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貴景勝は準じていると思います。

今日2023年1月24日の日本列島は、”10年に一度の寒波”とやらに見舞われ、その大部分が凍えるような低温となり、広い範囲での降雪も確認されたようです。私の住む長野市も昼過ぎくらいに猛吹雪になりました。
この寒波は明日以降も続くそうなので、全国的に警戒して行きたいですよね。

そんな寒さにこごえながらふと思ったんですけど、この寒波がもう少し早くやってきていたら、一昨日の大関・貴景勝の優勝パレードも中止だったかもしれませんね。天気予報では東京も今日の夜から雪となっています。
ちなみに優勝パレードは武漢肺炎COVID19のせいで長らく自粛していたものの、この初場所から再開となりました。
それが雪で中止になっていたら、せっかくの歓喜に水を差されるところでしたから、その意味でいうと貴景勝は運を持っていましたね。

そしてその運があれば、この優勝で”横綱昇進”もなるかと思っていたら、相撲協会も横綱審議委員会もそんな素ぶりは微塵も見せず、マスコミもそれに同調、貴景勝本人もそれを察してかまったく期待していない様子だったので、私などは少々拍子抜けしてしまいました。議論すら起きないんですね。
ネットやSNSなどにいる好角家たちも「横綱はまだ早い」という論調が大半をしめていましたし、私は少数派のようです。

ただ、「大関の地位で2場所優勝優勝、またはそれに準ずる成績」という横審の内規に照らせば、先場所の貴景勝は12勝3敗で決定戦に進み、敗れたものの”優勝同点”、今場所は12勝3敗での優勝ですから、横綱に昇進するためのハードルはしっかりクリアしているはずです。
この2場所は横綱・照ノ富士が休場しており、大関も先場所で正代が陥落してしまったので貴景勝しかいないという状況で、もう少し勝ち星が欲しいという意見もあるでしょうけど、内規には勝ち星の数など書かれていないのですから、”結果”をこそ重視すべきというのが私の考えです。

ちなみにこのところの横綱昇進でいうと、照ノ富士は関脇で12勝3敗で優勝、大関で12勝3敗で連続優勝、綱取りがかかった場所では全勝対決の千秋楽で白鵬に敗れたものの14勝1敗の”次点”。これで綱取りでした。
稀勢の里はまず12勝3敗の次点ながら優勝の鶴竜は14勝だったのでまったく優勝に準ずるものではなかったはずなのに、次の場所で14勝1敗で優勝すると協会は迷うことなく横審に推薦し、横審でも誰も反対することなくすんなり横綱昇進が決まります。マスメディアでも反対論はありませんでした。

照ノ富士のケースはまずまず準じている感じはありますが、稀勢の里のケースでは準じているとは到底いえません。
日本で義務教育を受けたひとならばそう感じることでしょう。
「準じる」というのは簡単にいうと「同様に扱う」という意味です。
しかし、協会や横審のひとたちはときおりご都合主義的に日本語を忘れて、自分たちが昇進させたいひとを昇進させるというわけです。
稀勢の里のときなどは、場所前の理事会は綱取りなんて一切いっていなかったのに、稀勢の里の優勝が見せてくると急に綱取り場所にするのですから酷いものです。

私はここが大相撲のよろしくないところのひとつだと思います。
日本相撲協会は文部科学省スポーツ・青少年局競技スポーツ課の所管なのですから、当然大相撲はスポーツ競技であり、そうならば”ルールに従う”べきです。
ルールを自分勝手に解釈していてはスポーツ競技たりえません。

ランキングの際は、競技内容がどんなに悪くても、勝敗を優先して考えることが競技的思考であり、内容だの品格だのといったことを優先するのは興行的思考です。
私は興行的思考を必ずしも否定はしませんが、その最たる慣習であった”八百長”について、いまの相撲協会はそれを排除し、競技力を高める方針を取っているのですから、昇進についても同じ考え方で決めなければ二重基準というやつになってしまいます。
それは力士やファンを混乱させ、大相撲の衰退を招くものです。

また、相撲ファンの間でも貴景勝はあまり人気がなく、横綱に推す声が弱いのも悲しいことです。
彼の成績があまり安定していないことや、押し相撲しかできないこと(組んだら序二段を揶揄されることも)、はたまた負け方が無様になりがちといったことが理由なのでしょうけど、それは横綱に高い理想像を求め過ぎているせいです。
常に優勝争いをして、相撲内容も常に後の先で組んで勝つ、みたいな横綱は双葉山と若い頃の白鵬、全盛期(昇進して3年くらい)の貴乃花くらいしかいません。
たとえば、あまり強いイメージがない日馬富士や鶴竜も、優勝回数や勝率、在位場所数で見れば平均以上の横綱なのですから、理想像をその程度に設定し、そこを目指して欲しいと思えば、貴景勝だって受け入れられるはずです。

貴景勝が来場所で「優勝、またはそれに準ずる成績」を挙げるとも限りませんし、今回のチャンスをみなでこぞってスルーしたことが、あとあと悔いを残すことになるんじゃないかと私は危惧しています。
照ノ富士の復活も不透明ですし、横綱が不在になってしまうかもしれないんです。
興行面でいっても、それは大きなマイナスです。
協会や横審は雪のせいにしてもう一度考え直してはいかがでしょう。
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御嶽海の大関陥落、稽古不足とだけいうのは不公平

全国的には台風がメインだった今週(2022年9月第4週)の報道も、私の住む長野県では「御嶽海、大関陥落」が一番ショッキングな話題でした。
この令和4年秋場所をカド番で迎えた御嶽海は5日目まで3勝2敗だったものの、そこからまさかの5連敗(結局6連敗)であっさり負け越し。
応援する側からしたら心配する暇がないほどのスピードだったといっていいでしょう。
大関在位もわずか4場所ですから、こちらも早すぎます。
信州出身大関は雷電から227年も待たされたのに…。

御嶽海は今年の初場所で優勝していますから実力的には問題がないはずですし、29歳と老け込む年齢でもなく、おそらくなにか怪我を抱えているのでしょう。
先場所は武漢ウイルス関連で途中休場しているので(カド番だったものの特例で陥落は回避)準備期間は他の力士よりも長く、その間にどうにか状態を整えてくれればよかったんですけど本当に残念です。
来場所10勝すれば大関復帰とはいえ、今場所の取り組みを見ているとそれも簡単ではないでしょうね。

そのように私は同情的なのですが、スポーツ誌で連載を持っている尾車親方(琴風)などは「因果応報」「稽古不足」と御嶽海を一刀両断していました。
御嶽海の”稽古嫌い”はかねてより有名なので、角界関係者ならば余計にじれったい思いがあるのかもしれません。
尾車親方は御嶽海が負け越した5月場所のときも「苦しいとき(怪我があるとき)にどういう相撲を取るか、それが大関と関脇の違い」と苦言を呈し、相撲で大切なのは「3年先の稽古」であり、御嶽海はこの3年間の稽古が足りていないと暗にクサしていたのも記憶に新しいところです。

しかし私はこの尾車親方の言には賛同できません。
そもそも稽古嫌いの力士が3度も賜杯を抱き、大関まで上がれるわけがないんです。
御嶽海の稽古不足はあくまで土俵の上のそれであり、本人は四股やすり足やテッポウといった基本的な稽古、そして自重や器具を使った筋力トレーニングは誰よりもしっかりやっていると語っています。

御嶽海は骨格の大きな力士ではなく、大学時代はアマチュア横綱に輝いたものの、自分にプロは無理だと諦め、卒業後は和歌山県庁に就職が内定していました。
そんなとき、2学年上で似たようなサイズの遠藤が幕内で活躍しているのを見て、大学時代に対戦したこともあったことから、自分もやれるはず、と思い直して角界入りしたと本人も語っています。
また、「1場所15日、年6場所を考えたら身体の負担が少ない押し相撲がいい」といっていまのスタイルを完成させたことからも、彼が自分を客観視し、知恵を絞りながら大相撲の世界で生きてきたことがわかります。
申し合いや三番稽古といった実践形式の稽古を嫌がるのも、そこで怪我をしたくないという考えからでしょうし、本場所で粘りのない相撲が多いのもそのせいかもしれません。

大相撲は2011年に発覚した八百長問題以降、”ガチンコ路線”を強めたといっていいでしょう。
監察の強化、内部告発の窓口設置、親方・力士への指導の徹底などの防止策を制定し、外部委員からなる大相撲新生委員会も設置しました。
そのせいか、私の目から見ても土俵は激しさを増したと思いますし、力士同士の忖度が覗える相撲も本当に少なくなりました。
格闘技興行としてのクオリティーは確実に高まったといっていいでしょう。

ただ、その反動として”力士の怪我が増えた”というのは多くのひとが指摘するところですし、事実だとも思うんです。
わかりやすいのがこの5年間に生まれた6人の大関です。
御嶽海を合わせると、内5人もが陥落を経験していて(貴景勝だけが復帰して現在大関)、武漢ウイルスガイドライン違反の朝の山以外はすべて怪我が原因と見られています。
しかも大関在位は髙安が15場所、栃ノ心は7場所、貴景勝が19場所(今場所まで)、朝の山が7場所、御嶽海は4場所なのですから、みんな本当に短い。
それに比べると、00年代の大関たち、千代大海と魁皇の在位65場所は夢のようですし、琴欧州の47場所もかなり長く、栃東の30場所が当時は短いといわれたのですからなんという贅沢でしょう。

怪我で満身創痍の横綱・照ノ富士もそうなんですけど、いまのガチンコ時代の大相撲は健康体で上位を長くキープするのが本当に難しくなっています。
これは”年6場所の限界”を意味しているはずです。
他の格闘技やフルコンタクトスポーツ(ラグビーやアメフトなど)と比べても大相撲はスケジュールがハードすぎるんです。
年4場所に縮めなくては、力士たちの現役期間が縮んでしまいます。

興行としても、上位陣の成績が安定せず、引退も早いとなれば、人気面への影響も否定できませんし、実際、最近の大相撲は客入りも視聴率も下落傾向が続いています。
ガチンコ時代の力士に必要なのは身体をいじめるような稽古ではなく、休息とコンディショニングです。
相撲協会は本場所と巡業のスケジュールを見直し、ブラックな環境を脱却すべきです。

御嶽海だけではなく、最近の力士は稽古をしないとよくいわれますが、そういう批判をするひとたちは”八百長時代”の感覚なのではないでしょうか?
土俵に真剣勝負を求めるのならば、まずは力士たちの身体を気遣うべきです。
その先にこそ真の土俵の充実があると私は思うんです。

それでも情けない相撲ばかり取っている力士がいたら、そのときこそ大声で「稽古不足だ!」と非難すればよいのです。
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相撲部屋は感染症に弱すぎる

今日7月24日に千秋楽を迎えた令和4年名古屋場所は、12勝3敗で平幕の逸ノ城が初優勝。
1横綱2大関を破っての結果ですから文句なしです。
ただ、最後まで競っていたのが同じモンゴル出身で、来日したのも同じ飛行機、入学したのも同じ高校という横綱・照ノ富士でしたから、親友同士の決定戦を期待していたひとも多かったことでしょう。結びで照ノ富士が貴景勝にしてやられてしまったことだけは残念でした(貴景勝の圧力が素晴らしかった)。
しかしまあそれは逸ノ城が三役に上がってからの楽しみということにしましょう。出世への意欲が見られない怪物・逸ノ城が、今場所を機に少しでも心変わりすることに期待したいものです。
初優勝、おめでとう!

そのように親友同士の優勝争いが興味深かった今場所ですが、寂しいことに実際に話題の中心だったのは武漢肺炎、COVID19でした。
場所前に髙安が所属する田子ノ浦部屋に感染者が出てしまって部屋全体の休場が決まると、7日目には御嶽海のいる出羽海部屋が同じような状況になり、そこからはドミノ倒しのように感染が広がってしまい、千秋楽の時点で関取の休場はなんと計23人(武漢肺炎由来は21人)にもなってしまいました。
これはもちろん戦後最多です。
関取70人のうち23人が欠けてしまったのですから、相撲興行としては”不成立”といっていい状況だったかもしれません。

現在日本では感染が過去最大規模で拡大していて、プロ野球なんかでもチームクラスターが発生して試合が中止になっているので、大相撲だけを責めたくはないのですが、盛り上がるはずの後半戦に”不戦勝”の垂れ幕をいくつも見せられれば桟敷席から「金返せ!」の声が飛ぶというものです。
私も優勝争いに絡んでいた琴ノ若が11日目から休場したときはほんとにがっかりしました。
御嶽海もそうなんですけど、本人じゃなくて同部屋の他の人間の感染からの濃厚接触が理由というのがまたなんともいえません。

要するにこれは”相撲部屋”という仕組みの問題なんです。
力士だけではなく、親方も行事も呼び出しも床山も、何十人もが同じところに集まって居住・稽古・食事を一緒にしていればクラスターになる確率も高まるに決まっています。というか相撲部屋内での感染拡大を防ぐのは不可能といっていいでしょう。

相撲協会は専門家からのアドバイスを基に各部屋に感染防止の指導をしているといいますが、その具体的な内容は公表されておらず、それがきちんとしているのか、各部屋がそれを蔑ろにしているのかはわかりません。
わかっているのは部屋からひとりでも感染者が出ればその部屋が活動停止になるということです。
これはつまり部屋全体がひとつのバブルになっているだけで、部屋のなかで複数のバブルが形成されていないということです。
部屋をいくつかのバブルに分けていれば、1つのバブルに問題があっても、その他のバブルに属する力士は出場が可能なはずなんです。
それができていないのは、つまり、住居スペースを分け、食事時間をずらし、稽古のグループも複数作るといった工夫がされていないということです。

とにもかくにも新しい対策を構築すべきです。それも早急に。でなければ来場所以降も今場所と同じような事態に陥ってしまいます。
たまたま今場所は逸ノ城と照ノ富士の部屋に感染者が出ませんでしたけど、それはほんの紙一重の差であって、この2人が14日目から休場していたら、貴景勝と正代の優勝決定戦だったんですよ?
とんでもない事態です。
協会挨拶をした八角理事長が表彰式にはいなくなっているというおかしなことも起こりましたし、大相撲は相撲部屋の運営方法を抜本的に見直すべきです。

「相撲部屋は家族」なんていいますけど、いまは一般でも家庭内隔離が当たり前ですぜ。
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御嶽海の大関昇進と大相撲への不満

この令和4年初場所を13勝2敗で制した御嶽海は、三役での直近3場所も合計33勝となり、大関昇進の目安をクリアしたことで、ついに今日1月26日、正式にそれが決定しました。
使者を迎えての慣例の口上は「大関の地位を汚さぬよう、感謝の気持ちを大切にし、自分の持ち味を生かし、相撲道に邁進して参ります」という実直なもので、普段軽口ばかりを叩いている彼が珍しく恭しい態度になっていましたし、大関の重さを十二分に受け止めているようです。
きっと、いい大関になると思いますし、私も長野県民として大いに期待しています。
おめでとう、御嶽海!

そうして緊張の伝達式が終わり、記者とのやり取りになったわけですが、信州出身の大関といえば江戸時代に活躍した伝説の力士・雷電が有名ですから、記者がそれと絡めて記事を書きたそうにしているのを感じた御嶽海も「雷電が生涯10敗なら自分は年間10敗」と軽くリップサービスしていました。
他の横綱や大関はあんまり面白いことをしゃべってくれないので、マスコミからは好かれそうですね。
ただ、マスコミの恐ろしいところは、記事を脚色することです。
御嶽海は雷電との例えで年間10敗といったのに、一部のマスコミは「年間80勝宣言」と書き立てていましたけど、これは毎場所優勝か準優勝くらいの成績になりますから、”今年中の綱取り宣言”とも受け取れるわけです。
御嶽海本人は「番付にはまだ上がある。そこを目指したい」と述べてはいるものの、そのニュアンスはあくまで目標といった感じのものですから、報道とは乖離があるといっていいでしょう。
御嶽海はマスコミに言葉尻を捕らえられないように気をつけなければなりませんね。

もっとも、私は今年中に御嶽海が横綱に昇進する可能性もけっこうあるんじゃないかと思っています。
大相撲はタイムや距離や重さを計る競技ではなく、他者との勝った負けたですから相対的なものです。
それで考えると、現在、御嶽海より強い力士は横綱・照ノ富士しかおらず、その照ノ富士も膝の状態が万全ではないわけですから(初場所も膝を悪くして後半失速)、御嶽海がこの令和4年を席巻してもなんの不思議もありません。
琴ノ若や豊昇龍といった若手も脅威になるにはもう少し時間がかかりそうですしね。

そうして仮に御嶽海が横綱になったら、信州人としての私はもちろん嬉しいんですけど、一相撲ファンとしての私は複雑に感じることでしょう。
正直、照ノ富士や過去の横綱と比べれば御嶽海の実力は一段二段劣ると思うんです。
それでも他に強い力士がいなければ自然にトップに上がってしまうのが大相撲です。
なにがいいたいかといえば、いまの大相撲のレベルの低下です。
その象徴が昨年名古屋場所の白鵬の全勝優勝とその後の引退です。
36歳の大ベテラン横綱に誰も引導を渡せず、白鵬は「右膝の怪我」という自己都合で土俵を去ったのですから、いまの大相撲のレベルは白鵬の退化よりもも速いスピードで低下していることになります。

この問題は相撲ファンや朝青龍などの元力士が度々指摘していることですが、その原因としてよくいわれるのが「外国人力士の減少」です。
相撲協会は2002年に「外国人力士や各部屋ひとり」という通達を出したのに続き、2010年には「外国出身力士は各部屋ひとり」と改訂し、日本国籍を取得した外国出身力士にもその範囲を広げたため、門戸は恐ろしいほど狭まりました。
10年前に比べて外国出身の関取が半分ほどになってしまったほどです。
しかも減ったのは外国らかの入門者だけではなく、日本人の入門者も毎年80人ほどしかおらず、これは20年前の半分以下の水準ですから、土俵のレベルを維持できるはずがないんです。

世界には相撲・レスリングのプロリーグは日本の大相撲しかなくプロレスはエンターテイメント)、他国のそれと比べられることがありませんから相撲協会は競技レベルに無頓着なのでしょうけど、それは大きな間違いです。
ファンは過去の力士を憶えていて、常にそれと比較しているものです。
競技レベルの低下は必ず人気の低下に繋がるんです。

門戸を広げ、力士の待遇を改善し、とにかく新弟子を増やすべきです。
そのための資金もNHKとの契約交渉で捻り出せばいいでしょう。
NHKの中継に合わせて取り組み時間が決まっているのですから一蓮托生です。
私は真の意味での”土俵の充実”を願っています。
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白鵬引退、偉大なる横綱に最高の敬意を

令和3年の今日10月1日、大横綱・白鵬が引退を発表しました。
「ほっとした気持ちでいっぱい。迷いはない」と語った白鵬ですが、7月の名古屋場所では全勝優勝を果たしているだけに(9月場所は部屋の力士が武漢肺炎にかかり、濃厚接触で休場)、もう少しその雄姿を見たかったというファンも多いかもしれませんし、私もそのひとりです。
しかし、白鵬は我々に”最強”のイメージを抱かせたまま土俵を去りたかったのでしょう。数々の金字塔を打ち立てた大横綱の決断なのですから、我々もその美学を受け入れるしかありません。

白鵬は引退の理由について以前から悩まされてきた右膝の怪我を挙げていました。
しかも引退を決めたのは、名古屋場所の10日目に10連勝を決めたときだったそうです。
横綱の責任としての二桁に達したことで、親方と家族に気持を伝え、そこから5連勝で全勝優勝なのですからかっこよすぎます。
名古屋場所前に引退を発表しなかったのは、照ノ富士の横綱昇進や東京オリンピック・パラリンピックという慶事が続き、それに水を差さない配慮だったとのことですが、オリンピック開会式での土俵入りも念頭にあったのかもしれません。

そしてその引退理由の右膝ですが、宮城野親方の説明によると「3、4年前から前に出る相撲が取れなくなっていた」とのことですし、白鵬も世間や横綱審議委員会が期待する”横綱相撲”が難しくなっていたことを謝罪していました。
確かに晩年の白鵬は内容ではなく勝ちにこだわる相撲が多く、荒っぽい技に批判が起きることも多々ありました。
尊敬する大鵬の「横綱は負けてはならない」という言葉を体現する相撲でしたが、なかなかそれが認められず、白鵬も苦しかったと思います。
私個人は大横綱が勝利への執念で土俵を守っている姿に強い敬意を抱いていました。
この3、4年でいうと鶴竜との2横綱体勢だったものの、鶴竜も休場が多く、白鵬があっさり土俵を去っていれば、大相撲はレベルも人気ももっと低下していたことでしょう。

白鵬は思い出に残る相撲として、横綱・朝青龍から奪った金星(出世が早いので最初で最後)と63連勝で止められた稀勢の里の一番を挙げていました。
この2人が相撲人生の強敵(と書いて”とも”)だったといっているようなものですし、その2人が白鵬の引退に対して賞賛のコメントを贈っていることも、絆の強さを感じさせます。
白鵬に強敵だったといわれて、朝青龍も荒磯親方(稀勢の里)も嬉しかったでしょね。

そんな白鵬が打ち立てた輝かしい記録のなかでも特筆すべき歴代1位でいうと、優勝回数45(2位大鵬32)、通算勝星1187勝247敗(2位魁皇が1047勝)、幕内通算勝星1093勝199敗(2位魁皇が879勝)、横綱在位85場所(北の湖63勝)などは今後も破られそうもない偉大過ぎる金字塔です。
2位以下との差から見ても、史上最強・最高の力士は白鵬であると断言していいでしょう。
そして横綱在位15年のうち、ひとり横綱も17場所ありましたし、最強横綱として長きに渡って大相撲の看板を背負ってきたことも大いに評価されるべきです。
さらには19年のラグビーW杯日本大会で来日したフランス代表チームが宮城野部屋を訪れ、白鵬に稽古をつけてもらったとき、選手たちが「ハクホー!ハクホー!」といって大興奮していたのも記憶に新しいところですし、白鵬が国際的にも大相撲のアイコンだったことがわかるエピソードです。

また白鵬の存在感は土俵の外でも発揮されていて、相撲振興のために平成22年から〈白鵬杯〉という小中学生の相撲大会を開催し、令和2年には10回目を数えました(今年は武漢肺炎で中止)。
この大会は年々規模を拡大していって、世界各国からも選手が参加するようになった令和2年には1100人もの小中学生が参加したとうのですから、これだけでも白鵬はなにか表彰されるべきです。
しかもこの大会の1回目の優勝者である打越奎也くんが阿武咲となって白鵬から金星を挙げて恩返しするのですからドラマのようです。
白鵬はファンサービスや社会貢献にも積極的ですし、横綱として相撲の地位向上に大きく寄与してきたのは間違いありません。

そういう大横綱が引退して親方になる。
少し寂しいですけど、また違った立場で相撲に尽力してくれると思えば頼もしい限りです。
白鵬は内弟子としてスカウトした力士を何人も関取にしていますし、指導力は折り紙つきですしね。

ところが〈年寄資格審査委員会〉とかいう下らない連中が「白鵬は素行が悪い」といちゃもんを付けて、「親方になっても問題を起こさない」という誓約書を書かせたというのですから、失礼極まりありません。
弟子にパワハラしたり殴り殺したりした親方もいましたし、賭博にはまってクビになった親方もいました。
つい最近も感染症対策違反で風俗通いしていた親方がいましたよね。
そういうのを審査した委員会は”任命責任”を取ったのでしょうか?
問題が起きたら頬かむりするような無責任な連中が白鵬に誓約書とか笑えない話です。
私は怒りに打ち震えています。

常識的にいえば、相撲協会もその弾三者機関たる有識者会議も、白鵬の長年の功績を称え、労い、三顧の礼で一代年寄〈白鵬〉を贈るべきです。
史上最高の横綱に最高の敬意が払われないなんて、大相撲の品格が疑われますぜ。
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