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2024世界フィギュア・男子シングル、神を前にしても屈してはならない

宇野昌磨と鍵山優真のSPはまさに魂の演技といった2分50秒で、技術要素がノーミスだっただけではなく、観客と視聴者に己の感情と美意識を共有させるという表現芸術としても最高級のクオリティでした。
その結果、宇野くんが107.72(PCS47.23)、鍵山くんが106.35(PCS46.46)を叩き出し、順位もワンツー。
この勢いをFSに繋げ、この2024世界フィギュア・男子シングルは日本勢での優勝争いだ!

…といいたいところでしたが、SP3位は優勝候補筆頭のイリア・マリニンで105.97(PCS44.67)。
スコアにほとんど差がありませんし、FSでは基礎点でマリニンが15点ほど上にいるので、はっきりいってマリニンが有利。
滑走順はマリニンが最後なので、宇野くんと鍵山くんはいかにプレッシャーを与えるかが重要となり、そのためにはトータル315点くらい出しておかねばなりません。

しかしFSでまず登場した宇野昌磨は冒頭の4Loで転倒、続く4Fでも大きくステップアウトしてしまい、早くも優勝戦線から脱落。
もっとも、このディフェンディングチャンピオンはそのような争いに対する欲求は長いキャリアのなかですでに捨て去ったのか、気持ちとスケーティングが乱れることなく、後半も3連続ジャンプが堪え切れなかったり、コンボがひとつ入らなかったりしても、演技の流れは一本の線のようにして続き、失敗すらもひとつの作品として集約していました。
FSは173.13(PCS88.84)、トータル280.85。
宇野くんは演技後も悔しそうな様子はあまりなく、キスクラで”暫定順位2位”と表示され、表彰台落ちがほぼ確定的となっても、しれっとした顔をしていたので、気持ちはすでに現役を退いているのかもしれませんね。
私はまだまだ戦闘的な宇野昌磨が見たいですけど…。

ちなみに暫定1位は284.39のアダム・シャオ・イムファ。
SPでは77.49という大遭難でしたけど、開き直ったFSではノーミスの完璧な演技。減点2覚悟のバックフリップで遊ぶ余裕もありました。
あのマイナスで宇野くんの下だったら壮大なギャグだったのに…。

これで怪物マリニンに抗えるのは鍵山優真のみ。しかも滑走順はマリニンのひとつ前というドラマチックさ。
会場をユーマ色に染めてマリニンを難しくさせてやれ!
本人もそういう気持ちだったことは出だしの4Sが勢いあまるくらいだったことでもわかりましたし、そのアドレナリンの爆発があったからこそ4Fも初成功したのかもしれません。素晴らしい4Fでした!
そうして4Tオイラー3Sと3A+2Aも流れるように成功させた優真は感情的な振付けも手伝って会場をぐいぐいと『Rain,In Your Black Eyes』の世界に引きずり込み、いよいよ勝負の後半、ここをまとめれば凄い演技になりそう。
しかし、そのいい流れが唐突に切れてしまいます。
やや苦手としている単独3Aを踏ん張り切れずにまさかの転倒。
会場中が悲鳴に包まれたようになっていましたし、テレビを観ていた私は声も出せませんでした。
優真も一瞬ショックを受けたようでしたが、すぐさま自分を取り戻すと、3Lz+3Tを鮮やかに決めたのは立派。昔から切り替えがけっこう上手いです。
そこからのコレオでは超電導リニアのような滑りで他の選手との技術と才能の違いを見せつけ、3Fは悔しさをぶつけるような大きな飛翔、ステップでは巧み過ぎるボディコントロールと滑らかかつエッジの利いたスケーティングで男子フィギュアの未来を切り開き、結びの2つのスピンでは完璧なメカニックと音楽との同調性で曲を盛り上げると、雨は唐突に止みました…、悔しさとやり切ったという表情とともに。

鍵山優真のFSは203.30(PCS93.61)、トータル309.65。
あの転倒がなければ315点に達していただけに、私は歯がみするほど悔しかったですけど、4Fを初成功させてのシーズンベストですから、鍵山くんはいまある力を出し切ったと思います。
SP・FSともにハイクオリティでしたし、日本男子が守り続けてきた”魅せる演技”の後継者として本当によくやりました。ボラヴォ!

そうしてライバル勢がスコアを伸ばしきれなかったことで最終滑走のイリア・マリニンはかなり余裕があったと思うんですけど、それ以上にいまのマリニンは自分の実力に絶対的な自信を持っているのがこのFSでよくわかりました。
もはや他選手と競技ベルが違い過ぎます。
4A、4Lz、4Lo、4S、4Lzオイラー3F、4T+3T、3Lz+3Aという人間離れしたジャンプ構成を完遂した上で、スピンとステップもそれなりのクオリティを維持し、表現面でも手抜き感がほとんどなくなったのですから、無敵ですぎるでしょ。
FSは227.79(PCS90.61)という歴代最高スコア、トータルはわずかに歴代2位に留まるもPBの333.76。
もちろん圧倒的な優勝です。
世界選手権初制覇、おめでとうございます!
もう”Quad God”という愛称がしっくりきすぎて、周囲はひれ伏すしかありませんね。

そんななか、我らが鍵山優真は大会後に頼もしい言葉を残していました。
「自分にはまだ伸びしろがある。来季、もしくはその次の五輪シーズンまでにマリニンに追いつきたい」
私はこれは単なる強がりではないと思っています。
4Fをものにしたいま、FSでのクワド3種・4本という構成が来季の基本になるでしょうし、鍵山くん本人にはトータル320点超えが具体的に見えているはずです。
そこまで出せればマリニンだって優真を意識せざるを得ません。気持ちの面で神を人間の領域に引きずり下ろせるんです。

確かに今大会では日本勢は敗れました。
ただ、屈したわけではないんです。
ジャンプミス連発で254.72の8位に終わった三浦佳生だって「いつまでも同性代の選手の下にいるわけにはいかない」といって牙を研いでいました。
世界フィギュアには惜しくも出場できなかった佐藤駿だって、どこぞでマリニンの演技を観ながら、”6種クワド”の夢をさらに燃やしているはずです。
我々日本のフィギュアファンも絶望する必要など微塵もないのです。
日本男児たちは我々の声援を背に、どこまでも成長してくれます。
それを楽しみに来季を待とうではありませんか!
みなさん、お疲れ様でした!
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2024世界フィギュア・女子シングル、坂本花織3連覇!3枠もゲット!

この2024世界フィギュア・女子シングルの注目はもちろん3連覇がかかる坂本花織。
グランプリファイナル制覇、そしてSBとシーズンの平均スコアが2位のルナ・ヘンドリックスよりも5点ほど高いのですから誰がどう見たって大本命です。
おそらく坂本さんがトータル220点を出せば他選手はそこに届かないはずですし、周りを意識せず、自分の演技にさえ集中すれば自然に結果はついてくるはずです。

ところが、SPの坂本さんは3Lzにミスが出てまさかの4位。
これには日本のマスコミもざわめきたち、「すわ連覇に黄信号か!」と不安を煽るような記事が踊りましたけど、ちょっと待ってください、SP4位とはいえ73.29(PCS35.58)が出ていて、首位のルナが76.98(PCS35.78)、2位のイザボー・レヴィトが7373(PCS34.87)ですから、その差は大したことありませんし、焦る必要はまったくないんです。
まだまだ坂本さんが有利で、このくらいの差は大会を盛り上げるスパイスくらいに思うべきですよ!

そうして私を含め多くのかおちゃんファンの信頼が微塵も揺らがぬなか始まったFSの女王はモントリオールの空に虹をかけるような2Aでスタートすると、鬼門の3Lzを丁寧に仕上げ、身体がほぐれたところの爽快な3S、スピンもキレていて、ステップでのスピード感とパワーはまさに『Wild is the Wind』。
3F+2Tも悠然と決め、安定感のあるシットスピンで前半を絞めると、勝負の後半は大迫力の3F+3Tで会場の度肝を抜き、2A+3T+2Tも女子の後半とは思えぬ勢いで跳ぶと、会場は女王に喝采を送るような雰囲気。
その熱気を受けたコレオで演技をさらに加速させ、その勢いのまま3Loを驚くほどでっかく跳んだ女王は結びのスピンも完璧なメカニックで会場にスタオベを巻き起こし、涙と納得のフィニッシュ!感極まったガッツポーズ!

坂本さんのFSは149.67(PCS74.59)、トータル222.96。
思ったよりスコアが伸びなかったのは3Lzのエラー判定のせいですけど、まあこれだけあれば、他選手の状態からして優勝は間違いないはず。
フィギュアでたまによくある不可解判定がなければ、ですけどね…。

そういう意味ではアメリカのイザボー・レヴィトの”北米あげ”が気になるところでしたけど、ノーミスのイザボーはほぼSBの138.43(PCS70.39)、トータル212.16というフェアなスコア。
暫定2位と表示されると、世界フィギュアの初メダルを確定させたレヴィトは可愛らしい笑顔。
今季はけっこう波がありましたけど、最後の一番大切なコンペティションで最高の結果が出てよかったです。
か弱かったフィジカルが安定してきたものの、それがすぐさま結果に繋がらなかった今季ですが、来季こそ真価が発揮されるような気がしています。
日本勢にとっては怖い存在になるでしょうけど、楽しみですね。

最終滑走のひとつ前は悲願の世界制覇を目指すルナ・ヘンドリックス。
クリーンな演技をして自己ベストを更新すれば坂本さんに勝つ可能性はありますが、かなり難しいのは間違いありません。
ただし爆発力のある選手なので、本人もそこに賭けていたはず。
そうやって自分を追い込んだのか、前半は本当に素晴らしい内容。
課題のジャンプの回転がいい具合だったことで演技と表情が輝き出し、それを受けた会場の雰囲気も盛り上がって、私も「これはヤバい」と思いましたし、さすがルナ・ヘンドリックスは最高のエンターテイナーだと舌を巻きました。
ところが、後半冒頭が2Lz+回転不足気味の3Tになると、続く3Fで転倒してコンボにならない手痛いミス(リピート)。
3S+2T+2Loで意地のリカバリーを見せるも、このジャンプは質が悪く、そこからのスピンとステップもギアが上がらず、最後のレイバックスピンのゴージャスさが逆に悲しくなってくるような失意の演技になってしまいました。
FSは123.27(PCS69.40)、トータルはまさかの200.25で表彰台すら逃すなど誰が想像したでしょう。

ルナ・ヘンドリックスはフィギュアスケーターとしては大柄なところが魅力であり、それがジャンプを跳びにくくさせているという諸刃の剣のような選手ですし、怪我がちでベストコンディションのときがほとんどないだけに、今季の欧州選手権のようにいい演技をしたときは観ているこっちも本当に嬉しい気持ちになりますが、結果が思ったより悪いときのほうが多いので本当に同情します。
ミラノ・コルティナ五輪ではメダルを狙っているでしょうけど、それまでトップコンディションが維持できるよう私も遠くから祈っております。

という結果、坂本さんが歴史的偉業の3連覇!
女王に最敬礼!
やっぱり強かった!凄かった!

もうひとつの大事な枠取りも、SPでは初出場の緊張にやられた千葉百音がFSでは大きく巻き返してのトータル7位(195.46)。
SPでのショックからぐだぐだにならなかったのは本当に立派でしたし、千葉さんのメンタルはやっぱり強いです。
それに一流選手の証ともいえるFS後半のクオリティは素晴らしかったですし、これを自信にして来季はひとまわりも二回りも大きな選手になって欲しいものです。
まだまだ伸びる選手です。

同じく初出場の吉田陽菜は枠取りのためにSPで3Aを回避するというチームプレイを見せてくれただけではなく、FSでは回転がぎりぎりになりながらも3Aを着氷させ、後半冒頭の転倒を乗り越えてその後は食らいつく演技でトータル8位(194.93)という根性を見せてくれました。
今季はSP・FSともに印象的なプログラムで一躍名を上げた吉田さん、来季も我々を楽しませてくれそうです。

こうしてみんなが頑張ってくれたおかげで日本女子は3枠をキープ。
坂本さんの3連覇といい、枠取りといい、本当にほっとしました。
終わってみれば今季も日本女子はいいシーズンでした。
みなさんお疲れさまでした!
ありがとう!
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2024四大陸フィギュア 鍵山優勝!りくりゅう復帰!小松原夫妻代表ゲット!

それにしても2024四大陸選手権の鍵山優真は本当に凄かったですねえ。
特に106.82(PCS46.94)を叩き出したSPは圧巻としかいいようがなく、爆発的なエネルギーとスピード感に満ちた『Believer』はフィギュアスケートの範疇を超えたようなエキサイティングな内容でした。
この『Believer』は鍵山優真の弾むような独特のリズム感とマッチしていて、彼のために作られた曲だと勘違いしそうになるほどですし
男子シングル史に残るような名プログラムだと思います。

そうしてSP2位の佐藤駿に7点以上の差をつけて迎えたFSでの鍵山優真のチャレンジは初導入の4F。
これを成功させれば世界選手権でも頂点を狙えますが、残念ながら大きくステップアウト。
しかし4Sと4Tオイラー3Sと3A+2A、後半の3Aと3Lz+3Tと3Fをばっちり成功させ、コレオとステップで人間離れしたボディバランスと動きのキレを見せると、FSは200.76(PCS93.48)というハイスコア。
『Rain,In Your Black Eyes』が土砂降りの嵐のようになる終盤の鍵山優真の攻めはマゾヒスティックなほどで私も鳥肌が立ちました。
銀盤と観客(視聴者)の心を支配する独裁者のような鍵山優真ですが、キスクラではまるで中学生のような風情で、トータル307.58で優勝という表示を見てキャッキャと喜んでいるのですから、リンクにいるときとの差が凄い。
そういうところがまた彼の魅力です。
初タイトルおめでとう!

男子シングルの2位は佐藤駿でしたけど、SPでは4Lzと4T+3Tを決めてのノーミスの99.20(PCS41.75)、FSでは後半の3Loを乱した以外はまとめて175.39(PCS83.45)、トータルスコアも274.59まで伸ばします。
例年なら優勝してもおかしくないスコアですが、今年は鍵山優真が突き抜けすぎていました。
ただ、今季の佐藤駿は演技全体のクオリティが飛躍的に向上し、さらにいうなら昨年12月の全日本と比べても今大会の出来が明らかによくなっているのですから、驚くべき右肩上がりです。
個人的には今大会のスコアももっともらってもいいと思いましたし、ジャッジの感覚が佐藤駿の成長に付いていけていないとしか思えません。心をまっさらにして評価して欲しいものです。
そんな佐藤駿の今季はこれで締めくくりみたいですけど、来季への課題をいえば、やはりFSの後半でしょう。
いまはジャンプ構成も弱いですし、終盤のパワーも不足しているのでやや尻すぼみ感があります。
それがなくなればプログラムがより印象的になりますし、スコアも間違いなくついてきます。
来季もさらに成長して我々を驚かせてください!

263.43で総合4位に留まった山本草太はFSの出だしの4Sと4Tのミスが大きかったです。
あそこを抑えていれば表彰台も見えたはずなので本当に残念でした。
SPがシーズンベストの94.44(PCS40.98)だったのにFSはほぼシーズンワースト(168.86)の168.99(PCS82.18)だったのですから、本人もさぞかしがっかりしたことでしょう。
今季はシーズン成績も波が大きく、初戦のスケートカナダで優勝したのに次のGP中国大会が6位でGPファイナルを逃し、そのまま低迷するかと思われた全日本では3位に入るというジェットコースターぶりでした。
成績を安定させた上でベストスコアを伸ばして行かなければ後輩たちに置いていかれてしまいますし、来季は覚悟を持って臨まねばなりませんね。

こうして男子シングル陣が好成績を収めたのに続き、ペアでは怪我から復帰の”りくりゅう”三浦璃来・木原龍一が190.77で2位に入り、日本のファンを大いに安堵させました。
細かなミスは散見されたものの、木原くんも腰椎分離症を感じさせないくらいにはやれていましたし、「フリーがきつくてスピンで止まろうかと思った」というジョークが出るくらいですからだいぶ良くなってきているのだと思います。
世界選手権は2人が拠点にしているカナダでの開催なので、いいコンディションを作って、本当の意味での復活を待っています!

そして忘れてはならないのがアイスダンスです。
全日本で小松原夫妻が優勝したというのに「3組の実力が拮抗している」といってスケート連盟は世界選手権の代表選考を保留し、この四大陸選手権を追試の場としたわけですが、結果は小松原夫婦が日本勢トップの182.70のパーソナルベストで8位で代表の座を掴み取りました。
吉田唄菜&森田真沙也は166.13で10位、田中梓沙&西山真瑚は157.63で11位ですから文句なしといったところでしょう。
私から見ても小松原夫妻は一日の長がありましたし、PBが出ていたように演技内容も過去最高だったと思います。
ベテランの2人がまだまだ成長しているというのが本当に素晴らしくて胸にぐっときました。
私は全日本の結果で小松原夫妻が代表に選ばれるべきだ、スケ連は2人へのリスペクトが足りないと少々憤っていたんですけど、追試をしたことで小松原夫妻(うたまさとあずしんも)が壁をひとつ超えてくれたのですから、いまとなってはこれでこれでよかったということにしておきましょう。
世界選手権もがんばってください!

2024四大陸フィギュアは千葉百音と鍵山優真の初優勝、りくりゅうの復活、アイスダンスの激しい代表争いと盛りだくさんでした!
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2024四大陸選手権・女子シングル、千葉百音の嬉しい一歩目

このところ四大陸選手権のシングルスケーティングが”若手の箔付つけの大会”という色彩が強くなってきているなか、2024大会の女子で注目を集めていたのは千葉百音でした。
今季の千葉さんはスポーツ喘息に悩まされてGPシリーズは成績が振るわなかったものの、治療を経ての全日本ではSP・FSでノーミスを揃えて2位(209.27点)と大躍進。
その結果、世界選手権と四大陸選手権の代表に選ばれたシンデレラガールです。

この四大陸の出場選手をざっと眺めるに、千葉さんが全日本と同等の演技をすればかなりの確率で優勝できるはず。
ようするに今大会の千葉さんは自分との戦いに勝つかどうかでした。
そしてその結果、全日本同様にSP・FSを見事ノーミスで揃えての完全優勝。
SPでは「胃が痛くなるほど緊張していた」とのことですが、それを感じさせないキレのある『黒い瞳』を披露しての71.10(PCS32.31)でパーソナルベストを叩き出し、表現面もブラッシュアップされていて見応えがありました。
千葉さんは姿勢が良くて所作も綺麗なので演技全体が華やかです。普段は地味な感じですけどリンクの上ではキラキラと輝きます。

FS『海の上のピアニスト』でも身体のラインの美しさと動きの正確性でプログラム全体が気品に溢れていましたし、演技の流れもしっかり掴み、隙のない完成度でした。
個人的にはコレオのスパイラルの姿勢変化には大いに唸らされましたし、圧巻のスケーティングスキルとボディバランスです。
ジャンプも冒頭の3F+3Tの安定感が素晴らしく、後半の3F+2T+2Loを気迫で着氷させた場面、勝敗の肝を握る3Lz+2Aという難しいコンボを的確に決めたところは競技的に熱いものがあり、千葉さんの勝負強さも感じられました。
FSは143.88(PCS68.46)のPBでトータル214.98ももちろんPB。このスコアはかなり凄い。
初タイトルおめでとう!

千葉さんは”完成度重視”の現代フィギュアに必要な能力とスキルをすべて兼ね備えているような選手なので、コンディションさえ整っていれば成績はそう崩れないでしょうし、さらには基本的な身体能力が高く、今季は表現面で長足の進歩を見せるなど、伸びしろも十分です。
ちなみに昨季は全日本5位で初の四大陸代表を掴み、そこで銅メダルを獲得するなど、大舞台に強い印象もあります。
世界選手権ではこの勢いのまま表彰台に立つんじゃないかと思いますし、とっても楽しみです!

昨季はGPファイナルや世界選手権にも出場して大いに躍進した渡辺倫果ですが、今季はその両方とも逃してしまい、はっきりいって停滞したシーズンでした。
しかしその悔しさをぶつけるようにこの四大陸ではSP4位(67.22)とFS2位(134.95)での銅メダル獲得。
FSで3Aを豪快に決めたのは驚きでした。初表彰台おめでとう!
ただ、今大会も課題の”雑さ”が目立ち、持ち前の”勢い”でもそれを相殺することはできませんでした。
振り付けの面でもそうですし、ジャンプのタイミングもそうですし、スピンの完成度もそうですし、もうちょっと演技を突き詰めていって欲しいというのが私の願いです。
今季は年下の千葉百音や吉田陽菜が厳しい自己研鑽で進化しているのですから、それに触発されて欲しいものです。

オフに右足首を怪我をしたことで厳しいシーズンとなっていた三原舞依は全日本5位でなんとか四大陸の切符を掴み取り、復調が期待されていたものの、SPは転倒があって5位(65.18)に留まり、巻き返したかったFSではジャンプミスを連発してまさかの7位(118.89)、総合順位も7位に終わってしまいました。
SPでは滑りに力強さが戻ってきかたと思ったんですけど、FSは立ち上がりから元気が感じられず、スピードが出ないままジャンプの勢いに繋げられませんでした。
全日本から1ヶ月強ではやはり調整が難しかったのかもしれません。
とはいえ、終盤のコレオとステップで意地の滑りを見せてくれたのは不死鳥・三原舞依ここにありという感じでしたし、本人も大会後に「ここでは終われない」と気持ちを新たにしていたので、来季に期待しましょう。
我々の想像を超えた復活劇を演じるのが三原舞依です。

というわけで、この2024四大陸フィギュア・女子シングルは千葉百音の初優勝、渡辺倫果の初表彰台を観ることができて、日本のファンには嬉しい大会だったんじゃないでしょうか。
2人にばっちり箔が付きました!
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2023全日本フィギュア・女子FS(後2)、新たなシンデレラと無敵の女王

(続きです。)
世界フィギュアの女子シングルの出場枠が3枠あるなかで、シーズンベストとGPファイナルの成績から坂本花織と吉田陽菜が実質的に出場内定していて、残りの1枠はこの2023全日本で表彰台に立つのが最低条件になるかと思われます。
そして22人の選手がFSを終え、シニアで暫定トップに立っていたのは全体3位の三原舞依で199.56。
全体の1位と2位はジュニアの島田麻央と上薗恋奈なので争いには関係ありません。
つまり、23番滑走の千葉百音は三原さんを少しでも上回れば念願の世界選手権初出場となるわけです。
千葉さん本人も見守る観客もそれがわかっているなか、運命の4分間のスタートです。

そういうとんでもない状況でしたから千葉さんのメンタルにもなんらかの影響があるかと思われましたが、勢いのあるスケートから3F+3T、2A、3Sを小気味よく揃えると、コンビネーションスピンも素晴らしい回転速度と完成度。
波が揺れるような振り付けからの3Loもクリーンに入って眩いほどの前半戦でした。
昨季の全日本や四大陸でもそうでしたけど、千葉さんは本当に肝が据わっている。
そこからはスムースかつ明確に姿勢が変わるスパイラルで鮮やかに後半に入ると、3F+2T+2Loを確実に刻み、よく伸びるスケートからの3Lz+2Aも丁寧な着氷。
この段階でヴィクトリーロードに乗った感じがしましたし、会場の熱気も一気に高まったような感じがしました。
それを受けて千葉さんも姿勢変化が巧みなコンビネーションスピン、ぐんぐん加速して行っての3Lzも成功!
これで会場が得もいわれぬ高揚感に包まれると、ステップシークエンスでは安定したボディバランスと伸びやかなスケートで『海の上のピアニスト』をシンデレラストーリーへと変え、最後のレイバックスピンも圧巻の柔軟性と美しさを誇示し、納得の表情でのフィニッシュ。
文句なしとしかいいようのない演技、世界フィギュアを目指すライバルたちもこれにはシャッポを脱いだことでしょう。
会場もまさに総立ちで、祝福と激励が入り混じった拍手はなかなか止みませんでした。
そんなFSは141.25(PCS66.75)、トータル209.27で暫定トップ!2位以上が確定!
今季はスポーツ喘息もあってなかなか成績が出なかった千葉さんですが、コンディションが整えばこれだけ凄い演技ができるのですから、その実力は本物です。
しかも”大舞台に強い”というのもアスリートとして魅力的。これからは日本女子を引っ張るひとりになることでしょう。
もちろん世界選手権でもきっちり期待は大きいです!

さてさて、長きに渡った女子FSもいよいよ最終滑走、しかもこれが2023全日本フィギュア最後の試技になります。
ここでの坂本花織の使命は女王らしく美しい演技で大会を締めくくること。
そして女王はそれを見事に完遂するノーミスのクリーン演技。
調子でいえば完全に仕上がった状態ではなかったと思いますが、それでも高い技術にブレはなく、表現面でも大人の女性の強さと誇りを『Wild is the Wind/Feeling Good』に込め、フィギュアスケートの洗練とは成熟であることを見せつけました。
はっきりいって演技の完成度が他の選手と違いすぎます。カテゴリーが違うとすら思うほどです。
技術要素も振り付けも他の選手がセンチ単位で調整しているのだとしたら、坂本さんはミリ単位でやっているような緻密さです。
そういったところまでフィギュアスケートを磨き上げた選手は過去に幾人もいないはずですし、我らが女王は高難度ジャンプがなくても間違いなく女子フィギュアを進歩させています。
FSは154.34(PCS77.06)、トータル233.12はぶっちぎりの1位。
3連覇おめでとうございます!

この結果、世界フィギュア代表は坂本花織・千葉百音・吉田陽菜。
四大陸代表は千葉百音・三原舞依・渡辺倫果。
順当といっていい選出ですし、おそらくスケート連盟もこの選考に揉めることはなかったんじゃないでしょうか。
今季存在感を高めていた住吉りをんがどこにも出られないのは残念ですけど、選考基準というものがあるので仕方ありません。
この悔しさをバネに来季はさらに飛躍して欲しいものです。

それにしても、代表メンバーをあらためて眺めてみると、なかなかに頼もしい布陣です。
千葉さんが出てきたことで層が分厚くなった印象ですし、安定感のある選手と爆発力のある選手が入り混じっているのも楽しみです。
彼女たちなら四大陸でも世界フィギュアでも我々に歓喜と興奮を届けてくれることは間違いありません。
いまの日本女子はシニアだけではなくジュニア勢も才能に溢れていますし、面白くなってきました!

というわけで、みなさんよいお年を!
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