2017世界陸上ロンドン大会を振り返る

8月4日(~13日)に始まった今年2017世界陸上は、我々日本にとっては2020東京五輪を見据えた大会ということで、陸上関係者も、ファンと国民も前途に光明を見出したかったわけですが、序盤の成果は男子100m準決勝に3選手が進出したというものくらいで、人気のマラソンでは男女ともに入賞なし(22年ぶり)、他の種目でも予選通過者が出ないという寂しい状況でした…。
そういう悪い流れのなかで我々に希望を届けたのは200mのサニブラウン・A・ハキーム。
9日の準決勝を通過すると、翌10日の決勝では足を痛めたなかでも7位という健闘を見せてくれたのです。
18歳5ヶ月での決勝進出は史上最年少であり、世界のひとびとにもこの日本の若者が将来のスター候補であることを認識させたといっていいでしょう。サニブラウンは東京五輪の”顔”になるかもしれません。
(※選手への親しみを込めて敬称略。)

そして12日は、この大会で最も期待されていた男子4×100mリレー。
この種目は昨年のリオ五輪で銀メダルを獲得していますから、そのメダルのバトンも繋いで欲しいところです。
午前中(現地ロンドン)の予選1組を多田修平・飯塚翔太・桐生祥秀・ケンブリッジ飛鳥というメンバーで3位で通過した日本ですが、タイムは全体の6位ということで、メダルは遠くに霞んでいました。
そこで苅部俊二短距離コーチが下した決断は、調子が上がらず、バトンも上手く繋げられなかったケンブリッジを外し、ベテランの藤光謙司を起用するという思い切った策。

しかし、不調といえどもケンブリッジは昨年の五輪の銀メダルメンバーであり、100mのベストタイムは10秒08で、藤光の10秒23とはかなりの差があります。
これでもし順位を落とそうものならば、選手たちと苅部コーチとの信頼関係は崩壊するでしょうし(ケンブリッジとは特に)、世間からも大きな批判が巻き起こったはずです。
苅部コーチはそれをわかった上で職を賭した決断を下したわけです。

そして結果、日本は見事な銅メダル!
ハムストリングを痛めたウサイン・ボルトのジャマイカが失格したことが大きかったとはいえ、38秒04という好タイムで中国やフランスといった手強いチームを置き去りにしたのですから(4位の中国は34)、世界の表彰台に相応しい走りだったといっていいでしょう。
日本らしい淀みのないバトンパスはもちろん、多田のロケットスタート、飯塚の安定した走り、桐生のコーナーワーク、隣でボルトが倒れるのにまったく動揺しない藤光の落ち着きという個人の力強さも目立ちました。
このリオ五輪に続くメダル獲得で、”日本人はかけっこが速い”ということを世界に認識させたといっても過言ではありません。
これは日本陸上界の自信になるだけではなく、あらゆる分野の日本人アスリートが世界に出てゆく上での精神的アドバンテージになるはずです。なんといってもかけっこはスポーツの基本ですからね。

また、今回の400mリレーは、当初はサニブラウンが起用される予定だったものの、個人種目で足を痛めたためにメンバーから外れ、それでも日本は予選をしっかり通過し、決勝では不調のケンブリッジを藤光に代えてもメダルを獲ったのですから、”選手層の厚さ”には驚くばかりです。
しかも、リオ五輪メンバーの山縣亮太は怪我からの回復が遅れて今回の世界選手権には出場できませんでしたし、そのリオ五輪の頃の多田修平は一般にはまったく知られていなかったわけですから、”第2の多田”だってまだまだ国内にいると思うんです。
男子4×100mは今後も日本の得意種目になってゆくに違いありません。

そしてその新たなる得意種目でいえば、男子50km競歩(13日)は興奮しましたねえ!
リオ五輪銅メダルの荒井広宙が2位、世陸初出場の小林快が3位、同じく初出場の丸尾知司が5位ということで、日本勢の強さを世界に見せつけました。
長野県の我が家では荒井選手(小布施町出身)に大注目していましたから、ゴールの瞬間には私も思わず相方とハイタッチ!
終盤に4位のウクライナ選手がひたひたと近づいてくるのが怖かったですけど、荒井と小林が息を合わせてギアを上げて振り切ったのは今大会の名場面のひとつですよね。
これで荒井さんは東京五輪の顔のひとりになりそうですし、長野県ではもはや押しも押されぬ大看板です。
県は昨年贈呈したスポーツ特別栄誉賞を上回る賞の創設を検討すべきですね!

そのようにリレーと競歩の活躍でなんとなく明るい感じで終わった2017世界陸上ですが、大会を終えた伊東浩司強化委員長は「厳しさの方が大きい」という感想を述べていました。
結果としては”銀1・銅2・入賞2”ということで、前回大会の”銅1・入賞1”、リオ五輪の”銀1・銅1・入賞2”を上回ったわけですが、五輪開催を控えた国としては物足りないということなのでしょう。
確かに入賞者(決勝進出種目)がもうちょっと増えてゆかないと、国民に対しても成果を語れませんよね。

しかし、私は今大会を眺めていて、結果とは別なところで光明を見た思いがします。
それは銅メダルを獲得した直後に藤光が、「予選を走ってくれたケンブリッジと、サポートしてくれたハキームの分まで走りたかった」と語ったチームとしての団結。
今回の藤光は個人種目には出場せず、リレーの補欠メンバーとして、走るかどうかもわからないなか、コンディションとモチベーションを維持していたのもフォアザチームの精神を体現していました。
そして50km競歩でも、兄貴分の荒井が練習でも本番でも若手2人を引っ張り、世界と戦えるチームを作っていたのも印象的でした。
陸上は基本的には個人種目ですけど、国や所属クラブというチームがベースにあり、そこでの団結が力になることを再認識させられたといっていいでしょう。

その団結の力があれば、日本陸上はもっともっと強くなるはずです。
そして、現代スポーツを支えるのは成熟した社会であり、その団結に我々国民ひとりひとりが繋がっていることも忘れてはなりません。
それが東京五輪に向けての光明を描く!
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それは夢ではなくただの珍事

交流戦が出来てから、もはや誰も”夢の球宴”と呼ばなくなったプロ野球オールスターゲームですが、今年2017年のファン投票結果(6月26日)を見るに、日本の野球ファンはオールスターの価値を公式戦とはまったく違うところに置いていることがわかり、私も妙に納得してしまいました。
今季の出場が8試合・32打席という大谷翔平選手がDHのファン投票1位なのですから、ファンは選手の成績やプレイなどにはほとんど関心がないんです。デスパイネがリーグトップの本塁打をかっ飛ばそうが、そんなものはどうでもいいんです。
…キューバのひとびとには理解できないでしょうけどね。

そんな珍事に唖然とした私ですが、このファン投票と同時に発表された”侍ジャパン新ユニホーム”には、ニュースを一緒に見ていた家族ともどもポカンとしてしまいました。
「これを着ていったいいつ戦うのか…」
2020年の東京五輪用のユニフォームなのでしょうけど、サムライジャパンがこれを公式戦で着るのは、おそらく五輪予選を兼ねた(予定)19年11月の〈プレミア12〉になるはずですから、まだまだ先です。
ユニフォームを新しくするのはもうちょっと後の方がよかったんじゃないでしょうか。みんな忘れちゃいますぜ…。

そして、ユニフォーム以上に忘れてはならないのは、20年五輪の野球・ソフトが”追加種目”ということです。
IOC(国際オリンピック委員会)での公式表記でも、Additional Event(s)となっていて、Program(正式競技)ではありません。
92年大会以前に存在したDemonstration Sports(公開競技)と似たような扱いになれば、公式のメダル数にもカウントされないんです。
日本のマスコミは、野球・ソフトや空手、スポーツクライミングといった日本が得意な競技が追加されたことで、「メダル獲得率が上がった!」といって報じていますけど、そのメダルが公式なものなのかどうかIOCは明言しているのでしょうか?私は聞いたことがありません。

それに、そもそも追加種目はメダル獲得が目的ではないんです。
次の大会以降に正式競技に昇格できるかどうかが大切なのです。
そのための最も大きな条件は、多くの大陸、多くの国々で行われていることです。
たとえば、空手などは追加種目に選ばれたことで各団体が結束し、国際的な普及活動にも拍車がかかっていますし、すでに割と世界では普及しているスポーツクライミングは日本国内での人気が高まっています。
そしてローラースポーツは興業としてすでに国際規模、サーフィンはそれ自体が文化であると同時に、近年は環境保護と結びついて独自の存在感を発揮しているわけです。

対して野球・ソフトはどうなのでしょう?
日本プロ野球(NPB)は正式競技になるための努力を何かしているのでしょうか?
たとえば、日本の選手たちがオフシーズンに野球発展途上の国で親善試合をするとか、何かイベントを開催するとか、そういうことをしているのでしょうか?

このままでは野球・ソフトだけが置いてきぼりになってしまいます。
オールスター同様に東京大会で一夜限りの夢を見れればそれでいいというのでしたらそれまでですが、世界のひとびとにとって、それはただの珍事です。
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絵に描いたようなスポーツの政治利用

日本陸上男子100m史上、最もレベルが高い争いといわれた今年2017年の全日本陸上選手権。
今日6月24日に行われた決勝レースは、突如として降り始めた激しい雨粒のなか、サニブラウン・アブデル・ハキーム(18歳)が10秒05という好タイムでの初優勝!
普通の状況ならば日本人初の9秒台が出ていたんじゃないでしょうか。輝く未来を切り開くような力強い走りでしたね。
2020年の東京五輪は、ひょっとしたら”サニブラウンの大会”になるかもしれません。ワクワクしてきました!

そんな五輪ですが、来年2月には韓国・ピョンチャンで”冬季大会”が開催されることも忘れてはなりません。
昨日23日には日本スケート連盟の理事会で代表選考基準が決定され、選手たちも五輪への具体的なロードマップを作る段階に入ってきました。
全日本優勝者が”最優先”というのはいつもと変わりませんが、2枠目以降はいつものGPF日本人最上位という項目がなくなり、GPFと全日本の成績、世界ランクとシーズンランク、そしてシーズンベストなどから勘案されるそうなので、最後まで気が抜けませんし、最後まで希望を捨てることなく戦えることになったわけです。
来季のことを想像するだけで気が昂ってきました!

…ただ、そんな昂りに水を差すような話が韓国から聞こえてきているんです。
なんでも、ムン・ジェイン新大統領が、「競技の一部を北朝鮮との共同開催にしたい」といって、色々引っ掻き回しているみたいなんです。
開催まで1年を切っているというのに、本当に唖然としちゃいますよね。
ムン大統領といえば、「アメリカよりも先に北朝鮮に行きたい」というほど熱烈な親北派として知られていますが、北朝鮮が核・ミサイル実験で世界から孤立するなか、北朝鮮への融和政策が取りにくくなっているので、スポーツという搦め手を使おうというわけでしょう。
親北派としての面目躍如というわけです。
ただし、これはいうまでもなく”スポーツの政治利用”です。
ムン大統領じゃなくても、韓国人はこれが大好きですけどね。

しかし、今回ばかりは韓国内でもムン大統領への反発の声が強いのだそうです。
手間と金をかけて招致に成功した五輪の”果実”を北に分けてやるのが惜しいのでしょう。
また、ムン大統領が女子アイスホッケーを無理やり南北合同チームにしようとして、代表選手枠が半分に削られる韓国選手が涙に暮れているという報道も影響しているのかもしれません。
それでも”ノースコリア・ファースト”を貫くムン大統領は、まさに信念の男ですね。

もちろん、そういうムン大統領の姿勢は世界にも動揺を与えています。
北と隣り合わせの韓国で五輪が開催されることを心配しているひともいるというのに、共同開催となれば、一部の選手たちは無法者国家で試合や宿泊をしなければならないわけです。
これは本当に恐ろしいことです。獣の檻に入るようなものでしょう。
普通の国がこれを許すとは思えません。
特にアメリカはこれを強く拒否するはずです。
トランプ大統領の北に対する強硬な態度はもちろん、アメリカではつい最近、北朝鮮に拘束されていた自国の大学生(22歳男性)が、昏睡状態のままアメリカに返されたものの、死亡してしまうというショッキングな出来事があったばかりです。
五輪共同開催などとなれば、自国の選手が北の人質にされてしまいかねません。

また、このアメリカ人大学生の死亡が影響したのか、以前から不参加の噂があったNHLナショナルホッケーリーグNHL(北米にある世界最高峰のプロアイスホッケーリーグ)が、22日になって不参加を正式決定したんです。
これでNHLに登録されている選手はピョンチャン大会に参加することはなくなりました。
アイスホッケーは冬季五輪の花形種目であり、ピョンチャン五輪でもチケット収益の19.5%がホッケーのものだというのですから、NHLの不参加は収益全体にも大きなダメージとなることでしょう。
ムン大統領の活躍によって五輪の果実が削られたというわけです。

これはまさにスポーツの政治利用の末路です。
そこから世界のひとびとが何かを学ぶことが、ピョンチャン五輪の意義かもしれませんね。
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宮里藍は引退狂想曲に何を思うのか

私はゴルフはしませんし、テレビでゴルフの大会もさほど観ないので、宮里藍さんが引退すると聞いても、特別な感情もありませんでした。
ただ、小さな体で世界のトップたちと鎬を削っていた選手だけに、その技術の高さとメンタルの強さに尊敬の念を覚えていただけです。
ですから、このブログでも宮里さんのことを取り上げさせてもらうつもりはなかったんです。
しかし、このところのテレビを中心としたメディアが、これでもかと宮里さんを特集しているのを眺めていると、腹が立って仕方ありません。
現在行われているサントリーレディスオープン(6月8日~11日)でも、これが「宮里藍の最後の大会になる」とかいって、まあ凄い報道量ですよね。
もちろん、私もそれが悪いというつもりはないんです。
ただ、宮里さんが最も活躍していた2010年前後の報道量と比べ、いまの方が明らかに多いことに少なからぬ憤りを感じているだけです。

宮里さんの報道量を計る具体的なデータがないので、これは私の記憶がベースになってしまいますけど、宮里さんが最もメディアに取り上げられていたのは、2003年9月にアマチュアで国内ツアーに優勝したときから、史上最年少賞金女王に輝いた05年までの間だと思います。
それが06年から日本を離れ、アメリカツアーに参戦するようになると報道量が急激に減り始め、全盛期だった10年前後はメジャー大会に参戦したときやツアーで優勝したときにはそれなりに扱われていたものの、成績が振るわなくなった13年以降はほぼゼロだったのではないでしょうか。
それが引退を発表したら慌ててスポットライトを浴びせるのですから、日本のメディアは宮里藍をゴルファーではなく、タレントとして見ているのではないかと疑いたくなります。
(※宮里さんは過去にたくさんCMをやっていますけど、その多くが06年までだったことも、海外挑戦以降、報道量が減ったことの傍証といえるでしょう。)

日本のゴルフ報道というのはとにかく国内中心です。
たとえば男子のアメリカツアーで活躍している日本人選手は松山英樹ただひとりですけど(2016世界ランク30位内は松山のみ)、錦織圭がテニス報道を独占するようにはなっていません。
また、女子で活躍しているのは野村敏京のみといっていいわけですけど(2016世界ランク50位以内は野村のみ)、その知名度たるやいかばかりか。彼女はリオ五輪でも4位になっていますけど、おそらくほとんどの日本人がそれを憶えてはいないはずです。
ちなみに野村さんはリオ五輪の前にアメリカツアーで2勝し、五輪代表に選ばれると、突如として日本メディアに追っかけられ、大いに戸惑ったそうです。
そして、五輪が終わったらその報道陣が潮が引くようにいなくなったわけですから、どう感じたんでしょうねえ。

ゴルフはスポンサーのスポーツですから、国内ツアーにも冠に企業名が付き、それをテレビで連呼するのもわかります。おそらく広告会社と一緒になってやっているのでしょう。
彼らにとって海外でプレイする選手などはゴルフ報道枠を奪う敵にすぎません。
しかし、スポーツはスポーツなのですから、メディアが世界トップレベルで奮闘する日本人選手に注目しなければ、ゴルフの価値はどんどん低くなってしまいます。
また、注目されなければ、アメリカ参戦する選手を支援する企業も減ってしまうわけですから、金銭面の問題で国内に留まる選手が増え、国内のレベルが上がるはずもありません。
外国人選手に蹂躙され、人気がまた落ちてゆくという悪循環が待っているだけです。
しかも、女子に関していえば、日本では選手はタレント扱いです。
身体づくりや技術、メンタルが語られることはないわけです。

ちやほやされる環境をあっさり捨て、あの鋭い眼差しのまま厳しいアメリカツアーに飛び込んでいった宮里藍は素敵でしたね。
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村田諒太は強かった

国籍や民族に関係なく、強いものがヒーローになれるのがスポーツ、というのは現在の価値観ですが、それを作ったのはモハメド・アリだと私は思っています。
近年ではマニー・パッキャオが、”アジア人はボクシングで世界的スターになれない”という常識をひっくり返したのもまた大偉業といっていいでしょう。
そういう流れのなかで、我々が期待するのは、やはり”世界的日本人ボクサー”の誕生です。

しかし、世界で人気を博すためには、日本人が得意とする軽量級ではなかなか難しいものがあります。
”小さい”というだけで格闘技としての魅力が低いと考えるひとも多いですし(ボクシングだとKO率も低い)、軽量級はライト級以上に比べて競技人口が少なく、面白い対戦を組みにくいということもあるでしょう。
日本には軽量級の世界王者がたくさんいますけど、ボクシングの本場であるラスベガスから声がかかったという話はほとんど聞いたことがありません。
日本の王者だちはよりアグレッシブに勝ち続け、少しずつ評価を上げてゆくしかないわけです。

そんななか、日本人ボクサーで、マッチメイクの不利を感じさせない選手がひとりだけいます。
それはロンドン五輪のミドル級金メダリスト・村田諒太。
ミドル級はアメリカでも人気の階級ですし、”金メダリスト”の肩書ももちろん大きいものがあります。
そして、ロンドン五輪後にプロに転向した村田選手はアメリカを主戦場に一歩一歩キャリアを積み重ねると同時に、アマからプロのボクシングにも適応してゆく、ついに今日2017年5月20日、世界タイトルをかけた戦いに挑むこととなったのです。

場所は東京・有明コロシアム。
相手はWBAミドル級暫定王者で同級1位のアッサン・エンダム(フランス)377戦35勝(21KO)2敗というなかなかの古強者です。
気になる事前予想でいうと、ブックメーカーのオッズは村田1.45倍、エンダム2.70倍となっていて、スピードのエンダムをパワーの村田が制するという見方が多かったようです。
ただ、ここで気になるのは、村田はこれまでエンダムと同じくらいのレベルの選手と戦ったことがないということです。
村田本人はそれを不安要素に上げ、エンダムは自分の有利な点と語っていました。
ようするに”プロボクサー村田諒太”の実力はまだ未知数なんです。

ですから、私も期待と不安が入り混じった気持ちで試合を観ていたのですが、1Rはリングをぐるぐる回りながらジャブを放つエンダムに対し、村田はほとんど手を出さず、堅いガードで相手の攻撃を凌ぎつつ、相手の戦力分析。
ラウンドの終わり頃に挨拶代わりの右ストレートをエンダムのガードの上から叩き込んだときは迫力がありましたね。

2Rも村田はガードを堅めながら相手の圧力をかけ、隙あらば右を狙うという戦術。
エンダムは足を使ってのジャブ。手数は多いものの有効打はありません。
村田の一発を警戒してエンダムはなかなか踏み込めませんでしたね。
そして4R、村田が右スト―レトとボディへのフックでエンダムを弱らせると、カウンターの右でダウン!

弱ったエンダムを仕留めたい5Rですが、相手の手数は止まず、それを警戒した村田は無理攻めをせず、堅いガードと隙をついた右という戦術を変えません。
それでもいいパンチをいくつか当て、試合は明らかに村田のペース。
6Rも同じような流れから、いいアッパーが入るも、ダウンを奪うまでには至らず。

7R以降も、ガードを固めて圧力をかける村田に対し、エンダムはリングを回りながらのジャブ。
エンダムはときおりラッシュをかけてきますが、村田はそれをしっかり防ぎ、主導権を渡しません。
隙を見ての右やボディも終盤まで衰えず、村田のスタミナはさすがでした。
ただ、”絶対にKOする!”という激しい攻撃は見られず、勝利への道筋を一歩一歩固めてゆくようなボクシングはちょっと物足りないものがありましたかね。
まあ、五輪王者ですし、アマチュアボクシングの勝ち方が身についているのでしょう。

そして最終12Rでも村田は無理をせず、それまでのポイントをしっかり守るボクシング。
もちろん、セコンドからも「攻めろ!」という声は飛んできません。
会場にいた日本のファンも、テレビ視聴者も、村田の勝ちを確信していたはずです。
怖いのは一発をもらうことだけでしたけど、村田はきっちりと完封し、試合終了のゴング!
その表情には満足そうな笑みが浮かんでいました。

…ところが、判定のなった採点は、2-1でエンダムの勝利。
村田も呆然としていましたけど、テレビを観ていた私も頭が一瞬真っ白になりました。
なんじゃこりゃ!
私はもちろんボクシングは素人ですけど、世界戦の判定基準くらい知っています。
①有効打で相手にどれだけダメージを与えたか
②どちらがより攻撃的だったか
③ディフェンスで相手の攻撃を的確に防いだか
④どちらが主導権を握っていたか
この4つのうち、手数の多かったエンダムが②を評価されるのは適当かもしれませんが、他の3つは
らかに村田が上回っていたと私は思いますし、それが一般人の目ではないでしょうか。
そして、解説の山中慎介さん(WBCバンタム級12回防衛の現役王者)も不満を口にし、試合後に元王者たちがツイッターなどで疑義を呈しているのですから、”プロの目”で見てもおかしい判定なわけです。

試合後の村田さんは、ジャッジからのあまりの仕打ちに「気持ちの整理が必要です」と語り、今後については「考えられない」とのことでしたけど、ぜひリベンジをしてもらいたいものです。
プロ初の黒星がついたとはいえ、これまで未知数だった”強さ”は、十分証明したのですからね!
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