異例の9月場所、MVPは豪栄道

「下がる場所がないので前を見て一生懸命頑張りました」

10日目の時点で首位の豪栄道に星3つの差をつけられながら、千秋楽の決定戦で逆転優勝を決めた横綱・日馬富士は優勝インタビューで序盤の3連敗の心境を聞かれると、そう応えていました。
この平成29年9月場所は4横綱のうち3人が休場するという異例の場所で、”一人横綱”として土俵を支えることとなった日馬富士は「下がる場所がない」、すなわち「休場は絶対にしない」という不退転の覚悟があったのでしょう。
日馬富士は両肘と両足首に慢性的な故障を抱え、ひょっとしたら休場した3横綱よりも状態は悪いかもしれないわけですから、その気持ちの強さには脱帽する以外にありません。
日馬富士の気力については場所後の横綱審議会でも、各委員から賞賛の声が上がっていました。

日馬富士は横綱昇進したとき(12年10月)の体重が”幕内最軽量”の133キロだったことが話題になったように、際立って細身の力士です。
データで見ると歴代の横綱のほとんどは幕内平均よりも身体が大きく、心技体でもまずは”体”で相手を圧倒していたことがわかります。
しかも、横綱には”横綱相撲”という言葉があるように、相手の攻めを真向から受け止めた上で勝つということが求められるわけですから、身体の小さな横綱の苦労というのは並大抵のものではありません。
それが日馬富士の怪我の多さに繋がっているのも間違いありませんし、平幕相手の星を落とすことも多く、今場所は金星を4個も配給し、通算でも39個という歴代2位タイの不名誉な記録を作ってしまったのもそのせいだと思います。
(※10日目までに3差の逆転優勝が史上初なら金星4個配給の逆転優勝もまた史上初。本当に珍記録。)

しかし日馬富士は今回で9度目の優勝を飾り、回数でいうと歴代12位タイですから、すでに”名横綱”と呼んでもいいほどの成績を残していんです。
それも白鵬という伝説的大横綱と同時代にありながらの優勝回数ということを考えれば、数字以上に評価されるべきでしょう。
日馬富士はそういう成績を大相撲史上でも「最も速い」ともいわれる”立ち合いの鋭さ”で積み重ねてきたわけですが、それこそ心技体の”技”に他なりません。
そしてそこに幕内でも「最も気が強い」という”心”が加わって体格の小ささを補っているわけです。
やはり横綱になる力士というのはなにか”違い”を持っているということなのでしょう。

そして今場所、その違いを見せつけられたのが大関・豪栄道だったわけですが、11日目終了時点で10勝1敗、2位以下に”星2差”をつけ、賜杯に小指がかかった状況から、12・13日目にまさかの連敗。
しかも平幕相手に”引いて”敗れるという情けないものでした。
立ち合いが硬く、足も出ず、優勝がちらついたせいで過度に緊張してしまったのでしょう。
”心”の部分といえばそれまでですし、横綱審議委員からも「ふがいない」という言葉が漏れていたのも仕方ないことかもしれません。
ですが、私は豪栄道をそう強く責める気にもなりません。
そもそも豪栄道は大関といったって、昇進後に1度優勝しているものの、19場所で負け越しが6場所、8勝止まりが6場所という、あまり強くない大関なのです。
ちなみに今場所だって角番でした。
それが2日目から10連勝で場所を引っ張ったのですから十分評価されるべきです。
千秋楽は本割と決定戦であえなく日馬富士に敗れて印象は悪くなってしまいましたが、15日トータルで見れば大関の役割は完遂したといってもいいはずです。

ようするに今場所は日馬富士が一人横綱のプレッシャーから相撲がちぐはぐになって序盤に連敗したものの、終盤に見事建て直し、実力通りの優勝を遂げたというだけのことなのです。
日馬富士の”一人相撲”といってもいいでしょう。
そんななか調子の良かった豪栄道は不運にも当て馬のようになってしまったわけです。
決定戦で豪栄道を寄り切った日馬富士が、豪栄道を労うように肩をポンと叩いていましたけど、あれは「俺のせいでゴメンな」ということなのだと思います。

優勝を逃した豪栄道はずいぶんショックを受けているようですけど、周りのひともあまり責めないで欲しいものです。
3横綱2大関が休場するという異例の場所で、日馬富士も序盤で躓いたわけですから、豪栄道の活躍がなければ、今場所はどうなっていたかわかりません。
大相撲の格と、興業として面白さを守ったのは間違いなく豪栄道です。
私はこの大関を大いに称えたいと思います。

それに、来場所は”綱取り”ですよね?
11勝とはいえ今場所は間違いなく”優勝に準ずる”成績を挙げたわけですから、来場所はどんな低い成績であっても優勝さえすれば横綱になるんですよね?
一場所しか優勝していない稀勢の里を満場一致で横綱に昇進させた横綱審議委員会のみなさんは、豪栄道を無碍にしませんよね?
豪栄道にはぜひ来場所優勝してもらって、「ふがいない」と抜かした審議委員会をコテンパンにやっつけて欲しいものです!
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力士も自分たちを自分たちで守らねば

今日3日目にようやく御嶽海に白星がついて信州中が安堵した平成29年9月場所ですが、今場所は初日から3横綱と平幕2力士が休場するという寂しい状況。
しかし、これは他の力士にとっては番付を上げるチャンスであり、大相撲全体にとっても世代交代のきっかけになるかもしれませんし、ニュースターはこういうときに誕生するものです。
…ところが、その候補の一番手たる大関・髙安が2日目の土俵で足を怪我して今日から休場、小兵で人気の宇良も同じく休場となってしまって、番付表はもうスカスカです。取組編成会議も頭が痛いでしょうね。
また、休場はしていなくても、日馬富士や照ノ富士、琴奨菊や栃煌山など慢性的に怪我を抱えている力士も多く、サポーターやテーピングをしていない力士の方が少ないくらいなのですから、明日また誰かいなくってもおかしくはありません。

今場所は顕著ですが、ここ数年の大相撲は「怪我が多い」という声がメディアでもファンの間でもよく聞かれます。
私も統計を取ったわけではありませんが、そういう印象です。
若手有望株が怪我で番付をエレベーターのようにしたり、実力派のベテランが怪我で番付を落としながら、十両で粘り強く相撲を取り続けているのを見ているとどうしてもそう思いますよね。

その原因として、相撲解説者や記者などが指摘するのが「力士の大型化」です。
身体が大きいと自分にも対戦相手にも負担になる、上手く相手の攻めをかわせない、というわけです。
確かに一理あります。
幕内力士の平均体重でいうと、10年前は約150キロだったのが、いまは約160キロになっているのでその影響は否定できないでしょう(平均身長は約185センチで変わらず)。

ただ、ここで興味深いのは、平均体重がぐっと増え、150キロ代後半に突入していったのが、”平成23年”だということです。
これは、忘れもしない〈八百長問題〉が発覚した年です。”3月場所が中止”になるという、大相撲始まって以来の恥ずべき年でした。
そして、そこからの大相撲は”ガチンコ”(真剣勝負)へとシフトしていったわけですが、力士の大型化というのはそのガチンコに対応したものと考えるのが妥当です。
”負けないため”に身体を大きくした結果といっていいでしょう。

私は怪我が多発する原因はむしろ、その”負けないため”だと考えています。
土俵際で粘る、投げを打たれても耐える、そうしていれば身体に負担がかかるのは当然です。
身体のために力を抜いてすんなり負ければ、「八百長だ!」といわれかねないわけですから、力士だって必死です。
八百長問題前は15日間をトータルで考えていたのが、その日その日で全力を尽くさねばならない力士たちの負担は想像を絶するものがあります。

ガチンコ時代になってからは番付を守るのが本当に大変です。
一番わかりやすいのは大関陣です。
把瑠都(25年9月)と琴欧洲(平成26年3月)は休場を繰り返した後に引退してしまいましたし、琴奨菊は大関陥落、豪栄道と照ノ富士も角番が多くて毎場所ヒヤヒヤです。
ここで一昔前を思い出してください。
魁皇や千代大海が君臨していた時代です。
あの2人は大関在位記録の1、2位ですし、時代が重なっていた琴欧州が4位、琴奨菊が10位だということを考えれば、八百長問題の前と後では大相撲の質そのものが劇的に変化したことがよくわかります。

力士の怪我を防ぎたいのだったらそこから目を背けてはなりません。
ガチンコで年6場所はきつすぎるんです。
相撲協会も「土俵の充実」いうのだったら年4場所に戻すべきです。
しかも、相撲協会は八百長問題からの人気回復のためか、ここ4年で巡業数を倍増させています。
力士は休む暇もありません。
実は一昨年、白鵬が会長を勤める〈力士会〉(関取の親睦団体)から巡業の改善要請がなされましたが、残念ながら今年も巡業も過密さは変わりません。
相撲協会は力士の声に耳を傾けることはしないんです。

世界にも日本にもプロスポーツ組織はたくさんありますけど、日本相撲協会ほどブラックな組織はないといっていいでしょう。
なにしろ力士(選手)の労働組合を認めていないんです。
力士は常に相撲協会のいいなりで、待遇も労働環境も改善されることがなく、使い捨てです。
なにかあっても誰も力士を守ってはくれません。立場は常に危ういのです。
わかりやすいところでいうと、八百長問題のときに協会から解雇判定を受けた蒼国来は裁判で解雇無効を勝ち取りましたけど、彼は個人で戦いました。
また少し前の大麻問題のときも、露鵬と白露山は刑法犯でなかったにも関わらず、「外国で吸引した」というだけで解雇されてしまったのです。
力士の契約がどれだけあやふやで、どれだけ相撲協会が強い権力を持っているかよくわかる事案です。
こういうとき、普通のプロスポーツ組織ならば”組合”が選手を助けるものです。簡単に解雇などされません。

力士の怪我を防ぐためには、まず組合の設立です。
自分たちの身は自分たちで守るんです。
残念ながら、大相撲ではメディアも解説者も記者も力士の味方ではありません。
彼らは相撲協会の代弁者にすぎないんです。
そして、悲しいかな、ファンも力士の味方ではありません。
これまでファンが相撲協会の決定に反対運動をしたことがあるでしょうか?
私は〈カムバック蒼国来! 署名運動〉くらいしか知りません。
ようするにファンも無意識のうちに相撲協会の決定を絶対視しているんです。

力士を守るためにはファンの意識改革も必要です。
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伝統と歴史を大切にする大横綱に相応しい記録

平成29年名古屋場所13日目、横綱・白鵬が前人未踏の通算1048勝という大記録を打ち立てた今日、昨日まで1047勝で並んでいた浅香山親方(大関・魁皇)は「自分は大関だったからこの数になった。横綱という地位でやっているから凄い」という感嘆の声を漏らしていました。
負けても地位が下がらない横綱は、力が衰えれば引退という道しかありません。
そういうなかで記録を更新することの大変さを浅香山親方は語ったわけです。
これこそ白鵬に対する最高の褒め方だと思います。

いうまでもありませんが、白鵬は幕内での勝利数も歴代最多の954勝ですし(2位は魁皇の879勝)、横綱在位中の勝利数でも760勝で最多記録を更新中です。2位は北の湖の670勝ですから、すでにかなりの差が開いています。
しかも北の湖は横綱在位63場所でこの記録、白鵬は今場所が61場所目なのですから、”強すぎて嫌われた横綱””江川・ピーマン・北の湖”とまでいわれたあの大横綱よりも勝率が高いんです。

そしてその率でいえば、白鵬が最も評価されるべきは休場率かもしれません。
白鵬は横綱在位61場所(今場所含む)でわずか37休しかしていないんです。
北の湖は在位63場所で107休、千代の富士が59場所で137休、最近では貴乃花が49場所201休、曙が47場所で166休、朝青龍が42場所76休ですから、白鵬がどれだけ休まない横綱かということがわかります。
(※朝青龍は仮病問題での2場所出場停止処分も含みます。)

相撲は興行であり神事です。
横綱は大相撲の大看板であり、興業の中心にいるのはもちろん、土俵入りで四股を踏み、国土安寧・五穀豊穣を祈る必要があるわけです。
想像してみてください、横綱不在の大相撲を。
最近では平成4年名古屋場所から平成5年初場所までの4場所がそうでしたけど、そのときの寂しさといったらありませんでした。
そしてその横綱も、いわゆる”ひとり横綱”となればそのプレッシャーは計り知れません。
自分が休場すれば興業の中心が欠け、土俵入りが行えない。負けが込めば場所が白ける…。
曙(ひとり横綱11場所)も朝青龍(21場所)も、自分の次の横綱が生まれたときは本当に嬉しそうでした。
それは日馬富士が横綱に昇進したときの白鵬(10場所)も同じことです。

しかし、白鵬は日馬富士が横綱になっても、鶴竜が横綱になっても、休場はしませんでした。
いつも土俵の中心にいて、連勝記録や優勝記録で大相撲を盛り上げてくれていたわけです。
横綱の責務というのは”土俵に立ち続けること”だということを、身をもって語っていたといっていいでしょう。
そして初めて休場したのが平成27年の秋場所。横綱在位49場所目の途中のことです。
ちなみに日馬富士が横綱として初めて休場したのは平成26年初場所で、在位8場所目。
鶴竜は平成平成26年大阪場所で、在位6場所目。
こう比べれば横綱・白鵬がいかに大相撲に貢献していたかがわかるというものです。

白鵬の最多通算勝利というのは、そういう責任感と使命感の上に成り立っているものです。
横綱にはよく”品格”というわけのわからないものが求められますけど、私は白鵬こそ品格抜群の大横綱だと思います。
しかも白鵬は、相撲の歴史に精通し、過去の力士への敬意を欠かさないばかりか、力士の髷を守った明治天皇と大久保利通への感謝まで口にするのです。
私はこういう横綱を他に知りません。

そういえばモンゴルにいる白鵬のお母さんは、通算勝利へのインタビューで、「息子が力士としてここまで成長できたのも、過去の横綱から生き方を学び、先輩力士からの指導があったからでしょう」と話していました。
この母にしてこの子あり、ですね。
これからの力士たちは白鵬から多くを学んでほしいものです。

そして、日馬富士が「偉大な横綱と同じ時代にいることが嬉しい」と語っていたように、我々も”白鵬の時代”を楽しもうではありませんか。
間違いなく伝説になる時代なのですからね!
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力士ファースト

地元出身の幕内力士がいる都道府県のみなさんならおわかりでしょうけど、本場所が始まれば地元ニュースのトップ項目で扱われることも珍しくなく、その勝敗に全県民が一喜一憂し、横綱・大関に勝利しようものなら、その日の夜から次の朝までは県内全域がふわふわした雰囲気に包まれます。
私の住む長野県などは、いま売り出し中の関脇・御嶽海がいるので、この名古屋場所(平成29年)も毎日が楽しくて仕方ありません。
今日は難敵・嘉風に勝利して、これで4勝2敗。2桁勝利に向けて、なかなかいい感じの序盤戦です。
しかも今場所は横綱・鶴竜と稀勢の里、そして大関・照ノ富士が途中休場しているので、御嶽海にとっては大きなチャンスです。ひょっとしたら関脇の上が狙えるかも…。
(※稀勢の里には初日に勝利。)

ただ、今場所は上記の3力士に加え、人気者の遠藤も途中休場してしまっているので、土俵が寂しくて仕方ありません。
しかも、6日目の今日などは稀勢の里と照ノ富士の途中休場により、不戦勝の勝ち名乗りが2番。
これじゃあお客さんも可哀想です。
そもそも、この4力士は場所中の怪我が原因というよりは、負傷箇所がありながら強行出場し、そこを悪化させての途中休場なんです。最初から休んでおけば、不戦勝などというつまらないことにはならなかったわけです。

その判断でいえば、特に問題なのは鶴竜と稀勢の里の両横綱です。
照ノ富士や遠藤は休場すれば番付が下がってしまうので(照ノ富士は角番)、怪我をごまかしながら8勝を目指すという選択もまだわかりますが、横綱は休んだって番付は落ちないのですから、”全休”して、じっくり怪我を治すことを優先させるべきでした。場所前の巡業や稽古だって休めばいいんです。
横綱が「出る」と判断したら15日間取り続ける。15日間持たないと思えば「出ない」。それこそが責任というものです。
そしてじっくり体を治した結果、横綱らしい相撲が取れないのであれば潔く土俵を去る。それが横綱の宿命です。

その鶴竜は2場所連続の途中休場となったことで、親方が復帰場所で進退をかけることを示唆し、鶴竜本人も自分の置かれた状況を理解しているようです。
ただ、近年でいうと、貴乃花が7場所全休→12勝→全休→場所途中引退発表。
若乃花が途中休場→全休→負け越し→2場所全休→場所途中引退発表。
武蔵丸が途中休場→3場所全休→途中休場→全休→場所途中引退発表。
なので、10勝→優勝→途中休場→10勝→2場所連続途中休場の鶴竜が次の復帰場所で進退をかけるのは時期尚早のような気もします。もうワンテンポ待ってもいいのではないでしょうか(鶴竜のあだ名はわんわんですし)。

なにしろ、鶴竜に厳しくしてしまうと、同じく2場所連続途中休場の稀勢の里も追い込まれかねません。
鶴竜が1、2場所全休した後の「進退をかけた」復帰場所で負けが込んできて引退してしまったら、同じような状況になった稀勢の里も後を追わなければ「往生際が悪い」ということになってしまいます。
その稀勢の里は横綱に昇進してまだ3場所なんです。
年6場所制になって以降の横綱在位最短記録は三重ノ海の8場所ですから、稀勢の里はそれを更新する可能性も出てきてしまいます。
せっかくの”日本人横綱”が不名誉な記録に名を刻まないよう、相撲協会や横綱審議委員会は鶴竜に優しくせねばなりませんね。

それにしても力士の怪我は土俵を盛り下げます。
そもそも年6場所というのが多すぎるのではないでしょうか?
ボクシングなら年に2、3試合、柔道でも3、4大会なんです。
しかもボクシングなどは試合前の検診で問題があれば、ドクターストップがかかります。
相撲協会には”力士を守る仕組み”を作ってもらいたいものです。
アスリートファーストで!
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外国人力士への感謝

いま行われている平成29年名古屋場所、横綱・鶴竜は4日目(2勝2敗・4日目は不戦敗)に休場を発表。
これで直近6場所では3度目の休場、横綱になってからでいっても6度目ということで、ついに師匠である井筒親方からも「次に土俵に上がっても勝てなければ、潔く決断しなければならない」という発言がありました。
鶴竜本人は「この怪我で終わりたくないという強い気持ちがある」と前向きな姿勢を見せていますが、前途多難といっていいでしょう。

この鶴竜の進退については、相撲ファンの間でも「引退すべし」という声が聞かれますし、横綱の地位に恋々としている書くメディアもあります。
怪我(両足首)もあって内容の悪い相撲を繰り返していますから、批判も当然でしょう。
しかし、私は鶴竜がそんな未練がましい力士だとはどうしても思えません。

これは私の想像ですが、鶴竜が髷を落とさないのは”日本国籍”を持っていないからなのではないでしょうか?
日本相撲協会の規定では、日本国籍がなければ、年寄(親方)にはなれません。
モンゴル国籍の鶴竜は、横綱という最高位にありながら、現役を引退すれば角界に残れないんです。
同じくモンゴル国籍の横綱・白鵬は、帰化せずに親方になれるよう協会に訴えているようですが、それに賛同する声はまったく聞かれません。
故・北の湖理事長は「日本国籍が必要」と明言していましたし、最近でも貴乃花親方が否定的な見解を述べていました。

ですが、私にはなぜ相撲協会が”日本国籍”という要件にこだわるのかわかりません。
もちろん、日本の他のスポーツにも似たような要件はあって、たとえばJリーグは外資の参入を禁止していますし、プロ野球は外国人・外国企業がオーナーになることを認めていません(ロッテの特例に違和感)。
外国からの影響が強くなると、リーグの発展や強化に支障を来すという考え方ですが、これはこれで理解できるものです。
相撲協会も理事は年寄のなかから選ばれるので、”日本国籍”という要件がなければ、外国人年寄に協会が支配されてしまう…と考えているのでしょうか?
しかし、外国人親方や理事が誕生しても実際にはそうはなりません。
相撲協会にはそれを阻む規定があるんです。
それは”帰化も含め、外国出身力士は1部屋1人まで。全体でも40人まで”というもの。
これがある限り、外国人は絶対に相撲協会(理事会)で多数派にはなれないんです。

なぜならば、親方になるためには、日本国籍以外にも、”最高位が小結以上””幕内在位通算20場所以上””十両以上での在位が通算30場所以上”の3つの決まりがあるからです。
これは簡単にいえば、”幕内でそこそこ活躍した力士”ということができるでしょう。
そしてその幕内でいえば、規制ルールのおかげで、外国人力士の割合は”3分の1”ほどなんです。
その割合で外国人が年寄になっても、理事会では日本人が安定して多数を占めるというわけです。
しかも外国人力士は必ずしも協会に残りたいひとばかりではありませんし、部屋を構えるための後援会作りでも外国人は不利ですしね。

このように現役力士のときから外国人を締め付けているわけですから、親方になる要件から日本国籍を外してあげてもいいのではないかと私は思います。
いまのままではあまりにも閉鎖的ですし、このままでは相撲を極めた白鵬や鶴竜が、数年後には角界を去ることになってしまうんです(日馬富士は帰化を検討しているとの報道あり)。
白鵬は歴史に残る大横綱ですし、鶴竜はその人格を高く評価されているだけに、角界の損失は計り知れません。
せめて、横綱や大関という地位にまで上がった外国人力士には年寄になる権利を与えてはどうでしょう。

相撲協会は「モンゴルへ帰れ!」というヘイトスピーチにも何も対応をしていませんし、客観的に見れば悪質な差別集団です。
私はそれが残念でなりません。
大相撲は国技であると同時に、世界の”ちからひと”たちの祭典でもあるはずです。
ウィンブルドンであり、THEOPENであり、メジャーリーグであり、プレミアリーグなんです。
そこに誇りを持ちましょう。
そして、世界の”ちからひとたち”が日本の国土安寧・五穀豊穣のために四股を踏んでくれる。
そこに感謝してこその日本人です。
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かつしき

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