2013GPSロシア大会女子FS(後)

(続きです。)
五輪出場争いといえば日本同様に熾烈なのがアメリカ女子。持ち枠3のうちワグナーとゴールドの2人は実力実績が頭ひとつ抜けているものの、あとひとりは混沌とした状況。ガオ、ザワツキ、セザリオ、そして今大会に出場している長洲未来さんも合わせて最後までどうなるかまったくわかりません。
その最終選考の全米選手権前に調子を上げてゆきたい長洲さんですが、SPでは久しぶりにパワーのあるジャンプを跳んでのノーミスの演技。
それに続きたいFSも冒頭から『ジェームズ・ボンド』のテーマにのって、3F+2T+2Lo(フリップはエラー)、2A+2T、3Lzと順調に決めていい流れ、調子は本物のよう。
そしてややたどたどしいステップシークエンス、ゆったりとしたスパイラルから入った後半は3Lo+2Tを着氷(ファーストに力が入りすぎてセカンドはその場跳び)、軸のぶれないコンビネーションスピン、3Fも成功、イーグルから高さのある3Loを跳んでいい笑顔。後半は鼻をすする姿も目立ち、スケーティングスピードも落ちていましたけど、ジャンプをしっかり決めたのは立派。
そこからはジャンプ成功で勢いを増したキャメルスピン、滑らかなスパイラルのコレオシークエンス、2A着氷でガッツポーズ、伸びやかなビールマンスピンで喜びを爆発!ほぼノーミスといっていい滑り、久しぶりにやってくれました!
FSは114.93(57.95・56.98)、合計175.37。
これで全米選手権も大いに期待が持てそうです。

長洲さんの好演に続きたい同国のアグネス・ザワツキでしたが、最初の3Loでふらりと着氷を乱すと、3T+3Tはフリーレッグが氷にかすり、3F(エラー)はステップアウトという不安定な立ち上がり。
調子でも悪いのかステップシークエンスでは嘘のように体が動かずノロノロとした滑り、それでも3Lz+2Tは着氷でひっと一安心。
しかし、あっさりとしたキャメル、顔をなでるセクシーな振り付けで『ラ・クンパルシータ』の雰囲気を盛り上げての後半で2Lzになると、次も崩れるような2S+2T+1Loに。
そこからは完全に元気を失って、緩いレイバンクスピン、2Aでもふらり、スピードのないコレオとコンビネーションスピンでフィニッシュ。
FSは102.76(47.16・55.60)、合計163.21。
今季のザワツキからは五輪への執念が感じられません(中国大会7位)。優しい性格なのでしょうか、残念です。

執念を感じないといえば2季前の世界女王、カロリーナ・コストナーもそう。
FSは長い助走からの不安げな3Lz、2A、3F+2Tと着氷するも、つなぎがあまりなく彼女にしてはあっさりした立ち上がり。
それでも2つの芸術的で演技的なスピンで『シェヘラザード』の世界を形成すると、独特の大らかなスケートから後半に突入、しかし3Tがこらえる形の着氷になりコンボに繋げられないミス。次の3Loはステップアウト、
3Sはお手つき。
女王になったシーズンは下半身の筋肉が充実していましたけど、昨季からそれが細くなったのと平行してジャンプも不安定になってきましたね。競技者からショースケーターへと体作りが変わったといっていいでしょうか。
ただ、そのショー的な要素でいえば、コンビネーションスピンの後のステップシークエンスは圧巻の内容。足元の高度な技術はもちろん、全身と顔の表情も大きく使い、アラビアンナイトのハラハラドキドキを見事に表現するのですからやはり凄いスケーターです。
コレオシークエンスではアラベスクスパイラルを高速で後ろ向きに滑るというコストナーならではの技術で会場をドッと沸かせ、最後は3Sを振り付けのように降りての終幕(3Sは2本目だったのでコンボにしなければ8割の基礎点しかもらえませんが、無理にそうしないのも競技者ではなく表現者という感じ)。
FSは122.38(53.80・68.58)、合計190.12。
他の選手とはまさに格が違うといった内容ではありましたが、このFSといい今季(昨季も)のコストナーは結果へのこだわりが感じられず、どこか演技もあっさりとしているように見えます。
しかし、私は五輪で優勝や表彰台を本気で狙うコストナーが見たい、競技者としての執念が見たい!

この日の最終滑走、コストナーとは真逆の雰囲気でリンクインしたのはSPでダントツ首位のユリア・リプニツカヤ。優勝をのぞむ地元ロシア観客の大声援を受ける表情が硬い。
そのまま映画に出てきそうな芝居で『シンドラーのリスト』を滑り始めたリプニツカヤでしたが、縮こまったような3Lzで膝をつく回転も足りていなそうな着氷(転倒判定)、2Aはお手つき。緊張でガチガチでした。
しかし得意のスピンで気持ちを落ち着け、軽さを感じるスケーティングをベースにした芝居っ気たっぷりのステップシークエンスでペースを取り戻すと、後半は3F+2Tと2A+3Tをバランスが悪いなかでも根性で着氷。
ふりつけを入れての3Loも成功させ、そのまままとめるかと思われたものの、その後は2S、2Lz+2Tと失速。緊張して前半に無駄に力を使い過ぎたのか、いつもよりスタミナも切れていましたね。
終盤は代名詞のキャンドルスピン(ビールマン)、柔軟性を生かしたコレオスパイラル、不甲斐ない自らを叱咤するようなコンビネーションスピンでフィニッシュ。
大崩れの内容にがっくりうな垂れるリプニツカヤ。SPの4.5の貯金なんて無意味なくらいのミス連発でした。
スピンやステップはよかったですけど、ジャンプは大きなミスがあったり、着氷したものも出来がよくなかったのでスコアはあまり伸びないでしょうね。緊張やスタミナ切れで演技面もいまいちでしたし。
これはコストナーの逆転優勝に違いない、ロシア観客も元気がなくなって静かなキスクラ、しかし出てきたFSのスコアはFSは118.56(55.92・63.64・減点1)、合計190.80。
計ったような僅差でリプニツカヤの逃げ切り優勝。完全なるホーム採点。うさんくさいことこの上ありません。TESもPCSもめちゃくちゃです。FSは110点くらいの内容だったと思います(※PCSは村上さんとは約8点差、トゥクタや長洲さんとは約6点差)。
しかし、この優勝を受けてのリプニツカヤの態度はよかった。まるで負けたように表情を動かさず、まったく喜ばないんです。
彼女は絶対にいい選手になると思います。私もまたファンになりました。

ロシアの横暴ぶりばかりが目立った2013GPSロシア大会女子シングルですが、リプニツカヤという選手の本質が垣間見れたことは収穫でした。
ロシアの冬季競技関係者もリプニツカヤを見習わないとソチ五輪で世界中から白い目で見られちゃいますよ!
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