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ウクライナ戦争が始まって1年

早いものでこの2月24日(2023年)でロシアがウクライナに侵攻してから1年が経ちました。
この戦争によってグローバル経済が打撃を受けたのはもちろん、世界中がある種の軍事的緊張感に包まれたようになり、日本が防衛力増強に踏み切ったのも必然といえるでしょう。むしろ遅すぎたくらいです。
我々の隣にはチャイナ、ロシア、北朝鮮という国際法を軽んじるのに核兵器を持った国々が並んでいるです。
そしてそのチャイナも北朝鮮もロシアの侵略戦争を影ながら支持していることも忘れてはなりません。

そのくせチャイナなどは24日に戦争の和平案を提示し、仲介者に名乗りを挙げているのですから世界中が眉をひそめるのも当然です。
和平の仲介とはどちらの味方もしていない国がやることであり、ロシアへの軍事支援を疑われているチャイナの役目ではありません。
NATO加盟国はチャイナに厳しい言葉や皮肉をぶつけていますし、ウクライナのゼレンスキー大統領も「チャイナは自分の威勢を示したいだけ。ロシアに武器を提供しないことを強く信じる」といってすげない態度なのですから、まさに”お呼びでないやつ”というわけです。

私もチャイナの鉄面皮には辟易しましたが、それでも”大国”として仲介役に名乗りを挙げたこと自体は羨ましくもありました。
日本が第二次大戦後にきちんとした独立国としての歴史を歩んでいたら仲介役に打ってつけだったと思うからです。
現実には世界のどこからもそれを求められず、国内にもそういう雰囲気がないのですから寂しい限りです。
これが外交と軍事をアメリカに丸投げしてきた結果です。
いまの日本は世界情勢に対しては常に受け身であって、自分から行動することはありませんし、できませんし、やる気もないのです

同じような戦後レジームの問題でいえば、岸田総理のウクライナ訪問がなかなか叶わないことがあります。
これは行く必要があるのかどうかという疑問の声もあるようですが、それを議論するならば前提として”訪問が可能な仕組み”を整える必要があります。
いまの岸田総理は行きたくても行けないんです。

いくつかの報道でもあるように、訪問のネックになっているのは総理の護衛をどうするのかということと、訪問計画の情報管理の部分です。
浜田靖一防衛大臣が「自衛隊を要人警護目的で海外に派遣する明確な規定はありません」と明言していますから、岸田総理がウクライナに行く際には普段海外に同行しているSP(警視庁警護課)のみが付くことになるのでしょう。
もし実現したら世界中からその勇気が賞賛されるかもしれませんね。

次に情報管理でいうと、国会開会中に総理(閣僚も)が海外出張する際には国会に通知する必要があるので(国会法71条)、G7の他の首脳がやっている”電撃訪問”は不可能なんです。
「いついつ行きまーす!」と公に宣伝してウクライナに乗り込むというのは、岸田総理がいい的になるようなものですし、なによりも会談相手となるゼレンスキー大統領の身に危険が及ぶ可能性があります。

なにしろ日本には”スパイ防止法”がないんです。
日本経由でゼレンスキー大統領の居場所が漏洩したら大問題ですし、私はその意味で岸田総理のウクライナ訪問には反対の立場です。
日本のお花畑的思考で、その対極にいるひとたちに迷惑をかけてはなりません。
お花畑の代表者たる日本のマスコミは、訪ウしたくてうずうずしている岸田総理をせせら笑うような記事を連日書いていますが、そんな無意味なことをしているならばスパイ防止法について取り上げるべきです。

まあ、オフレコをすぐにオンレコにしてしまうような感覚では無理でしょうけどね。
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ロシアによる大規模ウクライナ空爆

ウクライナの首都キーウのマクドナルドが営業を再開したのが先月9月20日(2022年)。
キーフの日本大使館が再会したのがこの10月5日。
これらの明るいニュースは東部戦線でウクライナ軍の反転攻勢が強まっているのと同時期でしたから、戦争もウクライナ有利に傾き、”終わり”も近づいてきたかに思われたものです。

しかしそんな希望はあっけなく粉砕されました。
現地10月10日の朝、ロシアがウクライナ全土に対して84発ものミサイルを撃ち込み、その約半数をウクライナ軍が撃ち落としたものの、残りは都市部を中心に着弾し、電力施設などのインフラが破壊され、100人以上の市民が死傷したとウクライナ政府が伝えています。

ロシアのミサイル攻撃はこれまでも幾度かあったものの、散発的で小規模なものであり、理由も一応は「軍関連施設を狙った」と説明していました。
それが今回は過去に例を見ない大規模攻撃と化し、しかも標的も軍事的意味合いのある地点ではなく、市民と市民の暮らしを狙った
”民間人への無差別攻撃”だったのですから衝撃的です。

むろんこれにはすぐさま西側の先進各国から非難の声が上がりました。
「国際法に反する非人道的で残忍な攻撃であり、受け入れることはできない」。
各国政府ともにかなり厳しい言葉を使っていましたし、10日の国連緊急特別会合でも20ヶ国の大使がロシアを非難する演説を行い、これまで中立的な立場を取ってきたトルコの大使までもが「市民が死傷したロシアの攻撃は深く憂慮すべきであり、容認できない」と態度を改めたのですから、今回の空爆は国際社会の雰囲気を変えたといっていいでしょう。

さらにもう1ヶ国、自国の安全保障上の観点から対ロ包囲網に加わってこなかったイスラエルのラピド首相もツイッターで「ロシアの攻撃を強く非難し、犠牲者とウクライナ国民に哀悼の意を表する」という書き込みをし、初めて公にロシア批判を行ったのも印象的でした。
今後はイスラエルからウクライナへの軍事支援が行われるかもしれません。

こうして国際社会(先進各国)からのさらなる厳しい非難を受けることになったロシアですが、プーチン大統領は「今回の空爆は10月8日のクリミア大橋の爆発に対する報復だ」と語っていました。
あの爆発は「ウクライナによるテロである」というのがプーチン大統領の主張です。
もっとも、ウクライナ政府はそれを認めておらず、ゼレンスキー大統領の顧問、ポドリャク氏は「答えはロシア内にある」といってロシア治安当局の内部抗争を示唆していました。
ロシアには連邦保安庁と国防省の対立があるようです。

そのように真相は藪のなかですが、確かなのはウクライナ戦争がさらなる泥沼に入ってしまったということです。
現状、地上戦はウクライナが優位に進めているとはいえ、押される度にロシアがミサイルで反撃するとしたら、ウクライナ国民の被害は甚大なものになってしまいます。
米英独が防空システムの提供を加速させる予定とはいえ、配備にまで時間はかかるでしょうし、配備されても全てのミサイルを撃ち落とせるわけでもありません。
ウクライナは犠牲を増やし、ロシアは汚名を増やす、という未来しか待っていないのです。

なんとも無益な戦争ですし、誰も平和的にそれを終わらせる手段を持っていないのもまた悲しいところです。
我々は暴力的に終わらせる手段のうち、できるだけ穏当なものを当事者同士が選んでくれるのを祈るのみです。
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戦勝記念日、プーチンの虚しい演説

ロシアにおける最も重要な祝日である5月9日。
これはドイツと戦った大祖国戦争に勝った日ということになりますが、今年2022年のそれはウクライナ戦争(ロシア的には特殊軍事作戦)の真っただ中ということで、その式典でプーチン大統領が何を語るのか、世界中が固唾を呑んで見守っていました。
これまでの戦果を主張した勝利宣言があるのか、それとも正式に戦争を宣言して兵力をさらに動員するのか、戦況を変えるような話が出てくるのではないかと思われていたわけです。

結果、そういうものはまったくありませんでした。
プーチン大統領はこれまでの主張を繰り返しただけです。
現在のウクライナ政府は民族主義のネオナチであり、ウクライナの親ロ派地域の住民は彼らに迫害されているため、それを助けなければばならない
そのウクライナ政府をNATOが支援し、ロシアを侵略しようとしている。
プーチン大統領はそういって軍事侵攻を正当化していました。

客観的に見てこれは身勝手な言い訳にすぎませんが、ロシア人の大部分はそれを信じているというのが世論調査では明らかです。
政府系メディアの調査ではプーチン大統領を支持する国民は80%を超えていて、独立系メディアがモスクワ市民を対象に調査したところでも軍事侵攻継続に賛成するひとが60%以上だったそうです(いずれも4月の調査)。
ロシア国内の報道はかなり政府寄りだといわれているものの、それだけではなく、国民の心のなかにプーチン大統領と同じ”大ロシア主義”が根付いていなければこういう数字はなかなか出てこないはずです。
プーチン大統領もかねてより「ウクライナは自分のものだ」、「ロシアとウクライナは一体だ」と主張してウクライナの独立性を認めてきませんでしたし、ロシア人の多くも兄弟国とみなしているウクライナが独立することを許せないのです。

しかし、ソビエト連邦時代を振り返ればわかるように、「一体だ」といってもウクライナはあくまでロシアの隷属国でした。搾取の対象でした。
その典型的な例が1930年代の飢餓輸出です。
ウクライナではスターリンの狂った政策が引き起こした飢餓(ホロド)によって民族が絶滅(モル)させられそうになったことでホロドモールと呼ばれています。
ひとつの国、ひとつの民族だったらこんなことはできません。
ちなみに、ロシア帝国時代やソビエト時代(支配者はロシア)にはウクライナ語が禁止されていました。
言語の禁止は同化政策の一環ですから、裏を返せばロシアはウクライナを別民族だと規定していたわけです。
そもそもウクライナとロシアはずっと兄弟だったわけではなく、ポーランドに支配されていた時代も長いですし、国の西側がオーストリア帝国の一部になっていたこともありますしね。

プーチン大統領とロシア人の多くがウクライナにこだわるのは、大国だったソビエト時代の栄光が忘れがたく、かつての従属国が自分たちの影響力から離反するのを嫌がっているからです。
子分たちが次々といなくなり、自国が小さくなった現実を突きつけられるのに怯えているといってもいいでしょう。
そしてその原因はすべて欧米にあると責任転嫁しています。
悪いのはすべて西側です。

ただ、そんななか、ソビエトの栄光もプーチンによる00年代のロシア経済復興も知らないロシアの若者たちは、大ロシア主義などにはあまり興味がないようです。
今年の1月~3月にかけてロシアから出国したひとは約388万人で、その多くが若者だといわれています(※旅行は仕事での一時出国も考えられるため、388万人がいなくなったわけではありません)。
現代経済はグローバルに繋がっていますから、先進国から経済制裁を受けているロシアにいては仕事にならないというひともいるでしょうし、世界を股にかけて活躍したいと思っているひとにとってもロシアにいることは不利益でしかありません。

またその若者でいうと、2月24日から始まったウクライナ戦争でのロシア兵の死者は2万人とも1万5000人とも分析されていて、むろんその大多数は若者です。
記念日の演説でプーチン大統領は戦死者や負傷者の家族を支援する大統領令に署名したと高らかに宣言していましたけど、若い兵士の未来は戻ってきません。
演説するプーチンの背後に居並んでいた元軍人や宗教指導者の老人たちは、自分の孫世代の犠牲についてどう感じているのでしょう?
プーチンの支持層は中高年だけという調査もありますし、ロシア国内の年齢による分断も気になるところですが、何よりもロシアの若者の行動に期待したいものです。

起てよ若人!
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ブチャで潮目が変わった。

キーフ掌握を目指してベラルーシ側から南進していたロシア軍ですが、ウクライナ軍の激しい抵抗に根負けする形で3月末(2022年)から撤退を開始し、この4月6日にはアメリカ国防省が「キーウ近郊から完全にいなくなった」との分析を発表しました。
それに先立つ4日にウクライナのゼレンスキー大統領がキーウの北にある特に被害が大きかったブチャ市を訪問していたので、その頃にはもうウクライナ側のコントロール下にあったのでしょう。
これでキーウとその周辺のひとびとも人心地つけたと思います。一時的なものかもしれませんが、砲弾とキャタピラの音は去りました。

ただ、ロシア軍が侵攻していた地域の被害は甚大で、ウクライナや西側メディア、そして市民たちが発信する映像や画像では激しく破壊された街並みが映し出されていますし、無残に横たわる遺体の数々も本当にショッキングです。
ウクライナ検察は4日までにキーウ周辺で410人の遺体を発見したと発表しています。
それに対してロシア政府は「民間人は殺していない」と説明していますが、映像・画像を見る限り、被害者のすべてが民兵とは思えず、数はわかりませんが、一般市民が犠牲になったことは確実です。

ウクライナ政府は、キーウ周辺では子供や女性までもがロシア軍の手にかけられ、虐待や拷問やレイプのあとの殺害もあったと主張し(※ジュネーブ条約では相手が兵士であっても禁じています)、これをロシアによる「ジェノサイドであり戦争犯罪だ」といって厳しく非難しています。
被害規模についてはウクライナ政府の発表なので鵜呑みに出来ない部分もありますが、西側メディアの取材に応えるブチャ市民もロシアの蛮行を生々しく証言しているので、かなり信憑性がありそうです。

このキーウ近郊の状況を受け、アメリカのバイデン大統領やイギリスのジョンソン首相、フランスのマクロン大統領も「戦争犯罪だ」といってロシアを断罪し、さらなる経済制裁を示唆しています。
エネルギーをロシアに依存するドイツのショルツ首相は「調査が必要だ」と一歩下がった姿勢だったものの、なにもしないわけには行かなかったのか、ロシア外交官40人をドイツから追放すると表明しました。
フランスも35人、イタリアは30人、デンマークは15人を追放するそうです。
アメリカとイギリスは以前からこれを定期的にやっています。
今日4月8日には日本政府もそのあとに続く形で、ロシア外交官8人の追放を決めました。

また、この”ブチャ”に関していうと、これまで親ロシア的な態度を取ってきたインドが「ブチャ市民の殺害を深く憂慮する。キーウ周辺地域での戦争犯罪の調査を支持する」といって、初めてロシアを突き放しました。
インドは過去に中国やアメリカと対立したときにロシア(ソ連)に支援してもらったことがりますし、所持している兵器も大部分がロシア製という、かなりの友好関係なのですが、現在のロシアを取り巻く情勢を見て、このままロシア側に立っていると不利益になると思い始めたのかもしれません。
バイデン大統領からも「このままロシアに協力していれば深刻な結果を招く」と脅されていますしね。

これでロシアのお友達は中国だけになる、といいたいところですが、ロシアのプロパガンダをそのまま垂れ流しているその大国にも変化の兆しが現れているようです。
きっかけはやはり”ブチャ”です。
中国政府はいまのところ「ブチャでの調査が必要だ」とだけいってロシア批判まではしていませんが、海外向け”国営”メディアの中国国際テレビがブチャの街に遺体が散見される衛星映像をツイッターで発信しているので、政府のなかにもロシアとの関係を再考したいという空気が広がりつつあるのかもしれません。
ロシアからの情報を鵜呑みにし、ロシアとプーチンを応援していた中国国民も、SNSでブチャの映像や画像を発見したひとたちは大きな衝撃を受けているとの報道もあります。

ロシア軍から解放された地域からは次々とジェノサイドの証拠が出てきていますし、ウクライナ側がある程度情報を大きく見せているとしても、実際の映像や画像を見てしまえば、誰だってロシア人を許せなくなります。
友人を殺されたブチャ市民が「ロシアの奴らは獣だ!」と叫んでいましたが、それは世界中のひとびとの心の声かもしれません。
ブチャの惨状はロシア軍の非人間性を世界中に強く印象付けました。これはそう簡単に消えることはないでしょう。
そうして〈ブチャ虐殺〉は”事実”として歴史の一部になるのです。

また、ブチャの悲劇を知った世界のひとびとは、他のロシア侵攻地域でも同じようなことが起こっていると想像します。
戦争が続けば続くほど、ロシアの悪のイメージは増幅し、人類の敵になって行くわけです。
ロシアに友好的だった国々も、プーチンと一緒に沈没する未来を選ぶはずもありません。
ブチャはウクライナ戦争の潮目を変えたと思います。
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