を使っていたのですが、アリ本人から「その名前は白人からもらったものだぞ?」と念を押されたというエピソードが残っています。

このアリの改名は、ネーション・オブ・イスラム(NOI)というアフリカ系アメリカ人のイスラム組織とそこの活動家だったマルコム・Xから影響を受けたものです(※2人ともその後、伝統的イスラムへ改宗)。
マルコム・Xももともとはマルコム・リトルという名前でしたが、”未知なるもの、わからないもの”を意味する”X”を選んだところに、自らのルーツがわからないアフリカ系アメリカ人の悲哀を見ることができるのではないでしょうか。
むろんそこにはアフリカ系であることへの誇りが詰まっていることはいうまでもありませんが。

そのように彼らが”名前”にこだわったのは、「差別や偏見がなく、誰でも自分らしく生きられる世界」を目指すためだったのでしょう。
自分を偽らないことで、世の中と真向から対峙し、それを変えようとしたわけです。
それは当時の白人中心のアメリカ社会から大きな反発を招き、公権力という名の暴力から常に狙われることを意味していました。
それでも彼らは戦いを止めなかった。
その勇気に現代の我々は深い感銘を受けるのです。

…ところで、いま、日本でちょっとした騒動を起こしている女性タレントがいますよね。
彼女はアメリカ人と韓国人のハーフであり、国籍もアメリカであるにも関わらず、日本名を名乗り、日本人のように振る舞っていることで、ネット上では「偽日本人だ!」という非難を受けることも多いようです。
それに対し、その女性タレントは「みんな地球人である事には変わりません。」「人種や性別などへの偏見がなくなってほしい。」「世界中の人がどこにいても自分らしく生きていける世の中になるように」などといって、SNSで反論をしていました。

しかし、私には彼女への批判が差別や偏見だとは思えませんし、彼女のいう「自分らしく」の意味がまったくわかりません。
モハメド・アリやマルコム・Xは”自分が何者であるのか”を突き詰めてゆくことで差別や偏見と闘っていましたが、2人は自分を偽ることをしませんでしたし、美しい言葉で他者を騙そうとしませんでした。
そういう姿に我々は真実を見るのではないでしょうか。
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朝鮮関連の「人道」は嘘ばかり

弾道ミサイル実験や核実験など、このところ狂ったように周辺地域と世界を脅かしている北朝鮮ですが、9月11日(2017年)に国連安全保障理事会はこれまででも最も厳しい制裁決議を”全会一致”で採択しました。
その内容は、北朝鮮への原油と石油精製品の供給・販売・移転を制限することを柱に、超軽質原油と天然ガス液は全面禁止、北朝鮮の繊維製品を全面禁輸、国外での北朝鮮人労働者の受け入れを原則禁止というものですが、
”制限”や”原則”という言葉があるように、”抜け穴”はいくつか用意されています。
制裁を主導したアメリカは、もっと強いものにしたがっていたみたいですけど、北朝鮮の現状維持を望む中国とロシアに配慮し、譲歩した形です。
中露はそれを受け入れ、”全会一致”の採択となったわけです。
(※キム・ジョンウン委員長の個人財産凍結もなし。)

ただ、もちろん北朝鮮がこれに猛反発したことはいうまもでもありません。
「アメリカを焦土化する」だとか、アメリカに追従する日本を「核爆弾で海に沈める」だとかいつも以上にわめき散らしていますし、ついにはその怒りの矛先は国連にまで向けて、「廃墟にしてやる」とまでいい始めるのですから、今回の制裁はかなりの痛手なのでしょう。
北朝鮮は反発の意思を具現化するミサイル実験の用意もあるようですが、今後も国際社会への挑発がエスカレートしてゆけば、安保理の制裁決議ももう一段階強まるのは必至です。
そうして干上がった北朝鮮が態度を変えてくれるのが一番なんですけど、たぶん無理なんでしょうね…。

また、この国際社会が一致団結して”干上がらせ作戦”しているというのに、足並みを乱す国があるのですから困りものです。
その国は、北朝鮮と「順戦時下」(北がそう宣言)にある韓国です。
ムン・ジェイン大統領は800万ドルの人道支援を計画しているそうですが、これは悪い冗談としか思えません。
安保理で制裁決議が採択されたばかりで、アメリカも北朝鮮とビジネスをしている国に対して貿易の停止を検討しているという状況のなか、800万ドルもくれてやるというのは狂気の沙汰です。
しかも、北朝鮮は韓国に対しても「親米逆賊集団」と呼び「掃討する」と脅しているんですぜ。

この人道支援は、一般国民への食料支援・医療支援が主になりますけど、本来それは北朝鮮政府が行うべきことなのです。
北朝鮮はそれをせずに、その分の予算を兵器の開発に回しているわけですから、人道支援は軍事支援に他なりません。
韓国はこれまでも北朝鮮に多額、大量の人道支援を行ってきましたけど、その結果は核とミサイルでした。
人道支援と引き換えに行われる共同宣言や基本合意に、「平和統一を目指す」とか「段階的軍縮」なんて一文があっても、北朝鮮はそれを守るつもりなど一切ないのです。
それなのになぜ韓国は何度も騙されるのか不思議でなりません。

もっとも、我々日本も韓国を笑えないのです。
日本もこれまで何度か人道支援をし、騙されてきた国のひとつです。
2002年の日朝平壌宣言にある「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」「双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。」とはなんだったのでしょう?
甘い顔を見せたツケが積りに積もって”いま”になってしまっているわけです。
人道支援などという偽善にはもう騙されてはいけません。

もっといってしまえば、朝鮮関連の話題で「人道」という言葉が出てきたときは、ほとんどが嘘とまやかしです。
たとえば最近、裁判が多発している〈朝鮮学校無償化訴訟〉ですが、在日朝鮮人とその関係者は、「民族の否定であり、非人道的だ!」と叫んでいますよね。
しかし、外国人学校・民族学校というのは、原則的には当事者(生徒と保護者)が運営資金を出すものですし、そこに支援をするのは当事国です。
日本政府も海外にある日本人学校に対して、授業料や安全対策費などの一部を援助しています。
ですから、朝鮮学校が頼るべきは北朝鮮政府なのです。

そういう当たり前のことを「人道」という言葉で誤魔化してはなりません。
日本からの支援は、当たり前のことを教える教育的援助だけにしておきましょう。
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力士も自分たちを自分たちで守らねば

今日3日目にようやく御嶽海に白星がついて信州中が安堵した平成29年9月場所ですが、今場所は初日から3横綱と平幕2力士が休場するという寂しい状況。
しかし、これは他の力士にとっては番付を上げるチャンスであり、大相撲全体にとっても世代交代のきっかけになるかもしれませんし、ニュースターはこういうときに誕生するものです。
…ところが、その候補の一番手たる大関・髙安が2日目の土俵で足を怪我して今日から休場、小兵で人気の宇良も同じく休場となってしまって、番付表はもうスカスカです。取組編成会議も頭が痛いでしょうね。
また、休場はしていなくても、日馬富士や照ノ富士、琴奨菊や栃煌山など慢性的に怪我を抱えている力士も多く、サポーターやテーピングをしていない力士の方が少ないくらいなのですから、明日また誰かいなくってもおかしくはありません。

今場所は顕著ですが、ここ数年の大相撲は「怪我が多い」という声がメディアでもファンの間でもよく聞かれます。
私も統計を取ったわけではありませんが、そういう印象です。
若手有望株が怪我で番付をエレベーターのようにしたり、実力派のベテランが怪我で番付を落としながら、十両で粘り強く相撲を取り続けているのを見ているとどうしてもそう思いますよね。

その原因として、相撲解説者や記者などが指摘するのが「力士の大型化」です。
身体が大きいと自分にも対戦相手にも負担になる、上手く相手の攻めをかわせない、というわけです。
確かに一理あります。
幕内力士の平均体重でいうと、10年前は約150キロだったのが、いまは約160キロになっているのでその影響は否定できないでしょう(平均身長は約185センチで変わらず)。

ただ、ここで興味深いのは、平均体重がぐっと増え、150キロ代後半に突入していったのが、”平成23年”だということです。
これは、忘れもしない〈八百長問題〉が発覚した年です。”3月場所が中止”になるという、大相撲始まって以来の恥ずべき年でした。
そして、そこからの大相撲は”ガチンコ”(真剣勝負)へとシフトしていったわけですが、力士の大型化というのはそのガチンコに対応したものと考えるのが妥当です。
”負けないため”に身体を大きくした結果といっていいでしょう。

私は怪我が多発する原因はむしろ、その”負けないため”だと考えています。
土俵際で粘る、投げを打たれても耐える、そうしていれば身体に負担がかかるのは当然です。
身体のために力を抜いてすんなり負ければ、「八百長だ!」といわれかねないわけですから、力士だって必死です。
八百長問題前は15日間をトータルで考えていたのが、その日その日で全力を尽くさねばならない力士たちの負担は想像を絶するものがあります。

ガチンコ時代になってからは番付を守るのが本当に大変です。
一番わかりやすいのは大関陣です。
把瑠都(25年9月)と琴欧洲(平成26年3月)は休場を繰り返した後に引退してしまいましたし、琴奨菊は大関陥落、豪栄道と照ノ富士も角番が多くて毎場所ヒヤヒヤです。
ここで一昔前を思い出してください。
魁皇や千代大海が君臨していた時代です。
あの2人は大関在位記録の1、2位ですし、時代が重なっていた琴欧州が4位、琴奨菊が10位だということを考えれば、八百長問題の前と後では大相撲の質そのものが劇的に変化したことがよくわかります。

力士の怪我を防ぎたいのだったらそこから目を背けてはなりません。
ガチンコで年6場所はきつすぎるんです。
相撲協会も「土俵の充実」いうのだったら年4場所に戻すべきです。
しかも、相撲協会は八百長問題からの人気回復のためか、ここ4年で巡業数を倍増させています。
力士は休む暇もありません。
実は一昨年、白鵬が会長を勤める〈力士会〉(関取の親睦団体)から巡業の改善要請がなされましたが、残念ながら今年も巡業も過密さは変わりません。
相撲協会は力士の声に耳を傾けることはしないんです。

世界にも日本にもプロスポーツ組織はたくさんありますけど、日本相撲協会ほどブラックな組織はないといっていいでしょう。
なにしろ力士(選手)の労働組合を認めていないんです。
力士は常に相撲協会のいいなりで、待遇も労働環境も改善されることがなく、使い捨てです。
なにかあっても誰も力士を守ってはくれません。立場は常に危ういのです。
わかりやすいところでいうと、八百長問題のときに協会から解雇判定を受けた蒼国来は裁判で解雇無効を勝ち取りましたけど、彼は個人で戦いました。
また少し前の大麻問題のときも、露鵬と白露山は刑法犯でなかったにも関わらず、「外国で吸引した」というだけで解雇されてしまったのです。
力士の契約がどれだけあやふやで、どれだけ相撲協会が強い権力を持っているかよくわかる事案です。
こういうとき、普通のプロスポーツ組織ならば”組合”が選手を助けるものです。簡単に解雇などされません。

力士の怪我を防ぐためには、まず組合の設立です。
自分たちの身は自分たちで守るんです。
残念ながら、大相撲ではメディアも解説者も記者も力士の味方ではありません。
彼らは相撲協会の代弁者にすぎないんです。
そして、悲しいかな、ファンも力士の味方ではありません。
これまでファンが相撲協会の決定に反対運動をしたことがあるでしょうか?
私は〈カムバック蒼国来! 署名運動〉くらいしか知りません。
ようするにファンも無意識のうちに相撲協会の決定を絶対視しているんです。

力士を守るためにはファンの意識改革も必要です。
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桐生祥秀、笑顔と涙の9秒台

桐生祥秀という高校生3年生が日本中の注目を集めたのは、2013年4月の織田記念男子100mで10秒01という日本歴代2位の記録を叩き出したときでした。
笑顔にあどけなさの残る無名の高校生が、あの朝原宣治(,02)や末續慎吾(,03)よりも速く100mを駆け抜けたことに日本中が衝撃を受けたわけです。
しかも桐生が通っていた洛南高校のグランドは狭く、100mのレーンもなかなか確保できなかったというではありませんか。
高校を卒業し、より良い練習環境になれば、すぐに伊東浩司(,00)を捉え、夢の9秒台の扉をこじ開けると、誰もが確信に近い期待を寄せたものです。

そうして東洋大学を進学先に選んだ桐生はその年の日本選手権で初優勝、世界ジュニアでも3位になるなど結果を残したものの、14年のベストタイムは10秒05というじれったいもので、終盤は左太腿の怪我で欠場してしまったこともあって、本人も悔しさを吐露するシーズンになってしまいました。

翌15年シーズンは、いきなり3月に追い風参考ながら9秒87を計測し、9秒台がすぐそこに見えたかに思われたものの、またもや左太腿を傷め日本選手権を欠場、世界選手権に行くこともできないという悲劇的展開。
ただ、シーズン終盤に復帰し、10秒09(SB)を出して翌年のリオ五輪の参加標準記録を突破したのはさすがでした。

その左太腿の怪我があったせいか、16年シーズンは低調な感じでシーズンに入ったものの、6月には自己ベストである10秒01を久しぶりに叩き出し、これがリオ五輪派遣設定記録だったことから出場が決定。
しかし、日本選手権では足の痙攣があって3位に終わり、人目もはばからず悔し涙。
そして、期待されたリオ五輪では10秒23で予選敗退。
リレーでは銅メダルに大きく貢献したものの、個人としては”大舞台への弱さ”を印象付けるシーズンになってしまいました。

この16年シーズンは、山縣亮太が10秒03まで自己ベストを更新し、ケンブリッジ飛鳥が全日本を制すなど、日本短距離界も群雄割拠の様相を呈し、桐生の存在感は相対的に低下。
そして今年17年シーズンになると、多田修平というニューヒーローが現れ、大器といわれていたサニブラウン・ハキームもいよいよその本領を発揮し始め、「日本人初の9秒台のチャンスはみんなにある」という、国民的にはとってもワクワクする状況になったわけです。
ですが、もちろんこれは桐生とその陣営にとっては面白くない状況だったに違いありません。
ちょっと前までは、「日本人初の9秒台は桐生のもの」という認識でしたからね。

しかも今年6月の日本選手権では、1位サニブラウン(,05)、2位多田、3位ケンブリッジに先着され、桐生はまさかの4位。
世界選手権に個人で出場できないという屈辱的な結果に桐生はまたしても悔し涙を流すはめになりました。
その世界選手権でもサニブラウンが活躍し、桐生はリレーで銅メダルメンバーになったものの、”主役交代”は誰の目にも明らかでした。
多くの日本国民は、初の9秒台はサニブラウンのものになると予想しましたし、サニブラウンが2020東京五輪の顔になると期待し始めたわけです。
逆に桐生は10秒01という日本歴代2位の記録を持っていても、もはや”頭ひとつ抜けた存在”とは見なされないようになってしまいました。
もっといえば”過去のひと”になりかけたといっていいでしょう。

こうやって見てくると、高校3年生のときの輝きが年々色褪せていったことがよくわかります。
桐生祥秀の大学生活は、”伸び悩み”という評価を受けても仕方ありません。
一般的には大学時代というのは”記録が伸びる時期”であって、高校時代の記録を更新できない選手というのはかなり珍しいケースです。
もちろん、そうなれば批判と疑いの視線は”東洋大学陸上部”と”土江寛裕コーチ”に向けられることになりますよね。
(※土江コーチは桐生が入学する際に東洋大学がヘッドハンティング。)
「いったいどういう指導をしているのか?進学先を間違ったのではないか」
陸上界でもそんな声が聞かれたかもしれませんし、一般の我々だってどうしてもそう感じてしまいます。
サニブラウン・ハキームが高卒後にアメリカの陸上チームに所属してメキメキ実力をつけている姿をみればなおさらです。
桐生祥秀という日本陸上史上でも稀に見る逸材は進む道を間違えてしまったのでしょうか…?

その答えは否。

昨日9月9日、日本学生選手権100m決勝に進んだ桐生祥秀は、追い風1.8mという好条件のなか、スタートを綺麗に決め、先行する多田修平を終盤で捉えると、そのスピードを保ったまま1着でゴール!
速報タイムはなんと9秒99!出た9秒台!
…しかしこれで喜んではなりません。
あの伊東浩司のときは写真判定の後、10秒00になったではありませんか。
そういうドキドキのなか、出てきた正式タイムは9秒98!
ついに日本人が初めて”10秒の壁”を破ったのです。
桐生祥秀は日本陸上界の伝説になりました!

このタイムが出たときの桐生の笑顔の晴れやかなこと。
やはり彼に涙は似合いません。
かわりに泣いたのは土江寛裕コーチ。
土江コーチにとってこの3年数ヶ月は本当に苦しかったと思います。
桐生を預かったプレッシャーとの格闘の日々だったと思います。
そこから解放された男泣きに、私も胸がじーんとしました。
本当に良かったですね、”東洋大学の桐生”としての9秒台。
本人だけではなく、陣営にとっても最高の一日だったと思います。
おめでとう!

そしてこの9秒台は間違いなく連鎖してゆくことでしょう。
桐生が破った壁は”無意識のそれ”でもあるはずです。
これからの日本はドバドバと9秒台選手が誕生し、東京五輪のメンバーは全てそうなっているに違いありません。
アジアのスプリント王国誕生はすぐそこにある!
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