おこわはこわい

私の母親というひとは、若い頃は仕事に没頭していてあまり家事に時間をかけず、料理も手の込んだものを作ることがなく、レパートリーも少なかったのですが、歳を重ねてからはその少ないレパートリーを作り込むようになり、それがなかなか美味しいので、私の相方などは「お義母さん料理上手」っていって褒めるのですから、子供の頃の記憶がある私はなんともいえない気持ちになります。

そんな母の得意料理が”おこわ”でして、これは家族のみならず親戚にも好評ですし、相方などはこれが大好物で、私の実家でこれを食べるときは相好を崩しながらバクバク食べるので、母も決まって拵えてくれるというわけです。

そして今日、久しぶりに会った父が、お土産にといって、「母さんのおこわ」をくれたんです。
私がそれを家に持ち帰ると、相方は「やったー!」といって喜んで、夕飯にそれを開けたんですけど、そこに入っていたのが”赤飯”だったことに、相方は激怒。
「これ、おこわじゃないじゃん!」といって私を責めるんです。

これには私も面食らってしまいました。
”おこわ”だけに、おお、こわ…。
そこで私は説明したんです。
”おこわ”というのは”もち米を蒸した料理”だから、赤飯もその一種だと。
しかし、相方は納得しません。
母は”山菜おこわ”を作ることが多いので(季節的にも)、相方はそれを期待していたんですね。
赤飯のときもあったはずなんだけど…。

ちなみに〈おこわ〉は〈強飯こわめし〉が転じたもので、硬いご飯という意味です。
ただ、現代の我々は”おこわ”をさして硬いとは思いませんよね。
普通に炊いたご飯よりもモチモチしているというくらいの印象なのではないでしょうか。

これは実は比較対象が違うんです。
強飯の逆は〈姫飯ひめいい〉といって、炊いたご飯ではなく”煮たご飯”で、柔らかかったんです。
現代のようにご飯を炊くようになったのは鎌倉時代からと考えられていて(諸説ありますが本格的な羽釜になるのは江戸時代)、それまでは土鍋で煮ていたわけです。
水の少ないお粥といっていいでしょう。
これに対して、炊くというのは”煮ると蒸すの融合”ですから、いわゆる”立ったご飯”という、一粒一粒に存在感がありながらももっちり柔らかいご飯というものが完成したわけです。
日本人のご飯に対するこだわりって凄いですよね。

…と、私がそんな話をしているうちに、相方は赤飯をバクバクと平らげているのですから、結局どっちでもいいのかい!
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春の香りのはずが

今年2018年の日本列島は3月も10日過ぎから一気に春めいてきて、桜の開花も東京では平年より9日早い3月17日、大阪でも平年より8日早い20日でした。
私の住む長野県でも平年より開花が早くなるという予報が出ています。
ちなみに”春を告げる花”といえば桜がその代表で、アンケートなどでも断トツ1位であり、2位の梅とはダブルスコアになることも多いですけど、私はどちらかというと梅派です。
梅の香りがどこからともなく漂ってくると春を感じます。
桜というのはなんだか春の終わりを感じるんですよね。

そんな春ですが、食卓の方でもいよいよ季節が変わ始めてきました。
野菜でも新タマネギや新ジャガ、春キャベツなんかが小売店で目立ち始めますし、海産物でも新ワカメや新メカブが安くて美味しいです。
そんななかで私の心が浮き立つのはなんといっても”イカ”。
大好物のホタルイカもそうですし、子持ちのヤリイカを見ると、冬が終わったんだなあってつくづく思うんです。
歯ごたえも味も弱々しいんですけど、だからこそ春の味なんですよねえ。

この子持ちヤリイカは醤油で甘辛く煮つけるのが定番なのはもちろん、春野菜と一緒にバターでさっと焼いても美味しいですし、トマトベースのパスタ、それに焼きそばなんかにもバッチリです。
小売店ではボイルしたのをサラダの具にするのを勧めていました。オリーブオイルとレモンでさっぱり仕上げるのがいいですね。
このように手を変え品を変えれば毎日でも飽きません。
軽い味のイカを使ったこざっぱりした料理、これで春を満喫です!

…なんて思っていた今日3月21日、春分の日だというのに本州はまさかの寒波到来。
関東甲信越の一部地域では数十センチの積雪があったというのですからまさに季節外れです。
私の住む長野市も暴風のなか霙雨が降ったり、時間帯によっては小雪が舞ったりしていたので、私も今日は家に閉じこもりきりでした(長野パルセイロのホーム開幕戦はテレビ観戦。今季初勝利!)。

すると相方が「寒い寒い、腹減った、なんかあったかいものが食べたい」などと春を忘れたように騒ぎ始め、しまいには「担々麺がいい!」などとめちゃくちゃな要求をし始めたんです。
悪天候のなか外食はしたくなかったので、家でなんとかしなくてはならないわけですが、戸棚を探すとインスタントの袋麺はあったものの、それは〈ラ王〉の味噌味でした。
これにゴマペーストでも入れればそれらしくなるかもしれませんが、あいにくそんなものはありませんし、お店でも代用されるピーナッツペーストもなし。
これは万事休すか…。
しかし、それでも相方は担々麺がいいといい張りますし、私もなんとなく口が担々麺になってきてしまったので、ここは頭を使うしかありません。

そこで目を付けたのが買い置きの新ジャガ。
そのすりおろしをお湯で煮て、とろみがついてきたところに豆板醤と牛乳を少々加え、そこに付属のスープの素を投下。
それを丼に盛った麺にかけ、その上から摺りゴマと粉唐辛子、四川山椒を散らし、具はみじん切りにしたネギとハムとカニカマ。
ありあわせの材料でしたけど、このなんちゃって担々麺はかなり完成度が高かったです。自画自賛したいレベルでした。
今後は我が家の定番になりそうです。

…しかし、この新ジャガの使い方はまったく春の香りがしません!
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私の解答は酒粕

今日1月22日(2018年)の日本列島は久方ぶりの大寒波に見舞われ、各地で雪のトラブルが起きているようですが、私の住む長野県でも電車の運休があったり、道路が渋滞したりと県民が悲鳴を上げているところです。
長野県は雪に慣れているといっても一気に降られるとやっぱりきついですね。
明日は私も雪かきをすることになりそうです。

こんな日は身体の芯から温まるような料理がいいですよね。
鍋物や汁物が食べたくなります。
信州らしく味噌をベースにした…、といいたいところですが、今年の私がはまっているのは”酒粕”です。
栄養・健康・美容の味方、酒粕です。
09年にブームとなった酒粕は、その後も食材・調味料として定着した感がありますが、私は”他所からもらったときにしか使わない”というケチくさいポリシーがあるので常にマイブームです。

定番のかす汁はもちろん、肉や魚を焼くときの下味にも使いますし、炒めものの合わせ調味料に少し加えると味だけではなくいいトロミもつきますし、カレーやシチューや麻婆豆腐の隠し味でも抜群の効果を発揮しますし、”使えない料理がない”という勢いで私はなんにでも入れちゃいます。
甘いものでも、例えばクッキーやホットケーキやチーズケーキに使ってもいい風味が出ます。

そんな万能すぎる酒粕ですが、これの重宝するのは、これ自体が冷蔵庫や冷凍庫に入れておけばとても長持ちするだけではなく、今日のように天気が荒れて買い物がしにくいような日でも、冷蔵庫の残り物を適当に鍋で煮てかす汁にすれば、それなりのものに仕上がるところでしょうね。
大根、ニンジン、長ネギ、タマネギ、ジャガイモ、豆腐、油揚げ、コンニャク、塩鮭、豚こま、ベーコン…。
我が家のかす汁の隠語は”大掃除”です。

ただ、そんななかでもお気に入りの具材はあります。
それはジャガイモ。
かす汁の定番の具材からは外れるかもしれませんが、これに豚肉か塩鮭、タマネギを合わさせたのが私は大好きです。
そして味付けはシンプルに塩。
ジャガイモとタマネギの甘さをストレートに味わいます。

また、そのジャガイモとタマネギの最強コンビといえば、私の大好きな料理に〈ヤンソンの誘惑〉があります。
これはスウェーデンの家庭で食べる伝統的なグラタンだそうなのですが、私は知ったのは『ムーミンママのお料理の本』という料理本からです。
そこでの作り方を簡単に書くと、ジャガイモをマッチ棒ほどの細さに切り、それを飴色タマネギとアンチョビと交互にグラタン皿に敷き詰め、生クリームを注ぎ、バターのかけらとパン粉を散らした後に200度のオーブンで1時間焼くというものです。
タマネギを炒めるのとオーブンで焼くのに時間はかかりますが、工程はいたってシンプルです。
お子さんと一緒に作っても楽しいと思います。

そんな〈ヤンソンの誘惑〉は、私だけではなく相方も大好物なので若い頃はよく食べていたんですけど、年齢とともに”生クリーム”が障害となり、舌が遠のいていたんです。
しかし、それを救ってくれたのが酒粕です。
生クリームの代わりに牛乳と酒粕を4:1で合せたものを使ったことで驚くほどあっさりしました。
そもそも生クリームは普段あまり冷蔵庫にありませんし、牛乳の方が便利というものです。
買い物が出来ない日でもこれならいける!
(タマネギも面倒くさいので生のスライスにしています。)

ちなみに〈ヤンソンの誘惑〉はスウェーデン料理ですが、ムーミンといえばフィンランドの小説・絵本ですよね。
それなのになぜ『ムーミンママのお料理の本』に載っているかといえば、ムーミンの作者が”トーベ・ヤンソン”というスウェーデン系フィンランド人だからです。
もちろん、同じ北欧ですから食文化も近いのでしょう(※フィンランドには伝統的なマカロニグラタンもあります)。
このところ日本ではセンター試験の「ムーミンはどこが舞台か?」という問題が論争になっているようですけど、ムーミンママがスウェーデン料理を作っているように、「どこ?」という出題自体が野暮ってものでしょうね。
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乾蕎麦も夏の季語に

今年2017年の夏は、梅雨入り前や梅雨明け直後は全国的にもかなりの暑さでしたけど、8月に入ってからは割と落ち着いてきて、甲子園大会をテレビで観ていてもあまり心配せずにすむというものですよね(松商17年ぶりの勝利!)。
ただ、もちろん暑くないわけではなく、我が家でもみな食欲が落ちていて、あったかいご飯よりも冷たい麺ばかりを選ぶようになってしまっています。
俳句でも冷やし中華や素麺は夏の季語になっていますしね。

そんな夏の麺ですが、我が家では蕎麦が定番です。
長野市に住んでいるということもあるのか、乾麺の蕎麦をよくもらうんですよね。
それを茹で、冷水でキリッとしめたやつを戸隠で買った蕎麦笊に盛って、松本で買った蕎麦猪口ですする。
トッピングは松代産の長芋(春掘り)。
そこに八幡屋磯五郎の七味唐辛子をぱらり。
これも信州の夏です。

素麺や冷やし中華、冷やしうどんももちろん美味しいですけど、私はお蕎麦を勧めたいですね。
何しろ蕎麦粉は小麦粉に比べて栄養成分が豊富です。
ミネラル分はもちろん、ビタミンB群は小麦粉の3倍の量を誇り、若さと健康の源ルチンも含まれているんです!
また、蕎麦粉は消化吸収が良く、暑さに弱った胃にも優しいのですから、まさに夏の麺!
しかも、乾蕎麦は暑さで傷んだりしないので便利!

そんな乾蕎麦ですが、我が家で食べるときのちょっとしたポイントは、袋に表示されている時間よりも、少し長めに茹でること。5分とあれば6分ですね。
乾蕎麦は芯が残っていると美味しくありません。茹で過ぎた方がいいくらいです。
そして”つゆ”は、自分で作るというひとはあまりいないでしょうし、面倒ですから、市販のものを買ってきて、昆布と削り節をつけておきます。
出来れば一晩くらいそうして冷蔵庫に入れておくといいんですけど、急に食べたくなることも多いので、昼食べるなら朝、夜食べるなら昼にそうしておいて、食べる直前に濾して使っても風味は十分です。
市販のつゆは少し甘いので、私はちょっと生醤油をたらしてやるのが好きです。

夏の蕎麦、本当にいいですよねえ、悪いところが見当たりません。
消費量でいうと素麺に遠く及びませんけど、もっともっと食べられてもいいんじゃないでしょうか。
毎日だって食べたいくらいですよ…といいたいところなんですけど、なんだか乾蕎麦って食べている途中で飽きてきちゃうんです。
人間というのは贅沢なものです。
そんなとき、私がお勧めしたいのはトマト。
湯むきして粗みじんにしておいて、それをつゆに入れてやると、まあ美味しい。
トマトの酸味と旨味が蕎麦によく合いますし、乾麺独特のクセみたいなやつも消えてなくなっちゃうんですから、あら不思議。
栄養バランスでいっても、麺料理のときに不足しがちな野菜を取れますし、これで隙はなくなりました。

しかも、そのトマトも、ご近所や知り合いから「いっぱい取れたのよ」といって頻繁にもらうんです。
夏の蕎麦は胃腸だけではなく家計にも優しいというわけです。
”乾蕎麦”も夏の季語に入るかも!?
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お好み焼きの旬

春というのは色んな食べ物が育ち始める季節ということもあって、新何々や春何々といった食べ物が多くありますよね。
私はそのなかでも春キャベツが大好きなので毎日のようにこれを食べていますけど、このところはお好み焼きにはまっています。
春キャベツは水分が多いので焼くのがちょっと難しいですけど、その分、食感も柔らかく、甘みも強いので、この時期ならでは、といった味わいがあります。

そうして家で豚玉を焼いていたのですが、豚玉の豚バラ肉って、みなさんどういう使い方をなさっているでしょうか?
お店なんかだと長いままのをお好み焼きの表面にイカダのように並べて、カリカリに焼きますけど、これってけっこう食べにくいですよね。
お店だと鉄板の上のお好みをコテで思いっきり切ることができますけど、普通のお宅ではそれはできません。
ですから、3~4センチにカットしてから表面に並べて焼くという方もいらっしゃいますよね。
ただ、それだとひっくり返すときにバラ肉が文字通りバラバラにはがれ落ちることがあるので、これはこれで難しいんです。
なので、私は豚肉は生地に混ぜ込んじゃいます。表面に貼り付ける方法だと豚肉に火が入り過ぎてしまいますからこっちの方が美味しいと思うんです。

そもそも、昔ながらの豚玉って、肉は生地に混ぜ込んでいたはずです。
それもバラ肉ではなく、小間肉なんじゃないでしょうかね。
表面にバラ肉を張り付けたスタイルというのはけっこう新しいと思うので、これがいつから定番化したのかを調べてみるのも面白いかもしれません。

ちなみに豚玉の”玉”は、”玉子(卵)”の意味です。
これは小麦粉だけで生地を作る一銭洋食やどんどん焼きと区別するためのものでしょうし、いまより高価だった卵を使うということのプレミア感もあったはずです。
そしてもうひとつ、一銭洋食やどんどん焼きとお好み焼きの違いが”キャベツ”なんです。
お好み焼きというのは、一銭洋食やどんどん焼きが進化した食べ物と考えられていますが、その歴史は案外新しく、1930年~40年代に誕生し、戦後にいまの形で広く普及したといわれていますけど、なんとキャベツも同じ時期に普及しているんです。
また、卵が”物価の優等生”と呼ばれるようになったのも戦後だということを考えれば、お好み焼きは戦中と戦後を分ける象徴的な食べ物といっても過言ではありません。
2大派閥である関西風でも広島風でもキャベツと卵が欠かせないことからも、その重要性がわかるというものです。

そして、あまり知られていませんが、卵というのは春が旬なんです。
ですから、旬の卵と新キャベツを使えるこの時期こそ”お好み焼きの旬”というわけです。
熱々のお好みをふうふういいながら食べて、冷たい飲み物で一気に流し込む。
いい季節になってきましたね!
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かつしき

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