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Jリーグ30周年MVPとベストイレブン

1993年5月15日に華々しいスタートを切ったJリーグが昨日でちょうど30周年を迎えるということで、記念イベントが催され、そこでこの30年全体のMVPとベストイレブンが発表されました。

MVPはもちろん遠藤保仁。
J在籍26シーズン(内J1が23季)の大ベテランは今季もJ2のジュビロ磐田でバリバリのスタメンを張っていますが、通算出場試合数はダントツですし、数々のクラブタイトルと個人タイトルを獲っていますから、これに異論を挟むひとはいないと思います。
横浜フリューゲルスの解散という大事件やJ1・J2の昇降格を経験していることも含め、Jリーグの歴史そのものの選手といっていいでしょう。その価値は計り知れません。

そしてベストイレブンには、GK川口能活、DFに内田篤人、井原正巳、中沢佑二、田中マルクス闘莉王、松田直樹、MFは遠藤保仁、小野伸二、中村憲剛、中村俊輔、FWに三浦知良という綺羅星の如きメンバーが並びました。
今回はファン投票の得票上位からGK・DF3人・MF3人・FW1人が選ばれ、そこにサッカージャーナリストが選んだ残り3人を加えるという形でしたけど(20周年ベスト11はファン投票のみ)、選ぶひとの年齢やどこのクラブを贔屓にしているかで面子も変わってきそうです。
ファン・サポーターひとりひとりに心のベスト11があるはずです。

というわけで、私がベスト11を選ぶとしたらこうなります。
GK楢崎正剛、DFに井原正巳、中沢佑二、田中マルクス闘莉王、阿部勇樹、MFは遠藤保仁、中村憲剛、中村俊輔、小笠原満男、FWに中山雅史と大久保嘉人。
我ながらなかなかバランスの取れたメンバーじゃないでしょうか。
他にも秋田豊や佐藤寿人や藤田俊哉で迷いましたけど、泣く泣く私の心のベンチに座ってもらっています。

ちなみに今回は私なりの最低基準としてJ1出場300試合以上というのを設けました。
スタメンで10年ほど試合に出るとこれくらいになるので、Jリーグベスト11というからにはそのラインはクリアして欲しいというのが本音です。
それに、これなら若い頃Jリーグで鍛え、全盛期を欧州で過ごし、ベテランになってからJ復帰しても届く数字となり、中村俊輔などはまさにそのコースを歩み、さらには若い頃と復帰後の両方でリーグMVPを獲得しているのですから本当に凄いです。
俊さんのように3つの区切りで現役を過ごすで選手が増えればJリーグもより活性化すると思いますし、最近では大迫勇也と武藤嘉紀の存在が嬉しいですよね。

また、先に「ファン・サポーターひとりひとりにベスト11がある」と書きましたが、それでも”絶対に選ばれるべき選手”というのはあるかと思うんです。
ベスト11は人気投票になりがちとはいえ、サッカーはスポーツですから残した実績から目を背けてはなりませんし、それが突き抜けていれば敬意を持って評価されるべきです。
たとえばJ1出場600試合を超える遠藤保仁と楢崎正剛、590代の中澤佑二と阿部勇樹、唯一2度のMVPを獲得している中村俊輔、J1での191ゴール(J2で18)というダントツの記録を持っている大久保嘉人などは誰が選んでもベスト11に名を連ねるべきではないでしょうか。

しかし、ファン投票だとどうしても”代表での印象”が影響して、代表であまり活躍できなかったり、同ポジションに目立つライバルがいる選手は損をしているような気がします。
楢崎、阿部、大久保などはその部類だといっていいでしょう。
Jだけを考えたらこの3選手がベスト11から外れるなんて考えられません。
大久保は最多警告記録がマイナス要因かもしれませんが…。
歴代代表ベスト11はサッカー専門誌なんかで発表しているので、それをもっとフォーカスして、Jベスト11ときっちり区別していたら、投票結果も違ったものになっていたのではないでしょうか。

その意味でいうと、代表でも国際Aマッチ152キャップという最多記録を持ち、W杯でもインパクトを残している遠藤保仁はどの方向から見てもMVPですよね。
文句をいうひとはどこにもいないでしょう。
…と思っていたら、俊さんが「俺は納得していない」といって反対していたので、私も大爆笑しました!
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23年の信州ダービーはパルセイロの連勝から

この2023シーズンもAC長野パルセイロと松本山雅がJ3で戦うこととなったため、長野県大会を含めて3試合が行われることになった信州ダービーですが、その初戦となった5月7日の長野県大会決勝は延長を経てPK戦までもつれ込む激闘の末、パルセイロが勝利を収めました。
これがなんと15年ぶりの白星だったのですから、雨のなか松本市まで遠征した長野サポーターの喜びもひとしおだったことでしょう。
しかもPK戦の5人目が昨季まで山雅に所属していた大野佑哉だったのですから本当にドラマチックでした。
蹴る順番を決めたシュタルフ悠紀リヒャルト監督も、アルウィンの松本サポの目の前でゴールのド真ん中に蹴り込んだ大野も、端倪すべからざる胆力でしたね。

また、この試合はGWのリーグ戦から中3日ということで、パルセイロは大幅にメンバーを入れ替え、山雅は小幅な入れ替えといった具合でしたけど、そういう状態でもパルセイロが押し気味にゲームを進めていたのはいまの両チームのJ3の順位が反映した結果だったかもしれません。
パルセイロは一時首位に立つなど好調を維持しているのに対し、山雅は上位にはいるもののどこか乗り切れず、大量失点のゲームが多いのも気になります。

そしてそこから中5日の昨日13日はJ3第10節、パルセイロのホーム・長野Uスタジアムでの今季2試合目の信州ダービーでした。
県大会決勝で勝ったパルセイロ側は意気軒昂、山雅側はリベンジに燃えていたことでしょう。
特に山雅はこれを落とすとリーグの順位としても上位から脱落してしまいますし、自分たちのサッカーへの自信が揺らぐという精神的なダメージも計り知れません。
もちろんパルセイロとしてはここでライバルを叩き、自分たちのサッカーへの自信を深め、J2昇格に向けて弾みをつけたいところです。

そんな両者の思惑もあって拮抗したゲームになるかと思っていたら、前半から完全にパルセイロのペース。
コンスタントにチャンスを作り、積極的にシュートを放ち続けるなか、31分にはデザインしたCKから秋山拓也のヘッドで先制!
シュタルフ監督がダービーのために取っておいた秘策でしょうか、綺麗に決まりました!よっしゃあああ!

そこからもパルセイロはいくつかチャンスメイクしたものの前半は1-0で終了。
もっとゴールが見たい内容でしたが、1点差の方が緊張感を持って後半に臨めるという考え方もあります。
4月30日の福島FC戦は前半2-0だったのに、後半3失点で大逆転負けという大失態でしたしね。

その後半も前半同様、パルセイロが自分たちの流れでゲームを進め、山雅は14分までに選手を4人交代するも、それに対応できず、34分のパルセイロの攻撃、途中出場の森川裕基(IH)が中央から素晴らしいドリブルでボールを運び、左に展開してからクロス、それに山本大貴が合わせて2-0!
山本も途中出場だったのでシュタルフ監督の采配もズバリでした!

そうしてパルセイロはロスタイムにGKの凡ミスから失点してしまうも、2-1での完勝。
明らかに内容で上回っての勝利。
私も正直、こんなに強いパルセイロは初めて観ました。
ちなみに、互いが長野パルセイロ・松本山雅という名称になって以降、連勝・連敗はこれが初めてのことです。
パルセイロはこの前の週に15年ぶりの勝利を挙げたと思ったら、この連勝ですから、Uスタのスタンドの盛り上がりは半端なかったですし、雨じゃなかったら善光寺参堂も渋谷みたいになっていたかもしれませんね。
私はというと、この現実が信じられなくて、ちょっと怖くなっているくらいです。
夢なら醒めないで!

そして今日、朝目覚めてニュースを確認すると、やはりパルセイロが勝っていました。
しかも今日行われた他の試合の結果、パルセイロは得失点差ながらJ3首位の座を取り戻したのです。
気が早い話、これを12月まで守ってくれたら最高ですし、J3は勢いに乗ったクラブがそのまま駆け抜けて行くことが多いリーグですから、前だけを見て猪突猛進で突き進んで行って欲しいものです。
いまのサッカーをやり続ければ、J2への扉は必ず開きます。

…ただ、いまのパルセイロにはGKとDFの層の薄さという懸念があるので、このままだといくつか取りこぼすゲームも出てくるかと思うんです。
それをどうにかするためにも、クラブとしてもスポンサー様と話し合って、シーズン途中での戦力の補強は考えておくべきでしょう。
今季はオカネを使うべきシーズンです。
勝てばどんどんお客さんも入りますしね!
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浦和3度目のACL制覇、今日だけは私もウイアーレッズ

「いま、アジアで最も強いサッカーのクラブはどこか?」
そう聞かれたらアジア、いや世界のサッカーメディアやファンは口を揃えて「アル・ヒラル!」と答えることでしょう。
ここ10年間でいっても、サウジアラビアリーグを5度制覇しただけではなく、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)では決勝に4度も進出してカップを2度掲げるという圧倒的な強さです。
また、この2022年2月のクラブW杯では準決勝でフラメンゴを倒し、決勝ではレアル・マドリーに敗れたものの、3-6という壮絶な打ち合いを演じたのも記憶に新しいところですが、スタメン選手のほとんどは昨年のW杯でアルゼンチン撃破した代表チームの主力であり、そこに有力外国人選手が加わっているのですから、その実力は世界のサッカーシーンでも存在感を示しつつあるといっていいでしょう。
(サウジは30年W杯の招致活動もしています。)

そんなアル・ヒラルはこの2022ACLでも優勝候補筆頭として順当に勝ち進み、昨年に続いての決勝進出。
準決勝でアル・ドゥハイル(カタール)を7-0でチンチンにするとか異常すぎますし、決勝の相手が可哀想になってきますが、その相手こそが我々日本の浦和レッズ。
両チームがACL決勝でぶつかり合うのはこれが3度目で、17年大会ではレッズが、19年大会ではアル・ヒラルが勝利の笛を聞いていますから、お互いに負けられない戦いといっていいでしょう。
特にレッズは決勝で同じ相手に連続でやられるのはきつすぎます(決勝はホーム&アウェイ)。

もっとも、下馬評では圧倒的にアル・ヒラル有利だったので、レッズサポーターでもない私などは半ば諦め気分でしたし、大差がつかないことだけを祈っていたくらいです。
ところが、アル・ヒラルホームのファーストレグ、レッズは前半早々に失点を許し、その後もとことんボールを支配され続けるも、GK西川周作(今季絶好調)を中心にした堅い守りで0-1のまま凌ぐと、後半に幸運なリフレクションから興梠慎三の同点ゴール!
アル・ヒラルがこの青天の霹靂のような失点で混乱したこともあって、試合はそのまま1-1で終了。
レッズは貴重なアウェイゴールを挙げ、有利な形でホームでのセカンドレグを迎えることとなりました。
(興梠の復帰は大正解でしたね。)

そして迎えた昨日5月7日(2023年)の埼玉スタジアム、”0-0でも優勝”という状況ではあったものの、アル・ヒラル相手に無失点は考えられませんし、実際前半から圧倒的に相手のゲーム。
強風のなか、前半のレッズは風下ということもあって、一方的な展開でした。
しかし、ファーストレグで相手の攻撃のリズムを掴んだのか、レッズの守備は最後のところで崩されず、0-0で前半を潜り抜けるのですから大したもの。

レッズの選手たちは凄まじい集中力でしたが、それを支えていたのは間違いなく5万を超えるサポーターたちでしょう。
試合開始前から鳥肌もののチャントでしたし、スタンドを彩るビジュアルサポート(コレオグラフ)もあれだけでエンターテイメントでしたし、選手の魂が無限に高揚するのも頷けます。
逆にアル・ヒラルの選手たちは心底ストレスを感じたことでしょう。前半0-0も”今日は自分たちの日じゃない”という気分にさせたはずです。

これで私もなんとなく0-0決着を予感しましたけど、レッズサポーターたちの力が奇跡を生んだのか、後半早々のフリーキックが風にも乗って相手のオウンゴールを誘発し、なんとレッズが先制!
風上をいきなり生かしました!
この失点後にアル・ヒラルが明らかにガクッと来ていたのは、中東っぽさというか、若いチームのせいかもしれませんが、対するレッズは試合状況でメンタルが左右されない老練なチームであり、それがファーストレグの1-1に繋がったのでしょうし、ワンチャンスをものにする運を掴み取ったといってもいいでしょう。

もっとも、戦力差があるのは現実であり、その後もやはりアル・ヒラルに攻め込まれ続けます。
このチームは本当に反則的です。欧州でもやれそうな選手をサウジの王族がマネーの力で国内に留まらせ、そこに南米とアフリカの代表級外国人を加えるなんて、日本では考えられません。
でも、そんな金満チームに”平等Jリーグ”が勝ったら最高に楽しいはず。
レッズサポーターには金の力に声の力で勝ってやろうと思っていたひと多かったんじゃないでしょうか。
そしてその声に背中を押された選手たちが層倍の力でプレイをするのですから、サッカー観戦がやめられないはずです。

埼玉スタジアムのボルテージが上がり続けるなか、レッズは守勢に回るも、相手をはめ込むような守備と西川のビッグーセがあってそのまま1-0でゲームセット!
ホームでの勝利という最高の形で3度目のACL制覇です!
本当におめでとう!
この日だけは私もウイアーレッズ!

それにしても2試合とも白熱していて、さすがACL決勝という感じの激しいゲームでした。
サッカーとしては面白みに欠けていたかもしれませんが、”戦い”という部分では大いに楽しめるゲームだったと思います。
試合後の浦和の選手・サポーターの爆発的な歓喜、そしてアル・ヒラルの選手たちの涙がこの決勝戦の価値を示していたといっていいでしょう。
(アル・ヒラルは巨大戦力だっただけにメディアやファンからバッシングされそう…。)

ちなみにこのセカンドレグにはアジア各国から記者がやってきていて、この結果もアジア中で大きく伝えられていました。
アラブメディアが悔しがっていたのはもちろん、チャイナメディアが凋落する自国のサッカーを嘆いていたのも印象的です。
我々はそれを慰めるふりをしつつ、腹のなかで大いに高笑いすることにしましょう。
これが世界的スポーツであるサッカーの楽しみのひとつですし、それをしたりされたりするのが真の国際交流というものです。

ところが、このACL決勝は日本ではまったくといっていいほどテレビ報道されず、ほとんどのひとがやっていることすら知らなかったくらいなんです。
試合中継はDAZNの独占なので地上波で流されないのは仕方ありませんが、ニュースで扱わないのは本当に異常な感じがします。
アジアで最も大きなプロスポーツのイベントの決勝に自国のクラブが進出しているというのは、公共性・公益性のある話題だと思うんですけどね…。

メディアで「日本の孤立」を叫んでいるひとたち、いままさにそうなっていますよー!
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W杯イヤーだというのに冷遇されるなでしこたち

マスメディアに無視されていることもあって、世間の多くはご存知ないかと思いますが、この2023年は女子サッカーのW杯が開かれるんです。
オーストラリアとニュージーランドの共同開催で、我らがなでしこジャパンももちろん出場し、7月22日にザンビアとの初戦が待っています。

そしてこの4月はメンバー選考前の最後の実戦テストであるヨーロッパ遠征が行われ、7日のポルトガル戦は2-1での勝利、11日のデンマーク戦はOGがあっての0-1の敗戦という結果に終わったものの、内容的には本番でそこそこやれそうな手ごたえを掴んだのではないでしょうか。
2月にアメリカで行われたシービリーブスカップでもブラジル戦(0-1)、アメリカ戦(0-1)、カナダ戦(3-0)と3試合通じて、シュート数やポゼッション率で相手を上回っていましたし、現在のなでしこジャパンはランク上位国相手にもやすやすとやられないだけの実力はあります。
私見ですが、前回W杯や東京五輪のときよりいいチームになっていると思います。目標にしている「ベスト4」も非現実的ではありません。
ただ、なでしこは”ゴリ押し”や”縦に速いサッカー”に弱いので、そこを相手に突かれると厳しいのので、本番では気合でなんとかするしかないでしょうね。
それがいまのなでしこに一番足りないものかもしれませんが…。

まあそれはさておき、あの11年W杯の優勝や12年ロンドン五輪の銀メダル獲得の頃に一躍スターになったなでしこジャパンも、そこから成績と人気がじわじわと低迷していって、マスメディアで扱われることが本当に少なくなりました。
いまのチームも、W杯出場を決めた昨年1月~2月のアジア杯、10月のW杯組み合わせ抽選、今年に入ってからのアメリカ遠征と欧州遠征、3月の本番用新ユニフォーム発表会と、ニュースになってしかるべき事柄は数多いのに、マスメディアでそれを目にすることはほとんどありませんでした。
さらに衝撃的だったのはアメリカ遠征(シービリーブカップ)のテレビ中継がなかったことです。
繰り返しますが今年はW杯イヤーなんですぜ。
マスメディアのなでしこへの冷遇ぶりは、野の花を踏みにじるような残酷さすら感じるほどです。

もっとも、マスメディアのほとんどは民間企業ですから利益を追求するのが当然であり、注目度の低いコンテンツに注力するのが難しいことくらい私だって理解しています。
残念ながら、いまのなでしこジャパンの試合は視聴率を稼げなくなっていますしね。
しかし、マスメディアには”社会的責任”というものがあるはずです。
女子サッカーのW杯は女子スポーツで最も規模の大きい国際大会であり、予選参加国数、総観客・総視聴者数ともに他の追随を許しません。
そういう大会に自国の女子チームが参加するのですから、メディアはそれ相応の扱いをしてしかるべきです。
日本のマスメディアは日頃から「日本では女性の社会進出が遅れている!政府の責任だ!」とことあるごとに騒いでいるのですからダブルスタンダードとしかいいようがありません。

もっとも、日本ではメディア関連の企業の幹部・役員に女性がほとんどいないのも有名な話です。
だから女子スポーツについても、”男性目線”で女子ゴルフくらいしか追いかけないのでしょう。
ちなみに同じ女子サッカーでいうと、2020年に発足したWEリーグは「日本に女性スポーツを根付かせる」という理念を掲げ、「役員の50%以上を女性に」「コーチングスタッフの1名以上を女性にする」などの基準を設け、所属選手についても将来的なオールプロ化を目指すという、日本女子スポーツ史で見ても画期的なことをやっているのに、国民がどれだけそのことを知っているでしょう?
マスメディアが適切に報じないせいで、どれだけ素晴らしいことをやろうとしていても、WEリーグは国民の理解と関心を得られないままです。

そんな日本とは違い、欧米を中心とした国際社会では女性のスポーツ参画を促進する動きが活発です。
国際オリンピック委員会がすべての競技を男女で揃えようとしているのもそうですし、欧州のプロサッカーリーグで大きなクラブが女子部門を持つことを義務化しているのもそうですし、選手だけではなく運営面でも女性を登用することが推奨されています。
そこに国際連盟でもUNウイメンがIOCやFIFAなどと協力関係を結びながら、「スポーツに携わっている女性は、ジェンダーに基づくステレオタイプに挑戦し、ひとを感動させるロールモデルとなり、男性と女性が平等であることを証明しています」といって女性のスポーツ参画を推進しているのですから、その動きが大きいことがよくわかります。
そういう世界の潮流と日本社会は隔絶されているとしかいいようがありませんが、その原因がマスメディアの報道姿勢にあることは確かです。
世界基準のWEリーグや、これから世界と競い合おうとしているなでしこジャパンを無視しているのがその証左です。

ちなみに、欧米ではスポーツ報道において、男女で扱い方や報道量に差をつけてしまうとかなり問題になります。
ちょっとしたことでもジャーナリストや有識者が「差別主義だ!」と批判するのでポリティカル・コレクトネスの行き過ぎのようにも感じられますが、それくらい敏感でないとスポーツにおけるジェンダー平等が実現しないという考え方が支配的なのでしょう。
日本の既存メディアや活動家のみなさんは女性の権利について日頃から大きな声でがなり立てているのに、女性のスポーツ参画についてはまったくの無関心なのですから本当に不思議です。

女性の権利のために戦っているのではなく、政治批判の道具にしているだけなのかもしれませんがね。
(明日は政治と女性スポーツについて書きたいと思います。)
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第2次森保ジャパンのスタート!

カタールW杯の熱狂から約3ヶ月、この3月のキリンカップ2連戦が”第2次”森保ジャパンの本格的なスタートとなりました。
3月15日に発表された代表26人はカタールでのそれをベースに、権田や吉田、長友や酒井といった功労者たちが抜け、過去に少しだけ召集されたことのある西村拓真や菅原由勢、初顔のオノバングーナガンデ佳史扶や中村敬斗や瀬古歩夢などが加わった形でしたから、大きな変化はありません。
遠藤航・守田英正・鎌田大地という中盤でゲームをコントロールし、三笘薫と伊東純也(IJ)で点を獲るというチームの形は継続するというわけです。

しかし26年の北中米W杯に向けてのチームコンセプトには大きな変化がありました。
「ベスト4」を目標に掲げる森保一監督は、そのために必要なこととして「自分たちで主体的にボールを保持する時間を増やす」という方向性を明確に示し、それには多くの選手も賛同しています。
「受け身のサッカーばかりでは疲弊し過ぎてしまって決勝トーナメントを勝ち進めない」というのがPK戦の末ベスト16で終ったカタール大会の結論だったからです。

そして3月24日のウルグアイ戦、28日のコロンビア戦と、南米の雄相手に思いのほか激しいぶつかり合いをした結果、前者は1-1での引き分け、後者は1-2での敗戦となりました。
ウルグアイ戦のスタメンはカタール大会で活躍した選手を多く揃えた凱旋の雰囲気、コロンビア戦は佳史扶や町野や西村をスタメンに起用して新戦力発掘も試みたわけですが、2試合を通して特に印象的だったのは”偽サイドバック”という戦術を使って、これまでになかったビルドアップをチャレンジしたことが印象に残りました。

この偽サイドバックは、ビルドアップ時にSBが1レーン中央に絞ったやや前目の位置を取ることによって、最終ラインからのパスコースを増やし、さらには相手守備網を中央に寄せることで、両ウイングへのパスコースを開かせるという戦術です。
世界のサッカーに詳しい方ならば、ベップ・グアルディオラがバイエルンの監督をしていた時代に確立させたチーム戦術だということをご存知でしょう。
(※日本語の偽サイドバックはスペイン語の〈Falso Lateral〉を直訳したものでしょうけど、もうちょっといい訳し方があったんじゃないかと思います。)

当ブログはサッカー専門ブログではないので戦術について細々としたことは書きませんし、私にそれを書くだけの能力と知識はないので、そこは省かせていただきますが、偽サイドバックの一番の利点はウイングを活きることであり、また、逆にいうといと単騎突破のできる好ウインガーがいるチームが選ぶ戦術でもあります。
ですから、三笘とIJがいる森保ジャパンにはぴったりな戦術になるわけです。

この偽サイドバックを森保監督に提案したのは名波浩コーチだといわれていて、どうやらカタールW杯などを観ながら、両ウイングになかなかボールが配給されなかったことから、それを改善する方策として偽サイドバックに行き当たったようです。
私も個人的にはこれに賛成です。
三笘とIJの個人能力をより輝かせることができればそれだけで森保ジャパンの攻撃は分厚くなりますからね。

さらにいうならば、この偽サイドバックにはクラシカルなSBの能力とともにMF的な能力も必要とされるので、クラシカルなSBが減っている日本サッカー界において、たとえば遠藤航をそこに起用することでSB不足を補うことができるというのも利点です。
また、今回召集されていない冨安健洋や中山雄太は偽サイドバック的なSBなので、彼らをより使いやすくなるともいえるでしょう。
この2連戦での偽サイドバックはまだまだ選手たちが慣れておらず、ギクシャクした感じでしたけど、チャレンジは絶対に継続すべきです。

ただし、ここに忘れてはいけない問題があって、森保ジャパンには三笘とIJの代役がいないということです。
この2人のように個人能力で敵のサイドを切り裂く選手は他にいないんです。
偽サイドバックはこの2人を活かすためであり、この2人ありきの戦術ですから、この2人が怪我や不調で不在のときは、有効性が失われるということになります。
実際、この2連戦でも、単騎で打開するタイプではない堂安律が右ウイングで先発したウルグアイ戦は、完全なる機能不全に陥っていました。

ですから、偽サイドバックはあくまで”ビルドアップのためのひとつの選択肢”という位置づけになるはずですし、そうして戦術の幅を広げて行くことで、W杯を勝ち進むためのポゼッション率アップに繋がって行くと考えるべきでしょう。
もちろんこの2連戦のように”後ろでボールを回しているだけ”のポゼッションでは意味がありません。
ビルドアップもポゼッションも、点を獲るため、敵を押し込むためのものなのですからね。

試合後の選手たちはみなそれがわかっているようなので、これからどんどんよくなると思いますし、やってくれねば困ります!
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かつしき

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