2016世界フィギュア男子SP、絶対性を見せつけろ!
気が付けば今日は3月31日、明日からは4月です。
気候も穏やかになってきて、春の頼りばかりが届く毎日です。
ただ、私のなかでまだ冬は終わらない。
フィギュアスケートの2016世界選手権がアメリカボストンでいよいよ始まるのです(現地3月30日~4月2日)。
選手たち、特に日本勢には、この冬を美しい思い出にしてもらいたい!
初日の注目はなんといって男子シングルのSP。
我らが絶対王者羽生結弦と若き天才宇野昌磨が世界を驚かせるときがついにやってきたのです。
ただ、ここで少し気になることがあるんです。
それはメディアに見られる羽生結弦の王者返り咲きへの楽観論。
確かに今季の羽生結弦は世界最高点を更新しまくり、SPではライバル勢に10点ほどの差、FSでは20点ほどの差をつける圧勝を繰り返しています。
これだけ見れば負けるはずはない!…ように思っちゃいますけど、話はそう簡単ではありません。
現在の男子シングルは”4回転ジャンプの数と完成度”がスコアを大きく左右します。
成功した場合には大きく点を伸ばしますけど、逆に抜けたり、ミスをしてしまうと、思った以上にスコアを落としてしまうわけです。
しかも現在の男子シングルのジャンプ構成は超高難度。
羽生結弦とて簡単にノーミスができるわけではありません。
絶対王者として、”ミスができない”というプレッシャーに彼がどう打ち勝つのか、それをドキドキしながら楽しみたいと思います。
そうして始まった男子SPは第1グループ(全5G)でロシアの若手ミハイル・コリヤダが4T+3Tを成功させて89.66(TES51.06・PCS38.60)という高得点をマークする驚きの幕開け。
また、逆の驚きでいえば、中国の閻涵とカナダのナム・グエンは4回転の転倒と他のジャンプのミスにより、FSに進めないというまさかの事態(閻涵62.56、ナム61.61)。
やっぱり4回転は恐ろしい…。
4回転を入れてミスなく滑る選手がコリヤダ以降いないという嫌な展開のなか、第4Gに登場したのはクワドモンスター金博洋。
そのジャンプ能力で男子シングルの常識を破壊するだけのポテンシャルのある彼ですが、初の世界選手権に緊張したのか、冒頭の4Lzで珍しく着氷を乱して、オーバーターンを挟んでの+3T。3Aは丁寧に降りるも、後半の4Tはやや詰まった感じ。
『タンゴ・アモーレ』全体の動きはいつも通りキレていましたし、攻める気持ちも出ていただけにジャンプがもったいなかった。
SPは89.86(52.08・37.78)。
ジャンプもミスもそうですけど、シーズン中に比べるとPCSがやや辛めになってスコアはあまり伸びませんでした。
これには金博洋もコーチも渋い顔。
しかし、FSは凄まじいジャンプ構成なので、どこまで追い上げるか楽しみにしましょう!
そしていよいよ迎えた最終グループ、先頭は日本が誇る若き天才宇野昌磨。
会場に『Legends』がかかるとすぐさまそのリズムを血管に流したように滑り始めた宇野昌磨、冒頭は細かいステップからの4T!決めた!
安心感のあるスピンを2本回り、クールかつ心地良さげに音楽と戯れると、後半冒頭はイーグルからの3A!お見事!
初の世界選手権とは思えぬ落ち着き、やはり宇野昌磨はただ者ではない!
…と思ったんですけど、3Fが詰まった感じになってどうにか+2Tをつけるという宇野くんには珍しいミス。
4回転と3Aを上手揃えて大事に行き過ぎたか…、悔しい!
しかし、宇野くんはその気持ちをぶつけるように力強い入ったステップを踏み、最後のスピンも自分自身を叩きのめすような迫力でした。
SPは90.74(47.17・43.57)。
金博洋とは違って思ったより高いスコア。PCSがシーズン中より評価されたようです。私にはそんなに変わらないように見えましたけど…。
まあ、ここまで来たらスコアじゃないですよ。いまのレベルの高い男子シングルの世界で、どれだけインパクトを残せるかです。
FSでは爆発して欲しい!
羽生結弦が歴代最高点を更新しまくっているせいで忘れがちですが、”現”王者はこのひと、ハビエル・フィエルナンデス(スペイン)。
同門の羽生結弦に刺激されたのか、欧州選手権SPから4回転を2本の構成にし、SPで100点超え、トータルでも300点を超えて、いま最も羽生結弦に肉薄している選手なのはいうまもでありません。
そのフェルナンデスのSPは彼のためにしつらえた『マラゲーニャ』。似合いすぎです。
セクシーなチョビ髭と鮮やかな舞で観客とジャッジにアピールしながら滑り始めたフェルナンデス、4T+3Tを易々と跳んで快調なスタート!
だったのですが、次の4Sで惜しくも転倒。ほんのちょっと!
しかし、王者の誇りか、ミスをまったく気にする様子もなく曲の緊張感を持続させたフェルナンデス、後半のステップからの3Aはものの見事な成功!
スピンは音楽を奏でるように回り、最後のステップも巧みなエッジコントロールと天性のボディバランスで『マラゲーニャ』の深みのある荒ぶりと情熱を表現。やっぱりいいプログラムですねえ。
ミスはあったものの高い集中力で最後まで滑り切ったのも立派でした。
そんなSPは98.52(53.06・46.46・減点1)。
「え!?」って私も目を疑いました。転倒しているのにこんなに出るんですねえ…。
最近の男子フィギュアって計算難しいです。
このスコアにおそらくボストンのお客さんも困惑していたと思うんですけど、そんな空気が邪魔をしたのか、次のデニス・テン(カザフスタン)は4Tはお手つきステップアウト、3Aは慎重に着氷するも後半の3Lzで詰まったところに無理やり+2Tを付けた結果の転倒。演技全体もなんだか元気がなく、印象に残りませんした。
世界選手権に調子を合わせるのが上手いデニス・テンなので残念です。
SPは78.55(38.44・41.11・減点1)。
開催地が同じ北米ということで大歓声のなか登場したパトリック・チャン(カナダ)。
羽生結弦やフェルナンデスに置いて行かれないためにもSPではミスが許されない状況のなか(ジャンプ攻勢も4回転が1本)、まずは4T+3Tを鮮やかに成功!今季はなかなかこれが決まらなかっただけに大きい!
しかし、チャンの鬼門はなんといっても苦手の3A、ここを乗り越えなければ道は開けない!
とばかりに跳んだ3Aでしたけど、回転不足気味の転倒。
これでショックを受けたのか、滑りも動きもいいときよりちょっと重たい感じで、後半の3Lzも悪い意味でふわっと。
スケーティング技術や体の使い方の正確性はさすがでしたけど、全体的にアグレッシブさが足りない演技となってしまいました。
それでもSPは94.84(48.63・47.21・減点1)。
これもまた「え!?」という感じのスコア。フェルナンデスよりもおかしいんじゃ…。(3Aの回転不足は取られていません。)
なんだかこう一部の選手が違う基準で採点されている感じがしますよね。
採点も不可解、ミスなく滑る選手がぜんぜん出てこないというもやもやした雰囲気に包まれた男子SP。
こんな世界選手権でいいはずがない!
この状況にカツを入れるつもりなのか、凄まじく気迫のこもった表情でリンクインしたのは我らが絶対王者羽生結弦。
指定席であるテッペンを取り返すための戦いの始まりです。
バラード第1番ト短調が奏でられると、気迫をぐっと飲み込んだように平静に滑り出した羽生結弦、まずはイーグルで繋ぐ4Sをしっかり決めて会場の度肝を抜くと、4T+3Tはタイミングを計るように着氷。
さすがに世界選手権ということで緊張感のある立ち上がりでしたけど、それを気持ちで乗り越えたといっていい立ち上がりでした。
そうしてエネルギーの塊のようなスピン、氷を解かすようなスケーティングで後半に入ると、ステップからの3Aを完璧に着氷!
こうして見事なジャンプをきっちり揃えても、さも「当然!」という表情の羽生結弦に痺れる!
もちろん、ジャンプが終わっても羽生結弦の熱量が衰えるはずもなく、鋭く深いシットスピン、フットワークのキレで見せるステップシークエンス、最後は王者の風格と迫力に満ちたコンビネーションスピンでフィニッシュ!
この大舞台でこの演技、世界よ、これが羽生結弦だ!
SPは110.56(61.52・49.04)。
スコアは高すぎてよくわかりませんけど、フェルナンデスやチャンと比べれば妥当、いやもっと欲しいくらい。
優勝はこの”仕分けされた”3選手が争うんでしょうけど、羽生くんにはぜひFSもノーミスで、仕分けがあろうとなかろうと優勝する”絶対性”を見せつけて欲しいものです。
何者にも左右されない強さ、それこそが羽生結弦の追い求めているものだと思います!

気候も穏やかになってきて、春の頼りばかりが届く毎日です。
ただ、私のなかでまだ冬は終わらない。
フィギュアスケートの2016世界選手権がアメリカボストンでいよいよ始まるのです(現地3月30日~4月2日)。
選手たち、特に日本勢には、この冬を美しい思い出にしてもらいたい!
初日の注目はなんといって男子シングルのSP。
我らが絶対王者羽生結弦と若き天才宇野昌磨が世界を驚かせるときがついにやってきたのです。
ただ、ここで少し気になることがあるんです。
それはメディアに見られる羽生結弦の王者返り咲きへの楽観論。
確かに今季の羽生結弦は世界最高点を更新しまくり、SPではライバル勢に10点ほどの差、FSでは20点ほどの差をつける圧勝を繰り返しています。
これだけ見れば負けるはずはない!…ように思っちゃいますけど、話はそう簡単ではありません。
現在の男子シングルは”4回転ジャンプの数と完成度”がスコアを大きく左右します。
成功した場合には大きく点を伸ばしますけど、逆に抜けたり、ミスをしてしまうと、思った以上にスコアを落としてしまうわけです。
しかも現在の男子シングルのジャンプ構成は超高難度。
羽生結弦とて簡単にノーミスができるわけではありません。
絶対王者として、”ミスができない”というプレッシャーに彼がどう打ち勝つのか、それをドキドキしながら楽しみたいと思います。
そうして始まった男子SPは第1グループ(全5G)でロシアの若手ミハイル・コリヤダが4T+3Tを成功させて89.66(TES51.06・PCS38.60)という高得点をマークする驚きの幕開け。
また、逆の驚きでいえば、中国の閻涵とカナダのナム・グエンは4回転の転倒と他のジャンプのミスにより、FSに進めないというまさかの事態(閻涵62.56、ナム61.61)。
やっぱり4回転は恐ろしい…。
4回転を入れてミスなく滑る選手がコリヤダ以降いないという嫌な展開のなか、第4Gに登場したのはクワドモンスター金博洋。
そのジャンプ能力で男子シングルの常識を破壊するだけのポテンシャルのある彼ですが、初の世界選手権に緊張したのか、冒頭の4Lzで珍しく着氷を乱して、オーバーターンを挟んでの+3T。3Aは丁寧に降りるも、後半の4Tはやや詰まった感じ。
『タンゴ・アモーレ』全体の動きはいつも通りキレていましたし、攻める気持ちも出ていただけにジャンプがもったいなかった。
SPは89.86(52.08・37.78)。
ジャンプもミスもそうですけど、シーズン中に比べるとPCSがやや辛めになってスコアはあまり伸びませんでした。
これには金博洋もコーチも渋い顔。
しかし、FSは凄まじいジャンプ構成なので、どこまで追い上げるか楽しみにしましょう!
そしていよいよ迎えた最終グループ、先頭は日本が誇る若き天才宇野昌磨。
会場に『Legends』がかかるとすぐさまそのリズムを血管に流したように滑り始めた宇野昌磨、冒頭は細かいステップからの4T!決めた!
安心感のあるスピンを2本回り、クールかつ心地良さげに音楽と戯れると、後半冒頭はイーグルからの3A!お見事!
初の世界選手権とは思えぬ落ち着き、やはり宇野昌磨はただ者ではない!
…と思ったんですけど、3Fが詰まった感じになってどうにか+2Tをつけるという宇野くんには珍しいミス。
4回転と3Aを上手揃えて大事に行き過ぎたか…、悔しい!
しかし、宇野くんはその気持ちをぶつけるように力強い入ったステップを踏み、最後のスピンも自分自身を叩きのめすような迫力でした。
SPは90.74(47.17・43.57)。
金博洋とは違って思ったより高いスコア。PCSがシーズン中より評価されたようです。私にはそんなに変わらないように見えましたけど…。
まあ、ここまで来たらスコアじゃないですよ。いまのレベルの高い男子シングルの世界で、どれだけインパクトを残せるかです。
FSでは爆発して欲しい!
羽生結弦が歴代最高点を更新しまくっているせいで忘れがちですが、”現”王者はこのひと、ハビエル・フィエルナンデス(スペイン)。
同門の羽生結弦に刺激されたのか、欧州選手権SPから4回転を2本の構成にし、SPで100点超え、トータルでも300点を超えて、いま最も羽生結弦に肉薄している選手なのはいうまもでありません。
そのフェルナンデスのSPは彼のためにしつらえた『マラゲーニャ』。似合いすぎです。
セクシーなチョビ髭と鮮やかな舞で観客とジャッジにアピールしながら滑り始めたフェルナンデス、4T+3Tを易々と跳んで快調なスタート!
だったのですが、次の4Sで惜しくも転倒。ほんのちょっと!
しかし、王者の誇りか、ミスをまったく気にする様子もなく曲の緊張感を持続させたフェルナンデス、後半のステップからの3Aはものの見事な成功!
スピンは音楽を奏でるように回り、最後のステップも巧みなエッジコントロールと天性のボディバランスで『マラゲーニャ』の深みのある荒ぶりと情熱を表現。やっぱりいいプログラムですねえ。
ミスはあったものの高い集中力で最後まで滑り切ったのも立派でした。
そんなSPは98.52(53.06・46.46・減点1)。
「え!?」って私も目を疑いました。転倒しているのにこんなに出るんですねえ…。
最近の男子フィギュアって計算難しいです。
このスコアにおそらくボストンのお客さんも困惑していたと思うんですけど、そんな空気が邪魔をしたのか、次のデニス・テン(カザフスタン)は4Tはお手つきステップアウト、3Aは慎重に着氷するも後半の3Lzで詰まったところに無理やり+2Tを付けた結果の転倒。演技全体もなんだか元気がなく、印象に残りませんした。
世界選手権に調子を合わせるのが上手いデニス・テンなので残念です。
SPは78.55(38.44・41.11・減点1)。
開催地が同じ北米ということで大歓声のなか登場したパトリック・チャン(カナダ)。
羽生結弦やフェルナンデスに置いて行かれないためにもSPではミスが許されない状況のなか(ジャンプ攻勢も4回転が1本)、まずは4T+3Tを鮮やかに成功!今季はなかなかこれが決まらなかっただけに大きい!
しかし、チャンの鬼門はなんといっても苦手の3A、ここを乗り越えなければ道は開けない!
とばかりに跳んだ3Aでしたけど、回転不足気味の転倒。
これでショックを受けたのか、滑りも動きもいいときよりちょっと重たい感じで、後半の3Lzも悪い意味でふわっと。
スケーティング技術や体の使い方の正確性はさすがでしたけど、全体的にアグレッシブさが足りない演技となってしまいました。
それでもSPは94.84(48.63・47.21・減点1)。
これもまた「え!?」という感じのスコア。フェルナンデスよりもおかしいんじゃ…。(3Aの回転不足は取られていません。)
なんだかこう一部の選手が違う基準で採点されている感じがしますよね。
採点も不可解、ミスなく滑る選手がぜんぜん出てこないというもやもやした雰囲気に包まれた男子SP。
こんな世界選手権でいいはずがない!
この状況にカツを入れるつもりなのか、凄まじく気迫のこもった表情でリンクインしたのは我らが絶対王者羽生結弦。
指定席であるテッペンを取り返すための戦いの始まりです。
バラード第1番ト短調が奏でられると、気迫をぐっと飲み込んだように平静に滑り出した羽生結弦、まずはイーグルで繋ぐ4Sをしっかり決めて会場の度肝を抜くと、4T+3Tはタイミングを計るように着氷。
さすがに世界選手権ということで緊張感のある立ち上がりでしたけど、それを気持ちで乗り越えたといっていい立ち上がりでした。
そうしてエネルギーの塊のようなスピン、氷を解かすようなスケーティングで後半に入ると、ステップからの3Aを完璧に着氷!
こうして見事なジャンプをきっちり揃えても、さも「当然!」という表情の羽生結弦に痺れる!
もちろん、ジャンプが終わっても羽生結弦の熱量が衰えるはずもなく、鋭く深いシットスピン、フットワークのキレで見せるステップシークエンス、最後は王者の風格と迫力に満ちたコンビネーションスピンでフィニッシュ!
この大舞台でこの演技、世界よ、これが羽生結弦だ!
SPは110.56(61.52・49.04)。
スコアは高すぎてよくわかりませんけど、フェルナンデスやチャンと比べれば妥当、いやもっと欲しいくらい。
優勝はこの”仕分けされた”3選手が争うんでしょうけど、羽生くんにはぜひFSもノーミスで、仕分けがあろうとなかろうと優勝する”絶対性”を見せつけて欲しいものです。
何者にも左右されない強さ、それこそが羽生結弦の追い求めているものだと思います!


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