2012GPSNHK杯、女子FS(後)

(続きです。)
ここ数年、FSでの撃沈を繰り返しているクセニア・マカロワ(ロシア)、その原因は間違いなく”3F”。ルッツが跳べない彼女がトップレベルで戦うためにはこれをきちんと成功させねばなりません(GPSカナダ大会などではばっちりエラーの3Lzに変更するという荒業)。
そしてこの日は3Loに続き、3Fをふらつきながらもなんとか着氷!このFSはマカロワらしいスタイリッシュなプログラムで、これはいい演技になるかも、なんて期待していた後半ですが、冒頭が2S+2T、最後の3Tも1Tになり、滑り自体も失速。終盤のコレオシークエンスはかなりしんどそうでした。
FSは97.59(TES43.37・PCS54.22)、合計156.52。
マカロワは2Aと、3Loにコンビネーションをつけるのも苦手なのでFSのジャンプ構成は本当に厳しいものがあります。スピンやステップは上手いですし、表現面も年々成熟しているだけに本当にもったいない…。

中国の李子君は今季がシニアデビューの15歳(96年12月生まれ)ですが、体格はまだまだジュニアのそれなので見ていてFSの4分を滑りきれるのか心配になってきます。
そんな私の勝手な杞憂のなか、爽快な3F+3Tで演技がスタートすると、2A、3Lz(エラー)、柔らかいポジションのスピン、やや詰まりながらも後半冒頭3S+2T+2Lo、3F、3Lo、2A(コンボにならず)と揃えたのはお見事。
この李子君はまだまだスケーティングがたどたどしいものの、音楽表現やフットワークに一生懸命さが滲んでいて、思わず応援したくなるような選手です。会場もそういう雰囲気でしたよね。
FSは114.49(59.35・55.14)、合計174.11。両方ともパーソナルベスト!
片手ビールマンで演技を終えた後のはにかんだ表情も可愛らしかったですし、人気も出そうですね(体型変化だけが気になりますが)。

アメリカ選手でありながら日本では日本選手なみに人気の長洲未来さん、ホームのような温かい声援に応えることができるか。
サン=サーンスの交響曲第3番にのってまずは冒頭の3Lzですがこれを華麗に決めると、次の2A+3Tはやや詰まりながらも力でねじ伏せた!3F(エッジ微妙)もよし。
この日の長洲さんは本当に気合が入っていて、ステップシークエンスなんかでも何かをに睨みつけるような表情。足はあんまり動いていないんですけ妙な迫力がありました。
ドーナツスピン、イナバウアーで柔らかさを見せると、後半は3F+2T+2T、3Lo+2T、この2つは詰まり気味だったもののパワーで持っていきました。足上げからの2Aはお見事、最後の3Loはグリ降り。
こうしてジャンプを気合で揃えると、コンビネーションスピンの後はさすがにちょっと疲れたのか、コレオにはスピードがなくなっちゃいましたけど、最後のスピンはエッジキスからビールマンへという長洲さんらしい美しい流れ。
FSは115.50(56.36・59.14)、合計176.68。この時点で2位、メダル確定!
珍しくフリップにエラーがついていなかったので技術点は思ったより出ました。癖になっている回転不足は後半のみ。前半はジャンプに高さがありましたよね。体をもうちょっと絞って後半のスタミナがついてくれば、もっとスコアは伸びてくると思いますぜ!

とりを飾るのはもちろん我らが浅田真央。彼女がまとっている華やかな空気は日本全国を幸せに包みます。
鈴木さんが高スコアを叩き出したので優勝するには117点強が必要ですが、調子のよくなかったGPS中国大会FSでも118.87点も出しているので問題はないはず。いや、そんな心配をするより素晴らしいSPに続く好演を期待しましょう。スコアはもちろん演技内容でも鈴木さんに負けてはいられません。観衆が、ファンが求めているのはそこ、それがスターの宿命です!
冬の透き通った空を軽やかに舞うように滑り始めた浅田さん、観客すべてが拍手の準備をしていたであろう最初の3Loがまさかの2Loになる悔しいスタート。
そして観客の祈りのなか、次の2A+3Tはため息をかき消すような美しい跳躍!3Fも軽い!最初のミスなど忘れましょう!
しかし課題の3Lzが2Lzになって(中国大会も)胸が苦しくなる展開、惚れ惚れするようなコンビネーションスピン、優雅なイーグルで湖面を作ってそれが晴れたと思ったら、3Sが1Sになって私も心臓が止まるかと思いました。スケーティングにスピードも感じられませんでしたし、私などは怪我や体調不良を本気で心配していまいました。
それでもさすが浅田真央、後半冒頭の3Lo+2Lo+2Loは集中力を切らさず美しい流れ、続いてのスピンも片手ビールマンで華麗に演出。
こうして後半はいつものように盛り返すだろうと誰しもが思ったそのとき、最後の3Fが2Fになってコンビネーションにもつながらないまさかのミス。
これにはさしもの浅田さんも意気消沈したのか、キャメルスピン、ステップシークエンス、コレオシークエンスという後半の畳み掛ける展開にいつもの勢いがありません。『白鳥』の翼は凍り付いて動かなくなってしまったのか…。
浅田さん本人も演技後はぐったりしたような表情を浮かべていましたけど、本当にどうしちゃったんでしょう。私もショックでしばらく茫然自失(マオファンの相方は魂が抜けたようにへたり込んでいました)。
当日朝の公式練習の映像や6分間練習を見る限りでもフィジカルに問題があったとは思えません。たぶん理由はメンタルにあるのでしょう。SPで2位以下を6点以上つきはなしている状況で絶対に優勝しなければなならいというプレッシャーもあったのかもしれません。なんといっても震災復興を願う宮城大会ですしね(蘇生した相方は、浅田さんはSPでリードし、それを守るという展開の経験が少ないという分析)。
キス&クライの浅田さんの表情はまさに敗者のそれ。背後にどんより曇った冬の鉛空が見えてくるようでした。
これでもう優勝はない、ただFSは長洲さんに負けるかもしれないが、総合2位は大丈夫だろう、なんて相方と話しているときに出てきたスコアは117.32(52.78・64.54)、合計185.27。
これには私も相方も「え!?」とびっくり、そして総合”1位”の文字を見てぽかーん。鈴木さんとはなんと0.05差。
キス&クライの浅田さんはというと、微塵の喜びも見せず、顔をひきつらせるのみ。この結果に何か邪なものを感じ、それを拒絶する彼女の誇りが滲んでいました。
プロトコルを見ても終盤のGOEの評価、5コンポーネンツ(PCS)の評価は演技内容とは距離があるとしかいいようがありません。審判団はSPで出来た”浅田真央優勝”の流れを頑なに守ったのでしょう。昨年の鈴木さんが優勝したNHK杯とよく似ていますが、私の戸惑いはそのとき以上のものがありました。

競技後の浅田さんはFS失速の理由について、中国大会でジャンプの回転不足がとられたことが気になったと漏らしていましたが、中国大会女子シングルは選手全体のジャンプが異常に厳しく見られていましたし、今大会のSPでは上手くいっていたんですから選手心理は複雑です。
浅田さんのジャンプ再構築は順調そのものだと思いますし、普通に跳んでいればなんの問題もないはずです。私はコーチ陣がもっとポジティブに浅田さんを導くべきだと思います。
今季は体づくりが例年ほどは出来ていないように見えるので、シーズンが深まってゆけばジャンプももっともっとよくなるに決まっています。中国大会とこのNHK杯を比べたって確実に上向いているんですから。
浅田さんは自信を持って前へ進めばいいんです。後ろにはいつだって大勢のファンがいます。その熱気が決して翼を凍らせはしない。
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