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大山さん、バレーボール部だけの問題じゃないと思います。

「またバレー部…こういったニュースを目にするたびに悲しくて悔しくて…」
元バレーボール日本代表の大山加奈さんがツイッターで嘆いていたのは、タイミング的におそらく市立船橋高校男子バレー部の男性監督が部員への暴行容疑で逮捕された事件にことだと思われます。
私はバレー部で特にこの手の事件が多いという印象はないのですが、昨年6月にも県立松戸高校女子バレー部の男性監督が傷害容疑で逮捕されていますし、バレー界に身を置くひとからすると”またか”という思いがこみ上げてくるのでしょう。

さて、その市船バレー部の事件ですが、2月27日に同部の石井利広監督(同校教諭)を逮捕した船橋署は、その容疑について「昨年11月18日、石井容疑者は同校体育館で練習中にミスをした男子部員1名の上半身裸にし、髪をわし掴みにして引っ張ったり、顔面にボールを複数回投げつけたりした」と説明しています(容疑者の認否は明らかにしていません)。
逮捕に至った経緯でいうと、その暴行が行われた翌々日に”部関係者”が同署に相談に来て、そこから捜査が始まったそうです。
内部告発のようなものであり、他の部員などにも話を聞いたでしょうし、防犯カメラにも暴行の様子が捉えられていたといいますから、事実関係は概ね警察の説明の通りなのだと思います。
いうまでもなくこれは指導やしごきを通りこした完全なる犯罪ですね。

その石井容疑者は市船バレー部を37年もの長きに渡って指導し、その間全国大会にも何度か進出するなかで、平成2年には春高バレーで優勝を果たすという輝かしい実績を持っているようです。
おそらく高校バレー界では名の通った人物になるでしょう。
そして同じ学校で37年も監督を務めていれば当然その権力はとてつもなく膨らみ、”なにをしても許される”ような状態だったのは容易に想像できます。
一部報道では余罪も疑われているようですが、暴行の手慣れた感じからすればこれが初犯だという方が驚きです。

そうして高校バレー界の有力監督が逮捕されたことや、いまだに暴力指導がまかり通っていることが明らかになったことは、日本のバレー界全体にとっては間違いなく大きなイメージダウンです。
高校バレーは『ハイキュー!!』人気の影響でここ何年も部員数が堅調だったのに、今回の事件が水を差しかねません。
これが現実であり、高校でバレーボールをしたいと考えている子供たちはそこで行われていることが漫画やアニメとは違うということを認識し、進学先の部活動の情報をよく精査するか、腹をくくるかして判断すべきですね。

そもそも日本のバレーボールは”昭和の感覚”が色濃く残っているといわれていて、元代表の益子直美さんなどがそれを変えようと地道な活動をなさっていますが、なかなか抜けきらないところに大山さんの嘆きがあるのでしょう。
監督の高圧的な指導、理不尽な部内ルールや上下関係、それらに耐えねば試合のコートに立てないという異常性、そしてそれらに耐えられない部員を弱者といって切り捨てる閉鎖性。
そしてそれらを昭和から守っているのに日本代表の世界ランクが低迷しているという虚しさ。
昭和の指導って本当に意味不明です。

ただ、わかっていることはいくつかあって、日本では部活動を含む学校体育がスポーツの根幹にあり、部活動には基本的に希望者は誰でも入ることができるということです。
ちなみに海外を見渡すと、日本のような大規模な部活動がある国は皆無といっていいです。
海外の中学・高校では部活動に参加できるのはトライアウトで選ばれたエリートだけです。
そしてパフォーマンスに問題があったり、チームの輪を乱したり、素行が悪かったりすればすぐにクビになります。
日本のように”指導”してくれる環境はないのです。
ですから当然、”指導の行き過ぎ”もありません。
(パワハラやセクハラはありますけど。)

日本人からすると海外の自己責任型のやり方は本当に厳しいと感じますが、日本の部活動で行き過ぎた指導や事件をなくそうというのであれば、それに倣わざるを得ないでしょう。
つまりは部活動という仕組み自体の変革です。
大学の部活とサークルのように、勝負のために専門的に厳しいトレーニングをする集まりと、スポーツとしてエンジョイする集まりに分かれるというのが現実的です。

日本が昭和からやっている”指導”にはある種の優しさがあるので、それに救われたというひともいるかもしれませんが、弊害も大きすぎますし、モンスター監督を産む土壌にもなっていることは明らかです。
学校が部活を広告塔にしている問題も含め、日本の部活動は過去を清算する時期にきていると思います。
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春高バレーのZERO-COVID政策

12大会ぶりの国見高校や神村学園の福田師王で注目を集めるこの2022年度の高校サッカー選手権ですが、全体的なレベルも高く、規律とフィジカル面での進歩も明らかで、好ゲームも本当に多く、全国津々浦々の指導者や選手とそのご家族が長年一生懸命やってきたことが確かな土台となり、日本サッカーの地力が年々上がっていることを感じさせます。
ベスト8の顔ぶれが九州(2)、中国(1)、関西(1)、関東(3)、東北(1)と地域が色々だったのも、サッカー文化の広がりとしては素晴らしいものがありますよね。

そんな今年度の選手権ですが、まず最初に話題になったが”開会式のマスク”だったのはちょっと寂しい話でした。
いまの日本はCOVID-19との共存が進み、厚生労働省も「屋外のマスクは原則不要」という方針を打ち出しているにも関わらず、
入場行進する選手たちがみなマスクをし、選手宣誓をする東山高校のキャプテンがおもむろにマスクを外すのですから違和感しかありません。
日本サッカー協会は”感染対策に万全を期す”という方針だったのかもしれませんが、それならば入場行進を登録選手全員ではなく、キャプテンだけにしてもいいわけですし、あまりにもチグハグです。

ちなみにチーム内で感染者が出た場合については、昨年度まではひとりでもそうなってしまえばチームとして出場辞退に追い込まれてしまいましたが、今年度からは弾力的に判断するようになっています。
簡単にいうと、陽性者以外の登録メンバーとスタッフに抗原検査を実施し、全員の陰性が確認されれば、出場が認められることになりました。
国内外のプロスポーツ興行でもそんな感じでやっていますし、それで感染が広がったりしているわけではありませんから、科学的な対応といっていいでしょう。
それなのに”行進のマスク”という非科学的な判断をするのはよくわかりませんが…。

と、サッカー協会に疑念を抱いたひとも多いかと思いますが、いま開催されている女子の春高バレーでは、抗原検査でCOVID-19の陽性者が出た就実高校(岡山)と富士見高校(静岡)が”欠場”に追い込まれたのですからびっくりしました。
日本バレーボール協会のガイドラインではいまだに「登録選手・スタッフにひとりでも陽性が確認されれば欠場」となっているんです。
(就実は1名、富士見は3名が抗原検査で陽性反応。みな無症状とのことです。)
また、今年度の春高バレーでは”準決勝まで無観客”という厳しい感染対策も取っていて、サッカーと違って屋内競技とはいえ、日本バレーボール協会はちょっとやりすぎにも思えます。
国も自治体ももうそこまで求めていませんし、いったいどういう根拠なんでしょう?

同じ屋内競技でいうと、高校バスケは弾力的対応をしていて、サッカーと似たようなガイドラインになっています。
12月23日~29日のウインターカップもそれで無事に終えていますし、観客も”マスクをする””大声NG”というだけで普通に入れていました。
象徴的な出来事としては、3回戦の福岡第一×美濃加茂において、事前に美濃加茂の選手に発熱者があり、検査では陰性だったものの、両チームで話し合ってマスクをしながらの試合にしたというのは融通の利いた対応だったと思います。

それに比べると春高バレーはあまりに杓子定規で疑問ばかりが残ります。
就実高校では抗原検査で陽性となった選手がその後のPCR検査では陰性だったというのですから、やりきれないものがあります。
世界がCOVID-19との共存を模索するなか、春高バレーはいつまでZERO-COVID政策を取り続けるのでしょう?
バレーボールで最も大切なのは”コミュニケーション”だといいますし、協会と学校でよく話し合って、選手たちのためになる新たなガイドラインを作成して欲しいものです。
このままじゃあバレーボールをする子供が減っちゃいますぜ。
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2人の冬のヒロインが長野市で

現役を終えた浅田真央が、その間の感謝を全国のファン・国民に伝えたいということで始まった『サンクスツアー』は大好評を博し、3年間という超ロングランになったわけですが、その笑顔溢れるショーも昨2021年5月に最終公演を迎え、浅田さんも「サンクスツアーは終わりますが、これもまた新たなスタートだと思っています。本当に幸せで最高な時間でした」と別れの言葉を残していました。
私はまだまだこのショーを続けて欲しかったんですけど、浅田さんもこの時点で30歳でしたし、”出ずっぱり”みたいなショーはもう難しいのかなあ、とちょっと感傷的になってしまいましたし、その後、浅田さんが長年のスポンサーである〈アルソア〉の新プロジェクト発表会で「自給自足の生活がしたい。自然たっぷりなところで野菜を作って生活したい」と語っていたので、本当に真新しいスタートを切るのだと諦めに似た気持ちになったものです。
テレビ番組で筍を掘っている姿も楽しそうでしたしね。
(信州に移住して欲しいとも思いました。)

ところがそれから約1年後の今年7月、浅田さんが新たな挑戦として発表したのは、「覚悟と進化」をテーマにしたアイスショー『BEYOND』のスタートでした。
「少しでもみなさんの力になれば」といって、おそらく武漢肺炎covid-19で閉塞感に包まれる日本社会を勇気づけるためというのが開催の動機なのでしょうけど、『サンクスツアー』がcovid-19の影響で不完全燃焼だったという気持ちもあったのかもしれません。
いずれにせよ、「やるからには前回以上のことを」と浅田さんが強い意気込みを見せるこのショーはとんでもないエンターテイメントになることは確実であり、ファンからしたら狂喜乱舞の展開でした。

そうして9月から幕を開けた『BEYOND』もいくつかの公演を経て、いよいよ私の住む長野市に近づいてきました。
この10月18日に自ら長野市を訪れた浅田さんが地元メディアの取材に応えるなか、長野市での公演の日程が来年1月21日と22日だと正式に明かされ、その県民向けチケットの先行販売が22日から始まるともアナウンスされたんです。
先行販売は4次までありますし、チケットが手に入らないことはないとは思うのですが、それではやはり我が家は殺気立っています。
まずは22日の午前11時、そこが戦いの始まりです。

そんな10月22日なんですけど、実は私、別件で大きなミスを犯してしまい、いまは敗残者の気分なんです。
その日はMウェーブでの恒例行事ともいえるスピードスケートの距離別選手権が開催され、そこで信州のスーパーヒロイン小平奈緒(茅野市出身・信州大学教育学部卒・エムウェーブ拠点)の引退レースが行われるということで、全国ニュースにもなっているかと思われます。
小平さんは22年冬季五輪を最後にリンクを去ってもよかったはずなのに、地元への感謝を滑りで表現するためにこの距離別までトレーニングを続けてきてくれたのですから、”さすが”としかいいようがありません。

私も小平さんが若手の頃から応援しているので、最後の500mはスタンドで観戦するつもりだったんですけど、晴天の霹靂といいましょうか、油断大敵といいましょうか、チケットの入手に失敗してしまったんです。
22日のチケット6400枚は10月の初め頃にはもう”売り切れ”だったのですから、いまでも信じられません。
私も10年以上、距離別選手権を観に行っていますけど、ソールドアウトの経験は一度もなく、余裕をぶっこいていたのが敗因でした。
五輪イヤーでもガラガラなのになぜこうなったのか…。

まあ、でもこれが小平さんの底知れない人気ということなのでしょう。
Sスケートの日本女子で初めて五輪女王に輝いたという偉大な実績の持ち主であるだけではなく、その生き様や人柄も本当に素晴らしい選手ですから、彼女に最後の声援を送りたいというファンも多いのだと思います。
ちなみに、小平さんのライバル・高木美帆もチケットの売れ行きに驚いている様子で、「今回初めて観に来るというお客さんもいらっしゃるので、スケートの迫力だったり、独特の静けさからの盛り上がりを感じてもらえたら」と話していました。
そういう周囲の熱気に、小平さん本人はいつもと変わらず「小ネタを挟んだ会話」をしてくるそうですけど。

私もSスケートを生観戦してその面白さに一発でファンになった者のひとりなので、今回の小平さんの引退レースでファンが増えることを期待しますし、それが小平さんの置き土産になれば、これほどの業績もないはずです。
そうやって自分を慰めることにしています。

それに、いまの私には6400人+αの観客の声援に笑顔で手を振る小平さんの姿が見えています。
不思議なことにスタンドには私自身の姿もあるんです。
22日は気持ちだけをエムウェーブに飛ばすことにします。
そういうファンも多いと思いますしね。
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メイウェザーにコテンパンにされました。

私もボクシングはけっこう好きな方ですから、昨日9月25日(2022年)のフロイド・メイウェザーJr×朝倉未来選手のエキシビションみたいな企画は疑問しか感じないんですけど、それでも結果と内容が気になってチェックしてしまうのですから悲しいものです。
まあ結果はメイウェザーが100%勝つと思っていたのでそこはどうでもよく、朝倉選手が17年のコナー・マクレガーのように闘志溢れるファイトでこのエキシビションに価値を付けることができるかどうか、私の注目はそこだけでした。

ちなみにメイウェザーは77年生まれの45歳で身長173cm、体重はエキシビションということで契約リミットはなく、70kg前後と見られていました。
対する朝倉選手は92年生まれの30歳で身長177cm、体重は80kg弱くらいだったようです。
ボクシングの階級でいうとメイウェザーがスーパーウェルター、朝倉選手がライトヘビーかスーパーミドルということになり、2~3階級差といったところでしょうか。
プロボクシングならばマッチメイクに特例が必要な危険な体重差です。

しかし、伝説的な元チャンプとボクシングを本格的にやったことがなかった総合格闘家の戦いに、そんな体重差はまったく影響を与えることなく、玄人と素人の違いが明らかになるだけで、2R終わりにメイウェザーの右ストレートが朝倉選手のテンプルを捉えると、YouTubeでも活躍する人気ファイターはリングにもんどりうって倒れ、焦点が合わない目をしたまま立ち上がることはできませんでした。
強いパンチでもなかったので打ち所が悪かったのかもしれませんが、あまりにもあっけない結末に拍子抜けしたひとも多かったのではないでしょうか。
負けるにしてももうちょっと見せ場が欲しかったものです。

試合後のメイウェザーは「エキシビションなので楽しんでリラックスして臨んだ。最後のパンチはそんなに強く打っていないが、日本の友人から1Rは引っ張って2Rで倒して欲しいとリクエストされていたのでそれに応えた格好だ」という余裕綽々なコメントを綺麗さっぱりとした顔で語っていました。
このお遊びのようなエキシビションでメイウェザーが手にしたファイトマネーは2000万ドルほどというのですから笑いが止まらないことでしょう。
メイウェザーは18年の那須川天心選手とのエキシビションでも子供をあやすような1回TKOで1000万ドルを稼いでいますから、〈RIZIN〉(榊原信行代表)はいいお得意様ですね。

もっとも、主催したRIZIN側もPPVで相応の利益を出しているのは疑いありません。
メイウェザーさまさまという部分もあるでしょうし、WIN-WINの関係といってもいいはずです。
RIZINの価値、日本の格闘技の価値を高めたかどうかはかなり疑わしいものの、お金儲けとしては成功というわけです。
朝倉選手も惨敗したとはいえYouTubeでのネタをゲットできて、こちらも損はありませんしね。
メディアでの扱いも大きかったですし、ほんと日本の格闘技興行の未来を考慮に入れなければ大成功の大会でした。
もちろん私はそういう評価はしていませんけどね。

もう10年も前に終わった日本の格闘技ブームですが、RIZINはその残滓のようなものであり、PPVを支えているのも当時からのファンの熾火のような重いなんでしょうけれども、今回のような遊びでしか盛り上がれないとなれば、これはもはや末期的です。
RIZINの方も試合内容を充実させるのではなく金儲けに舵を切った感がありますし、看板だった那須川選手がキックからボクシングに転向したこともあって、店じまいでも考えているんじゃないかと思うくらいです。
RIZINは榊原信行代表の反社との関わりが囁かれ、それが原因で地上波放送から締め出されていることからもそう勘ぐってしまいたくなります。

また、このメイウェザー戦では試合前にもハプニングがあって、〈ごぼうの党〉の奥野卓志代表がメイウェザーに贈呈するはずの花束を彼の前に放り捨てるという意味不明なパフォーマンスを披露していたんです。
このあまりにも無礼な態度に日本中から非難の声が上がったのはいうまでもありません。
ごぼうの党は参院選の比例区に11人の候補者を擁立し、当選者は出さなかったものの19万3000票を集めたのですから、その代表たる奥野氏の愚行はただの一般人のそれとは違う意味を国際的に持ちかねないのですから、本当に許されないことですし、なによりメイウェザーに対して失礼すぎます。
逆にメイウェザーが奥野氏に憤ることなく、リングから優しく花束を拾い上げた姿には賞賛を送る以外にありません。
彼は試合前から勝者でした。
(メイウェザーはプロレス的なアングルかと思ったのかもしれませんが。)

そしてのそんなごぼうの党の顧問の欄には朝倉未来選手が名を連ねているのですから、朝倉選手は2度負けたようなものです。
奥野氏のせいで朝倉選手もRIZINもかなりのイメージダウンですし、日本の格闘技興行そのものにもダメージは大きかったかもしれません。
とにかく酷い負け試合でした。見たこともない惨敗です。
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高橋元理事とAOKIだけでいいんでしょうか

東京オリパラ組織委員会の元理事である高橋治之氏が、五輪のスポンサー契約絡みでAOKIホールディングスの青木拡憲前会長から賄賂をもらっていたのではないかという疑惑ですが、この8月17日(2022年)、東京地検特捜部はその2名+AOKIの幹部3名の逮捕に踏み切りました。
容疑は受託収賄と贈賄です。
特捜部がマスコミに流している情報によると、高橋元理事の口利きでAOKIはスポンサー代を安くしてもらったり、公式ライセンス商品の販売契約などで便宜を計ってもらい、その見返りとしてお金を支払っていたそうです。
高橋元理事は”みなし公務員”だったので、これが事実ならば犯罪になりますよね。

もっとも高橋元理事やAOKI側はそれを否定していて、お金のやり取りは確かにあったが、それは高橋元理事のコンサルティング業務に対する正当な報酬であり、賄賂ではないと逮捕前から説明しています。
彼らがそう認識しているということは、17年10月~22年3月の間にAOKIが高橋元理事のコンサルティング会社に計5100万円を支払っていたのを、まったく隠していないことからもわかります。
おそらく、高橋元理事はその存在感で組織委員会に圧力をかけ、周囲に忖度させ、AOKIの有利に事が運ぶようにしようとしたと思いますが、それだけなら違法ではないのでセーフという感覚だったのではないでしょうか。
しかし、特捜部は”具体的な便宜”を掴んで有罪にできると判断したというわけです。
今日19日の段階ではそれを証明するような物証は提示されていませんが…。

ちなみに高橋元理事78歳はもともと〈電通〉の社員で、長らくスポーツ関連事業に携わり、そこでの実績で取締役、そして顧問へと昇りつめた人物です。
2002年W杯招致で辣腕を振るい、国内外の人脈も恐ろしく広く、有力者とのエピソードも枚挙に暇がありません。
2011年に電通を離れてからはコンサルティング会社を起ち上げたり、スポーツ業界で理事や顧問を務めている大物であり、東京五輪招致にも携わり、「日本のスポーツビジネスで最も影響力のある男」といわれているそうです。

ただ、高橋元理事はスポーツの闇の部分との関わりも度々囁かれていて、ゼップ・ブラッター前会長を中心としたFIFAスキャンダルにおいてもスイス当局の捜査対象だったという疑惑がありますし、02W杯招致でも後ろ暗いお金のやり取りに携わっていたのではないかと考えられています。
そんなことをいわれるのも、東京五輪招致に関する贈収賄でフランス当局が元世界陸連会長兼元IOC理事と竹田恆和元JOC会長を捜査した際、実際に日本側の代表として動いていたのが高橋元理事だったからです。
ロビー活動自体は高橋元理事も認めていることです。

ただ、招致委員会のロビー活動、IOC理事に関係する会社へのコンサルタント料の支払いなどは日本の法律では犯罪でもなんでもありませんから、高橋元理事がそれで裁かれることはありません。
竹田元会長もフランスでは起訴されましたが、日本では捜査も事情聴取もされないのはそれのためです。
また、東京五輪招致に関するフランスでの裁判は元IOCの死去もあってまだ決着がついていませんし、コンサルタント料を賄賂と認定するのもなかなか難しいようです。

私はその意味で今回の高橋元理事とAOKIホールディングスの一件にとても注目しています。
コンサルタント料が賄賂として認定されると、行政が絡む各種イベントに対する影響がかなり強いと思うんです。
正直いって首の後ろが涼しくなっているひとが色んなところにいるんじゃないでしょうか。

巨額の資金が動く国家的イベントや地方イベントにおいて、仲間内で甘い汁を吸おうという人間は必ず出てきます。行政にも民間にも。
そして、それをチェックすべきマスコミも、今回の一件でもそうであるように、イベント関係の疑惑では動きが鈍い。
それは日本の巨大イベントを仕切っているのが電通であり、マスコミを牛耳っているのが電通だからです。
今回のニュースでも電通という固有名称がほとんど出てきません。

電通を聖域にしていていいんでしょうかね。
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かつしき

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