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スピードスケート陣の躍進

2018冬季五輪の日本チームは2月23日の競技が終わった段階でメダル11個(金3・銀5・銅4)を積み重ねて過去最多を更新していたわけですが、翌24日にマススタートで髙木菜那さんが金、女子カーリングが銅を獲得し、さらに数を増やしたのは本当に驚きました。
そうして全日程を終えた結果の”メダル13個”というのはまさに躍進といっていいでしょうね。

それを支えたのは間違いなく女子スピードスケートです。
今大会は小平奈緒さんが女子スピードスケート初の個人種目金である500m、1000mでも銀。
高木美帆さんは冬季夏季通じて日本選手初の金(パシュート)・銀(1500m)・銅(1000m)の同時獲得。
この2選手が1000mで同時に表彰台に登ったのも日本女子では初めて。
パシュートとマススタートで1大会2個の金を手にした髙木菜那さんの快挙も女子初。
こうして初物尽くしというおまけをつけて、スピスケ女子が獲得したメダルは計6個となり、日本チームの半分近くに達しているわけです。
本当に凄まじい活躍でした。

ちなみに4年前のソチ五輪ではスピードスケート陣はメダルゼロだったんです。
しかも順位もタイムもメダル争いすらできない惨敗でした(最高が女子パシュートの4位でしたけど3位のロシアとは大差)。
もっともその結果も順当なものだったんです。
なにしろバンクーバー五輪後の日本スピードスケート陣は男女ともに国際舞台でまったくといっていいほど活躍していませんでした。
”冬の時代”といっていいでしょうね。

しかしこれで日本スケート連盟のスピードスケート部門はソチ五輪後に大胆な改革へと舵を切ります。
まずはそれまで所属企業・学校任せだった選手強化を連盟が主導する形を取り、ナショナルチームを発足させたのです。
今回女子が金を獲ったパシュートの”300日合宿”やチームとしての詳細なデータ解析は有名ですね。

かつて長島圭一郎や加藤条治は日本スピードスケートの欠点として、「日本チームとして情報やノウハウを共有できていない」ことを挙げていました。
これはおそらく所属企業・学校同士のライバル心が背景にあったのでしょう。
日本では富士急行や日本電産サンキョーといった強豪チーム(昔は西武グループもありましたね)や、日本大学などの強豪大学が五輪などでもそれ相応の結果を残してきましたから、”自分たちのやり方”へのプライドもあったはずです。
けれどもそれだけでは世界で勝てない時代になってしまったわけです。
(各チームの努力がナショナルチームの基盤なのはいうまでもありません。)

ナショナルチームが行った強化策は色々と報道されていますけど、オランダ人のヨハン・デビット氏をコーチに招いたことが大正解でした。スケ連の誰が決めたのかはわかりませんが、これは大英断でした。
スピードスケートは”お家芸”とも呼ばれていきた種目ですから、外国人コーチに抵抗を示す勢力もあったはずです。

デビットコーチは”戦う気持ち”と”厳しいフィジカルトレーニング”という日本に欠けていた部分を即座に見抜き、強いリーダーシップでそれを改善していったといいます。
その際、スケ連と激しくやり合うこともあったそうですが、一歩も譲らぬデビットコーチも立派ならば、その彼を首にしなかったスケ連もまた腹が座っていました。
両者が”日本を強くする”という目標をどこまでも共有していたからでしょう。
(ヨハン・デビット氏との契約も延長されました。よかった!)

現代のスポーツというのは競技レベルが上がり過ぎてしまったせいか、プロでもアマでも、メジャーでもマイナーでも、組織(連盟やクラブ)がしっかりしていなければ、選手もチームも結果を残すことができません。
このスピードスケートの躍進を見て、日本の他の連盟も大いに学んでほしいものです。
”いままでのやり方”に固執し、改革することができず、内輪揉めばかりをして組織が弱体化しているところがどれだけあることか…。
もうすぐ東京五輪なのですから考え方をあらためましょう!

最後に、女子の活躍ばかりが目立ったスピードスケートですが、実は男子もソチ五輪に比べて着実に成績を伸ばしているんです。
入賞の数は2→5ですからね。
4年後には男子もメダルをぶら下げて帰ってくるはずです、
がんばれ!男子陣!
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2018冬季五輪・フィギュア女子FS(後) ロシア女子の凄味に震える

(続きです。)
SPでメドベージェワに1.31差をつけたことで、”ノーミスならば優勝は確定的”という状況でFSを迎えた”真・天才少女”アリーナ・ザギトワ(ロシア)ですが、今季がシニアデビューの彼女が大舞台未経験だということも忘れてはなりません。その重圧に打ち勝ってザギトワ時代を切り開けるかどうか楽しみなところ。
ファンファーレが高鳴るように始まった『ドン・キホーテ』、まずは華やかな笑顔と動きのコレオ、バネを感じるキャメルスピンを挟んでのステップシークエンスではいつもと変わらぬ動きで、緊張もさしてしていない様子。大物ですね。
ただ、難しい振り付けのなか、動きにたどたどしさがあったり、身ごなしがまだ洗練されていなかったりしますけど、まだ15歳なので仕方ありません
そして丸々ジャンプパートにしている後半、冒頭のジャンプが勝負を握るところですけど、3Lzがやや詰まってコンボにならないミス。やはり緊張していたのか、こうなるとミスの連鎖が怖い。
しかし続く2A+3Tをばっちり決めると、3F+2T+2Loも軽々、伸びやかなレイバックでいったん休んで、次はコンボをつけねばならぬ3Lzですが、ここを+3Loに!
無難に+2Loにしなかったところにザギトワの凄味と技術力の高さを感じます。なんて選手だ!
そこからは腕で彩をつけての3Sと3Fをしっかり揃え、2Aを確実に降りると、最後は優勝を祝う紙吹雪がまうようなコンビネーションスピンでフィニッシュ!ブラヴォ!
五輪という大舞台でこの高難度構成を完遂させた15歳には手放しの賞賛しかありません。フィギュアの歴史に美しい1ページを作りましたね!
FSは156.65(TES81.62・PCS75.03)、トータル239.57でPB。金メダルスコアといっていいハイスコア。
確かに見事な演技でしたけど、こんなにスコアが出るほどの演技だったんでしょうか?GOEとPCSの評価には疑問を感じます。2年前のメドベージェワがそうだったように、ジャッジは”将来の期待値”をスコアに盛り込んでいるとしか思えません。演技の完成度や表現面ではまだまだの選手だと思います。
ジャッジは”いま”を見て欲しいものです。
(※このザギトワへの高すぎる評価は欧州選手権から。細かいミスがあってもほぼまとめたGPFが223.30。ノーミスの欧州選手権が238.24。)

金メダル争いはロシアの2人に任せておいて、我々日本のファンが気になるのは銅メダル争い。
宮原さんが222.38で暫定2位に座るなか、いよいよ登場するのが最大の強敵であるケイトリン・オズモンド(カナダ)。
オズモンドが宮原さんに勝つために必要なFSのスコアは約144点なんですけど、オズモンドのPBは142点ほどなので、かなり有利。しかも緊張しいのオズモンドにはいわゆる”自爆癖”もありますからね。
しかし、オズモンドはそんな意地悪な予想を跳ね返すように、目が覚めるような3F+3Tでスタートすると、ゴムまりのような2A+3T、エッジが微妙な3Lzは軽くステップアウトしたものの勢いを感じさせる序盤戦。
そこからしなやかなスピンで『ブラックスワン』の雰囲気を醸し出し、苦手とする後半に突入するも、3Lo、3F、3S+2T+2Lo、2Aと立て続けに質の高いジャンプを揃える圧巻の内容。
そこにはもう失敗に怯えて混乱するケイトリンはいませんでした。
ジャンプの成功で乗ってきたせいか、終盤の息切れもなく、鮮やかなスケートと華やかな演技でステップとコレオを仕上げたオズモンドは喜びを爆発させるようなコンビネーションスピンで満面の笑顔!
悲劇的なサスペンス映画のはずの『ブラックスワン』が歓喜の世界にかわりました!
おめでとう、素晴らしい演技でした。弱かった自分に打ち勝ちましたね。敵ながら天晴れとしかいいようがありません。
私も素直に負けを認めました。
FSは152.15(76.50・75.65)でPB、トータル231.02もPB。
この結果、宮原さんを上回っての暫定2位、残り1人なのでメダルも確定させました。おめでとう。
不可解なPBの伸びにはちょっと呆れちゃいますけど、それは宮原さんも同じことですから、ケイトリンのスコアだけを批判するわけにもいきません。SP・FSの内容を見ればケイトリンが上だと思います。2人にはジャンプの質とスケーティングの質にかなりの差があるので仕方ありません。
自爆癖を乗り越えたケイトリンを潔く称えましょう!

そうしていよいよ最終滑走、世界女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)の登場です。
しかし悲しいかな、PB(国別対抗を除く)である154.40を出してもザギトワを逆転することはできません。
宮原さんやオズモンドのようにスコアが急に伸びればわからない、という考えもあるかもしれませんが、メドベージェワはGPEもPCSもすでに上限に近いくらい出しているので、伸びしろはほとんどないんです。
そんな絶望的な状況はメドベージェワもわかっているはずですから、私は彼女の心理状態が本当に心配でした…。
ところがやはり世界女王は強かった。
怪我明けでジャンプが不調ながら出だしの3F+3Tと3Lz(エッジ微妙)を気持ちで跳ぶと、芸術的なスピン、得意の小芝居を散りばめてのステップは振り付けとボディコントロールがお見事。
勝負の後半も3F、3Lo、2A+2T+2T、3S+3Tとゾーンに入った集中力でジャンプを揃えると、やや苦手とする最後の2Aもしっかり着氷!なんという意地、なんという誇りの高さ!
終盤のコレオでも『アンナ・カレーニナ』の物語をしっかい演じ切り、締めは繊細で情感の籠ったスピンを2つ重ね、ノーミスの演技。
感極まった表情で大歓声を浴びたメドベージェワはまさに女王でした。
一切の迷いを感じさせない演技に私も強く胸を打たれました。最大の敬意を払いたいと思います。
ハラショー!ジェーニャ!
女王の会心の演技に魅了された観客が奇跡の逆転優勝を願うなか出てきたFSのスコアは156.65(79.18・77.47)でザギトワとまったく一緒、しかしSPの差があってトータルは238.26で2位。
しかしキスクラのメドベージェワは悔しさよりも満足したような表情を浮かべ、そこには敗者の姿はありませんでした。
表彰式で同門の妹弟子であるザギトワを心から称える態度といい、本当に立派だったと思います。

こうしてこの2018冬季五輪は、基礎点のザギトワが芸術性と完成度のメドベージェワを制するという結果に終わりました。
私個人はPCSに差をつけてメドベージェワの優勝でもよかったかなと思いますけど、評価基準は様々でしょうから、今回の結果もそう否定はしません。それほどハイレベルで僅差の戦いでした。
ですから、それを見せてくれた2人の選手には賞賛と感謝の言葉しかありません。
2人にはロシア女子がなぜ強いのか、その理由が詰まっています。
技術的な追及、得点を取るための細かい努力の積み重ね、そして試合での気迫と執念。
”フィギュアに命をかけている”、それがロシア女子の本質だと思います。他の国の選手はとても敵いません。
ロシア女子の覇権は当分揺るがないでしょうね。

しかし、そのロシア女子に勝とうとする選手が出てきたとき、女子フィギュアは次の進化の段階を迎えるはずです。
次の4年間はそれに期待しようではありませんか。
進化の旗手が日本から出てくることを!
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※ジャンプを全て後半に持ってくるザギトワのプログラム構成には「点取りだ」とか「フィギュアらしくない」という声もあるようですし、IOCも後半ジャンプ制限に動くようですが、私個人はザギトワの戦術を否定する気にはなりません。フィギュアスケートも競技ですからね。
ただし、PCSの評価は下げられるべきだと思います。表現パートとジャンプパートがあんなにはっきり分かれていては、ひとつのプログラムとしてはやっぱりバランスが悪いと思いますぜ。
IOCが手をつけるべきはPCSの評価方法なんじゃないでしょうか。

2018冬季五輪・フィギュア女子FS(前) 誇らしい日本女子

2018冬季五輪・フィギュアスケート女子シングルはSPが終わって、1位ザギトワ82.92、2位メドベージェワ81.61、3位オズモンド78.87、4位宮原知子75.94、5位坂本花織73.18、6位コストナー73.15という順位。
優勝争いは同門のロシア人少女2人に絞られ、あとの4人で銅メダルを争うという状況ですが、どちらもハイレベルかつ、緊迫した厳しい戦いになるのは確実です。いかにミスを抑えるかの戦いになることでしょう。

SPから中1日空いた2月23日の女子FS最終グループ、まず登場したのは日本女王・宮原知子。
オズモンドとコストナーとのSPの差とFSパーソナルベストの差を考えると、ここは是が非でもノーミスの演技をせねばなりません。
そんな想像を絶するプレッシャーのなか、3Loを落ち着いて決めてスタートした宮原さんは、回転不足の不安がある3Lz+3Tと3Fもいつもよりいい感じで着氷する上々の序盤戦。
こういう大舞台では割と硬くなることが多い宮原さんですが(SPでもそうでした)、この日はそこまでではありません。集中力と気迫でそれを捻じ伏せたのでしょう。
スピンとステップも持ち味の安定感を見せ、正確な振り付けと大きな表情の演技で『蝶々夫人』の世界観を作り出したところには日々の弛まない研鑽が滲んでいました。これぞ宮原知子のフィギュアスケートです。
勝負の後半も3Lz+2T+2Loを上手く制御し、思いきりのいい2A+3T、3Sもばっちり決めた!なんという集中力!
そうして大らかにコレオを滑り、その流れで2Aを決めると、正確無比のレイバックスピンでフィニッシュ!
この大一番で”ノーミス”といっていい内容は天晴れの一言!
いいときのキレやパキパキした感じはなかったかもしれませんが、初の五輪で、しかもメダルがかかったFSで、いま出来ることをやり切った宮原さんの心の強さには脱帽します。
しかも今季は左股関節骨折からの復帰のシーズンだったんです。夏のアイスショーの欠場や初戦の状態から考えると、この演技は夢のようです。本当によくここまで持ち直しました。私も胸が熱くなりました。
この時点ではメダルかどうかわかりませんでしたが、そういうものを超えた演技だったと思います。
FSは146.44(TES75.20・PCS71.24)はPB!トータル222.38もPB!
こんなに高いスコアが出るとは思っていなかったので正直びっくりしました。SPからものすごい追い風を感じますね。
これはひょっとすると銅メダルあるかも…、ワクワクしてきた!

カロリーナ・コストナー(イタリア)は、今季久々に導入した3Lzを決めて我々を震え上がらせたものの、3Fが乱れてセカンドジャンプに繋がらない手痛いミス。しかしSPで手をついた3Loを修正したきたのはさすが。
3Tを決めて始まった後半も2A+1Lo+3Sはぎこちないコンビネーションとなり、2Aと3S+2Tは置きにゆく感じ。後半は繋ぎも少なく、スタミナ不足を感じさせました。31歳のベテランなのに団体戦から出ずっぱりでしたしね…。
他選手に比べて基礎点が低い上に、ジャンプにもミスが出たので(コンボも2本だけ)、メダル争いからは脱落といっていいでしょう。
ただ、力みのない完璧なスケートと、体幹の筋肉だけで姿勢を制御することで『牧神の午後への前奏曲』のたゆたうような雰囲気を作り出したのはコストナーならでは。こういう表現が出来るのは彼女だけです。唯一無二の価値は存分に示したといっていいでしょうし、無欲な滑りもまた五輪では異彩を放っていました。
FSは139.29(63.64・75.65)、トータル212.44。
この内容でこんなに出るんや…。
ちょっと肝が冷えました。

銅メダル争いのダークホースとして私も注目していた坂本花織さんですが、どう頑張っても宮原さんには届かないので(PB142.87)、ここは自分の演技を貫いて五輪を大いに楽しんで欲しいところ。
緊張を中野園子コーチにほぐしてもらって笑顔でリンクインした坂本さんは、『アメリ』のパントマイムから伸びやかなスケーティングでの大きな3F+3T!3Sもよし!
下半身のバネを生かしたステップも大らかによく滑り、演技が本当に華やか。素晴らしいポテンシャルを秘めた選手だということがよくわかります。
上達してきたパントマイムを挟んで始まった後半も今季ものにした3Lzをきっちり跳び、3F+2Tも余裕、確かな技術のスピンのあとは後半とは思えぬデッカイ2A+3T+2T!すげえ!
そうして疲れ知らずのままコレオも勢いよく滑り、これはノーミスくるか、と思われたものの、3Loで踏み切りが合わずにステップアウト、惜しい!
しかし2Aはきっちり決め、最後のコンビネーションスピンまでまったく集中力を切らさなかったのは本当に立派でした。
日本のフィギュアファンとして、この17歳のシンデレラを五輪に送りだせたことを誇りに思います!
FSは136.53(68.42・68.11)、トータル209.71。
前の2人とは違って、見た感じ通り、シーズン基準通りといったスコア。
坂本さんはキスクラでは納得の表情を浮かべつつも、その後のインタビューでは悔しさを露わにし、「4年後を目指す」と力強く語っていました。この大会は今後へのいいモチベーションになったことでしょう。
”伸びしろ”がたくさんある選手ですから、本当に楽しみです!
(歴史的激闘となった後編へ続きます。)
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2018冬季五輪・フィギュア女子SP ハイレベルな混戦

この2018冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルは、大会前からメドベージェワとザギトワのハイレベルな同門対決に注目が集まっていましたが、昨日(21日)に行われたSPは予想通りのヒリヒリした戦いになりました。
両者最終グループに振り分けられるなか、まず先に登場した世界女王メドベージェワが鬼気迫るような演技で81.61(TES43.19・PCS38.42)のパーソナルベストで世界記録更新!
怪我明けでジャンプの流れはいつもよりぎこちなかったものの、表現面(振り付け)では凄まじい集中力で指先・足先まで完璧にコントロールできていて、世界女王のプライドと金メダルへの執念を感じました。
今大会のメドベージェワの滑りを観ていると、”命がけ”という言葉しか思い浮かびません。

ザギトワとの争いでいうと、FSでのPBで約2点劣るメドベージェワは(※国別対抗戦のスコアは除外)、SPで2点リードする必要があり、ザギトワのSPのPBは80.27なので、メドベージェワからするとSPの目標スコアは82点だったはず。
”81.61”というスコアを聞いたときのメドベージェワがある程度満足した表情をしたいたのもそのためでしょう。

そして2人挟んで始まったザギトワのSPですが、前半のステップシークエンスに拙さが感じられたものの、技巧的で美しいスピンと、後半に集めた高難度ジャンプ構成をきっちり揃えたのは驚かされます。いうまでもなく初めての五輪ですぜ。
シーズン序盤は後半のスタミナに問題がありましたし、ジャンプの着氷で身体が折れる癖がありましたけど、それもいまではほとんどなくなっているのですから長足の進歩としかいいようがありません。
ただ、内容的には欧州選手権(80.27)のときとあまり変わらないのでスコアも同じくらいかと思ったんです。
しかし出てきたスコアは82.92(45.30・37.62)のPBで世界記録をあっという間に更新!
メドベージェワに勝つとは思いませんでしたからびっくりしました。
スコアが大幅に伸びた一番の要因はPCSです。欧州選手権のときは36.28でしたからね。
これは”ロシアのエース交代”の瞬間といっていいでしょう。
私はこの2人にはもう少しPCSの差があると思いますけど、ジャッジはそう考えてはいないようです…。

これでFSではザギトワがかなり優勢になりました。大きなミスがない限り、メドベージェワは勝つことができません。
15-17の2シーズン、絶対的な力を誇っていた世界女王が、この五輪という大舞台でここまで追いつめられることを誰が想像したでしょう?
怪我があったとはいえメドベージェワの力は落ちていません。”真・天才少女”ザギトワが凄すぎるだけです。

そして、この2人の超ハイレベルの戦いのせいで、他の選手が争うのは銅メダルのみなのは間違いありません。
しかも、これまたかなりの混戦なので予想はかなり難しいですよね。
有力候補でいうと、コストナー、オズモンド、デールマン、ソツコワ、そして我らが日本の宮原知子と坂本花織。
実力的にはコストナーとオズモンドがちょっと抜けていますけど、ベテランのコストナーはスタミナ面に不安があり、オズモンドは大舞台でのポカ癖があるので、他の選手は少しも諦める必要がありません。
まずはどの選手もSPできっちり70点以上を取り、FS最終グループに残るのが最初の課題ですし、できれば75点に近いスコアを出したいところ。

まずその課題に挑戦したのは第5G(全6G)の先頭で登場した坂本花織。
団体戦では緊張し過ぎてジャンプのタイミングがおかしくなった彼女ですが、SPの前半はステップとスピンしかないので、そこで気持ちを落ち着けられるのは観ていてちょっと安心。
…などと私は考えていたのですが、この日の出だしから坂本さんは集中した素晴らしい滑りで『月光』の繊細な世界を美しく表現すると、後半のジャンプも伸びやかに決めて、身震いするような演技内容。
ザギトワ同様に彼女も長足の進歩を遂げています!
楽しみなスコアは73.18(40.36・32.82)でPB!よっしゃあ!
初の五輪で自分の演技を貫けるなんて、坂本さん、本当に凄いよ!

坂本さんの好演を観て、やはり五輪という舞台は選手に力を与えるのかなあ、なんて思っていたら、デールマンが得意の3T+3Tでまさかのステップアウトで68.90。本人も”なぜ”というふうに首を捻っていましたけど、”五輪の重圧”はわからないうちに選手を侵食しているようです。

最終Gでもメドベージェワのあとに滑った宮原知子はいつもより緊張しているのが手に取るようにわかりました。
全日本4連覇、世界2位の実績を持つ彼女でも五輪は初めてですし、キャリアがあるとはいえまだ19歳ですからね。
しかしその緊張のなかでもジャンプはまずまずいつもくらいで跳べていたのは感服するよりほかありません。
SPは大きなミスをしないことが大事ですからね。
宮原さんのSPは”緊張感と対峙し、それに打ち勝ってゆく”という五輪らしい演技でした。
そうして出てきたスコアは75.94(40.25・35.69)のPB!
気になるジャンプの回転不足もこの日のジャッジ基準ではOKで助かりましたし、硬くなっていたように見えた演技が高く評価されたのも意外でした。
FSに向けて、”風”を感じます!

オズモンドはここ数大会で調子を落としていましたし、団体戦でも良くなかったので、かなり不安でしたけど、それを払拭する見た目ノーミスの演技。
ミスをしないことを意識したのか、いつもの豪快さや快活さは感じられなかったものの、宮原さん同様に自分に打ち勝つ演技でしたね!
スコアは78.87(41.83・37.04)でPBでしたけど、これにはちょっと戸惑いました。
3Lzはどう見てもエッジエラーだと思うんですけど…。
団体戦では”怪しい”という判定が出てGOE±0だったのがこの日はクリーンという判定でGOEも+1.60でした。
オズモンドにも追い風が吹いていますね。それもかなりの強風が。

その風といえば、コストナーはまるで微風のなかにいるような『Ne me quitte pas』。
4度目の五輪となる31歳には重圧などどこ吹く風でした。
ただ、団体戦からのジャンプの不調はいかんともしがたく、3F+2T(3T予定)、得意の3Loがお手つきというもったいないミス。
しかしスコアは73.15(35.06・38.09)も出るのですから、私には彼女への判定はよくわかりません。
FSでも理解不能なことが起こる可能性がありますね…。

そして最終滑走のソツコワですが、安定感が売りの彼女が最初の3Lzで転倒し、リカバリーの3F+3Tに回転不足がついて、63.86(31.47・33.39・減点1)という結果に終わったのは本当に驚きました。
このSPでの最大のハプニングだったかもしれません。
ロシアは国内の争いが熾烈なので、代表権を獲ったところで燃え尽きていたのかもしれませんね…。

こうして日本の2人はFS最終Gに残り、銅メダル争いにも食い込む形になりました。
オズモンドが最も有利な位置にはいますけど、FSに弱い選手なので、宮原さんも坂本さんもいま出来る最高の演技をすれば、どうなるかまったくわかりません。
とにかく自分の演技に集中して、己を貫くのみです。
FS最終Gに残ったことで、日本代表としての責務はすでに果たしているのですから、少々自分勝手なくらいのパフォーマンスを期待しています。
日本のフィギュアファンは結果と同じくらい、いやそれ以上に内容を見てくれます。

2人の笑顔を待っています!
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2018冬季五輪・女子パシュート みんなで掴んだ勝利!

私もちょっと知らなかったんですけど、大和撫子という花は氷の上でも力強く咲き乱れるんですねえ。
2018冬季五輪・スピードスケート女子チームパシュート、日本女子チームが念願の金メダルを獲得しました!

今季の日本チームはW杯で世界記録を3度更新するという驚異的なパフォーマンスを見せ、もちろんこの五輪でも金メダル最有力候補。
日本のメディアも「金メダルが確実」かのように伝えていました。
しかしその前に立ちはだかるのはスケート王国オランダ。
個々の力を比較すれば圧倒的にオランダが上です。
それを日本は300日合宿により修得した三位一体の滑りで、まさに3人がひとつの生き物のようになった滑りで打ち負かしてきたわけです。

しかし、オランダが「私たちが五輪前に2週間合宿すれば必ず日本に勝てる」などという傲慢な発言をしていたように、個々の力に絶対的な自信を持っている彼女たちが五輪に合わせて調整してきたときの爆発力は未知数でした。
オランダはその自信通り、一昨日の準々決勝を五輪記録で通過し、今日21日の準決勝は流すようにして決勝進出。
かなり不気味でしたけど、日本は準決勝でおかしなスターターのせいでスタートをミスるも、慌てず騒がず立て直して余裕で勝ちあがると、今日の準決勝も高木菜那・高木美帆・菊池彩花で体力を十分に温存したまま決勝進出。
私からは両者の力はほぼ互角に見えました。
おそらく残り1周で、どちらの足に力が残っているか、という勝負になるはずです。
(※女子パシュートは400m×6。)

そうして準決勝から1時間強経って始まった決勝、日本は高木菜那・高木美帆・佐藤綾乃という構成で、菊池さんがウォームアップエリアから祈りを込めるなかレーススタート!
(※菊池さんは気立てのいい信州美人というだけではなく、今季2度目の世界記録メンバーのひとりという好選手。)
対するオランダはレーンストラ(1500m銅)・ブスト(1500m金)・デヨング(3000m銅)という名前と顔を見たらビビっちゃうような面々ですが、日本は微塵も臆することなく美しい一本の帯となり、序盤は着実にリード。
しかし中盤になると個々の力に勝るオランダが一気に逆転し、その底力を見せつけます。
ただ、日本は本当に落ち着いた滑りで、ひとりひとりが忠実に自分のミッションをこなし、空気抵抗を最小限にする一糸乱れぬ隊列を維持すると、先頭変更もロスなくスムース。”自分たちの滑りをすれば勝てる”という確信に満ちていました。
すると、じわじわと追い上げていった日本は残り2周を切ったところで逆転し、そこからもぐんぐんと滑りを伸ばしてゆくと、オランダに影を踏ませぬ勢いでゴール!2分53秒89は堂々たる五輪レコード!よっしゃあ!
オランダにも1秒59の大差をつけていましたし、まさに完勝でした!
日本女子は最強だ!
髙木姉妹も佐藤さんも本当に素晴らしい滑りだった!

喜びを爆発させる選手とコーチたちを見て、私も胸が熱くなりました。
菜那さんが試合後に「この4人だけではなく、支えてくれたスタッフ、そして一緒に合宿をしてきた押切美沙紀らサポートメンバーみんなの力があっての金メダルです」と語っていたように、日本女子スケート陣の総合力の勝利だったと思います。
だからこそ喜びも大きいのです。

強く美しい大和撫子たちに乾杯!
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