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刺激的な信州新町

長野県の旧国名、信濃の国の「しな」は一説によると「しなる」や「しなを作る」、「しなしなしている」などの「しな」、つまり「曲がりくねる」という意味だそうです。では、その何がしなしなしているかといいますと、山がちな信州はどうして道が真っ直ぐにならないというわけです。
また、その山々が隔てているせいで集落の数がとても多いのも信州の特徴でありまして、市町村の数は北海道(179)に次ぐ2位(77)、村の数は2位の沖縄県(19)をゆうにうまわまる35もあるんです!(数字は2012年1月4日現在)
まあ、しかし過疎化が叫ばれる昨今、長野県でも市町村合併が盛んで、私の住む長野市も平成の大合併で5つの町村を吸収し、とんでもない広さになってしまっています。

そんなわけで市内なのにちょっとしたお出かけ気分が満喫できるという利点を生かして今回、足を伸ばしてみたのが信州新町(記事のカテゴリも旅にしちゃいました)。長野市からいうと犀川を上っていった先の松本市との中間くらいの位置といえばわかりやすいでしょうか。
この町は昔からジンギスカンが有名でして、テレビで観た相方が突然、「食べたい!」と騒ぎ出したというわけです。

ろうかくこ
信州新町といえばなんといっても琅鶴湖(ろうかくこ)。1943に竣工した電力ダム湖なのですが、不思議なことに美しいヒスイ色の水を湛えることから、数々の文人墨客に愛されてきたそうです。
ちなみに銘々したのは画家の有島生馬という人物で、”鶴が羽を広げた形をした青碧色の湖”という意味とのことです。
この有島生馬はご存じない方が多いと思いますが、『カインの末裔』や『或る女』の有島武郎の弟で、小説家の里見(母方の実家を相続)の兄といえばわかりやすいかもしれません。
有島生馬は戦争中に信州新町に疎開したのが縁でその後も何度か訪れ、その縁でダムの名付け親になったそうですが、信州新町のひとにもとても尊敬されていたのか、没後に有島生馬の鎌倉の別荘が移築され、いまは記念館になっています。
有島生馬記念館
もとはイタリア人貿易商の別荘だったとのことで、ちょっと変わった建物なのも琅鶴湖には映えていました。なかには有島生馬の画やそのご家族の持ち物などが展示されています。映画の撮影にも使われたことのある建物で、雰囲気もよく、お勧めです。

そんな感じで記念館を楽しんでいたとき、ふと思いついたことがあったんです。
有島生馬って『犬神家の一族』の青沼静馬(※ネタバレですが犬神佐兵衛の隠し子で佐清になりかわった覆面の男)に名前がよく似ている…。
有島生馬は1882年生まれで、横溝正史が『犬神家の一族』を執筆したのは1950年。
『犬神家の一族』の舞台は信州の那須湖畔(架空の湖)。
『犬神家の一族』で財産を争うのは3人の従兄弟。有島生馬は3兄弟。
琅鶴湖は”青い沼”ならぬ碧い湖。
これだけの共通点がただの偶然とは思えません!
横溝正史は信州新町を訪れたことがあるんじゃないでしょうか!

と、私の相続力は鶴が青空を羽ばたくように広がって行きました。信州新町は多くの画家が訪れる土地だそうですが、創作意欲だけではなく想像力も刺激してくれるみたいです。
ジンギスカンもお土産に買った尾澤酒造さんのお酒も美味しかったですし、大満足でした!
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秋の戸倉上山田温泉

戸倉上山田温泉
この戸倉上山田温泉はいうならば信州の熱海。
大小50ほどのホテルや旅館が肩を寄せ合うように立ち並び、路地にはたくさんの飲み屋やちょっといかがわしい感じのお店、それに射的場や大衆演劇小屋なんかもあります。
もちろん、芸者さんもたくさんいらっしゃるみたい(上山田戸倉温泉芸寮協同組合)。

戸倉上山田温泉のある千曲市は北信(長野市方面)と中信(上田市方面)からのアクセスもよく、そのあたりの人ならば戸倉上山田は「誰でも行ったことがある」、というメジャースポットです。
長野市からも1時間かからないので、ほんと身近な温泉街です。

信州出身の知人いわく、以前は「大人の男の温泉」だったそうで、企業や団体の慰安旅行にもよく使われていたとのことですが、近年の日本はそういう風習も姿を消しつつあるので、戸倉上山田温泉にも苦境があったようです。
しかし、近年は個人客向けに戦略を改めて、微に入り細に入りサービスを徹底した結果、訪問客の落ち込みは最小限に抑えられているそうです。
私の寄らせてもらった温泉旅館でも、別館の方に貸切の露天風呂や岩盤浴、家族風呂なんかが備えてあってかなり楽しめました。

泉質は硫黄泉。透明でややとろっとした感触。
入っていると肌がキュッキュッとしてきて、とっても気持ちいいです。
後で知ったのですが、戸倉上山田温泉は美肌の湯として有名みたい。
乾燥肌の私ですが、湯上りにスキンクリームをつけなくても全然平気でした。

そして戸倉神山田の食といえば鮎!
しかし、残念ながらいまはシーズン外!
来年は夏に来て、湯上りに鮎の塩焼きと生ビール、なんてのも良さそうですね。
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秋の飯山小旅行

2003年に導入されたハッピーマンデー制度によって、それまで日にちが固定されていた祝日のいくつかが連休をつくるためにずらされることになったわけですが、建国記念日や天皇誕生日、憲法記念日、文化の日のような祝日は当然、固定のままです。
そんななか、なぜこれを移動祝日にしてしまったのか、私が疑問を感じてならないのが体育の日。
10月10日はもともと晴れの特異日で、それに合わせて東京オリンピックを開催したことから、体育の日となったわけで、まさにこの日でなければならないはずですよね。
10月10日に戻すべきですよ、絶対!
…なんて思っていたら、今年の長野県は10日(日)が雨で11日(月)が晴れだったんですから、おてんとさまは私なんかよりずっと融通が利くのかもしれません。

というわけで、そんな好天を利用して、相方と知人と飯山市に日帰りの小旅行へ出かけてきました。待ち合わせは飯山駅。
飯山駅アルクマ
思わず写真に撮ってしまいましたけど、これがいま信州で密かな人気のゆるキャラ、その名も〈アルクマ〉です。
私も語源は詳しくわからないんですけど、「歩く熊」、「アップル熊」、「アルプス熊」といったところでしょうか。なかなか素敵なネーミングです。
それにデザインもとってもキュート。私も相方もアルクマが大好きです。

ただ、信州観光は、登山は別ですが、見所が点在している市町村が多いので、回るのにはやはり車が最適ですから、なかなか歩くことはないんですけど、こと飯山市に限れば町が狭く、お城やお寺も狭い地域に密集しているので身軽な服装で散策している観光のお客さんも目立ちます。
アルクマがぴったりの町ですね。

知人と合流後、まず向かったのは飯山城址。
ここは上杉謙信が武田信玄の信濃・越後進行に備えて築いた城として有名です。
川中島の戦いでも謙信はここに一度、戦力を集結させてから、信濃入りしたと考えられています。
そういった歴史からか、飯山市は長野県でありながら、どこか越後の雰囲気で(雪の多い地域でもありますし)、名物の笹寿司はその名も謙信寿司といいます。
飯山城址からの見晴らし
いわゆる平山城なので、見晴らしはいまひとつですが、山城→平山城→平城と変化していった謙信の時代を肌で感じることができるのが嬉しいですね。

高橋まゆみ人形館&パンフレット
城を降りて、そのまま100mほどのところにあるのがこの〈高橋まゆみ人形館〉。一緒にいった知人の要望で、実はここが旅の主目的。
ご存知の方も多いかと思いますが、高橋さんは日本人の郷愁を誘う作風で人気の作家さんです。
与勇輝さんに影響を受けたそうですが、さらにノスタルジックな感じなのが特徴でしょうか。
高橋さんは長野市出身で、現在は飯山市在住。人形館は今年(2010)の4月にオープンして、半年で10万人を動員し、いまでは北信濃の名所になっているみたいです。お客さんもすし詰め状態でした。
飯山のおばあちゃん
町を歩いていると高橋さんの作品そっくりな風景が!
飯山という土地がインスピレーションの土台なんでしょうね。

そして最後は映画『阿弥陀堂だより』(2002年、東宝)のロケ地になったことでも知られる正受庵(臨済宗)です。
正受庵
これが本堂になるのですが、セレモニーのためではなく、あくまで修行のためのものということでとっても簡素です。
2004年の新潟県中越地震の際、かなりの被害があったことと、ひどく老築化が進んでいたため、それを期に全面改築したということで、新しい感じがします。茅葺が綺麗でした。
ちなみにこの庵を開いた慧端は真田信之の庶子だそうで、賽銭箱には真田家の六文銭が描かれています。
慧端はお殿様からここをお寺にするよう勧められるものの、それを断って、小さな庵で修行の一生を終えたそうです。
正受庵にいると、そんな慧端の清廉な人柄が目に見えるようです。

飯山って本当に美しい町です。
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子供の日、上越市へ小旅行(下)

直江津を大いに楽しんだ我々、日帰り小旅行ということで、ここからは折り返しです。
上越市を内陸部に進み、向った先は桜並木で有名な高田城。
すでに桜はほとんど散っていましたけど、立ち木の多さでその豪勢さが想像できます。
高田城 1
ここは1614年(慶長19年)に家康の六男・松平忠輝の居城として、いわゆる天下普請(諸大名負担)で造られたお城です。縄張りの総責任者は舅の伊達政宗。
高田藩は、加賀前田家を牽制するために63万石(+旧領の川中島藩12万石)という大藩として発足しますが、その後は徳川政権が安定し、意味が薄れ、徐々に石高も縮減されてゆき、幕末の榊原家のときは15万石でした。
高田城 三階櫓
75万石もあった大藩だけに城郭はさすがに広大です。
きちんと計ったわけではありませんが、私の感覚だと姫路城のそれに近いかも。
本丸部分が上越教育大学付属中学校の敷地になっていていて、往時が偲べないのはちょっと残念ですが、どうやら江戸時代を通じても天守閣が設けられたことはなかったみたいで、いまある建造物としては1993年に再建された三階櫓がシンボルになっています。

ちなみに上越市は上杉謙信の居城・春日山城が有名ですが、上杉家が豊臣秀吉の命で会津に加増移封された際、代わりに入った堀家が上杉家支配の象徴ということで廃してしまいます。春日山城は名前の通り山城で、すでに機能的ではありませんでしたしね。

さてさて、上越市を離れた我々は国道18号線を南下。
途中、ふと思い立ち、〈道の駅あらい〉に寄り道です。
以前、TVかなにかでとっても賑わっている道の駅だというのを見た記憶がよみがえりました。
道の駅あらい
いやあ、本当に賑わっていました。
しかも、お店も多くてすんごく楽しいです。
特に写真にもある日本海鮮魚センターですね。お安くて、種類が多くて、どれも新鮮そう。
お昼に〈軍ちゃん〉で食事をしていなかったら、鮮魚を衝動買いしていたと思います。
次はここでの買い物をメインに考えてもいいくらいですね。

そしてまた衝動的に寄り道したのはマンモスで有名な野尻湖。
野尻湖 1
野尻湖 2
のんびりしたところで、なんだか昭和の香りを感じる湖でした。とくにお土産屋さんとか飲食店が…。

また、私が不満を感じたのはせっかくの野尻湖なのに”マンモス”がまったく感じられないこと。
お土産屋さんにはマンモスのお菓子や玩具、ぬいぐるみの類は一切ありませんでしたし、飲食店のメニューにも一つもないなんてありえません。

たとえば、チャーシューにマンモスの鼻のごとく穴を二つ開けたマンモスラーメン(穴の部分は刻んで味噌ラーメンにでも転用)、単純に特盛りにしたマンモス蕎麦、マンモスの牙の形にしたコーンを突き刺したマンモスソフトクリーム。
こういったところは新たな材料もいらずに明日からでもメニューに載せることができるはずです。

湖のレジャーもそうです。足こぎはスワンボートとヘリコプターボートのみ。そこはマンモスボートじゃなきゃ!

そんなことを相方としゃべくりながら長野市へと帰りつくと、まだ時刻は午後6時。上越市ってやっぱりとっても身近です。

子供の日、上越市へ小旅行(上)

子供の日の今日、童心に帰ったのか、急に「海に行きたい」と言い出した相方。
まあ、よくよく聞いてみると、「海の幸が食べたい」ということで、まったく子供らしくありませんでしたけど、それなら私も大賛成。
最初は、「氷見(富山県)がいい」なんていっていましたけど、遠すぎるので、長野県から最も近い海、直江津(新潟県)を目指すことに。
妙高山
黒姫山や妙高山(写真)を愛でながら、長野市から車で走ること2時間弱、思ったよりずっと早くに到着してしまいました。GWということで渋滞を予想していたのですけど、まったくといっていいほどありません。

というわけで、私たちの主目的、海の幸を堪能するために選んだお店がここ。
軍ちゃん
「直江津なら、軍ちゃん」という標語が一部で囁かれているという名店、〈海の幸 味どこ 軍ちゃん〉です(場所は直江津駅前通りを左に入った飲食店街)。
午前11時を少しまわったばかりだというのにすでに店内は7割方席が埋まっています。みなさん、いったい何時から来ていらしたんでしょう…。

私と相方が注文したのは味処膳(1659円)と花見御膳(1575円)。

味処膳はこのお店の名物で、かなりの人がこれを注文していました。
海鮮丼(二重になった器にご飯とネタが別盛)と刺身盛り合わせ(地物の白身魚三種、鰆、ブリ、イカ、生タコ、甘海老、ホタルイカなどなど)サラダ、酢の物、茶碗蒸し、煮物、焼き魚or煮魚or蒸し魚、味噌汁で1659円とかありえない感じです。

花見御膳はさらに驚愕で、ちらし寿司、刺身の盛り合わせ、八寸、山菜の天ぷら、温野菜、潮汁、焼き魚or煮魚or蒸し魚で1575円。
花見御膳は開店18周年記念、かつ桜の季節限定で、この5日までということでしたから、ラッキーでした。18という数にどんな意味や思い入れがあるのかは計り知れませんが…。
(私と相方は焼き魚と煮魚をそれぞれ選んだのですが、焼きは小鯛、煮は肝付のタラでした。)

魚介の鮮度はもちろん抜群です。地物にこだわっていいものを仕入れていることが安さの要因みたいです。
それは刺身にマグロや貝類といった地元では獲れない(獲りにくい)食材がないことでもよくわかります。

量も質も大満足で、相方いわく、「海辺の旅館の夕食みたい」とのこと。
うまいこといいます。

できればいつか直江津で一泊して、その夜は〈軍ちゃん〉で新潟の地酒とともに大いに食べ明かしたいものです。

食欲を満たされた我々は日本海を眺めに、居多ヶ浜へ。
居多ヶ浜
「海よー俺の海よー、大きなーその愛よー♪」
日本海を眺めながら、相方と一緒に加山雄三気分に浸りました。
海っていいですね、やっぱり。
この直江津の海は北信(長野県北部)の人にとってはかなり身近なものらしく、「海水浴はここ」という方も多いみたいです。もっといえばまさに「俺の海」感覚かも。北陸新幹線が開通したらもっと距離が縮まるんでしょうね。

ここは1207年、専修念仏を唱えて(比叡山や奈良仏教界の圧力)京から追放された親鸞聖人が配流された地でもあります(師匠の法然は土佐へ)。
親鸞はこの越後時代に、地元の豪族三善氏出身の恵信尼を娶り、4男3女をもうけたそうです。
その後、罪を許された親鸞でしたが、越後を中心に布教活動にいそしみ、信濃(善光寺へも)、常陸へと勢力を拡大させてゆきます。
来年は聖人の750回遠忌ですし、盛り上がりそうです。

続いては浜近くにある五智国分寺。八重桜がまだまだ綺麗です。さすが越後。
五智国分寺 桜
聖武天皇の勅願による越後国分寺は後に失われてしまい(理由も元の場所もよくわかっていません)、上杉謙信が現在の位置に再興したそうです。
五智国分寺 本堂
本堂は昭和63年に焼失してしまい、平成9年に再建されました。
本尊は、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来、宝生如来、釈迦如来の五如来が並んでおいででした(密教の五智如来とはメンバーが違います)。私はお寺には詳しくありませんが、こうした風景は見たことがありません。勉強になりました(ちなみにご本尊は高さ130cmのヒノキの一木造で漆と金箔で装飾されています)。

子供の日ということで、境内ではちょうどお祭りをやっていて、とっても賑やかでした。
我々もちょっぴり童心に帰った気分です。
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
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