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2012GPSNHK杯、女子FS(前)

浅田真央の会心の演技がすべてを支配したSPを終えて迎えたFS、そこでの注目も浅田さんに集まるのは間違いありませんが、SP5位の鈴木さん、SP9位の今井さんの巻き返し、長洲さんとザワツキの全米選手権を前にした直接対決などなど、見所は満載です。
というわけで2008年の再現を夢見ながら2012NHK杯女子FSの中継を視聴した感想をしんみりと。
(会場は宮城セキスイスーパーアリーナ。)

SPでは「まさか」といいたくなるようなジャンプミスを重ねてFSでは最初の滑走となった今井遥さん。落ち着いた滑りができるか心配でしたが、冒頭から3F、2A、ステップからの3Lz(エラー気味)、3S+2と成功させ、本人も、そして会場のお客さんもほっとしたような雰囲気。もちろん私も。
緊張の蕾から美しく花が咲くようなコンビネーションスピン、エッジが綺麗なステップシークエンスには今井さんの清純さが溢れ、それがモーツァルトのDivertimentの軽やかさと相まって観ていて心地よくなってきます。
後半も3Lo+2T+2T、勢いのある3Loと続けて決め、ノーミスへの期待が膨らみましたが、最後の3Sで惜しくも転倒。
それでも会場の温かい声援のなか、見事なドーナツスピンを回り、手拍子にのったコレオシークエンス、安定したレイバックスピンで笑顔のフィニッシュ。いい演技でした!
FSは97.32(TES50.03・PCS48.29・減点1)、合計145.42。
アメリカを練習拠点にしてジェイソン・ダンジェンと佐藤有香夫妻のコーチングを受けて2年目の今井さんですが、演技全体が磨かれ、着実な成長を見せていますよね。最近の女子フィギュアはベテランになってからも伸びる選手が多いので、若いうちにじっくりと基礎から鍛えておくのは大切かもしれません。
後はあんまり緊張しないことだけですね!

ソフィア・ビリュコワ(ロシア)は素晴らしい3T+3Tからスタートし、習得中といっていい3Lzをなんとか降りるという最高の立ち上がりを見せたものの3Loで転倒、後半も最初の3Lo2フット+2T、イーグルからの2A+2Tの後の3Sで転倒、最後の2Aはよし。スピンはポジションが綺麗で見栄えがしただけに残念。
FSは89.81(44.97・46.84・減点2)、合計139.12。
ルッツの成功という手土産もあったことですし、ロシア選手権でがんばって!

天を衝くような3Lzを跳び、続いての3T+3Tもばっちり決めて気持ちよく演技に入ったアグネス・ザワツキ(アメリカ)でしたが、3Fが2Fになったのは残念。
軸のどっしりしたレイバックスピン、スパイラルでゆったりつないで2A、イナバウアーで後半に入っての3Sと連続成功。
しかしパワフルなスケートからの3Lzで豪快に転倒でコンボにならず。ルッツは彼女の機軸なのでこれは厳しい。
それでも2A+2T+2Loを決め、頭にエッジが当りそうな面白いシットを含んだコンビネーションスピンを回ったザワツキでしたが、これでエネルギーが切れたのかステップ、コレオ、最後のスピンはもうヘロヘロ。寂しい『ラプソディー・イン・ブルー』でした。
FSは105.35(51.61・54.74・減点1)、合計160.37。
PGSロシア大会で3位となり、私も期待していたザワツキですが、そのときより体がちょっとぽっちゃりしていましたし、本人のモチベーションはそこまで上がっていなかったのかも…。

左肩のテーピングが痛々しいエレーネ・ゲデバニシビリ(グルジア)ですが、切れのある3Lz+2T、快速スケーティングからの2A+2T、3S、『ドン・キホーテ』の世界へ誘う大胆でピチピチしたステップシークエンスで
上々の序盤戦。
これで会場も大いに盛り上がった様子でしたが、続く3Lzが1Lzに、後半冒頭の3Sがステップアウト+2Tで一気に暗転。コンビネーションスピンの後の3Tも軸が斜めであぶないあぶない(この日のジャンプはどれも斜めになっていました。肩の影響でしょうか)、音楽が盛り上がってきての2Aで転倒。
それでも気丈な笑顔を作りながらの軟体コレオ、変わった形のシットスピンで諦めない姿勢を見せたゲデバニシビリ、最後のスピンでも躓いてぺろっと舌を出しての可愛らしいフィニッシュ。
FSは99.46(43.54・45.92・減点1)、合計156.96。
今季はSPもFSもいいプログラムですし、欧州選手権での活躍に期待。怪我に気をつけて!

第2グループ先頭は東北福祉大学卒で宮城県には縁がある鈴木明子。お客さんのためにも、自身のGPF進出のためにもいい演技で表彰台に食らい尽きたいところ。
会場中がじっと見守るなか、『O』がかかり、一羽の水鳥と化した鈴木さん、冒頭はSPでミスをした3Lzからのコンビネーションでしたが強い気持ちで3Lz+2T+2Lo!続いても大きな2A+3T!3Fも降りて最高の立ち上がり。
キャメルスピンでは軸がぶれて流れが滞りかけますが、得意のステップシークエンスでは鳥が餌をついばむように音楽を拾い、鮮やかな滑りで観客からは大きな拍手。さすがです。
次のコンビネーションスピンでは軸を取り戻し、後半冒頭の勝負がかかった3Lzもクリア!
これで安心してポカが出ることの多い鈴木さんですが、この日は3Lo+2T、3S、やや詰まった3Loと怒涛の成功!凄まじい集中力に私ももう鳥肌が立ちました。
これでのってきた鈴木さんは鳥そのもののようになって、滝つぼから滑降するようなコレオシークエンス、浮遊感のあるフットワークと振り付けはお見事、そして最後のコンビネーションスピンはもはや無我の境地のなかでの回転!晴れやかな青空が広がるようなフィニッシュ!
後半の流れは本当に圧倒的でした。凄いの一言。会場も爆発したような盛り上がりで、あっこさんも感極まる、なんともいえない雰囲気。この日の演技は鈴木さんのベストFSなんじゃないでしょうか。これに出会えたひとは本当に幸運だと思います。
それにしてもこの『O』はとんでもないプログラムですよね。深山幽谷に遊ぶ水鳥と化した鈴木さんの視点で色んな風景が見えてくる錯覚、水の流れ、光の煌き、いや見るだけではなく聞こえてもくるんです、水の音、鳥の鳴き、木々のざわめきが。
こんな繊細な表現が出来るのは現役では鈴木さんさくらいじゃないでしょうか。浅田真央やカロリーナ・コストナーでもこの種の世界を観客に感じさせるのは難しいと思います(彼女たちはまた別の世界を見せてくれますけど)。鈴木明子という表現者は本物中の本物です。
FSは126.26(64.51・62.11)、合計185.22。
この日はルッツにエラーがついてしまってので技術点があまり伸びませんでしたけど、PCSはもちょっと色をつけて欲しかったですよね。ジャッジはもうちょっと感じて欲しい!
(長くなってきたので後編に続きます。)
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