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過失による重大事故の扱いは本当に難しい

全国ニュースではどうだったかわかりませんが、3月5日の長野県内ニュースは”防災ヘリ墜落事故から2年”がその大部分を占めていました。
山岳事故が多いだけではなく、山の合間に市町村が点在するような長野県において、防災ヘリは頼みの綱であり、それに乗る消防防災隊員たちはヒーローそのものです。
その隊員や機長ら9名の尊い命が、2年前の今日の訓練中、無念にも散ってしまった。
彼らは家族や友人にとってもかけがえのない存在だったでしょうけれども、長野県にとっても宝物でしたから、県民全体が受けたショックも例えようのないものでした。

その事故から2年が経った3月5日の長野県はなんとなく重苦しい空気でした。
報道の方も朝からしめやかで、遺族や友人の話は胸に迫り、慰霊登山の様子はあの〈御巣鷹山事故〉に通じるような厳粛さだったといっていいでしょう。
行政や消防も”事故の記憶を風化させず、安全意識を未来へ繋げてゆく”という姿勢を強く示していました。

ただ、ここでひとついいにくいことがあります。
一周忌だった昨年3月の段階では国の運輸安全委員会による調査報告書は上がっていなかったので、追悼ムード一色だったわけですが、昨年10月に報告書が公表されたことで、今年はそこに”再発防止”に向けた県や消防の取り組みも紹介されていたんです。
防止策というのは原因が究明されることが前提となるのはいうまでもありませんが、運輸安全委員会が指摘したそれは、”パイロットのマイクロスリープ=瞬間的な居眠り”の可能性でした。
具体的にいうと、機長は2月18~27日の間フィンランド旅行をしていたので、その時差や疲れが抜けていなかったのではないか、ということです。
また、機長は甲状腺の疾患で投薬治療中だったにもかかわらず、それを申告していなかったことも明らかになっています。
この報告書によって、被害者だったはずのひとりが加害者となってしまったわけですが、これは本当になんといっていいかわからない状況です。
(警察は業務上過失致死で捜査をしているそうです。)

そんななか、長野県としては、運輸安全委員会の見解を拝聴しつつも、「旅行後は休日も挟み、機長は十分休みを取っていた」(危機管理部)というコメントを出し、機長をかばう姿勢を見せていました。
武士の情けとでもいうのでしょうか、これはこれでありなんじゃないかと思います。
ただし、県の方としても、再発防止策として、”操縦士の体調チェック表の提出””ダブルパイロット制”を設けているので、やはり機長の問題という認識なのでしょう。
ダブルスタンダードかもしれませんが批判はしたくないものです。

ちなみに、運輸・交通事故の原因というのは大きく分けて3つあります。
機体の構造的欠陥、整備不良、そして機体を操る人間の過失。
最後のそれだった場合、重大事故になればなるほど、ひとりの人間が負う責任は大きいものとなります。
しかし、大きな事故の場合、その運転者・操縦者も亡くなっていることがほとんどなので、死者にムチを打つ習慣のない日本では、そこを強く責めるということもありません。
福知山線脱線事故や軽井沢スキーバス転落事故もそうでした。
個人を責めるのではなく、なぜそのひとが過失を犯すに至ったかを究明し、是正するのが日本のやり方というわけでです。
これは正しいことだと思います。

しかし、それが行き過ぎると、原因がぼんやりしてしまい、悲劇としてだけ記憶され、再発防止の観点にズレが生じてしまいかねません。
マスコミ報道は特にその傾向が強いんじゃないでしょうか。
私の周りでも、ヘリ墜落の原因を知っているひとはわずかです。
これもまたなんともいえない状況です。
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防災ヘリ墜落事故、悲しみと憤り

”消防士”といえば、世界のどんな国でも最も尊敬される職業のひとつであり、アメリカなどでは子供から大人までが憧れるヒーローとして映画やドラマで描かれていますよね。
我々の日本ではそこまでいかないかもしれませんが、市民から大きな信頼を寄せられていることは間違いありません。私も「消防士」と聞くだけで、立ち上がって敬意を表したくなります。

子供の頃、学校からの帰り道、地元の若い消防士さんたちが、勾配のきつい坂道を駆け上がる自主訓練をしていたのをよく見かけたものです。足元はトレーニングシューズではなく、防災靴だったように記憶しています。
日焼けした肌と、短く刈り上げられた頭から滴る汗が、真っ赤な夕日を浴びてキラキラしていました。
子供の私はわけもわからず、その姿に神々しいものを感じたものですけど、大人になって少しわかってきたように思います。
それは彼らが、”誰かのため”に自分を鍛えていたからでしょう。
普通、トレーニングといえば、スポーツをしているひとならば自分の成績を向上させるため、または健康のため、鍛えることによる満足感のためというひともいるでしょう。
要するに”自分のため”です。
”誰かのため”に自分を鍛えるというのは、そんなに多いことではありません。
ですから、消防士さんたちのそれは貴重なものであり、また、その姿が我々に安心を与えてくれるのです。

ただ、その訓練も、実践的で過酷なものになればなるほど、我々が見かけることはありません。レスキュー隊がやるようなものになればなおさらでしょう。全国の隊員たちが、今日も”誰かのため”に、どこかで危険な訓練を繰り返しているのです。
そして、その訓練には”事故”もつきものだと思います。ギリギリの状況を作らねば、本番では役に立ちませんからね。

しかし、実際に事故が起こってみると、そこまでしなくてもいいのではないかと、悲しいやら悔しいやら、複雑な思いに駆られます。
この3月5日(2017年)、松本市と岡谷市の境にある鉢伏山に、長野県の消防防災ヘリコプターが墜落し、訓練中の9人の搭乗者全てが命を落とすという痛ましい事故は、長野県民に大きな衝撃を与えました。
彼らは長野県ならではの”山岳救助”のための部隊であり、経験豊富で有為な人材だったといいます。
そして、ご家族にとっては自慢の息子であり、自慢の夫であり、自慢の父親だったはずです。
本当に残念でなりません。
今日9日の段階でも事故原因はわかっておらず、それを解明することも大事でしょうけど、それよりもいまは県民全体がこの悲しみをご家族と共有すべきときだと思います。
もちろん、亡き隊員たちのためにも、防災への意識を高めることも忘れてはなりません。

その防災でいえば、復興政務官という立場にありながら、台風被害の視察に防災長靴を忘れ、それを反省もせず、自ら茶化すような政治家が長野県から選出されていることに、私は大きな憤りを感じています。
その衆議院議員が軽口を叩いた政治資金パーティーは、昨日8日に行われました。
ヘリコプター事故のことが少しでも頭にあれば、もっと真摯な発言があったはずです。

真に反省しているならば、人知れず、鉢伏山を防災靴で登ってください。
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