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東京五輪、縁の下の勝者たち

この東京五輪では2018年に日本オリンピック委員会(JOC)が「金メダル30個」という目標を掲げていたものの、ちょっと無理じゃないかという声が巷には多かったと思うんですけど、終ってみれば過去最多の27個。ほぼ目標達成といっていい数字でした。
これはもちろん過去最多ですし、獲得メダル総数58も過去最多でした。
しかも国別メダルランキングでも金が3位、総数が5位でしたから、日本選手たちが”大活躍した大会”といっても過言ではありません。
ちなみに、大会前にアメリカのさる調査会社が予想した日本のメダルは金26個、総数60個でした。ほぼ的中といっていい数字でびっくりします。

そのように、目標や予想が結果に近かったとはいえ、内訳で見ると、期待されながらも振るわなかった競技があり、それを新種目が補っているという形だったことも見逃してはなりません。
具体的にいうと競泳やバドミントンが振るわず、スケボーの若者たち(ほとんど十代)が想像以上のがんばりを見せてくれたとのが大きかったです。
他競技でも若手の活躍が目覚ましく、新鮮な驚きに満ちた大会だったといっていいと思います。

もっとも、逆にいうと、この東京五輪はメダルを獲り逃した選手が多かった大会だったわけです。
勝負事ですから時の運もあるでしょうけど、実力・実績と結果が大きく乖離してしまった選手・チームが散見されたのも事実です。
そういう選手・チームはネットでもかなり叩かれていましたけど、まあでも仕方ないですよね、それもアスリートの宿命です。
ただ、一部のネットやSNSで誹謗中傷みたいなことが起きていたのは許されていいものじゃありません。
いうまでもなく、批判とそれとはまったくの別のものです。
批判は叱咤激励であり、選手・チームが失敗から学んで、反省して、前を向こうとしていたらまた応援するものです。アスリートたちの心を折ろうとする誹謗中傷とは違います。

しかしここでまたややこしいのは、「選手への誹謗中傷はよくない!」といって批判すらも封じ込めようとするひとたちがいたことです。主にマスメディアに。
アスリートたちのなかにもそういう態度がいくつか見られました。
勝ったら賞賛して負けたら慰めろ、ということでしょうか?
私はそういう身勝手な考え方には反対です。
そんなことをしていたら日本のスポーツが成長するはずありませんし、選手も同じことです。
批判を受け止められない選手が強くなれるとは思えませんし、大衆を”手のひら返し”させてくれるのが真のヒーローなんです。
もちろん、日本社会はいつだってアスリートにチャレンジするチャンスを与えるべきです。それが前提です。

私はマスメディアが期待外れの選手たちをかばっていたのは、それらが一流有名アスリートであり、多くのスポンサーがついていたためだと勘ぐっています。
民放の五輪中継なんかでは、そういう選手が合間のCMに出てくるんですから、そりゃあかばうってものです。
スポンサーとの関係も気まずくなりますしね。

また、マスメディアが大会前は「五輪反対」の世論を作ろうと躍起になっていたのも忘れてはなりません。
そこに多くの尺を使ったせいでマイナーな競技や有名でない選手は国民に知られることも少ないまま大会に突入してしまったんです。
マスメディアが可愛がるのは自分たちと近い選手や競技にばかりなので、五輪報道でもマイナーなアスリートたちは結果を出さない限り、いないひとのように扱われます。

さらにいうと、マスメディアが見ないようにしていたのはそれだけではありません。
東京五輪を最後まで諦めなかった関係者のがんばりや苦労は完全に無視されています。
海外からの評価でいうと、武漢ウイルス対策も含め、運営には「おおむね成功」「よくやった」という声が多いようです。選手村もずいぶん好評だったらしく、多くの海外選手が滞在を楽しんでいる様子をSNSに上げていましたよね。食事なんて大人気だったみたいじゃないですか。
批判されているのは無観客や選手の厳しい隔離ですから、それは運営とは関係ありません。そっちは東京都や組織委員会の判断です。

私は東京五輪の運営やサポートに携わったひとたち、指揮系統から末端に及ぶたくさんのひとたちに、大きな拍手を送りたいです。
重箱の隅を突きたいメディアが目を皿のようにしているなか、大きなトラブルもないまま無事大会を完遂できたのは、まさに金メダル級です。
開催と成功を信じて努力し続けたことは賞賛に値します。
ありがとう、おつかれさまでした、縁の下の勝者たち!
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東京五輪・大会17日目 最終日の締めくくりは女子バスケ!

7月23日に開幕した東京五輪も、この大会17日目の8月8日が閉会式。
その前にいくつか競技がありますけど、日本勢でいうと女子バスケットチームが決勝進出していたので銀メダル以上はすでに確定していました。これで大会期間中すべての日で日本はメダルを獲得したことになります。本当に嬉しい毎日でした。
選手たちのがんばりには頭が下がりますし、それを支えるご家族や関係者の努力にも感はしたいですよね。

それでいうとこの最終日の自転車競技・女子オムニアムで銀メダルを獲った梶原悠未のお母さんは特筆すべきものがありました。
人生をすべて娘に捧げているようなお母さんでも、梶原の五輪出場が決まってからは完全に付きっ切りになり、国内3ヶ所ある練習拠点でも同居しなながらトレーニングと身の周りの世話をこなしていたというのですから、スーパーお母さんです。
それもあって梶原は日本女子初の自転車のメダリストになったのですから、ドラマのような二人三脚です。
お母さんの有里さんにはすでに日本マザーズ協会が目をつけているかもしれませね。
梶原は早くも「パリ五輪での金メダル」の目標を掲げていますし、お母さんの戦いもまだまだ続きそうです。
お二人とも、おめでとうございました!

団体予選でミスを連発し、競技後のインタビューでは決勝はないものと思って泣きじゃくっていた新体操フェアリージャパンですが、あとの国にもミスが出て思わぬ決勝進出。
これで開き直れればよかったのですが、予選で気持ちが切れたのか、最終日の決勝でも信じられないミスを連発して結果は8位。
リオ五輪後は世界選手権でメダルを獲るなど、母国五輪でのメダルの期待が高まっていたものの、2日連続の涙となってしまいました。
この原因は2018年のルール改正でDスコア(難度点)の上限が撤廃され、有力国はそれを伸ばすことに注力したのに対し、日本はなかなかそれに追いつけなかったためのようです。
近年の日本の新体操は着実にレベルアップしているのは事実なので諦めずに世界に食らいついていって欲しいものです。

札幌で午前7時にスタートした男子マラソンでは大迫傑が粘りの走りで6位入賞。
やや後方でレースを進めていた大迫が36km付近でギアを上げ、2人かわして6番手に上がったシーンは私もテレビを観ていて興奮しました。あの大迫が母国開催の五輪で無抵抗のままレースを終えるはずはないんです。
トップはキプチョゲが独走し、2位集団は落ちてこず、大迫はメダル争いに絡めないままの6位でしたけど、自分の能力・体調と相談しながらギリギリのところで戦っていたことは伝わってきました。
大迫の”現役ラストラン”は本人がつけたように「100点満点」です。
ゴール後のインタビューでレース内容はクールに振り返っていた大迫が、競技人生について聞かれたとき、目に涙がぶわっとこぼれてきたのが印象的でした。
やっぱりこの男の本質は熱い。

そして注目の女子バスケ決勝ですが、日本が対戦するアメリカは女子バスケが五輪に採用されたアトランタ大会から負けなしの6連覇という異次元のチーム。
五輪でいうとAスイミングのロシアと同じで、他の国とレベルが違い過ぎて種目が違うんじゃないかと錯覚するほど。
両国を殿堂入りにするとかプラチナメダルを贈呈するとかして、2位以下で金メダル争いをした方が競技として成立するような気がします。

まあですから「アメリカを倒す!」と豪語していた日本女子バスケチームも本音のところでは、胸を借りるとか、力の差を直に感じてみたいとか思いながら試合に臨んでいたのではないでしょうか。
アメリカ以外のチームは金メダルではなく、”決勝でアメリカと戦いうこと”を目指しているような種目です。
実際、試合開始から両者の実力差は明らかで、観ていても絶望しか感じませんでした。第1Qはいきなり14-23ですからね。
ただ、日本にミスが出ても、ヘッドコーチのトム・ホーバスはまったく怒りません。選手たちが精一杯やっている結果だとわかっていたからだと思います。

それでも日本女子たちは試合中ずっと前向きでした。心が折れた様子はまったくありません(一部の選手にはあったかも)。
徐々にアメリカの高さや圧力にも慣れてきた第2Qは25ー27。
いけるかもしれない!と日本に色気が出た第3Qは、そういうゲームの流れを心得ているアメリカが立ち上がりから日本を潰しにかかって、17ー25。
最終第4Qはアメリカが控えの若手に経験を積ませたこともあって19-15。
結果、75-90で日本は敗れ、銀メダルに終わりましたが、世界中のテレビ視聴者が楽しめるくらいのゲームにはなっていたと思います。
攻め手が少ないなか、知恵を絞って必死に活路を見お出そうとする日本、守備でも運動量をかけ、身体を張ってアメリカを疲弊させようとする日本。
ジャイアントキリングを諦めない限り、実力差があってもエンターテイメントは成立します。
それでも点差は15点も開いてしまったとはいえ、過去の五輪決勝を見ているとアメリカは相手に30点差くらいつけているので、日本女子は十二分に戦いました。
私は心からおめでとう!よくやった!といいたいです。

日本女子が決勝まで来ることができたのは、ホーバスHCが就任当初から「母国開催で銀メダルで満足するひとはいない」といって金メダルを明確な目標に掲げ、それに向かって選手たちに厳しいトレーニングを課し、選手もそれに応えるなかで、目標を共有することができたからだと思います。
キャプテンの高田真希がインタビューなどで「金メダル」を迷いなく明言していたのも強さの証明でした。
そして大会では、応援している私たち国民もいつの間にかそれを共有し、同じ夢を見たのですから素晴らしい2週間でした。
最高に楽しませてもらいましたし、最高のプレゼントをもらった気分です。

個人的にはこの日本女子バスケが今大会で最も印象に残ったチームです。
選手たちにはもちろん、トム・ホーバスHCにも心から感謝しています。
また、プレイヤーとしてもコーチとしても日本バスケ界に長らく大きな貢献をしてきたトム・ホーバスには内閣総理大臣顕彰が贈られるべきだと思っています。サッカーのジーコと遜色ない存在だと思います。

競技人口や市場規模から考えれば、バスケットボールは間違いなく世界ナンバーワンの屋内スポーツです。
それは男子バスケだけではなく女子バスケもそうだといっていいでしょう。
その女子バスケの世界一を決める最も権威ある五輪という大会で、日本の女子たちが決勝にまで進んだというのはとてつもない偉業です。
日本のメディアがよく使う(私もたまに使う)「世界に衝撃を与えた」という言葉はたいてい嘘か大袈裟ですけど、今回は紛れもなくそれです。
世界中から「バスケが弱い」とされているアジアの国が決勝に進んだのも初めてですから、私たち以上に世界のひとたちがびっくりしているかもしれません。
しかも日本女子は参加国のなかでも平均身長が一番低いチームでしたから、それも感嘆と賞賛をもって世界中に伝えられていますし、大会ベスト5にも選ばれた町田瑠唯(162cm)のゲームメイクとパスセンスは海外のバスケファンの心をがっちりと掴んだようです。

そうしてフィジカルが重視されるバスケットボールで、それが劣るとされたた日本女子バスケが快進撃を演じたことは、他の種目の日本女子たちにも大きな影響を与えるはずです。
背は高くなくても鍛えれば体格は良くなるし、筋力は増すし、持久力もフィジカルのひとつだと女子バスケのみんなが教えてくれたわけです。
私はこの五輪をきっかけに日本の女子スポーツのレベル、いや次元がひとつ上がるんじゃないかと期待しています。
本当に女子バスケのみんなは凄いことをしてくれました。

また、現代は海外で暮らす日本家族もたくさんいるので、そこの娘さんが学校でクラスメイトたちから「日本ってバスケ強いんだね!」と声をかけられているところを想像すると頬が緩みます。
外国の友人たちと一緒にスポーツをするときも前よりポジティブになったりすることもあるでしょう。
それにともなって海外での日本女性に対するイメージも少なからず変化するかもしれません。
消極的でシャイで大人しいというのではなく、元気で明るく逞しいという日本女性本来の良さが理解されるようになったら嬉しいです。

そういう明るい未来を思い描けるのも、日本女子バスケのみんなががんばってくれたからです。
そのヒロインたちが最終日を美しく清々しく飾り、東京五輪そのものの印象を決定づけたといっていいでしょう。
本当にありがとう、そしておめでとう、最高だった!
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東京五輪・大会16日目(後) 使命感と責任感が日本を強くする

(続きです。)
かつては日本のお家芸のひとつだったアーティスティックスイミングですが、今大会ではここまでメダルゼロ。
最後に一花咲かせたかったこの日のチーム・フリールーティーンでも残念ながら4位に終ってしまいました。
また、長らく日本を引っ張ってきた井村雅代ヘッドコーチが一線を退くことを表明し、日本のAスイミングも大きな区切りを迎えたことは間違いありません。
井村HCは日本や中国を率いて10大会連続で五輪に出場するという偉大な足跡を残しましたが、この最後の五輪だけはメダルが獲れず、本人は悔しかったでしょうけど、3位のウクライナを称え、自分の教え子たちの演技に納得の表情を浮かべていたのが印象的です。

今大会から”シンクロナイズ”ではなく”アーティスティック”となり、同調性以外にも重きが置かれるようになったこの競技で、新しい日本のHCには大きな変革を期待したいものですし、それは強い日本を取り戻すための使命でもあります。
井村HCは「若いコーチにも五輪のスリルとドキドキ感とプレッシャーのなかでやり切る充実感を味わってもらいたい」と話していましたが、これまでの路線を変更し、新たな日本のスタイルを表現することもかなりのプレッシャーになることでしょう。
それを乗り越えられる人材が日本にいることを信じています。

プレッシャーといえば野球日本代表は”金メダルを獲って当たり前”という空気のなか、しっかりとその使命を果たしてくれました。
決勝でアメリカを2-0で下し、念願の金メダルです。
野球は参加国が6つしかなかったり、各国のメジャーリーガーが出場していなかったり、台湾や中国が武漢ウイルスを懸念してメキシコでの最終予選をキャンセルしたり、何度負けても決勝に行けるレギュレーションが変だったりと、実施する意義や価値が疑問だったものの、選手たちは必死にがんばってくれたと思います。
今大会で「五輪の野球は最後」といわれるなか、金メダルという事実、金メダルという結果は本当に大きなものがあります。
選手のみなさん、おつかれさまでした!

ここ長らく日本のフリースタイル・レスリングは女子が目立っていますが、もともとは男子が強かったんです。
それを国民に思い出させるためにも重要なこの五輪でしたが、大会15日目まで男子フリーはメダルがゼロという厳しい状況(グレコは1個)。
そして最後の砦として15日目に登場した65キロ級の乙黒拓斗は、難敵ガジムラド・ラシドフ(ロシア)を準決勝で振り切ってメダル確定。さすが日本のエース。関係者もほっと胸をなで下ろしたことでしょう。

こうなると金メダルが是が非でも欲しくなるハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)との決勝戦。
第1ピリオドは乙黒が先に2P取って、相手に取り返されて2-2。
同点だと後で取ったポイントが優先され、このままだと乙黒の負けになってしまう第2ピリオドでしたけど、互いにポイントがないまま終盤までもつれ込み、追い詰められた乙黒は執拗にタックルを連発し、相手がもんどりうちながら逃れるところを素早くバックを取って2P!さらに追い出して1P!
5-2!勝利への執念が実った!
残りの14秒はクレバーに逃げを打つなか、レフェリーの辛いジャッジがあって反則ポイントが入ったもの、5-4の勝利!
日本男子フリースタイルに光明をもたらす金メダル!やったああ!
スタンドでは悔しい1回戦負けをした74キロ級の兄・圭祐もうれし泣き。
「兄の借りも返したいと思ってがんばった」という弟の言葉もぐっときました。

女子フリースタイル50キロ級の須崎優衣は開会式の旗手を務めていたことでもわかるように、金メダルは”鉄板”と目されていました。
世界選手権を17年、18年と連覇しているだけではなく、「オリンピックより厳しい」といわれる国内選考を勝ち抜いてきたからです。
そして、須崎はライバル選手たちから託された責任を胸に、期待通り、というかそれ以上の圧倒的パフォーマンスを見せてくれました。
1回戦、2回戦、準決勝とすべてテクニカルフォール勝ち(10P差をつける)、しかも相手に1Pも与えません。
もっとも、16日目の決勝のソン・アナン(中国)はリオ五輪銅メダルの強敵だけにそう簡単にはいかない…と思っていたら、開始1分、がぶりから素早く相手のバックを取って2P、場外に逃げようとするところを無慈悲に中央に引きずり戻してからローリング!ローリング!ローリング!ローリング!で10-0のテクニカルフォール!
あっけに取られるような圧勝での金メダル!応援しているこっちが引くくらいの強さ!
須崎はまだ22歳ですし、今後何連覇するんだろ…楽しみ!

その連覇といえば、須崎の表彰式には五輪4連覇のレジェンド伊調馨がフラワープレゼンターとして登場。
涼し気な浅葱色の振袖に金の衿、金の帯、金の髪飾りというコーディネイト。
これを自然に着こなせるのは伊調さんだけ。
そんな大先輩からブーケと一緒に「また次も、その次も頑張ってね」と声をかけられたという須崎。
十数年後には自分が金の帯を締めて表彰式に出席しているところを想像したかもしれませんね。
1回目の優勝、おめでとう!

翌日に閉会式を迎えるこの大会16日目も日本勢は大活躍でした。
この日は自分の競技・種目の期待を背負っている試合も多く、そのなかで限界ぎりぎりのパフォーマンスを発揮した選手は本当に輝いていました。
私は責任感とか使命感とか大好きです。
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東京五輪・大会16日目(前) 他者を尊重する選手と蔑ろにする公共放送

東京五輪のゴルフでは男子の松山英樹が最終日2位スタートからのメダルなしで私も本当にがっかりしましたけど、この大会16日目(8月7日)の女子最終日でも稲見萌寧が首位から5打差の3位タイでしたから、ワクワクより怖さが大きかったものです。
しかし、この日の稲見は心配無用でしたね。
前半でスコアを2つ伸ばすと、後半はなんと12~15番で4連続バーディー!
しかも17番では途中、激しい降雨のための中断が挟まるも、それが明けるときっちバーディー!凄まじい集中力!
しかし最終18番は”金メダル”がちらついたのか、その集中力に綻びが出てセカンドがバンカーに。
リカバリーも上手くゆかず、このホールはボギーとなり、16アンダーの暫定2位タイでホールアウトした稲見は、次の最終組の結果を待つこととなりました。

そしてその最終組ではアメリカのネリー・コルダが17アンダーを守っての優勝。これはもう天晴れ。同じウェアを着て応援していたお姉さんとの抱擁も可愛らしかった。
我々が注目するメダル争いでは、アディティ・アショク(インド)が15アンダーで一歩及ばず、リディア・コ(ニュージーランド)は16アンダーで踏ん張り、稲見とコのメダルが確定!日本ゴルファー初のメダル!やったああ!
ただ、五輪のゴルフはメダルの色を決めるためのプレイオフがあるので出来れば銀が嬉しいかも。

そのプレイオフに向かう両選手はメダルが確定しているせいか、笑顔がこぼれ、緊張感もありません。
普段のゴルフの大会ではプレイオフは優勝を決める以外にはやりませんから、2位プレイオフにはどういうメンタルで挑めばいいのかわからなかったのかもしれませんね。
そしてプレイオフの18番ホールではコがティーショットを曲げてしまってボギー。
稲見はきっちりパーをセーブして銀メダルをあっさり決めました。
コは稲見のバーディーパットを応援する姿もあって、おかしなくらい穏やかなプレイオフでした。
稲見もコをリスペクトしていましたし、国が違う選手同士のこういう光景って五輪らしくて素敵ですよね。

ゴルフはホームが有利といわれるので、今大会で稲見がメダルを獲ってくれて本当に嬉しいです。
日本ツアー中心の選手なので国内は盛り上がりそうですし、ニューヒロインの誕生ですね!

今五輪で初採用された日本の伝統武道である空手ですが、ここまで組手(男女3階級ずつ)でメダルがなく、かなり嫌な感じ。
しかし最後に登場した75キロ超級の荒賀龍太郎がなんとかやってくれました!
1次リーグを3勝で突破し、メダル確定!(組手は3位決定戦なし。)
その後、準決勝で敗れたものの、重圧のなかでの銅メダルは立派でした。
空手は次のパリ五輪での除外が決まっていて、将来の復帰はいつになるかわかりませんが、荒賀は「次に五輪競技になったとき、金メダルを獲れる選手を育てたい」と前向きだったのも素晴らしいです。
空手道に人生を捧げる男に幸あれ!
(荒賀の実家がやっている道場は京都府亀岡市を中心に近畿地方で広く教室を開いているようです。)

ここでちょっと話が競技から離れますが、この日行われた男子サッカーの決勝戦、ブラジル×スペインが地上波中継されなかったことがネットやSNSではかなり問題視されていました。
NHK総合は他競技が入っていましたけど、Eテレやサブチャンネルがあるのですから対応は可能だったはずです。
しかも放映権を持っていたNHKがその試合をBSに回しただけではなく、編成上の都合から20分遅れのディレイ放送にしたのですから大荒れです。
いうまでもなくサッカーは自他ともに認める世界ナンバーワンスポーツです。
五輪の男子はアンダー世代+オーバーエイジとはいえ、その人気や注目度はトップクラスで、その決勝戦を地上波中継しないなんてあり得ないといわざるを得ませんし、過去の五輪ではきちんと地上波中継していたのに今回だけ外すのもおかしな話です。
(NHKは同時刻に総合で中継していた野球の視聴率を気にしたのではないかという穿った見方もあります。)

この五輪でのNHKは男子ゴルフで松山英樹のプレイオフが敗退が決まると地上波中継を打ち切り、結果を最後まで流さないという暴挙に及んでいますし、スポーツへのリスペクトを感じません。
また、”日本人選手しか映したくない”という姿勢は「五輪は国威発揚の場だ」といっているようなものであり、「異なる国や地域の人と交流することで互いを尊重し、偏見をなくすこと、スポーツを通じて世界平和を実現する」という五輪の理念を否定するものです。
こういう放送局が公共放送を名乗っていることを日本国民は恥じるべきです。
(気を取り直して後編に続きます。)
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東京五輪・大会15日目(後) 女神たちに救われる

(続きです。)
準決勝で死闘を演じながらも悔しい敗北をしてから中2日の男子サッカーは、「メダリストになる!」という目標にチーム一丸となっての3位決定戦。
相手はGLでは2-1で勝ったメキシコですが、強豪国は決勝トーナメントではギアを上げてきて別チームになっているので注意が必要です。
しかし、この日の日本は相手どうこうの前に、自分たちのコンディションにかなりの問題がありました。中2日の6連戦での疲労がピークに達っていたのか、キックオフ直後から延長戦を見ているような重い動き。
(しかも試合時間が急遽2時間前倒し。)

その肉体的な疲弊が集中力も落としていたのか、遠藤航が13分に足だけの守備をしてしまってメキシコがPK獲得。エリアの外でのファウルだったようにも見えましたけど判定は覆りません。
これを決められて0ー1となるも、時間はまだまだある!と思っていたら、22分にメキシコにセットプレイから追加点を奪われます。このときマークを外されたのも遠藤…

前半のうちに1点でも返しておきたかった日本ですが、これといった決定機もないまま前半終了。
ただ、左サイドの相馬勇紀がけっこう突破していたので、そこからのクロスをどう点に結びつけるかが後半の鍵か。
と思っていたら、森保一監督は後半頭から相馬に代えて旗手怜央を投入。
ちょっと意味がわかりません。下げるなら堂安律か林大地だったはず。

後半は立ち上がりから日本が攻勢を強めるも、メキシコも打ち合い上等とばかりにシュートを打ってきてGK谷晃生のナイスセーブで冷や汗。
日本も負けじと後半8分の攻撃、遠藤からのクロスに堂安がヘッドで合せたボールも枠は上。
メキシコは引いてこないので日本も点は獲れそうでしたが、やられそうでもありました。

そして後半11分、メキシコの若きエース、ライオスが足を引きずりながらピッチから下がるとゲームはしんみりムードになるも、その間隙をついたメキシコはCKからベガがヘッドで合わせて0ー3。さすが抜け目がない。
ここはベガがペナルティアークくらいのところから急に入ってくるデザインプレイで、遠藤のみがそれに気づいて慌ててマークにゆくも間に合いませんでした。
その結果またしても遠藤の責任みたいに…。

これでかなり厳しくなった日本は後半17分に林→上田綺世、中山雄太→三笘薫。
メキシコは3点リードしたことでプレイが緩くなり、日本がボールを持てるようになるも、たまにカウンタ―を食らって心臓が止まりそうになる場面も。
日本は決定機が生まれず、時間だけが過ぎてゆきますが、後半33分、待望のゴールは久保がボールを運んで三苫へパス、三苫が稲妻のような切り返しからドリブルで切れ込んでのシュート!
これで1-3。
さらに日本はメキシコゴールに迫りますが、そこからはメキシコも厳しくなってきて、追加点は生まれませんでした。

無情に鳴らされる試合終了の笛と倒れたまま立ち上がれない日本の選手たち
コンディションが悪かったのと流れが悪かったのが重なって信じらないくらいの惨敗でした。
私も本当にがっかりして全身から力が抜けましたし、キャプテン吉田麻也やエース久保建英の涙を見て、もらい泣きしてしまいました。
スポーツでの悔し泣きはいつ以来でしょう…この文章を書きながら思い出してまた泣きそうです。
男子サッカーについてはまた別に詳しく書きたいと思いますが、とにかく悔しい!悔しすぎる!それだけです。

そうして大きなショックを受けてやけ酒でも飲もうかと思っていると、陸上では女子やり投げの北口榛花が日本女子として64年東京五輪以来の決勝で悪戦苦闘していたり、田中希実が日本人初の女子1500m決勝で8位入賞の歴史的快挙を達成していて、本当に元気づけられました。ありがとう!
田中希実はメダルはありませんでしたけど、間違いなくこの五輪のヒロインのひとりですよね。
日本人の可能性を見せてくれました。

さらに女子バスケです。
日本(ランク10位)が準決勝で格上のフランス(ランク5位)に勝って決勝進出とメダルを確定させてくれたんです!
試合は第2クオーターで逆転すると、第3Qでさらにリードを広げ、最終第4Qではフランスの猛追を封じて、87-71の快勝!
日本女子はみんな生き生きとプレイしていて、観ていてめちゃくちゃ楽しかった!元気百倍だ!
彼女たちは今大会「金メダル獲得」を公言していたものの、周りはあくまで夢のようなものだと受け取っていたと思いますけど、初のベスト4に続く初の決勝ですから、もう信じましょうよ、乗っかっちゃいましょうよ。
決勝の相手が五輪6連覇の無敵の女王アメリカとはいえ、なにが起こるかわかりません。
8月8日の大会最終日に、日本女子バスケが最高のプレゼントをくれました!

またほぼ同時刻には女子レスリング53キロ級の向田真優が第1ピリオドで0-4とリードされるも、第2ピリオドで5点を奪って大逆転勝利の金メダル!やったああ!
5ポイント目の攻防で相手タックルをクラッチでしのぎ、そのまま持ち上げて場外ポイントを奪った場面は金メダルへの執念が感じられ、鳥肌ものでした。
この勝ち方は本当にカッコよかった!おめでとう!

こうして日本女子たちがいい流れを作った大会15日目をしめくくるのは陸上男子4×100mリレー。
多田修平・山縣亮太・桐生祥秀・小池祐貴の最強メンバーを揃えた日本は、個人種目でみな予選敗退しているとはいえ(桐生はリレーのみ)、伝統のバトンワークがあればメダルの可能性は十分です。
今大会の日本陸上はフィールドとトラックでメダルがありませんし(競歩で2個)、ここはぜひがんばって欲しいところ。

そう思いながら多くの日本人がテレビに齧りついていたと思うんですけど、好スタートを切った多田から山縣へのバトンが繋がらず、日本はまさかの失格。桐生と小池は走ることすらできませんでした。
私もなにが起きたか理解できず、しばらく頭のなかが真っ白になってしまいました。
こんなふうになったのはこの五輪で初めてです。
日本のリレーチームが五輪決勝でバトンミスしたことは過去になかったはずですし、本当に信じられませんが、何度確認してもこれは現実でした。
やっぱりやけ酒か…。

そのとき、女子スポーツクライミングで野中生萌が銀、野口啓代が銅!救いの女神降臨!
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