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2013全日本フィギュア女子FS(後)

(続きです。)
宮原さんに勝って五輪に出場するためにはFSで約124点が必要な村上佳菜子さんですが、今季のベストは113.22なのでこれは簡単ではありません。ほぼノーミスの演技が求められるはずです。
それがわかっているのか、某力士のような気合を入れるポーズを繰り返してリンク中央に立った村上さん、『愛のイエントル』がかかり、冒頭のジャンプは3T+3T!浮き上がるような素晴らしい跳躍!
続いてはエラーを気にしない3Lz、3Loは確実に、しっとり丁寧なステップシークエンス、安定したコンビネーションスピンで前半を〆ると、後半は3F+2Tと3Fを立て続けに決め、苦手な2Aもしっかり着氷、そして得意の3S+2Lo+2Loは鮮やか!これでジャンプはノーミス!ようやくジャンプの順番を変更してくれましたけど、これでいいんです!
終盤も集中力を維持しながらのキャメルスピン、勝利を確信したようなコレオシークエンス、最後は喜びに満ちたレイバックスピンで腕を大きく突き上げてのガッツポーズ!まさにパーフェクトの演技!
この見事な演技に場内は総立ち、「五輪でもがんばって!」という拍手の嵐。
いやあ村上さんはここ一番に強い。ブラヴォ!
ただ、FSで135.10(TES69.10・PCS66.00)、合計202.52というスコアが表示されたとき(この時点で2位)、場内は一度どっと沸いた後、少しだけ微妙な空気に包まれました。
同じようにSP・FSでノーミスだった宮原さんが191.58(64.50・60.56)でしたから、いくらなんでも「高すぎるのでは…」というようなひそひそ声も聞こえたほどです。これは鈴木さんのスコアが出たときも同様で、何かちょっと嫌な感じがしました。
この時点ではプロトコルは見ることができなかったのでPCSだけの話になりますが、村上さんと宮原さんが直接対決したGPSロシア杯FSでは村上54.96、宮原53.97という僅差だったのにこの大会では大きな差になってしまっていることに私は少々戸惑いました。もちろん技術点に関しても、ジャンプの基礎点が高い宮原さんが大きく負けているのですからね…。
と、もう少し考えたところだったのですが、次は大トリの浅田真央ということもあって、私もすぐに頭と視線を切り替えちゃいました。隣に座っている相方なんて村上さんのスコアそっちのけで浅田さんに集中。拝んだり、ハアハアいったりしているので他人のふり。

浅田さんはこの大会前にシーズンベストやランキングといった項目で首位に立ち、五輪が確実ということでどこか他選手とは違う雰囲気でした。いい意味でいえば自分に集中しているということでしょうし、逆にいえば五輪シーズンの全日本独特の緊張感が薄い、ということでもあったように思います。
そしていよいよ始まる浅田真央のラフマニノフピアノ協奏曲第2番。五輪争いも楽しみでしたけど、私と相方にとっては浅田さんの演技こそがこの旅の目的です。
浅田さんの名前がコールされると会場はこの日一番の拍手と大歓声。まさに桁違いの人気。埼玉スーパーアリーナの屋根が吹き飛ぶかと思っちゃいました。
もちろんその盛り上がりも浅田さんがリンク中央に立つとすぐに静まり返ります。息を呑むというのはこういうこと。
そうして観客の祈りと期待が生んだ静寂を破って滑り出した浅田真央、冒頭はもちろん3A!でしたけど惜しくもオーバーターン。しかし6分間練習の状態からすればまずまずといっていいでしょう。
それよりも問題は次です。3Aをコンビネーションにしなければなりません。
今季は一度しか綺麗に決まっていない3A(GPFのSP)に+2Tをつけるなんて普通は考えられませんが、浅田真央は普通じゃない、何もかも。
もはや回避という選択肢はない、いけ、いってくれ、18000人の観客の思いがひとつになって後押しをしたわけですが、体勢を崩しての悔しい1A。
気を取り直しての3Fはしっかり跳んで、2つのスピンも有機的に回った浅田さんでしたが、滑りと動きがどうも重い。3Aのミスを引きずっているのか…。
後半は観ていて不安になりそうな助走から詰まり気味の2A+3T、3Sもジャンプが小さい、しかも得意の3Fからの3連続がバランスを崩した+1Loのみで終わるという信じられないようなミス。
明らかな不調、3Aの影響というよりフィジカル的な問題を感じました。
そんな状態での最後の3Loは助走を観ていて、私も、たぶん会場のみなさんも涙が出そうだったはずですけど、しっかり決めたのはさすが浅田真央。それにこの成功で沸き起こった拍手の大きさといったらありませんでした。自分たちの何かを捧げてでも浅田真央に力をあげたい、そんな拍手です。
そんな熱い供物を受けた浅田さんはコンビネーションスピンを重たい体を気持ちで引っ張るように回ると、ステップシークエンスでは開き直ったような滑り。
その力強さ、熱量、世界観の大きさ、浅田真央は体内に小宇宙を持っている!
それが弾け、煌く度に観客は興奮し、安堵する、やはり浅田真央は不死鳥だと。
魂のコレオシークエンスで演技を終わらせ、心底悔しそうな表情を浮かべる浅田真央。
しかし不調のなかでも見せるべきものは見せました。
それは女王の誇りであり、3Aへのこだわりであり、ソチ五輪への期待感です。
いまは翼を休めて、また大きく羽ばたけばいいだけです。GPFから間がなさすぎました。
これで優勝は鈴木さん、浅田さんは2位かな、という会場の雰囲気でしたけど、出てきたFSのスコアは126.49(55.69・70.80)、合計199.50で第3位。
これには会場も騒然。確かにミスは多かったですからこのスコアでも正しいのかもしれませんが、それはあくまで国際大会基準での話です。
どこの国でも国内選手権は国際大会より甘めに点数が付くものですし、その国のエースの演技にはそれなりの配慮がされるのが当たり前です。
それなのになぜ日本スケート連盟はその慣習をいとも簡単に破るのか。
なぜ連盟が一丸となって浅田真央の五輪金メダルをバックアップできないのか。
ここは本当に日本なのか、いや、あなたたちは本当に日本人なのか。いい加減にしろ。

私が浅田真央の大ファンであると同時に鈴木明子の熱烈なファンでもあり、彼女が全日本女王になることを以前から望んでいたことは、当ブログを読んでくださっている方ならばご存知のことと思われます。
ですから私は本当に嬉しかった。鈴木さんがお母さんと抱き合う姿には目頭が熱くなった(鈴木さん本当におめでとう!堂々たる日本女王です!)。
浅田さんが崩れたとはいえ、この大会の鈴木さんの演技は全日本女王に相応しいものでした。近年の全日本でも最も秀でた勝利のひとつとすらいうことができるでしょう。歴史的といってもいい優勝でした。
ただ、鈴木さんの215.18はいくらなんでも高すぎますし、浅田さんとの点差もおかしい。私がざっと計算するに国際大会で望める鈴木さんのトータルスコアの上限は205点くらいです(浅田真央は220点くらい)、。
鈴木明子は間違いなく勝ったんです、あの偉大なる浅田真央に。この勝利はどの大会でも絶対に変わりません。確実なる勝利です。
それなにのおかしなスコアがそれをぼやけさせる、私はそれが悔しくてなりません。
浅田さんと同一基準でジャッジすればいいだけなんです。手心なんて必要ないんです。
スケート連盟の鈴木さんへの愚かな応援は鈴木さんの名誉を傷つけ、ファンの喜びを削いでしまったといえるでしょう。
これは村上さんにもいえることです。なぜ宮原さんと同一基準で競わせないのか。4年前は中野友加里さんと鈴木さんをガチンコで競わせたじゃないですか、あれをまたやればよかったんです。私も細かく演技(VTR)を観たわけではありませんが、勝ったのは村上さんだと思います。もちろん”僅差”ですが。
しかし、この日の基準でいえば村上さんは2ミスでも宮原さんに勝つことができたことになります。たまたまノーミスになりましたけど、そうでなかったら大変なことになっていたと思います。
私は五輪に行けると本気で信じていたであろう宮原さんが不憫でなりません。
今季は五輪出場に関して、3枠のうち1枠はかなり柔軟性のある設定をしていました。
それがあるのですから、全日本選手権に柔軟性は必要なかったと私はいいたい。
五輪代表決定戦にもやもやした気分なんて必要ないんです!
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