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2019四大陸フィギュア・男子シングル(後)、宇野昌磨への注文

(続きです。)
表彰台争いの方はというと、SP5位のキーガン・メッシングが、4T2本・3A2本の構成をほぼノーミスで仕上げて179.43(91.09・88.34)、合計267.61。
やはりハマれば強い。気持ちのこもったチャップリンに会場も魅了されていましたね。逆転表彰台もあるかも。

宇野昌磨の爆発によって優勝がかなり難しくなったSP1位のヴィンセント・ゾウですが、FSでは心の強さを見せ、4Lz+3Tを含む3種4回転3本、3A2本の構成を大きなミスなく終わらせました。
優勝が期待されるなかで立派だったと思います。
ただ、この日は”回転不足の弱点”が見逃されることなく基礎点が引かれ、172.04(88.56・83.48)、合計272.22。
暫定1位はキープしたものの、シニア2年目でも弱点が改善される気配はまったくありませんし、ジャンプに構造的欠陥があるのかも…。
”繋ぎがない”というもうひとつの弱点も含め、根本的な改造を検討して欲しいものです。
せっかくの才能がもったいない!

韓国男子初の表彰台を狙うチャ・ジュンファンにとって、暫定3位に入るために必要なFSのスコアはシーズン平均に近い数字。
つまり”いつもの自分”ならば可能性は十分だったわけですけど、表彰台へのプレッシャーからかか回転不足気味の4Tステップアウトでスタートすると、4Sは開きながら着氷(回転微妙)。
中盤の3A+2Tも詰まり、助走をたっぷりとった単独3Aも抜けたような浅いジャンプ、3連続もよっこらしょ。
ジャンプが全体的に不安定なだけではなく、後半はスタミナ切れも目立って、がっかりなFSになってしまいました。
158.50(71.56・84.94)、合計255.83。この時点で台落ちが確定。
3Aの回転不足など、やや厳しい判定だったものの、順位にはさほど影響はなかったと思います。
まだ17歳ですし、今後は体幹とスタミナの強化ですね。

最終滑走は宇野昌磨のライバル金博洋。昨年の四大陸王者です。
しかし今年は宇野昌磨に届くのはちょっと難しいので、現実的なターゲットはキーガンとヴィンセント。
出だしの4Lzでステップアウトするも、4T+2Tをなんとか着氷し、3A+1Eu+3Sはクリーン。まずまずの序盤戦。
キャメルとステップシークエンスを終え、中盤の4Tを綺麗に決めると、ボーナスパートの3Aもよし、疲れでスピードが落ちての3Lz+3Tと3Fもなんとか着氷。
そこからスピンを2つ、最後は獲って付けたようにタンゴを踊ってフィニッシュ。
FSはビセンテ・アミーゴの曲でしたけど、リズムの取り方がタンゴっぽくありませんでしたし、出来もちょっと酷かったかも。
SPの演技は良かったのに、対照的でした。
ただ、ジャンプは気持ちで粘りましたね。やはりここが金博洋の強さ。
FSは181.34(97.04・84.30)、合計273.51。銀メダルを確保!

この結果、ショーマが優勝!初タイトルおめでとう!
これで勝負弱いイメージを少し払拭できたと思います。
このところの宇野くんは、芝居がかったような言動で己を鼓舞しているように見えますが、私はこの路線に大賛成です。
浅田真央の弟分として子供時代からメディアに露出し、実力・実績も十分だというのに、これまではどこか地味な印象が拭えませんでしたからね。
フィギュアスケーターにとって、”自己演出”はやはり大切です。

ただ、実際の演技は、どちらかというと地味な部類です。
子供の頃から表現面では高い評価を得ていたのに、シニアのいま、こんなに控え目なスケーターになると、誰が想像したでしょう?
私もその理由をときおり考えるのですが、まず毎年似たようなプログラムしかやらないことがひとつ、そして表現のテクニックにおいても、新しい試みがほとんど見られないのがひとつだと思います。
シニアになってからは”4回転”ばかりに注力し、表現面というか、アピール面がおろそかになっているのかもしれません。
おそらく、成績はある程度出ているので、あまりチャレンジをしたくないのでしょう。

しかし、それでは本当の世界一にはなれません。
たとえ来月の世界フィギュアでタイトルを獲ったとしても、”宇野の時代”にはならないんです。
時代を作る選手というのは、誰にも負けない強い個性があります。
それでいえば、宇野くんの持ち味はやはり”表現”です。
そこで他の選手との絶対的な違いを見せて欲しい。
我々にフィギュアスケートの愉悦と歓喜と興奮を届けて欲しい。
ジャンプ偏重で無機質になりつつある現代フィギュアに楔を打って欲しい。

初タイトルを獲ったからこそ、宇野昌磨への注文は多くなります。
ショーマならできる!
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2019四大陸フィギュア・男子シングル(前)、これが宇野昌磨の生き様だ!

2019四大陸フィギュア男子シングルは、羽生結弦とネイサン・チェンが出場しないということで、優勝候補筆頭は宇野昌磨。
というより、実力・実績的に優勝以外ありえないような状況。
ところが、全日本のときと同様に右足首を捻挫しているとの報道とともに、公式練習でもジャンプをあまり跳んでいないという情報が。
”シルバーコレクター”というありがたくない仇名を持っている男だけに、やはり”持っていない”のか…。
その懸念通り、SPではジャンプ構成を抑えめにしてきたにも関わらず、4Tお手つき、3S+3Tステップアウト、3Aは成功という、不安たっぷりの内容で91.76(TES46.94・PCS44.82)。SPは4位に留まりました。

SPで首位に立ったのは、4Lz+3Tを着氷し、4Sが地元判定で回転不足がスルーされたヴィンセント・ジョウ。100.18(57.93・42.25)。
アナハイムのお客さんは喜んでいたみたいですけど、興行のためとはいえ、こういう贔屓は本人のためにならないと思うんですけどね…。
2位は安定感が光るニューカマー、チャ・ジュンファン。4S、3Lz+3Lo、3Aをきっちり揃えて97.33(54.52・42.81)。採点はちょっと甘め。この選手はジャンプまでの助走が長いのでGOEが低くなるのが妥当ではないでしょうか。
3位は4Lzステップアウト、4T+2T、3Aの金博洋。表現面は見せ場を作るも、ジャンプミスがもったいなかったです。92.17(49.85・42.32)。

宇野くんと上位2人の点差は、万全ならばFSでの逆転は不可能ではないところですが、足首に故障を抱えながらでは厳しいか…。
SPが終わって、私も優勝はチャではないかと予想していました。今季は安定感抜群ですからね。

しかし、中1で迎えた2月10日の男子FS、宇野昌磨が予想を覆すパフォーマンスを見せてくれました!
最終グループ先頭で滑り出した宇野昌磨、まずは4Fを鮮やかに決めると、4Tもばっちり、3Loは置きにゆく感じの着氷ながら、気合十分の立ち上がり。
的確なスピンでちょっと休憩をはさみ、イーグルで彩るコレオ、そして中盤の鬼門、4T+2Tも珍しく成功!
ややバランスを崩し気味でしたけど、怪我で増した集中力で制御したのか、これも一種の怪我の功名(本当の意味は違います)。
後半ボーナスパートでは、3Aを鮮やかに決め、『月光』のピアノが高鳴るなかの3A+1Eu+3Fは惜しくもステップアウト、さすがに足にきている。
しかし3S+3Tは執念でねじ伏せ、ステップシークエンスでは鋼がたわむような力強さ。動かない足を気持ちで引っ張った。
そして結びのコンビネーションスピンをきっちり回り切った宇野昌磨は、力を使い果たしたかのように崩れ落ち、その場に突っ伏して動けないという劇的フィニッシュ。
圧巻の演技内容とともに、「たまらない!」と叫んだひとも多いかもしれませんね。
それにしても、本当によくやり切りました、これが宇野昌磨の生き様だ!

宇野くんはリンクサイドに引き上げるときの表情も呆然自失といった感じで、まるで演出をしているかのよう(プロレスなんかでよく見ます)。
ヒーロー症候群とでもいいますか、このところの宇野くんはフィギュアスケーターとしての自分の個性を発見したのかもしれませんね。存在感が増していると思います。ぜひ、この路線で突き進んで欲しい。
FSの197.36(104.48・92.88)、合計289.12!
審判も宇野くんの演出にしてやられたのか、想像より高いスコア。
あきらめていた優勝がほぼ手中に収まりました。
これが宇野昌磨の底力だ!
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2019四大陸フィギュア・女子シングル(後)、大逆転女王!

(続きです。)
最終グループ1番手に登場したのは、優勝候補に押されながらもSPで出遅れた紀平梨花。
指の怪我の影響も心配です。
ただ、今季の彼女はSPをミスってからのFSがめっぽう強い。NHK杯では今回と同じSP5位からの逆転優勝を飾っています。追い込まれた方が力の出るタイプですね。
しかも本人もそれをジンクスにしているような感じもします。
その自己暗示が利いたのか、冒頭の3Aは鮮やかな飛翔!アナハイムの空気を一気に変えた!
続いては流れのある2A+3T。
3Aを回避しただけに”決めなければいけないジャンプ”でしたけど、これをきっちり決めたのはさすが。
3Loはややバランスを崩したものの上々の序盤戦。
スピンとステップは教本を暗唱するかのような安定感。
『A Beautiful Storm』は紀平さんの生真面目さと身体能力をいかんなく発揮できるプログラムとしかいいようがない。
中盤のコンビネーションは3Aを1本にしたことで3Lz+3T(いつもは+2T)にアップグレードして難度が増したものの、これもビシッと決めた!よし!
一山越えて気持ちも余裕が出たのか、3Fは軽々、姿勢のいいレイバックを挟んでの3Lz+2T+2Loも一切の乱れなし。
こうなると完全に演技ものってきて、スピンからコレオも素晴らしい流れで嵐が一層勢いを増してゆき、最終盤の3Sも天に舞い上がるように跳び、まさに圧巻の演技でした。
巻き収めのフィニッシュポーズがちょっとぐらついたのはご愛嬌といったところ。
FSは153.14(TES82.74・PCS70.40)、合計221.99!優勝が見えた!
紀平さんは3Aが代名詞ですけど、彼女の強さの本質は、すべての要素の質が高いことと、振り付けを正確にこなせる身体能力の高さと生真面目さだと思います。
それによってスコアが着実に積み重なり、有無をいわさぬ順位へと繋がるわけです。
本当に強い選手です。あきれるほどに!

紀平さんのスコアはもちろん、トゥルシンバエワ(207.46)や三原さん(207.12)が高スコアを出したことで、苦しくなったのは地元アメリカの2人。
SP3位のマライア・ベルはパーソナルベストが200点に届かないので、そもそもかなり難しかったんですけど、演技の方も1転倒・1抜けで123.92(61.15・63.77・減点1)、合計193.94。

SP1位でアナハイムの観客から期待を一身に集めていたブレイディ・テネルも、2つ目のジャンプが3Lz+1Loになると、次も詰まった3Fに(回転不足)。
後半ジャンプパートも果敢に3Lz+3Tに挑むもUR気味、3連続ジャンプもギクシャクしていて追い上げムードにはなりませんでした。気合が入っていただけに残念。
FSは128.16(61.43・66.73)、合計202.07。
これでアメリカ勢の表彰台落ちが確定。
SPの順位が良かっただけに、地元観客も大いに落胆したのか、テレビからも会場の空気が重くなっているのが伝わってきました…。

そんななか、最終滑走でリンクインしたのはSP2位からの逆転優勝を狙う坂本花織。
優勝すれば連覇ということになり、これは四大陸初の快挙。
冒頭の3F+3Tはファーストジャンプがやや後傾するも上手く制御しての+3T、片足ステップからの大きな2A、丁寧な3Lzというまずまずの立ち上がり。
ただ、なんというか滑りが硬い。ステップシークエンスでもいつもの伸びがありません。
会場の重たい空気と、優勝への重圧からでしょうか、ちょっと不安。
それでもステップの流れからの3Sは素晴らしい出来、リンクに大輪の花が咲いたようなジャンプ!
これで勢いを増したいところでしたけど、次の2A+3T+2T予定が1Aにパンクするまさかのミス。
GPファイナルで転倒したことを思い出したのでしょうか、得意のジャンプだけに信じられません。
ただ、次の3F+2Tをきっちり決めたのは立派。こういうところは一流選手の証。
そうして坂本さんは、コンビネーションスピンも的確に回り、コレオでもパワーが落ちず、3Loにきっちり+2T(リカバリー)をつけたのも冷静、最後のスピンまで集中力を持続させました。
全日本女王の意地は見せてくれたと思います。
しかし、キスクラでは悔し涙が浮かびます。自分でも信じられないミスだったのでしょう。
坂本さんにはいつも笑っていて欲しかった…。
FSは133.43(6624・67.19)、合計206.79でまさかの表彰台落ち。
全日本女王として”結果を出したい”という気持ちが空回りしてしまったのかもしれません。変な緊張感のなか、序盤からリズムが作れませんでした。
ですが、これをいい経験にして、世界選手権では思い切りのいい演技をして欲しいものです。
技術面も表現面も確実に進歩しているのですからね!

この結果、優勝は大逆転の紀平梨花!
終わってみればこの大会は紀平劇場でした。
我らが女王は強い!

2位は4S挑戦が演技に気合を入れたエリザヴェート・トゥルシンバエワ。
カザフスタン女子初の四大陸メダルという歴史を作りました。おめでとう!

3位はSP8位から見事に巻き返した三原舞依。
三原さんはSPで出遅れるだけではなく、演技も立ち上がりが重いので、来季からは、とにかく出だしをガッといって欲しいです。
そうなればもっと勝てます。絶対に。

こうして終わった2019四大陸フィギュア・女子シングルは、予想外にハラハラドキドキの順位争いでした。競技会としては本当に面白かったです。”日本女子表彰台独占”はなりませんでしたけど、大いに盛り上がったんじゃないでしょうか。
フィギュアスケートはやっぱり楽しい!
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2019四大陸フィギュア・女子シングル(前)、捕らぬ狸の皮算用

現在の女子シングルはロシアに強豪選手が偏っていることもあって、四大陸選手権ではここ3年、日本勢の優勝が続いているのはみなさんご存知の通りです。
この2019年大会もまた優勝候補は紀平梨花と坂本花織であり、日本のメディアは、三原舞依を含め、「日本女子表彰台独占も」と煽っていますよね。
私もその見立てに賛成ですが、今回は開催地がアメリカだけに、全米女王ブレイディ・テネルがホームの追い風を受けたときは、難しい相手になるかもしれません。
アメリカフィギュアはトランプ大統領より前から”アメリカ・ファースト”ですし…。

まあ、日本女子が自分の演技をしたら負けることはありませんけどね!

ところが、2月8日の女子SPでは、紀平さんが3Aを1Aにミスっての68.85(TES35.82・PCS33.03)。
私もちょっと血の気が引きました。
しかし坂本さんが伸びやかなノーミスの滑りで73.36(39.98・33.38)でパーソナルベストを出してくれたので、一気に血圧が上昇!さすが日本女王!
紀平さんはFSが強いのでまだまだ優勝の可能性もありますし、あとは三原さんがきっちりまとめて欲しいところだったんですけど、その前を滑ったテネルが抜群の内容で73.91(40.59・33.32)の暫定首位に立ったことで会場は大盛り上がり。
その雰囲気に呑まれたのか、三原さんは冒頭の3Lz+3Tが完全に回転が足りない両足着氷という大きなミス。
これが響いて65.15(32.15・33.00)という悔しい結果でした。

SPの順位は、1位テネル、2位坂本さん、3位マライア・ベル(70.02)、4位イム・ウンス(69.14)、5位紀平さん、6位エリザベート・トゥルシンバエワ(68.09)、7位ティン・ツゥイ(66.73)、8位三原さん。
坂本さんはもちろん紀平さんだってまだまだ優勝のチャンスがありますし、三原さんだって表彰台なら諦める必要もありません。
アメリカ勢は全米選手権からわずか2週間しか合間がないので、疲れもあるでしょうしね。

そうして始まった9日の女子FS。
まず、会場を沸かしたのは17年の四大陸女王・三原舞依。
懸案の冒頭3Lz+3Tを微妙ながらなんとか乗り越えると、そこからのジャンプは思いきりよく踏み切れて、全てクリーン。
演技の方も、昨季からの『ガブリエルのオーボエ』は完全に自分のものになっていて、神聖な透明感と、ステップシークエンスを含む終盤の歓喜踊躍は圧巻。会場を聖堂へと変えていましたね。
ブラヴォ!
今季はこの大会が最後とのことですけど、本人もガッツポーズを作っていましたし、来季に繋がる手ごたえを掴んだと思います。
FSは141.97(74.64・67.33)、合計207.12。
このスコアなら表彰台も十分あり得ます。
また、技術的なところでは、ジャンプの入りやステップシークエンスの緩急で多様していた片足ステップが巧みでした。三原さんはプログラムが大人しくなりがちなので、”技術”で華やかにしてゆくつもりなのでしょう。
今季はあまり成績は振るいませんでしたけど、確かな成長を遂げています。
来季もがんばって!

そうして暫定トップに立った三原さんでしたが、それがあっという間に2位に落ちるとは誰が想像したでしょう?
最終グループ先頭のエリザヴェート・トゥルシンバエワ(カザフスタン)は、果敢な4Sで転倒してしまったものの、そこからのジャンプをきっちり決めきっての139.37(75.97・64.40・減点1)、合計207.46。わずかに三原さんを上回りました。
冒頭の4Sが転倒ながら回転が認定されたのが大きかったですし、後半ボーナスを全てコンビネーションジャンプで仕留め切ったのはお見事でした。
この選手はジャンプのバランスに問題があって、今季も苦しんでいましたけど、ここにきて一気に改善されましたね。
練習拠点をモスクワ(生まれ故郷)に戻したのが良かったのでしょうか。
4Sがものになれば、ちょっと怖い選手になってゆくかもしれませんね。
ビビりながら楽しみにしています!
(白熱の優勝争いは後編で。)
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2019全中フィギュア(後)、日本男子の未来は明るい!

(続きです。)
SP2位からの逆転を狙い、『龍馬伝』にのって雄々しく滑り出した鍵山優真。
”馬”といえば、この人はアルベールビル・リレハンメル五輪代表・鍵山正和選手のご子息であり、生粋のサラブレッド。
フィギュアを始めたときから周囲の期待を重圧を一身に浴びてきたに違いありません。
そんな彼が全中最終滑走のプレッシャーに負けるはずがない。
冒頭から3A+2T、3Aと連続成功!よっしゃあ!
続く3Fと3Loも質がいい。
ノーミスを狙った置きにゆくジャンプではなく、パーフェクトを狙った攻めのジャンプ。これはリスクを負った勇気のジャンプでもあります。
勝つためになにが必要なのかわかっている。勝負師の風格といっていいでしょう。
中盤はスピンとステップでプログラムを魅せるパート。
ここでも基本技術の高さが光る。この大会では頭一つ抜けた存在。全体の完成度が高い。
しかも、表現面でも抜かりがなく、”魅せる意欲”も兼ね備え、すでにフィギュアスケーターとしての自我が確立されている。
そして勝敗を分ける後半、まずは3F+3T!これを力強く決めた!よっしゃあ!
これでゾーンに入ったのか、エッジにやや問題を抱える3Lzも迷いなく跳ぶと、続く2A+1Eu+3Sも大きな飛翔!なんて男だ!
ジャンプを決めきった鍵山くんが握り拳を作ると、会場からは割れんばかりの拍手、それを追い風に締めのコンビネーションスピンも力強く回り切った鍵山くんは雄たけびを上げるようなガッツポーズ!
これには会場も総立ち、熱狂の渦のなかのオベーション!

本当に凄い演技でした。
高難度構成で全体の質が高かったのはもちろん、”全中”への思いをぶつける鍵山くんの情熱の迸りがプログラムに生々しいエネルギーを与えていたといっていいでしょう。
会場はそれにぐいぐい引き込まれ、この日の支配者は間違いなく鍵山優真でした。
私は全中男子史上最高の演技だったと思います。
(※15年の山本草太くんの演技は、シニアレベルの完成度で凄味すら感じさせましたけど、中学生らしい勢いや気持ちの強さという意味で、私の好みは鍵山くんです。)

しかしスコアの方はどうなるのか、FSではおそらく佐藤くんを上回るに違いありませんが、SPでの2.35差を埋めるまで伸びるかどうか…。
前編で全中史上最高スコアは山本草太くんの152.91だと書きましたが、この時代はいまよりジャンプが1本多いルールなんです。それだけでも4点以上(2Aだとして)の違いが出ます。
だとすると、やや届かないか…。
そして出てきたスコアは148.11(TES77.63・PCS70.48)、合計214.38。
FSでは佐藤くんに勝ったものの、総合では0.85及ばずの2位。
惜しかったですけど、まあ仕方ありませんね。よく戦ったと思います。”相撲に勝って勝負に負けた”といいたいですね。
鍵山優真は、その勇気ある演技で確実に観客の心を掴みました(一緒に観に行った相方も「ファンになった」といっていました)。
彼はサラブレッドやプリンスというより、ファイターでしたね。

それにしても、今年の全中フィギュア・男子シングルは期待通りの超超ハイレベルな戦いでした。
4T2本・3A2本という佐藤くんは間違いなく全中のレジェンドになりましたし、鍵山くんも煌めく演技で会場を存分に魅了してくれました。”中1モンスター”三浦佳生くんの来年以降も本当に楽しみです。
それに、4位からにも3A修得済みの選手がちらほらいて、みんな実力派揃いでしたし(特にスケーティングがみんな上手い)、男子のレベルの進化には本当に驚かされました。
日本男子の未来は明るいですね!

また女子では、優勝した住吉りおんさん(174.69)はエレガントな演技で優勝候補の実力を存分に見せつけていましたし、2位の田中梓沙さん(166.93)は小柄ながら力強さと美しい腕の使い方が印象的でした。
3位の岡田芹菜さん(162.40)は最近珍しいスピンが得意な選手で、会場を沸かせていました。
ただ、女子全体にいえることですけど、パワーとスピード、そして積極性に欠けていたのはちょっと残念です。
もっと元気が欲しいですね。

その元気でいえば、エキシビションでも男子ばかりが目立って、直前の6分間練習でもリンクで遊んでいるのは男子の3人でした。
佐藤くんと三浦くんが4回転をびしばし決めて歓声を集めると、リンクサイドにいる4位~8位の選手たち(表彰式待ち)が、鍵山くんへ「お前もいけ!」という感じで囃すんです(一昔前は3Aで囃していたのに、これも凄い進化)。
それで鍵山くんも4Tに挑むのですが、苦笑いのパンク。
しかし諦めずに次もいくと、今度は見事に成功!
もう1本も綺麗に決めていましたし、もう実戦投入できるかも。
ワクワクしてきた!

そしてエキシが始まると、その主役は三浦佳生。
エキシ用のプログラムがないのか、FSの『ロミオ+ジュリエット』だったんですけど、ジャンプ構成を変えてきて、冒頭に見事な4T!続いても4回転をばっちり決めた!
この2本目、私の座席からは細かく見れなかったのですが、4Sだったんじゃないかと思うんです…、誰かに聞きたい!
そこから切れ味鋭いアップライトスピンで会場は興奮の坩堝。
観客はみんなこの選手の将来に大きな夢を見たに違いありません。
…ところが、その夢から醒ましたのは他でもない三浦くん。
スピンが終わると「疲れたあ」と一言。
これに会場は大爆笑。
その後は集中力も切れてジャンプが抜けちゃいましたけど、この選手は大物になりそう。
中1での4回転といい、なにをしでかすかわからないところといい、まさに”モンスター”です。

というわけで、今年2019年の全中フィギュアはかつてないほどに盛り上がったと思います。
選手のみなさん、そして保護者のみなさん、本当にありがとうございました!
2019全中フィギュア
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かつしき

Author:かつしき
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