fc2ブログ

寒い日は生姜でオールOK

10年に1度という大寒波が到来するなか、今日2023年1月26日、私の住む長野市は-10℃の壁を突破し、-12℃を記録しました。
朝方は水道の様子がおかしかったり、台所のスポンジが凍っていて驚いたり、日中もなかなか気温が上がらず、寒くて寒くてどうになかりそうでした。
明日以降はどうにか真冬日から解放されそうですが、それでも最高気温は3℃くらいのものですからまだまだ戦いは続きます。
雪かきも頑張らねば。

こんなに寒いとやはりなにか温かいものでも食べて体を芯からポカポカさせたくなってきます。
私の好みとしては、おろし生姜をたっぷりのせたあんかけうどんやたぬきうどんなどですが、夜に家族で食べるならお鍋がいいですね。ここでも生姜をたっぷりと使って。
そこで私がお勧めしたいのは究極のポカポカ常夜鍋です。

レシピはシンプルで、教科書通りの常夜鍋のお出汁に、生姜ひとかけと生姜パウダー小さじ1を入れ、つけダレ(ポン酢)におろし生姜を加えることです。
加熱生姜×乾燥生姜×生生姜の三重奏により、生姜の味と香りと栄養素を全て美味しくいただこうというのがこのポカポカ常夜鍋のコンセプトというわけです。

常夜鍋は豚肉とホウレンソウのみのシンプルなものでもよいですし、キノコや豆腐を入れてもいいと思います。
また、日本酒をふんだんに使うのが特徴の鍋ではありますが、私は個人的には芋焼酎が好みです。
脂っぽい豚肉(イベリコなど)のときは特に。
焼酎でいえば、生姜割りや仕込み段階から生姜を加えた生姜焼酎なんかもあるので相性はいいはずです。
小さいお子さんがいるご家庭では、お酒はよく煮切って使いましょう!

そんな生姜のポカポカ効果というのはギンゲロール(Gingerol)という成分に由来するのですが、それを加熱したり乾燥させたりするとショウガオール(Shougaol)という成分に変化し、さらに血行促進や発汗を促し、しかも抗酸化作用までプラスされると分析されているのです。
日本人は昔から生姜湯を飲んだり、お風呂を生姜湯にして楽しんできましたので、感覚的にそれを理解していたのでしょう。
ちなみにショウガオールを発見(1917年)したのは野村博博士という化学者で、博士が日本語の”しょうが”にちなんで命名したショウガオールは日本人が誇るべき辛味成分です。

生姜は生だと爽やかな風味や解毒効果があるので薬味としても抜群ですし、火を入れたり乾燥させたりすればポカポカ効果や身体を強くする効果にさらにアップするため、鍋料理にとってこれほど優れた味方はいません。
生・加熱・乾燥で風味が変化するのを生かして、色んなお鍋のアレンジをすることも可能です。
針生姜にして食感を楽しむという手もありますし、アレンジは無限大です!
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト



京風たぬきうどんを真面目に考察

今年2022年の信州は例年比べて数日ばかり寒さの訪れが早いようで、私の住む長野市もこの10月26日の朝に初霜と初氷が観測されていました。
体感的には陽射しがある日中はまだましなんですけど、確かに朝晩はかなり冷えます。
我が家ではすでにコタツが稼働していますしね。

そうなってくると食べ物もあったまるやつが恋しくなってきて、ついこないだは相方の要望できざみきつねうどんをこしらえました。
それも餡かけにしておろし生姜をのせたやつ。

我が家の手抜きレシピを紹介しますと、まず主役となる油揚げ(量はお好み)を幅5mmくらいに切ってからフライパンで乾煎りし、香ばしくなってきた頃合いにお湯(一人前約300ml)を注ぎ、そこに味を見ながら麺つゆと根こぶ出汁と顆粒のあご出汁、みりんを加えてベースの完成。
それをくつくつと煮ている間に、九条ネギを刻み(なければ白ネギ)、生姜をおろし、うどん(冷凍でも袋麺でも)を湯がいて器に盛ります。
そしたらベースのお出汁に水溶き片栗粉でとろみをつけ、刻みネギを入れてさっと火を通し、うどんに出汁ごとかけ回してから、おろし生姜をのせて、はいお待ち!

味のポイントは根こぶ出汁とあご出汁です。これで市販の麺つゆの枠を超えたオリジナリティが出ます。
味変は京風の七味唐辛子が欲しいところですが、なければ一般的な唐辛子と一緒に山椒をふればいいと思います。

京都だとこの餡かけのきざみきつねうどんを「たぬきうどん」といって出すお店も多いのですが、我が家ではあくまで「あんかけのきざみきつね」です。
たぬきは餡かけうどんにおろし生姜をのせたやつをそう呼んでいます。
実は京風のたぬきうどんには2つの説あって、ひとつにはきつねうどんのお揚げを刻んで餡をかけた、つまり狐が化けて狸になったたぬきうどん説、もうひとつは餡がどろ~んとしているからドロン!と化ける狸というわけで、餡かけ全般をたぬきうどんと呼ぶ説があるんです。
ちなみにドロンは歌舞伎のおどろおどろしい場面で使われる大太鼓での効果音「ドロドロドロー」が語源といわれています。

ここでみなさん「狐も化けるんじゃないの?」とお思いかもしれませんが、古来より日本では狐は化けるよりも、”憑く”ものという扱いなんです。
”狐憑き”の民間伝承が日本各地に残っていることからもそれはよくわかります。
もちろん狐も化けないわけではありませんが、化けるだけでいうと狸のイメージがずっと強烈です。
『文福茶釜』がそうであるように、昔話で人間に化けるのはだいたいが狸です。
そうして人間を騙したりからかったりするのですが、ばれても見た目の愛嬌から許されることもしばしばあるというのも狸の特権です。
しかも狐が狸に化けるという話はないのですから、やはりたぬきうどんはドロン!の狸が正解なのではないでしょうか。

ただ、ここでネックになるのは、ドロンの語源である歌舞伎に『義経千本桜』という演目があって(もともとは人形浄瑠璃)、そこに登場する佐藤忠信の正体が子狐ということなんです。
狐がドロンとひとに化けちゃっているんですよね。
しかも正体を現すときにドロドロドローの効果音が鳴っちゃっているし…。

でも、やはり狐が狸に化けているわけではないんです。
そこを強調して無理矢理考察を終えたいと思います!
人気ブログランキングへ

真の日本式担々麺

梅雨の晴れ間というやつで、昨日今日(2022年6月19・20日)は私の住む長野市も急に暑くなって、なんだか体もぐったり来ちゃいましたし、食欲もがっくり落ちてしまいました。
こういうときって、さっぱりしたものや辛いもので乗り切ろうってことになるんでしょうけど、私の相方などは毎日のように唐辛子の利いた麺類を食べています。
特に担々麺が好きなので、ラーメン屋さんではもちろん、袋麺やカップ麺でもそれを
選ぶことが多いですし、たまに違うのがあるかと思ったら蒙古タンメン中本なので、ストックケースのなかがとにかく赤いんです。
そこに白根誠社長の写真が浮かんでいるのがちょっと怖い…。

そんな担々麺ですが、昨年秋に発売された〈サッポロ一番 元祖ニュータンタンメン本舗監修 タンタンメン〉で”川崎タンタンメン”を知ったとき、私は担々麺とはなにか?とちょっと考えさせられました。
この商品は川崎市にある有名店のそれを模したものなんですけど、一般的な担々麺じゃないんです。
お店の紹介を見ると、チーマージャン(ゴマペースト)は使われておらず、真っ赤なスープに溶き卵をふわっとさせた色鮮やかなラーメンで、最後にまた唐辛子をこれでもかと振っているのが特徴的です。
ニンニクで炒めた豚ひき肉も入っているみたいなので、味は濃厚そうですね。

そんな川崎タンタンメンを見て、「これは担々麺じゃない!」といいたくなるひともいるでしょうけど、そもそも日本で食べられている担々麺はかの陳建民が本場のそれをラーメン風にアレンジしたものです。
19世紀半ばに四川省成都で生まれたとされる担々麺は、豚ひき肉とザーサイなどを炒めて山椒や唐辛子で風味をつけ、醤油やテンメンジャンで味を調えたものを茹でた麺に乗せた”汁なし麺”なんです。
それを陳建民は日本人が馴染んでいた”汁あり麺”にして、辛さを抑えるためにチーマージャンを加え、一杯での満足感を出すためにチンゲン菜やモヤシなどを乗せたわけです。
両者は味の印象は近いんでしょうけど、同じ料理というにはかなり違いがありますよね。

ただ、ここで大事なのは”担々麺”という名称です。
チャイナの麺料理は、スープの味ではなく、麺の材料や形状で分けることが多いのですが、担々麺はそのどちらでもなく、天秤棒で”担ぎ売り”していたことに由来するんです(天秤棒は片方に鍋と七輪、片方に食材や食器)。
これは屋台よりももっと小さな営業スタイルですから、無駄を省くために汁なしになったのでしょう。
味付け自体はいわゆる四川風ですから、外から見れば”四川風ラーメン”が正しいような気がします。
現在は担ぎ売りされることもなく、店舗もしくは屋台で提供されますしね。

その担ぎ売りの麺でいえば、実は日本でも江戸時代から明治頃までは蕎麦とうどんのそれが存在したんです。
棒手振(ぼてふり)や振り売りという小ぢんまりした形態から始まり、浮世絵でよく描かれるような担い屋台へと進化して行きました。
どの絵でも丼に汁が入っていないので、おそらく汁なし麺だったのではないかと思いますが、蕎麦もうどんもつゆにつけたり、醤油つゆをかけ回せば汁は要りませんし、担ぎ売りにはぴったりです。
単身者が多い都市部では需要もあったことでしょう。

というわけで、お店で担々麺を注文した際、どんなものが出てきても怒ってはいけません。
担々麺は味や材料ではなく、売り方です!
盛り蕎麦が出てきたさすがにびっくりするでしょうけどね!
人気ブログランキングへ

夏こそパンまつり

4月30日といえばゴールデンウィークも始まったばかりで、多くのひとたちは「明日はなにをしよう!」とウキウキな気分でしょうけど、一部のマニアにとっては終わりの日です。
明日からはもうあのシールを探さなくていいんです。
日本の春の風物詩〈ヤマザキ春のパンまつり〉の3ヶ月がついに終わりました。
みなさんは2022年の白いスマイルボウルをいくつゲットできたでしょう?サラダにもスープにも手ごろなので家族分を揃えたいですよね。

1981年にスタートした春のパンまつり(当初は食パンまつり)は今年で42回を数え、配った”白いお皿”は累計5億枚を超えるといいます。日本の家庭の食器棚に1枚くらい入っているかもしれません。
ちなみに、このお皿は陶器っぽく見えますが、実は強化ガラス製で割れにくく、傷つきにくいのが特徴です。長く使い続けて欲しいという山崎製パンさんの思いがこもっているといっていいでしょう。
しかも、実売するとしたら数百円という価値だそうですから、なんとも太っ腹です。

山崎製パンさんがそんなキャンペーンを長年続けているのは、「春にパンの売り上げが伸びるから」だそうです。
お客様への感謝もそうですし、他メーカーとの競争も背景にある戦略なのでしょう。
またこれは私の勝手な分析ですが、春は新生活が始まる時期のためか朝食を食べるひとの割合が多く、メーカーとしてはできるだけ多くの消費者に朝のパン食を習慣づけたいのだと思います。
そういえば、漫画やアニメでトーストをくわえた女の子が曲がり角で誰かとぶつかるのもたいてい春です。
これもパンメーカーのステマだとしたら、我々日本人はもうすでに完全にやられています。

そして、その春の次にやってくる夏はというと、残念ながらパン屋さんにとって苦難の季節として知られています。
まず作るのがきつい。発酵の塩梅が難しいのはもちろん、焼くときの熱さが辛い。
しかも夏場は消費者の方も”パン=焼く”に暑苦しさを感じるのか、なかなかパンに手が伸びません。
美味しいはずのパンの香りを鬱陶しくを感じるのも夏です。昨今は猛暑なのでなおさらです。
暑くなると朝ごはんを食べる率も下がるので、それもパンが売れない原因のひとつでしょうし、パン屋さんにとってもパンメーカーにとっても夏は地獄の季節です。

そんな夏場のパンで唯一売り上げを維持しているのがコンビニのサンドイッチだそうです。
シャキシャキレタスやフルーツサンドなどの清涼感のあるメニューがその要因だといいます。
こういうコンビニのマーケティングには本当に舌を巻きます。
巻くといえば、夏野菜と辛いソースのブリトーも夏場に強いのですからコンビニに隙はありません。
対して、山崎製パンのようにスーパーマーケットが販売の中心になるメーカーは在庫管理や品質管理の面でサンドイッチやブリトーに注力するのは難しいものがあるでしょう。完全にコンビニにしてやられています。
(※デイリーヤマザキとヤマザキショップを合わせてもローソンの3分の1ほどの店舗数。)

しかし山崎製パンを始めとしたメーカーもただ手をこまねいているわけではありません。
ここ数年は”冷やして食べても美味しい”というコンセプトのパンを逐次投入しているんです。”凍らせてもOK”という商品もあります。
ただ、そのいずれもがクリームやフルーツソースを使った菓子パンタイプなんです。
これでは間食にしかなりませんし、油・脂やカロリーだって気になってしまいますから、現代の健康志向には合致しません。

ですから、いまパンメーカーが作るべきは栄養バランスが整った冷やしパンなんです。
私には具体的なアイデアはまったくありませんが、それを最初に開発したメーカーが令和の勝者になるこでしょう。
私は白いお皿にお世話になっていますから、それがぜひ山崎製パンであることを願っています。
そしてそのときはぜひ”夏のパンまつり”を開いて欲しいものです。

夏のおいしさいきいき! キャンペーンのことは忘れましょう!
人気ブログランキングへ

テーブルコショーならば江戸時代も戦えたはず

この2022年の春は武漢ウイルスやウクライナ戦争の影響もあって、色んなものが値上がりすることが決まっていますが、今日3月15日にはヱスビー食品が6月1日からスパイスなど191種類の商品の値段を平均9.8%アップさせると発表しました。
主だった理由は例によって「原材料価格や物流費エネルギーコスト上昇」だそうですが、値上げは14年ぶりなのでヱスビー食品はがんばってきたと思います。

そのヱスビー食品といえば、なんといっても〈テーブルコショー〉でしょう。
家庭でもラーメン屋さんでも「お馴染み」としかいいようがなく、日本人の9割はあの小瓶をふりふりしたことがあると思います。
もっといえば、あのテーブルコショーの味こそが胡椒だと思っているひとも多いかもしれません。ブラックでもホワイトでもないあの独特な灰色の粉を。

我々はあまり意識していませんが、実はテーブルコショーはブラックペッパーとホワイトペッパーをヱスビー食品が独自の配合でブレンドしたものです。
刺激的な香りのブラックと、穏やかな香りと完熟の旨味のホワイトのいいとこ取りというわけです。
それが”テーブルコショー”にしかない味わいとなり、まさにオンリーワンの商品になっているといっていいでしょう。
私も子供の頃からこれが大好きで、いまでも必ず台所に置いています(テーブルじゃなくてすみません)。
何にかけても美味しくなる、魔法の粉としかいいようがありません。

ヱスビー食品はもともとカレー粉販売の会社・日賀志屋として設立され、1923年に国産初(諸説あり)のカレー粉を売り出したことで知られています。
小瓶入りの胡椒はそれからしばらく経った52年に発売され、いつの頃からかトレードマークの赤キャップがかぶせられ、いまのテーブルコショーとなったわけですが、日本人とはもう70年間の付き合いなのですから、身体に沁み込んだ味といっていいでしょう。
その歴史でいえば、”日本人と胡椒”の関係は意外なほど古く、奈良時代には唐を通じて原産地のインドからもたられ、事実上の鎖国されていた平安時代には縁遠くなったものの、室町時代には明からまた入ってくるようになり、江戸時代には薬味として一般庶民も使っていました。落語や浄瑠璃にもそれが描かれています。
現在の胡椒は西洋食のイメージですから、ほんと意外ですよね。
大航海時代の欧州では「金と同じ価値」といわれた胡椒ですが、中国や東南アジアでも栽培されていたせいか、そこと距離が近い日本ではぜんぜん高くなかったようです。

そんな胡椒が日本の薬味としてマイナー化したのは、江戸時代に大流行した唐辛子のせいです。
戦国時代にポルトガル経由で伝来した唐辛子は後発だったものの、胡椒と違って日本の風土でも栽培が可能だったため、一気にシェアを拡大したんです。
日本各地での品種改良もありましたし、何よりも〈七味唐辛子〉の誕生が大きかった。
胡椒が関西の出汁文化のなかでわずかに命脈を保ち、文明開化の洋食ブームまで雌伏のときを過ごすこととなったのとは対照的です。
ラーメン(中国人がいうところの日式拉麺)も明治時代に生まれましたし、胡椒にはチャンスもなかった。

ちなみに、江戸時代の上方での主な胡椒の使い方は、魚介系のお汁の臭み消しとアクセントだったようです。
アラ汁やハマグリ汁が代表的です。
いまでもその感覚は通じると思いますし、上方の食文化恐るべし!
人気ブログランキングへ
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード