ボート会場問題と五輪精神

東京五輪については、私は東京都民ではないので、これまでブログでもふれてはきませんでしたけど、このところ世間を賑わしているボート会場の問題、これはさすがにおかしいと思うんです。
小池百合子東京都知事は、当初の計画案にある海の森(東京)の整備にはは”お金がかかりすぎる”とのことで、会場変更を含めた”見直し作業”をするとしているものの、やっていることというのは、宮城県の村井嘉浩知事と会談したり、宮城県の長沼ボート場に視察に出向いたりと、”長沼への変更ありき”としか思えません。

私は都民ではないので、会場がどこになろうとも文句をいえる立場にはありませんが、長沼を使うというのは、招致活動のときにいっていた「成熟都市による質の高いコンパクト五輪」というコンセプトから完全に外れるものです。
選手村を中心に半径8キロ圏内にほとんどの施設が集まり、選手にとっても、観客にとっても宿泊や交通が快適で、治安面も安心、狭い範囲の五輪なので大いに盛り上がる。東京はそのように訴えていたわけです。
小池知事がこのところ連呼している”復興五輪”は、招致PRにおいては”オマケ”にすぎませんでした。

しかも、ボート会場問題の発端となった費用の面でいっても、海の森は当初351億円(東京都試算)、長沼は150億~200億円(宮城県試算)とかなり差があるようですけど、宮城の額は選手村や周辺インフラ整備費が入っていません。そして今日10月18日になって都は海の森の整備費が300億円程度に圧縮できると発表しました。
こうなればほとんど差はないといっていいでしょう。
選手の声でいっても、海外勢は海の森、日本勢は埼玉の彩湖を推しているというのですから、”選手ファースト”という意味でいっても長沼は圏外のはずです(彩湖なら東京の選手村から通えます)。

私は、長沼にしようとしているひとたちが、五輪についてどう考えているのか、本当に疑問なんです。
それを最も強く感じたのは”選手村”です。
村井知事は、選手村について、震災で使った仮設住宅を改装して転用し、コストを削減するとの計画を打ち出していますけど、選手村というのは宿泊できればいいというものではありません。
そこは世界各地から集まった選手たちの交流の場なんです。
五輪憲章を読めばわかりますけど、スポーツを通じての相互理解によって、差別を排除し、友情や連帯を生むことで、世界平和に繋げるというのが五輪精神です。
選手村というのは、その名の通り、世界各地から集まった選手たちが同じ村の住民になって、互いに打ち解け合う場です。
ですから、みなで食事をしたり話をしたり遊んだりする場も用意されているんです。
それをボートの選手だけ300キロも離れた、宿泊するだけの”分村”に押し込めるというのは、五輪精神の軽視としかいいようがありません。
村井知事は五輪競技を誘致しながら五輪憲章も読んだことがないのでしょうか?おそろしいくらい傲岸不遜な人物ですね。
五輪精神より復興を優先させるのであれば、別の催しを誘致するのが筋というものです。

私がこのような怒りにも似た疑問を感じるのは、リオパラリンピックの閉会式の際に日本が行ったフラッグハンドオーバーセレモニーをよく憶えているからです。
そのPRビデオのなかで、64年の東京パラリンピックで日本初の金メダルと獲得した卓球ペアの猪狩靖典さんと渡部藤男さんが、選手村で外国選手たちが明るく歌を歌いながら酒を酌み交わす姿に、同じ障碍者として衝撃を受け、また彼ら彼女らが普段は仕事を持ち、普通の社会人として生活しているという話を聞いて、自分もそうなりたい、日本もそうなって欲しいと思ったという話があったじゃないですか。
これもまた五輪精神です。
2020年の東京五輪にももちろんボート競技はあります。
分村してしまえば、そこの選手たちが猪狩さんや渡部さんのような経験をするのは難しくなるに違いありません。

リオパラリンピックの閉会式に出席していた小池都知事は、あのときいったい何を見ていたのでしょう?
本当に残念です。
東京は世界に冠たる大都市でありながら、いくらか費用をケチるかわりに、自分たちがした約束を反故にし、五輪精神を蔑ろにするのでしょうか?
そういうのを日本人は”恥”と思うはずです。
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