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2015全日本フィギュア女子シングルの勝者

今年2015年の全日本フィギュア女子シングルは、2年ぶりに戻ってきた浅田真央が再び女王に返り咲くのか、現女王の宮原知子が守り切るのか、はたまた本郷理華が2人の間に割って入るのか、本当に興味深い大会だったわけですが、終わってみれば宮原さんがSP・FSを通してほぼミスのない演技で圧倒しての連覇。
GPSからのハードな日程をものともしないその強靭なメンタルとフィジカルからは風格のようなものも滲んでいました。
いまの宮原さんは世界的に見ても要素の完成度と成功率は群を抜いているので、それで相手にプレッシャーをかけることもできますし、世界選手権では頂点に立つ可能性も十分あると思います。
味方にすればこれほど頼もしく、敵に回せばこれほど恐ろしい選手はいません。
我々の女王は鉄鋼の強さを持っています。
大いに期待しましょう!

その宮原さんとは対照的に今大会で弱さを見せてしまったのは浅田真央。
SPでは予定構成から懸案の3Lzを外したものの、アクセルとコンビネーションジャンプにミスが出てのSP5位。
翌日のFSも同じ部分にミスが出るも、その後のジャンプを揃えて巻き返し、FS2位の総合3位に滑り込んだのはさすがでしたけど、演技に強い気持ちが見られないのはもどかしくすらあります。
選手というのはそれぞれに目標を持ち、そこに向かってモチベーションを高めてゆくものです。
それは全日本嬢王であったり、国際大会出場であったり、五輪出場であったり、それら大会のメダルであったりするわけでしょうけど、浅田さんはすでに功成り名遂げた選手だけにそういうものへのこだわりはあまりないと思います。復帰会見でも「いい演技をしたときの達成感をまた感じたい」と語っていましたしね。
では、浅田さんにとってのいい演技とはなんなんでしょう?
これまでの彼女のスケート人生から察するに、”自分ができることをすべてプログラムに入れ、それをパーフェクトに滑り切るということ”だと思うんです。
それは今季のSPのジャンプ構成を3A、3F+3Lo、3Lzにしたことでもわかります。
SPのジャンプはストレスがかかるものを1本だけにするのが普通です。2本にすれば「チャレンジしているな」と受け取られるでしょうけど、3本なら「無謀」です。
しかし、浅田真央はそんな常識にとらわれることなく、自分のスタイルに従って超高難度構成を選んだわけです。
私はそれならばそれで貫けばいいと思います。
結果を求めるのではなく、”達成感”を求めて復帰したのですから、それで構わないのではないはずです。
理想だけを見上げていれば、よけいなことは考えずにすみます。自分とフィギュアスケートだけの関係を大切にしたらいいんです。自分勝手でいいんです。
これまで極上の歓喜と興奮を我々に届けてくれた浅田さんには、その資格があります。
四大陸と世界選手権では昔を思い出して無邪気な浅田真央でいいんじゃないでしょうか!

昨季の全日本は宮原さんに僅差で敗れ、悔しい思いをしたであろう本郷理華さんは、技術面でも表現面でも進歩を見せてきたものの、シーズンの成績ではライバルにだいぶ水をあけられてしまったというのが現実でした。
いまの段階での実力は宮原さんの方が上、それでもミスなく滑れば何かが起きるのがフィギュアスケートです。
そしてSPでは3F、後半3T+3T、2Aという新構成を成功させての2位、FSでも3Lzで転倒があったもののそれに影響されることなく、他の部分をまとめたのは本当に立派でした。FS4位、総合でも4位におわりましたけど、実力は十分に証明したと思います。
ただ、私から見て、今大会の本郷さんは少々物足りなかったんです。持ち味である大胆でエネルギッシュな演技がやや陰っていたように思うんですよ。GPSも初戦の中国大会で勢いよくスタートしたものの、次のロシア大会では失速し、全日本でも上がり切らなかったという印象です。
体調面なのか体型変化などが影響しているのかわかりませんけど、個人的にはちょっと心配です。
本郷さんらしさが戻ってくれば、四大陸でも世界選手権でも絶対に輝ける!

こうして盤石の3人娘を四大陸と世界選手権に送り込むことになった2015全日本選手権女子シングルですが、大会を大いに盛り上げたのは生きのいいジュニア勢でした。
総合2位に入ったジュニア日本女王の樋口新葉さんは持ち前の高速スケートとビッグジャンプが際立っていましたし、5位の白岩優奈さんはFSの3Lz+3T+2Loという珍しい技に象徴される高いジャンプ能力を披露してくれましたし、8位の新田谷凜さんはFS後半にセカンドトリプルを2本入れるという攻めの気持ちを見せてくれました。
9位の本田真凜さんはメディア先行型のように思われがちかもしれませんが、プログラムの流れを的確にとらえるセンスと、繋ぎをスコアのためのアリバイではなく、演技を華やかにするアクセントとして散りばめられるのは類稀な才能だと思います。あと2、3年後には世界トップクラスの魅せるスケーターになっているのではないでしょうか。
(長野市で開催される全国中学生フィギュアがいまから楽しみです。)

彼女たちの他にも素晴らしい才能のジュニアが揃っているなかで、その共通点は誰もがFSに5種7本のトリプルジャンプを組み込んでいたこと。
これはシニアでも世界標準になりかけていますけど、ジュニアのうちからそこを目指しているというのは頼もしい限りです。
また、各選手とも試合に臨む態度が真摯であるのはもちろん、フィジカルコンディションが見るからに整っているのも素晴らしいものがありました。これは日頃から高い意識を持ってフィギュアスケートに打ち込んでいることの証左です。
そして、もちろん、その高い意識というのは選手だけでは保てないものです。
ご家族であったり、所属クラブの先生であったりが、愛情をかけて育て、いい方向に導いてきた賜物です。
そういうひとたちもまた大会の勝者です。
私も心からの賞賛と敬意、そして感謝の気持ちを送りたいと思います。
素晴らしい大会でした!

フィギュアスケートのシーズンはまだまだ続きますが、みなさんよいお年を!
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