2012年4月20日、山雅×サンガ
私も京都に住んでいた頃、何度も西京極へ京都サンガ(パープルサンガ)のゲームを観に行きましたけど、それはサンガのファンだからというのではなく、ただ単純にサッカーを楽しむためという認識でした。
しかし、この4月30日、松本アルウィンで行われた2012J2第11節、松本山雅FCvs京都サンガの一戦を前に、遠足の日の子供のような高ぶった気持ちで思わぬ早起きをしてしまったとき、自分のなかにあるサンガへの愛着のようなものを見つけてしまったのです。
道すがらの満開のリンゴの花、松本市内を彩る可憐な木蓮を眺めながら長野市から約1時間30分、アルウィンは噂に違わぬ素晴らしいスタジアムでした。

陸上のトラックがないサッカー(ラグビー、アメフト)専用のスタジアムならではの迫力、南アルプスを背景に、その山すそを思わせる傾斜のきつい観客席はピッチが観やすいだけではなく、応援の声がよく反響するのもまた雰囲気を盛り上げます。私も京都、大阪、神戸などなどの競技場を訪れたことがありますけど、このアルウィンほどのわくわく感を味わったことはありませんでした(専用スタジアムが初めてというのもあります)。
曇天かつ、信州にしては珍しいじめっとした気候のなか、2万人収容のアルウィンにこの日の来場者は1万3000人ほど。内訳は山雅サポーターが7割、中立が1割、サンガサポーターが2割といったところでしょうか。
試合開始前にはちょっとしたイベントがあって、会場アナウンスから「本日はスペシャルゲストにお越しいただいています」との声。
これには会場もちょっと身を乗り出し、わくわく。
しかし、「アダチリカさんでーす!」といわれて、「誰?」という感じの長い空白。
足立梨花さんはJリーグ特命PR部マネージャーをつとめる若いタレントさんですが、知名度はかなり低いようです…。
そんななんともいえない痛々しい空気を変えたのがゴール裏の松本サポーター。熱烈な「アダチリカ!」コールで強引に盛り上げてくれました!
私も松本サポーターの思いやりに心を強く打たれましたけど、足立梨花さんの胸にも強く響いたんじゃないでしょうかね。
そして恒例の信濃の国が高らかに歌われた後、午後3時にキックオフ。
熱狂的なホームサポーターの声援に乗って躍動したのは松本山雅。
粘り強い守備とシンプルな攻撃、そしてハードワークという個性はJFL時代と同じですが、選手の補強や新監督の反町康治さんの手腕もあるのか、チームとしては確実にレベルアップしているように思えました。技術や戦術がより磨かれた感じですかね。J2に昇格した今季は出だしこそ勝ち点をなかなか奪えませんでしたけど、このところは3連勝と調子が出てきて、自信を深めているのかも。
対する京都サンガはアルウィンの強烈なアウェイの雰囲気に萎縮したのか動きが縮こまり、パスミスも多くて、持ち前のパスサッカーを展開することが叶いません。一方的に山雅が押し込んで、どちらがJ2初昇格かわからない展開。
しかし、いつもながら山雅の攻撃は質より量で、確信的ではなく、惜しいような惜しくないようなチャンスばかりで得点には至らず、前半は0-0で終了。
サンガは片方のサイド(狭い地域)に選手を密集させて数的優位を作り、そこでのショートパスの交換から相手を崩してゆくというサッカーのようですが、そのパス交換がチャンスメイクというより、パス交換のためのパス交換になっているような気がしてなりません。監督が岡田ジャパンのコーチだった大木武さんということで悪いときの岡田ジャパンと重なります…。
ただ、後半に入るとサンガは選手同士の距離がやや広がり、ピッチも広く使えるようになって、リーグ2位(25日時点)の実力の片鱗が見え始め、惜しいチャンスも。
ボランチのチョン・ウヨンの視野の広さや確かな技術、FWの宮吉拓実の突破力と走り出しの上手さは大いに魅力的でした。
いまの京都サンガは若い選手が多く、私の知っているチームとはまったく別なものになってしまっていましたけど、やっているサッカーそのものは若いというより無邪気という感じで、攻めるのは好きだけど守るのは嫌いという気分が横溢していて、青春の危うさそのものでした。
素人目ですが組織的な守備が機能しているとはいいがたいですし、これで1年間の長丁場を凌いで行けるのか不安ばかりを覚えました。
後半はサンガがやや優勢ながらも一進一退といっていい攻防が続き、それと同時に互いの集中力も徐々に高まっていって、気持ちの入ったディフェンスを双方崩せないまま終了のホイッスル。
その瞬間、力尽きたようにピッチにひっくり返る山雅イレブン。全力を出し尽くしたというだけではなく、勝ち点3を逃したことが無念でならないという様子がありありと伝わってきます。彼らのとっては京都サンガは格上でもなんでもなかったのでしょう。なんとも頼もしいです。
正直なところをいうとこの試合、私は京都サンガの勝利で終わると思っていたのですが、松本山雅のハードワークはその想像を心地よく覆してくれました。
アルウィンという素晴らしいスタジアム、サポーターの応援はもはやJ1レベル(思いやりも)。チームもまたそれに負けないよう着実に歩みを進めている。そいういった一体感が松本を包んでいる熱気なのだと改めて実感した1日でした。
羨ましい!

しかし、この4月30日、松本アルウィンで行われた2012J2第11節、松本山雅FCvs京都サンガの一戦を前に、遠足の日の子供のような高ぶった気持ちで思わぬ早起きをしてしまったとき、自分のなかにあるサンガへの愛着のようなものを見つけてしまったのです。
道すがらの満開のリンゴの花、松本市内を彩る可憐な木蓮を眺めながら長野市から約1時間30分、アルウィンは噂に違わぬ素晴らしいスタジアムでした。

陸上のトラックがないサッカー(ラグビー、アメフト)専用のスタジアムならではの迫力、南アルプスを背景に、その山すそを思わせる傾斜のきつい観客席はピッチが観やすいだけではなく、応援の声がよく反響するのもまた雰囲気を盛り上げます。私も京都、大阪、神戸などなどの競技場を訪れたことがありますけど、このアルウィンほどのわくわく感を味わったことはありませんでした(専用スタジアムが初めてというのもあります)。
曇天かつ、信州にしては珍しいじめっとした気候のなか、2万人収容のアルウィンにこの日の来場者は1万3000人ほど。内訳は山雅サポーターが7割、中立が1割、サンガサポーターが2割といったところでしょうか。
試合開始前にはちょっとしたイベントがあって、会場アナウンスから「本日はスペシャルゲストにお越しいただいています」との声。
これには会場もちょっと身を乗り出し、わくわく。
しかし、「アダチリカさんでーす!」といわれて、「誰?」という感じの長い空白。
足立梨花さんはJリーグ特命PR部マネージャーをつとめる若いタレントさんですが、知名度はかなり低いようです…。
そんななんともいえない痛々しい空気を変えたのがゴール裏の松本サポーター。熱烈な「アダチリカ!」コールで強引に盛り上げてくれました!
私も松本サポーターの思いやりに心を強く打たれましたけど、足立梨花さんの胸にも強く響いたんじゃないでしょうかね。
そして恒例の信濃の国が高らかに歌われた後、午後3時にキックオフ。
熱狂的なホームサポーターの声援に乗って躍動したのは松本山雅。
粘り強い守備とシンプルな攻撃、そしてハードワークという個性はJFL時代と同じですが、選手の補強や新監督の反町康治さんの手腕もあるのか、チームとしては確実にレベルアップしているように思えました。技術や戦術がより磨かれた感じですかね。J2に昇格した今季は出だしこそ勝ち点をなかなか奪えませんでしたけど、このところは3連勝と調子が出てきて、自信を深めているのかも。
対する京都サンガはアルウィンの強烈なアウェイの雰囲気に萎縮したのか動きが縮こまり、パスミスも多くて、持ち前のパスサッカーを展開することが叶いません。一方的に山雅が押し込んで、どちらがJ2初昇格かわからない展開。
しかし、いつもながら山雅の攻撃は質より量で、確信的ではなく、惜しいような惜しくないようなチャンスばかりで得点には至らず、前半は0-0で終了。
サンガは片方のサイド(狭い地域)に選手を密集させて数的優位を作り、そこでのショートパスの交換から相手を崩してゆくというサッカーのようですが、そのパス交換がチャンスメイクというより、パス交換のためのパス交換になっているような気がしてなりません。監督が岡田ジャパンのコーチだった大木武さんということで悪いときの岡田ジャパンと重なります…。
ただ、後半に入るとサンガは選手同士の距離がやや広がり、ピッチも広く使えるようになって、リーグ2位(25日時点)の実力の片鱗が見え始め、惜しいチャンスも。
ボランチのチョン・ウヨンの視野の広さや確かな技術、FWの宮吉拓実の突破力と走り出しの上手さは大いに魅力的でした。
いまの京都サンガは若い選手が多く、私の知っているチームとはまったく別なものになってしまっていましたけど、やっているサッカーそのものは若いというより無邪気という感じで、攻めるのは好きだけど守るのは嫌いという気分が横溢していて、青春の危うさそのものでした。
素人目ですが組織的な守備が機能しているとはいいがたいですし、これで1年間の長丁場を凌いで行けるのか不安ばかりを覚えました。
後半はサンガがやや優勢ながらも一進一退といっていい攻防が続き、それと同時に互いの集中力も徐々に高まっていって、気持ちの入ったディフェンスを双方崩せないまま終了のホイッスル。
その瞬間、力尽きたようにピッチにひっくり返る山雅イレブン。全力を出し尽くしたというだけではなく、勝ち点3を逃したことが無念でならないという様子がありありと伝わってきます。彼らのとっては京都サンガは格上でもなんでもなかったのでしょう。なんとも頼もしいです。
正直なところをいうとこの試合、私は京都サンガの勝利で終わると思っていたのですが、松本山雅のハードワークはその想像を心地よく覆してくれました。
アルウィンという素晴らしいスタジアム、サポーターの応援はもはやJ1レベル(思いやりも)。チームもまたそれに負けないよう着実に歩みを進めている。そいういった一体感が松本を包んでいる熱気なのだと改めて実感した1日でした。
羨ましい!


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