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彼は間違いなく日本のアイスダンスをレベルアップさせた。

ネットニュースでその名を見たとき、同姓同名の別人かと思ったほど、その死は信じられないものでした。
クリス・リードは昨年末に現役を退いたとはいえ、まだ30歳(89年7月生まれ)という若さであり、今後はコーチとして「日本のアイスダンスを世界レベルに引き上げる」ために大活躍するはずだったのです。
死因として発表された心臓突然死は若いひとにも起こってしまうとは聞きますけど、正直いって信じられず、思い出を振り返る気にもならないほどです。
日本最高のアイスダンサーであり、最高のジェントルマンである彼を、私はまだ過去のひとにすることができません。

それでもあえて”現役時代の彼”を振り返れば、常に前向きで、どんな状況にも負けない不屈のファイターでした。
日本のアイスダンスは層が薄く、団体戦でのリード姉弟はまさに欠かすことのできない存在であり、クリスはどんな怪我をしていても、笑顔でチームのために奮闘してくれたものです。
国別対抗戦や五輪の団体戦といったここ十数年のチーム戦で、彼の貢献は絶大としかいいようがなく、我々にいくつもの歓喜と興奮を届けてくれました。
そしてその人柄にも、我々は何度もほっこりさせられたものです。

その功績を称えるためにも、たとえば全日本か全日本ジュニアのアイスダンス部門を”クリス・リード賞”にしてはどうでしょう?
もしくは国内大会のどこかがサブタイトルに”クリス・リード杯”と銘打ってくれれば嬉しいかぎりです。
長きに渡り日本フィギュアのために戦った彼を忘れたくはありません。

クリス・リードは間違いなく、日本フィギュアの顔のひとりです。
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2020四大陸フィギュア、紀平梨花の分析力

四大陸選手権といえば、大会前にメディアが「日本女子表彰台独占も!」といって煽るのが決まり文句のようになっていますが、この2020年大会は表彰台云々よりも、3月の世界選手権や来季に向けて、日本女子がどこまで可能性を伸ばせるかというのが真の見所でした
現在の女子シングルはロシア勢が支配的な地位を占め、日本勢はその次の位置につけてはいるものの、下からアメリカ勢や韓国勢が突き上げてくるという厳しい状況にあります。
再び世界のトップを狙うためには、ジャンプのレベルをロシア勢のラインまで引き揚げねばならず、紀平梨花さんは4S、坂本花織さんは4T、樋口新葉さんは3Aと、それぞれがFSでのチャレンジを掲げたのが今大会でした。

そのFSを前にしたSPは、3選手ともほぼミスなく終えて、1位紀平さん81.18(PCS35.02)、4位坂本さん73.70(PCS35.44)、5位樋口さん72.95(PCS34.13)という好位置につけます。
紀平さんは怪我で封印していたルッツをしっかり決めたのがFSに向けて好材料でしたし、坂本さんは久々に70点を超え、樋口さんはSBでしたから、気持ちよくFSを迎えられたはずです。

そうしてまず最初にFSに臨んだのは樋口新葉さん。
冒頭は初挑戦の3Aを予定し、本人だけではなくスタンドも緊張で息の呑むなか、力強くテイクオフしたジャンプは…悔しい転倒。
回転はまずまずでしたけど、着氷のイメージを持っていなかった感じですかね。トゥクタミシェワの3Aに似ている印象です。彼女のようにあくなき挑戦を繰り返し、ブレードで氷を掴めるようになるといですね。
その転倒はあったものの、次の3Lz+3Tを何事もなく決めたのは立派でしたけど、サルコウが2Sになる悪癖が出てしまったのは猛省しなければなりません。かりに3Aでなんとか立ったとしても、2Sならば差し引きゼロのようなものです。
しかし、そこからは慌てず騒がず、ジャンプはノーミス、コレオやステップで見せ場もしっかり作り、新葉流の躍動感のある『Poeta』でした。似合いますね。
FSは134.51(PCS67.08)、合計207.46。
全日本に続いてジャンプの確率が高くなってきましたし、そこに自信がついてくれば、課題の繋ぎも分厚くなってくると思います。
3月の世界フィギュアでは、3Aを決めてのFS150点超えを期待します!

所属先の予定表ではこの四大陸選手権が今季最後の試合となる坂本花織さんは、気持ちよく来季を迎えるためにも、いい演技で締めくくりたいところでしたけど、冒頭の4Tを3Tの回りすぎくらいで転倒すると、続く3Fでもステップアウト、エッジが気になる3Lzは丁寧に仕上げ、3S+3Tは豪快なジャンプ。
前半はほぼ想定の範囲か。
ステップシークエンスでは持ち前のよく伸びるスケートとすっかり上達した表現で『マトリックス』の世界観を膨らませ、後半冒頭も3Lo+2Tを成功させたものの、3連続がタイミングがズレた2A+1T+2Tになってしまったのは残念。
それでも加速するコレオで盛り返し、そのままなんとか最後までゆくかと思われましたけど、最終版の3Loでも着氷を乱し、大崩れといった印象の演技になってしまいました。
FSは129.72(PCS68.99)、合計202.79。
終わってみれば、全体的に集中力に欠け、今季の坂本さんそのものといった内容でした。
戦う気持ちを奮い立たせることができなければ、来季も同じようになってしまいますぜ。
フィギュアスケーターとして、いまが正念場ですし、ここを乗り越えてこその本物だと思います。
がんばれ。

ジャンプのレベルでいえば先輩2人よりも一歩先にいっている紀平梨花さんですが、FSではもう一歩先は選択せず、冒頭は4Sではなく3Sに。
これでリズムが出なかったのか、次の3Aが1Aになってしまい、優勝にも暗雲が垂れ込め始めますが、復活した3Lzをばっちり決め、安定したキャメルスピン、そしてリカバリーの3A+2T!
空気が一気に変わった!
ステップシークエンスでは細かいフットワークや正確な振り付けで技術の高さを見せつけ、後半は3F+3T+2Tと3F+3Tを続けて豪快に決める怒涛の攻め、スピンとコレオも疲れ知らずで駆け抜け、余力十分の3Loから綺麗なビールマンで貫録のフィニッシュ。
序盤のミスを忘れさせる圧巻の巻き返しでした。
FSは151.16(PCS70.82)、合計232.34。
2位ユ・ヨンに10点差をつける快勝で連覇達成。おめでとう!
(樋口さんは4位、坂本さんは5位。3位はブレイディ・テネル。)

ただ、この四大陸は枠取りや次の大会の権利などがない、負けてもいい大会であり、チャレンジできる大会にも関わらず、紀平さんが4Sを回避したことは私も少々がっかりでしたし、同じ思いを持ったフィギュアファンも多いかもしれません。
ぶっつけ本番で世界フィギュアで4Sを導入するのは考えづらいですし、このままではロシア3人娘の後塵を拝したGPファイナルを繰り返すだけです。
むろん対手がミスをすれば勝つこともあるでしょうけど、その考えはアスリートとしては悲しすぎます。

紀平さんは4S回避の理由について、「(FSの)朝、起きたら疲労がすごかった。公式練習でも他のジャンプがゆがんでいることが多かったので、そっちを修正しなければならず、4Sを練習している場合じゃなかった」と語っていました。
自己分析力が売りの紀平さんらしいコメントであり、”成功しそうもないなら跳ばない”という彼女ならではの冷静さと強い信念が感じられます。
そういえば、GPファイナルを初制覇した18年のとき、記者から北京五輪での金メダル獲得について聞かれた紀平さんは、「いまのジャンプ構成(3A2本)は80%、残りの20%を埋めるのが4回転」だと答えていました。
これは当時ジュニアだったロシア娘たちが4回転の導入に向けて動いていたからに他なりません。
彼女たちに勝って北京で金を獲るためには、4回転が必要だという状況分析だったわけです。
なんという的確な分析でしょう。これこそが紀平梨花の一番の強味かもしれませんね。

そういう紀平さんの類まれな分析力を見ていると、”北京で金”から逆算しながらジャンプ構成を作っているように思えなくもありません。
今季は今季で彼女なりの目標があって、その階段を着実に登っているのかもしれないわけです。
”冷静と情熱の間”でいえば、熱狂と興奮を求める日本のフィギュアファンは冷静寄りの紀平さんに物足りないものを感じてしまいますけど、北京で爆発するカタルシスをじりじりしながら待つのも一興かもしれません。

我々には紀平梨花を信じるしかないのですからね。
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羽生結弦、思い出の四大陸初制覇!

この2020四大陸選手権を前に、羽生結弦がプログラムを『バラード第1番』と『SEIMEI』に変更すると発表した際、私も少々戸惑いましたし、フィギュアファンやフィギュアメディアでは否定的な反応が多かったかもしれません。
両方とも羽生結弦を代表するプログラムであり、本人も「力を与えてくれる」といって絶対の信頼を寄せるプログラムですが、『バラード第1番』は4度目、『SEIMEI』は3度目になるので、さすがにやりすぎ感は否めません。
フィギュアスケーターは新しいプログラムを提供するのもひとつの使命ですからね。

もちろん、羽生結弦だってそんなことは重々承知のはずです。
それでも変更に踏み切ったのは、やはり”勝ちたい”せいでしょう。
グランプリファイナルと全日本で悔しい2位に終わり、このまま負けぐせがつくのが嫌だったのかもしれません。
ただ、10月のスケートカナダで『秋によせて』と『Origin』を使って322.59というPBを出していることを考えれば、変更が正解とも限らず、リスクのある選択だということは確かです。
それでもなおそこに踏み切ったのはGPFでネイ・サンチェンが出した335.30があるはずです。
このインチキくさいまでに規格外なスコアに立ち向かうためには、勇気を与えてくれるプログラムが必要だったのです。
私はそういう羽生結弦の勝利への執念に身震いしました。

そうして迎えた四大陸選手権SPでは、「ワインやチーズのように」熟成させた『バラード第1番』のラベルに世界最高スコアとなる111.82(PCS48.40)を刻み、羽生結弦が目指すフィギュアスケートの美しさ、フィギュアスケートとはこうあるべきというメッセージを、完璧なる演技という無言の圧力によって、世界のフィギュアファンとフィギュア関係者に強烈に訴えかけました。
最近のシングルではジャンプ重視という傾向のなか、表現面は振り付けをなぞるだけの”やっているふり”ばかりになってしまい、しかもジャッジがそれに高得点をつけるという有様で、芸術性は失われかけているといっていいでしょう。
羽生結弦は勝利にこだわっていると同時に、歴史的王者として、現在の第一人者として、フィギュアスケートの価値を必死に守っているのです。
それもまた強烈なる使命感です。

優勝への期待と重圧がかかるなか、ルール改定によって以前より30秒短くなったFSの『SEIMEI』では、冒頭の4Lzで大きくステップアウト、後半の4Tでも転倒があって187.60(PCS91.28)というスコアに留まったものの、トータル299.42で四大陸選手権を初制覇。
四大陸といえば、初出場した11年にシニアの国際大会で初となる表彰台(2位)に立った思い出深い大会ですが、それから優勝までずいぶんとかかってしまったことに本人も感慨深げでした。
しかも、これでスーパースラムとかいう珍しい記録も達成し、伝説がさらに分厚くなったといっていいでしょう。
また、表彰式では、あの頃の自分と同じ年齢の鍵山優真くんが素晴らしい演技で3位に食い込んだことを大いに喜び、ねぎらう(かわいがる)姿も印象的でした。
鍵山くんは羽生結弦と同じように、技術だけではなく、美しさと洗練を求めている選手だけに、そういう選手が日本から出てきたことに嬉しさもひとしおなのかもしれません。

さて、ミスが散見されたとはいえ、FSの『SEIMEI』を観ていると、羽生結弦がプログラムを変更した理由がはっきりとわかるようでした。
『Origin』では意識的にも無意識的にも、キレや見得や迫力を重視した”プルシェンコっぽい演技”を求めてしまいます。
それに対して『SEIMEI』には、羽生結弦らしいしなやかさと妖艶さ、蕾が徐々に綻んでゆき大輪の花を咲かせるような、日本人らしい繊細な華やかさがあります。
『SEIMEI』の音楽は呪い的な効果があるのか、表現面では集中できていたと思いますし、繋ぎの動きも本当に自然で滑りやすそうでした。
今季は”後半の息切れ”が課題ですが、そこの部分もだいぶ改善が見られ、ジャンプミスも質の悪いものとも思われず、私は世界選手権に向けて視界良好と見ました。

3月のモントリオールを楽しみに待ちましょう!
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2020全中フィギュア・女子シングルは3A対決!?

このところの全中フィギュアは男子に好選手が多く、注目もそこに集まりがちですが、今年2020年大会は久々に女子にも大きな話題がありました。
表題をつければ”トリプルアクセル対決”です。
河辺愛菜さん、吉田陽菜さん、横井きな結さんという3Aを成功させたことのある選手が、3人も揃って全中に出場するのはこれが初めてのはずです。
優勝争いではジュニア女王の河辺さんが頭ふたつ抜けた存在ではあるものの、誰が3Aを成功させるのか、誰が最も綺麗に決めるのか、という勝負では予想がつきません。
もちろん、3人とも綺麗に決めて、最高の笑顔を見たいですけどね!

そうして始まった女子FSの最終グループですが、先陣を切ってリンクインしたのは吉田陽菜さん。
先に競技を終えた男子選手たちの「ガンバ!ガンバ!」の声を受け、やや緊張した面持ちで挑んだ3Aでしたが、着地点が見えてない感じの転倒。
しかし、続く3Lz+3Tと3Sをしっかり決めて気持ちの強さを見せると、前半最後が2Loに抜けたものの、スピンとステップを挟んでの後半冒頭3F+2T+2Loは成功!
これでまずまずまとまった演技になるかと思われたのも束の間、次の3Lzが回転不足気味の転倒、立ち上がっての2A+3Tを決めたのは立派でしたけど、演技後の吉田さんは悔し涙を流さんばかりでした。得意のジャンプで2回転倒したことが許せなかったのでしょう。
この負けん気があれば来年はさらに成長できると思います(まだ中学2年)。
FSは105.98(PCS50.51)、合計160.59。
スピンとステップの強化もよろしく!

全中フィギュアは地元長野市の小学生や中学生が課外授業で観戦に訪れているのですが、信州の中学男子たちが思わず「かわいい」と声を漏らしていたのが田中梓沙さん。
小づくりな体躯をピンクの衣装に包み、白い肌がそれに映えていました。
ジャンプが課題の田中さんですが、3Lz+3Tをしっかりに決めてスタートすると、3Fは着氷が乱れたものの3Loは成功し、まずまずの立ち上がり。
これで落ち着いたのか、持ち味のしなやかな動きや軽快なスケートが冴え、会場はうっとり。
ステップシークエンスでのターンも鮮やかでした。
昨年の全中(2位)でも目立っていましたけど、腕の使い方が本当に綺麗ですし、音楽を全身で表現できるセンスも素晴らしいものがあります。これでまだ中学2年生ですからね。
後半も2A+3T+2Tと2A+2Tを揃え、3Lzは詰まったものの、3Sは気合で跳び、課題(回転不足)を克服しようとする意識がはっきり見えました。
スピードやジャンプのテクニックはある選手なので、フィジカルが出来てくれば成功率は高まってゆくと思います。
FSは113.66(PCS53.46)、合計172.73。
会場も大いに盛り上がっていましたし、華やかな演技でした。信州男子のハートを射抜きましたね。
今季はなかなか成績が出なかった田中さんですが、この全中で復調してくれて、私もひとりのファンとして嬉しいかぎりです。
3Aも練習中とのことですし、さらなる進化を楽しみにしています!

今季の全日本ジュニアを制した河辺愛菜さんは”女王のオーラ”とでもいうような堂々たる雰囲気でリンクインすると、冒頭は予定通りという感じの2A。
続く3Lz+3Tと3Loをしっかり着氷させ、ビールマンを挟んでの2A+3T+2Tも安定感のあるジャンプ。
ステップシークエンスでは深いエッジと大らかな体の動きで『ブラックスワン』を羽ばたかせ、後半も3F+2T、3Lzと危なげなく着氷。
さすがとしかいいようがありません。
これでなんの波乱もなくノーミス優勝するかと思われたそのとき、シットスピンからの繋ぎでずるっと足を滑らせ、会場をハラハラさせたものの、苦笑いを浮かべた河辺さんは3Sを余裕で決め、的確なコンビネーションスピンでフィニッシュ。
3Aを回避したように、調子はいまひとつだったのでしょうけど、技術要素も表現面も完成度が高く、メンタルの落ち着きも含め、貫録十分の演技でした。
FSは121.34(PCS54.80)、合計186.10。
河辺さんは全体的にそつがなく、本当にいい選手ですけど、唯一の弱点を挙げるとすれば、ルッツとフリップのエッジがフラットなところです(本人もずいぶん意識している様子)。
シニアに上がると、その弱点がより厳しく見られるのは間違いありませんから、しっかり修正してゆきたいですよね。
年齢的にも能力的にも北京五輪が狙える選手ですので、期待は大きいものがあります。
世界ジュニアもがんばって!

姉のゆは菜さん同様、特徴的な名前の横井きな結さんは、臆した感じの助走からの3Aで転んでしまうと、次の3Lz予定も似たような助走から2Lzに。最終滑走の緊張もあったのかも。
こうして嫌な予感しかしない立ち上がりでしたが、続く3Loと3Fを着氷すると、後半も3S+1Eu+3Sを決めて始まり、2A+3T、スピンとステップを挟んでもうひとつ2A+3Tも着氷。
失礼ながらスケーティングスピードがもの凄く遅いので、トリプルジャンプが跳べるのが不思議なくらいなんですけど、跳べてしまうのですから、これはこれで稀有な才能です。
ただ、スピンやステップの技術、繋ぎやスピード、表現面は同年代に比べてかなり見劣りし、課題山積としかいいようがありませんから、高校生になったら、ぜひ重点的に強化して欲しいものです。
FSは106.34(PCS48.27)、合計161.90。
(回転不足っぽいジャンプが認定されていたのでスコアは思ったより高め。)

この結果、優勝は下馬評通り河辺さん、2位は2年連続で田中さん、3位は僅差で吉田さんを振り切った横井さん。
3Aを誰ひとりとして成功させることができなかったのは残念でしたけど、みながそれぞれなにかに挑戦したり、課題を克服しようとする意欲に溢れる大会でした。
現在の女子シングルはジュニアでもシニアでもロシア勢が技術レベルが強引に引き上げているので、日本のジュニアたちもそれに対する危機感のようなものがあるのかもしれません。

ただ、私にはその意識が”ジャンプ”にばかり偏っているように見えます。
全体的にスピンが酷いですし、ステップや表現面も疎かになりすぎています。
敵であるロシア勢は表現面は大したことなくても、みんなスピンはきっちりやりますし、フットワークだって頑張っているではありませんか。
ロシア勢の真の強さは、ジャンプではなく、フィギュアに対する妥協や甘えの排除なのだと思います。

日本選手たちが強くなるかどうかも、そこにかかっているのでしょうね。
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2020全中フィギュア、粒ぞろいの男子たち

あの楽しかったサンクスツアーから10日、同じくビッグハットで開催された恒例の全国中学生フィギュアですが、アリーナ席がなくなったリンクは戦いの場と化し、男女FS(2月4日)は独特の緊張感に包まれていました。
タイトル争いはもちろん、多くの選手にとってはこれが中学生最後の大会なだけに、その演技には有終の美を飾りたいという強い気持ちが溢れ、それが会場の空気を熱いものにします。
年を追うごとに観客が増えているのも、その熱気に魅了されているからでしょう。

ただ、この2019大会の男子は三浦佳生くんが頭ふたつ抜けた存在であり、昨年の佐藤駿vs鍵山優真のようなエキサイティングな展開ではなく、それぞれの選手がいかに自分の実力を発揮できるかというところが注目でした。
なにしろ、三浦くんを筆頭に、昨年11月の全日本ジュニアで出来が悪かった選手が多いので、その借りを返さねばなりません。

そういう反発力に期待しながら観戦した最終グループですが、まず最初に会場を沸かしたのは、SPでは1転倒があって5位からのFSとなった朝賀俊太朗くんです。
3Lz+3Tの着氷から始まったFSでも2つのジャンプ転倒があったものの、演技全体に力強さがありましたし、ステップでも思いきりよく攻め、後半になっても勢いが衰えませんでした。
つなぎでは会場に目線を送りながらの魅せる演技、転倒直後のコンビネーションを2本とも決めた根性も頼もしかったです。
朝賀くんは、いま持っている力を絞りつくしたのか、キスクラではポカリスエットをがぶ飲みしていましたけど、観客はこういう熱演を待っていたのか、ボルテージが一気に上がりました。
FSは107.22(PCS56.68)、合計158.54。

SPでは1Aで3位スタートとなった菊地竜生くんですが、FS冒頭の3Aは食らいつきながらもなんとか着氷し(UR)、続く3Aは綺麗に降りるも、コンボを忘れていたのか、あわててちょんちょんとつけた感じのもったいないミス。
これでリズムが崩れるか心配でしたけど、そこからの予定ジャンプはすべて着氷し、演技もまずまずまとめ、実力者の片鱗を見せつけました。
終盤のクリムキンで演技に彩を添えていたのもそうですし、今大会はほとんどの選手がスピンを苦手とするなか、ひとりだけ深い姿勢で頑張っていたのも好印象です。
動きが羽生結弦リスペクトだったので、魅せる部分でもスピンでも手を抜けないのかもしれませんね。
イケメンオーラのある選手なので、女性人気が出そうです。
FSは105.29(53.14)、合計159.48。

昨年の全中では中学1年でありながら4Tを決め、そのモンスターぶり見せつけた三浦佳生くんですが、今年は豪快な4Sで会場のド肝を抜いてスタートすると、4T、3Aと連続成功!
ほんと、とんでもない選手です。全身が震えてきました。
立ち上がりでエネルギーを使ってしまったのか、3Loはステップアウトしてしまうも、後半のコンボ3連発、3F+3T、3F+2T、2A+1Eu+3Sをしっかり揃えてのも凄まじかったですし、全中の歴史に残るようなFSでした。圧巻でしたね。
FSは144.45(65.32)、合計205.42。
今季の三浦くんは体幹も強くなっていますし、演技中に集中力が途切れるようなところも少なくなってきて、フィジカル・メンタル両面での確かな成長を感じます。
来年は4回転をもう1種類増やすかもしれませんが、それと同時にスピンとステップの強化も忘れて欲しくはありません。
フィギュアスケートの歴史に名を残すためには、それが必須です。
想像を絶する才能がある選手だけに、想像を絶する未来を期待しています!

三浦くんの演技の余韻覚めやらぬ難しい空気のなかリンクインした同じく中2の中村俊介くんは、冒頭の3A+3Tを根性で降りるも、次の3A予定は1Aに。
この構成はおそらく初挑戦だと思うんですけど、やはり難しかったか。
そうなるとその後のジャンプへの影響も懸念されましたけど、3Lzと3Loをしっかり決め、後半は食らいつくような3F+3T、3Sも成功し、このままゆくかと思われた2A+3Tは力尽きての腹ばい転倒。
ゾーンに入っていたような感じでしたけど、身体がついてきませんでしたね。
死んだように倒れ伏していた中村くんですが、すくっと立ち上がると、何事もなかったようにステップシークエンスをこなし、最後のスピンもしっかり回っていました。
ちょっとおどけた感じの選手でニヤリとさせられました。
FSは111.46(59.32)、合計169.90。
中村くんは身長は高くありませんけど、長い手を生かした演技は大きくて見栄えがしましたし、今後は表現面での成長も楽しみです。
彼もまた本当にいい選手です。

この結果、優勝は三浦くん、2位が中村くん、3位が菊地くん。
みんな、おめでとう!
エキシでは菊地くんが車掌パフォで4回転に挑戦して転倒するも、クリムキンや股裂きハイドロで大いに魅せてくれましたし、中村くんは意味不明な遍路笠パフォのあとにその傘を三浦くんに渡そうとして断られて大いに笑わせてくれました。
三浦くんは競技で力を使い果たしたのか、ちょっとお疲れ気味。3Aは決めるも4回転はパンク。
クールで大人っぽいプログラムは、いま風ではないものの(衣装の色彩はプルシェンコっぽいかも)、それが似合っていて、将来は堂々とした王者になる予感もしました。
エキシって競技ではわからない個性が出て楽しいですよね。

というわけで、今年の全中男子も大満足でした。
選手とご家族のみなさんには感謝の言葉しかありません。
長野に来てくれた、本当にありがとう!
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明日は女子を書きます。
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かつしき

Author:かつしき
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