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ソチ五輪でのフィギュア日本代表たち(後)

(続きです。)
19歳にして見事オリンピックチャンピオンに輝いた羽生結弦ですが、FSで2度の大きなミスがあったことから、海外メディアなどから「勝利なき勝者」などと書かれて本人はさぞかし悔しい思いをしていることでしょう。帰国時の記者会見でも「チャンピオンに相応しい人間になる」と繰り返していました。羽生結弦は必ずやそうなると私は確信しています。
ところで、このソチ五輪では地元ロシアのリプニツカヤやソトニコワがいかがわしいほどの高得点を獲得してそれぞれ団体と個人で優勝したことで、日本国内でも「若手が急成長した大会」などといって羽生結弦と彼女たちをひとくくりに語るフィギュア専門家たちがいますけど、私は断固としてそれに反論します。
羽生結弦は彼女たちと違い、2季前に世界選手権3位になっていますし、今季はGPFで優勝するなど、五輪前からすでに世界のトップレベルの実力と実績を有し、名実ともに金メダル候補だったわけです。質のいい高難度ジャンプを軸にした凄まじい技術点は現役ナンバーワンといっていいくらいです(※基礎点が上の選手はいますけど、安定して出せるのは羽生くん)。
ソチ五輪男子シングルは優勝候補筆頭だったパトリック・チャンがSP・FSともに思わぬミスを多発させたように、全体的に見てもとてもミスの多い試合でした。SPもFSもノーミスの選手がほとんどいませんし、両方ともまとめたのはゼロというのですから、本当に珍しかったです。ひょっとすると
リンクに何か問題があったのかもしれません。
そんななかで羽生結弦はSPで史上最高点を叩き出し、FSでも後半はノーミスで滑りきったわけですから、称えられるべき勝者です。競い合いに勝ったのです。
羽生くんはもっと誇っていい!

そんな羽生くんと同い年の村上佳菜子さんは直前の四大陸選手権で優勝し、好調で迎えた大会かと思われましたが、ジャンプのミスが出てSP15位・FS12位、総合12位という寂しい初五輪に終わってしまいました。
演技だけを見た限りですが、どこか地に足がついていないといいますか、自分のリズムで滑ることができず、”滑り急いでいる”という印象でした。度胸のよさで知られる村上さんをもってしても五輪は平常心で臨めないということでしょうかね。
しかし、まだ19歳、この悔しさをバネにまだまだ成長できます。これからです!

これが”最後の五輪”という決意でソチに乗り込んでいった鈴木明子ですが、両足小指の怪我もあって、ジャンプに乱れが生じ、団体戦のFS4位、個人戦でもSP8位と伸び悩み、私も祈るような気持ちでFSを観ていました。
鈴木明子ほどのスケーターがこのまま五輪を終えていいはずがない!
FSでの鈴木さんは序盤の3つのジャンプを手堅く降りると、軽やかで優雅なステップシークエンスで『オペラ座の怪人』の舞台を作り出し、そのまま波に乗るかと思われましたが、後半冒頭の3Fで危険を感じるほどの大きな転倒、私は一瞬血の気が引きました。
しかし凄まじい気迫で立ち上がった鈴木さんはその後の3つのジャンプをしっかり決め、物語を加速させるコレオ、スポットライトが降り注ぐようなスピンで堂々たるフィニッシュ。
その高い集中力が作り出す凝縮した世界こそが鈴木明子のスケート、鳥肌が立ちました!
FSは8位、総合でも8位で2大会連続入賞となった鈴木さんですが、4年前と違って”もぎとった”という感じでしたよね。素晴らしかった。目標のメダルには手が届きませんでしたけど、その演技はフィギュアファンの心に届いたと思います。
やっぱり鈴木明子は日本が世界に誇る名スケーターだ!

我らが浅田真央がフィギュアの素晴らしさと正義を世界中に示したことは以前の記事の通りなので、今回はちょっと厳しいことを書きたいと思います。
今五輪の浅田さんは”史上最高”のFSを完遂したとはいえ、SPで2つの大きなミスをして16位と出遅れ、結果として国民が期待し、本人も目標にしていた金メダルを取り逃したことは忘れてはなりません(総合6位)。
この原因は様々議論されていますが、私は今季の運び方に問題があったと思っています。
今季の浅田さんは代名詞である3Aを序盤からプログラムに組み込む好調さを維持していたものの、GPSではなかなかGOEのプラスとなる3Aを跳ぶことができず、ようやく決めた!と思われたGPFでも日本人と韓国人の技術審判による誤審とも嫌がらせともいえる回転不足を取られてしまいました。
しかし、本人は自分自身の”手ごたえ”を優先したのか、GPFと全日本のFSではそれまで1発だった3Aを2発にバージョンアップ。
ただ、これがなかなか決まらず、ソチ五輪では1発に戻すこととなりました。
今季は持病の腰痛にも苦しめられた浅田さんですが、結果的に見れば3Aの精度を上げ、プログラムの完成度を高めてゆく方が五輪制覇への近道だったといわざるを得ません。
けれども、浅田真央の旺盛すぎるチャレンジ精神はそれを許さなかった。
そして、それがドラマを生み、我々を大興奮させる。
しかし、スポーツ選手にとっての究極の目標はチャレンジと結果を両立させることにあるわけですし、そこはやはり悔しい記憶としてとどめておかねばなりません。

今五輪の日本チームは結果としては期待通りのものを残せなかったかもしれませんが、印象に残る演技はとっても多かった。五輪の度に採点に疑惑が投げかけられるフィギュアスケートでは、それこそが正義なのかもしれません。
”フィギュアスケートは素晴らしいけど、フィギュア競技は胡散臭い”。
私は、いまの日本人の多くはそう感じていると思っています。成熟しているといっていいでしょう。
”いくつメダルを取ったかよりも、どれだけ楽しませてくれたのか”、そういう意味では今回の日本チームは間違いなく勝者です。
ありがとう、10人の美しき選手たち!
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