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2016GPSスケートカナダ、女子FS 不可解採点と一服の清涼剤

SPではメドベージェワとオズモンドが70点を超える高得点を叩きだし、それを追う日本勢は宮原さんが不可解判定に苦しんで伸び悩み、FSでも厳しい戦いが待っているのは間違いありません。
ロシアとカナダのエース級が居並ぶなか、ジャッジまでもが敵という状況に、日本勢がどう立ち向かうか、期待と不安が入り混じるFSの始まりです。

SPでジャンプを2つ失敗して最下位に沈んだ永井優香さんは第1グループでの滑走。
まずはSPで抜けたルッツでしたけど、3Lz+2Tを素直に降りると、続く3Loがやや詰まりながらの着氷、丁寧なスピンの後のステップはちょっと躓く場面がったものの品のいい滑り。『レジェンド・オブ・フォール』のヒロインを思わせる純白の花嫁衣装も良く似合っていました。
後半は3Tから入って、スピン、情感を込めた滑りからの2A+3Tはややオーバー、3Sと2Aはしっかり着氷し、繋ぎのようなコレオからの3S+2T+2Loは根性で形作り、しっとりとしたレイバックスピンで終幕。
SPを取り返すべくよく頑張ったと思います。永井さんも口を押えて感極まっていました。
集中を切らさず、曲と一体になっていたのも良かった。
FSは107.17(TES51.87・PCS55.30)、合計147.56。
ほぼノーミスのわりに点数が伸びなかったのは、ジャンプ構成を下げたことと、コレオのキックアウトが理由です。
ジャンプはSPのことがあったので成功率を取ったのでしょうけど、コレオのパートは私もプトロコルで確認するまでどこにあったのかわからなかったので、ぜひ強化して欲しいと思います。
そして、次戦はSPもしっかりまとめたい。そうすれば自然に成績はついてくる!

第2グループ先頭の本郷理華さんも純白の衣装での『アラビアのロレンス』。
冒頭の3F+3Tをこらえながらもなんとか着氷すると、3Loも回転不足の両足か、続く修正中の3Lzは慎重に。
キャメルスピンからのステップでは、長い手足を使った舞と、左右のターンでロレンスの流浪の人生を表現しようとするも、あまり乗り切れず。
後半は2A+3Tをやや詰まりながら、2A+2T+2Loはやや崩れ、3Fは気持ちで強引に。
ビールマンスピンを挟んでのコレオではドラマチックに攻め、タノ3Sはお見事、その流れのまま入ったコンビネーションスピンでフィニッシュ。
SPが良かっただけに期待したFSでしたけど、ジャンプがどれも上手く決まらなかっただけではなく、表現の面でもドラマ性のあるプログラムに四苦八苦している印象でした。
長い採点時間の後に出てきたスコアは、1053.44(47.08・58.36)、合計171.19。
ほとんどのジャンプに回転不足がついていたのでこれも致し方ありません。
演技全体にも本郷さんらしいエネルギーが感じられなかったので、一時的な不調と思いたいですね。
3Lzのエッジはエラー判定でしたけど、ずいぶん改善されていると思うのでこのまま続けて欲しいものです。
次はやってくれますよ!

ここまでの日本女子は2人とも映画音楽で純白の衣装でしたけど、3人目の日本女王・宮原知子もまた『スター・ウォーズ』のお姫様を模した純白の衣装なのですから何という偶然。曲は『木星』(『惑星』より)です。
SPの不可解採点への怒りをフォースに変えた宮原さんは気合の入った表情から3Loをさらりと跳んでスタートすると、続く3Lz+3Tは物凄い助走からの力強い飛翔!迫力満点でした。
SPでまさかのエラーを取られた3Fはそれに注意しながらやや踏ん張った着氷、コンパクトなキャメル、音楽がドラマティックに盛り上がってからのステップでは細かく要素を積み重ねながら迫真の演技。
そこからビールマンまでの流れは本当に気合が入っていました。
後半への滑りもなめらかで、3Lz+2T+タノ2Loは鮮やか、髪をなでてからの2A+3Tは珍しくややオーバー。
それでもバレエジャンプを挟んでの3Sをしっかり降りると、安定したスパイラル、最後は2Aからの流れで入った得意の両回転スピンでどうだ!
音楽の迫力に演技がよく溶け合い、鬼気迫る内容でした。SPの悔しさをぶつけたましたね。
滑りや身のこなしの正確性が他選手と違うのはもちろんですが、このFSはそこに気持ちの強さが加わっていました。
私も、機工女王の感情溢れる気合の舞から目が離せませんでしたし、大いに興奮しました。
この負けん気とプライドの高さがこそが宮原知子の真骨頂です!
…ところがスコアは126.84(59.42・67.42)、合計192.08。目を疑うような低い数字。
カナダの会場からもブーイングまじりの声が漏れていましたけど、私も映像を観ながら思わず罵声を上げてしまいましたよ。
SPに続いて、また審判連中から何かやられたわけです。
怒りのままにプトロコルを待ってから確認すると、3Fは”!”(エラーとまではいえない)だったものの、後半のジャンプに2つの回転不足(UR)、そしてなんとステップシークエンスがレベル0のノーカウント判定。これは本当に理解できません。
ステップがレベル0になるのは、途中で転んだりして演技が中断されたときくらいしか私も記憶にありませんけど、
もちろん宮原さんはそうではないわけで、そうなると可能性があるのは、”リンクを十分に活用する”という規定が満たさなかったという判断だと思われます。
しかし、試合後に浜田美栄コーチが「日本で何人ものスペシャリスト(認定の審判)にチェックしてもらい、今季の2戦でもいい得点をもらっていた。次のNHK杯までに修正したい」と疑問を呈しているように、こんな判定は難癖とイチャモンと許されぜる愚弄としかいいようがありません。
この大会の宮原さんは、審判という名の狂った狙撃手に囲まれていたようなものです。
つい数週間前の大会の認定が簡単に変わってしまうのでは、競技になるわけがないのです。
これは大会を観戦・視聴しているフィギュアファンにとっても同じことです。
私も含め、そんなに多くのひとがルールに精通しているわけではありません
そういうファンにとって、スコアの付き方というのは、”過去の演技とスコアの関係”が指標なんです。
それがころころと変わっていては、とてもではありませんが楽しめるはずがありません。
フィギュアスケートという競技はいったいどこへ向かおうとしているのか、怒りを通り越して、脱力してくる思いです。
(※浜田コーチのコメントは泣き寝入り宣言みたいで悲しくなります。修正以上に必要なのは抗議ではないでしょうか。)

地元で大人気のケイトリン・オズモンドは、美しく大胆な滑り出しから3F+3Tを豪快に決めると、2Aオーバー+2T、3Lzみたいなジャンプ、鋭いビールマン、コンビネーションスピンという勢いのある前半戦。
生き生きとした、まさに『ラ・ボエーム』でした。
しかし、前半頑張り過ぎたのか、後半は冒頭の3Lo転倒、滑りも重くなってきてちょっと嫌な感じ。
それでも3Fと3S+2T+2Lo、2Aは気合で成功させ、得意のステップでは音楽の盛り上がりと観客の応援を後押しに、やや足元が覚束ないなかで必死に食い下がり、終盤もコレオスパイラル、バレエジャンプ、イーグルからのコンビネーションスピン、のけぞりフィニッシュ!と力を振り絞っていました。
ここ2年は怪我に苦しんできた彼女ですけど、これで復活への手ごたえは掴んだといっていいでしょうね。
ジャンプミスがあったり、終盤へばったりというのもある意味、以前の彼女です。
ルックスが良くて、プログラムの流れと盛り上げ所を作れる好選手なので、女子フィギュアにとっても価値ある存在ですし、復活は本当に嬉しいですよね。
しかし、132.12(65.37・67.75)、合計206.45というハイスコアは理解できません。ジャッジによるご祝儀かホーム採点か知りませんけど、こういう馬鹿馬鹿しい行為がフィギュアの価値を貶めていることに気がつくべきです。

そんなジャッジが作った狂気の世界に安らぎを与えてくれたのは現女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)。 
得意の芝居で『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のフィルムが回り始めると、タノ3F+3Tは降りにステップを踏む余裕、タノ3Lzも軽々(エッジは微妙)、長い脚を天高く突き上げるコンビネーションスピン、新体操選手のような身のこなしから入ったステップでは足元のキレのなさ、スケートの弱さを体全体の使い方と表情の芝居でカバーして、そのままの流れで跳んだ後半3Loもばっちり。長い手足を上手く使えるので演技も映えます。
そこからのジャンプパートは、タノ3F、2A+2T+2Tややたどたどしく、加速してからの3S+3Tもやや堪えて、タノ2Aも詰まり気味。ちょっと疲れたか。
それでも柔軟性満点のスパイラルで流れを引き戻し、キャメルからの美しいコンビネーションスピン、細くピンとしたビールマンでは体にブレなし。
最後は悲しみの電話を取る芝居で天性の女優ぶりを見せつけ、堂々たる内容でした。やはり映画音楽がよく似合います。
技術要素や繋ぎの部分でミスらしいミスがほとんどなく、演技が最初から最後まで切れないのはもちろん、このFSでは動き全体に力強さがあって、欠点である弱々しさもあまり感じられず、昨季からの成長を見せたといっていいでしょう。SPから一段ギアを上げた印象すらありました。体格もややよくなったので、それもパワーに繋がっているのかもしれませんね。
それにしても、常に高いレベルでの安定した演技を披露してくれるのですから、本当に素晴らしい女王です。
この大会などは、絶対的な女王への階段を上りつつあることを証明する輝きに満ちた演技でした。
本当に惚れ惚れします。いやあ、良かった。
FSは144.41(72.85・71.55)、合計220.65。優勝おめでとう!
ジャッジに愛され過ぎて(ルッツも!なのになぜか加点)、スコアは実際の演技に対して高すぎるように思いますけど、メドベージェワはそれを真実に変えることができる選手だと思いますし、私は彼女の成長が楽しみでなりません。
この選手はあまりスコアを気にせずに見ていたいですよね。
…しかし、他の選手がこの女王に立ち向かうのは大変だ!
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