2012世界フィギュア男子SP(前)

ロシアのセルゲイ・ボロノフの大きな4T+3Tから始まった男子シングルSPは高レベルの争いになるかと思われたものの、結果を先にいってしまえばノーミスの演技をする選手が少ない波乱の展開でした。
氷が硬いという報道もありますけど、条件は選手みな同じですし、どのような状況であろうともそれに適応してゆくのもまたスポーツ競技の特性でもありますし、各選手の勝負強さをじっくり楽しみたいと思います。
では、2012世界フィギュア男子SPの中継を視聴した感想を駆け足で。

第2グループの先頭はカナダのケヴィン・レイノルズ。複数の4回転を跳ぶ人気のジャンパーですが、今季は(も)回転不足が多くてスコアがなかなか伸びません。ただ、このSPではシーズン中よりジャンプに高さが出ていて、4S+3T、3Aはいい感じでした(3Lzは低空)。
スピンやステップシークエンスの動きも大きくて調子は良さそう。丁寧に要素をこなし、結果を出してやろう、という気合がびんびんに伝わってきました。演技後は本人もガッツポーズ、会場も大盛り上がり!
けれども、その一見ノーミスの演技についたスコアは72.95(TES39.49・PCS33.46)と、いまひとつ。プロトコルを見ると4Sに回転不足(UR)がついていましたけどもう一歩というところでしょうかね。ジャンプに高ささえ出てくれば…。

対してデニス・テン(カザフスタン)は高さのある美しい3Aでスタート(ケヴィンもこういう感じに跳べれば…)。次は4回転かなあ、と思いましたけど、3F+3Tでセカンドがおっとっと。3Lzは綺麗。
スピンにはいつものキレがありましたし、ストレートラインステップも情熱的で迫力がありました。
それにしても品があって力強い、いいスケーターになってきましたねえ。
スコアは76.00(41.64・34.36)。

四大陸選手権で鮮烈な印象を残したミーシャ・ジー(ウズベキスタン)は白鳥になりきっての65.29(33.72・31.57)。3Aがツーフット気味だったのがもったいなかったです。
四大陸選手権といえば第3グループの 宋楠(中国)はコロラドの低酸素でヘロヘロになったダメージが残っているかのように元気がなく、ジャンプに乱れが出て69.58(38.48・31.10・減点1)。FSは大丈夫かなあ…。

地元フランスの大声援を気持ち良さそうに浴びて登場したのはブライアン・ジュベール。顔色もつやつやしていてまるでニースに保養にきたひとみたい。
このところのジュベールは結果を気にせずフィギュアを楽しんでいるようでいい雰囲気ですよね。
そしてそれが案外、いい繋がるんです。
4T+3Tはつまり気味ながらも回転はきっちり、3Aも軸が前のめりになったのをうまく着氷、フリップみたいなターンからの3Lzは綺麗。スピンは難しいことはしませんが、回転のスピードがあって『ジェネシス』のエキサイティングな曲調にあっていました。
ステップシークエンスの前にブライアンが手拍子で観客を煽ると、会場も大盛り上がりでブライアンもそれに乗っかる形で本当に楽しそうな滑り。彼のように観客の声援を自分のパワーにできる選手を我々はスターと呼ぶんですよね。
技術うんぬんは置いておいて、フィギュアスケートらしい熱狂と興奮にあふれた素晴らしい2分50秒でした。さすがジュベール、千両役者!
スコアはなんんと大盤振る舞いの83.47(44.35・39.12)!体調も良さそうなのでFSも期待!

ジュベールは会場を温めてくれたと同時にその後の選手に大きな壁のように横たわったわけですが、その前にもろくも崩れてしまったのがアダム・リッポン(アメリカ)。
3F+3Tをすぱっと跳んで後の苦手の3Aでステップアウトは折込ずみでしたが、シットスピンを挟んだ得意のリッポン3Lzでもステップアウトの手痛いミス。
コサック風のストレートラインステップはよく攻めていましたし、軸のしっかりした美しいスピンは魅力的だったので本当にもったいなかったです。スコアは73.55(37.77・35.78)。

第4グループからはランキング上位者が集うわけですが、その先頭は優勝候補のひとりであり、現王者のパトリック・チャン(カナダ)。昨季のような完成された滑りを披露することができるか。
ところが冒頭の4Tがオーバーターンになってコンビに繋げられれない不穏な立ち上がり。3Aは安定感のある後ろ向きパトリック流アクセルジャンプで格好だけはつけます。3Lz+3Tはリカバリーとは思えないほどの美しさ。彼の決まったときのジャンプは惚れ惚れします。
しかし、得意のはずのスピンもそうだったんですけど、滑り全体もなんだかもどかしいこの日のチャン。
私は彼をスケーティングのスピードとパワーで曲調を作るというスタイルだと見ていますけど、今回にようにそれが感じられないと途端に魅力がなくなります。
〆のストレートラインステップでは2回もバランスを崩すという信じられないミス。おかげでまったくスピードが出ず、要素もこなせずレベルも取れそうもなく、尻すぼみのままSPをフィニッシュ。
これは大変なことになっちゃいました。最悪に近い出来といっていいんじゃないでしょうか。演技を終えたチャンもさすがに意気消沈気味。
要素の不安定さだけではなく、このところの得点源だったPCSにも響く内容でしたから、彼がうつむくのもわかります。
なんてちょっと同情していたら、出てきたスコアは89.41(46.24・43.17)でシーズンベスト。審判団の頭は完全にとち狂っています。ここまでくるとチャンをバックアップするのではなく、逆に汚そうとしているようにさえ見えますよね。ニースの観客も完全に白けていましたし、男子フィギュアを衰退させるつもりなんですかね。

チャンが冷やした会場を温めなおしてくれたのはチェコの希望の星、ミハル・ブレジナ。
『鼓道』の湧き上がるような響きのなか、彼らしい大きな3A、やや不安があった3F+3Tもばっちり。そしてなんと3つ目のジャンプが4S!ブレジナがこれをものも見事に決めたとき、テレビを観ていた私も思わず身震いしてしました。これまで成功がなかったジャンプをこの世界選手権で決める、毎年世界選手権で一番いい演技をしますし、ミハル・ブレジナという男はなんという勝負師なんでしょう。将棋や麻雀の名人を彷彿とさせますよね。
あまり得意ではないスピンも集中して回っていましたし、ジャンプを決めてすっかりゾーンに入ったストレートラインステップは衣装に描かれた昇竜を思わせる伸びやかさとダイナミックさ。
文句のつけどころのない、パーフェクトに近い演技でした。ブラヴォ!
スコアは87.67(48.70・38.97)!
これで一気に表彰台が現実味を帯びてきました。飛躍の年になるかどうか期待が高まります!
(このブレジナの演技がチャンより低いスコアというところにチャンの異常性が如実に現れています。長くなりましたので後編に、もしくは中編に続きます。)
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