2017世界フィギュア、男子SP(前) 新たな時代
ちょっと前まで4回転は1種類か2種類だった男子フィギュアも、昨季シニアデビューの金博洋と今季デビューのネイサン・チェンによって、過去の限界は取っ払われ、いまはもう複数種類の4回転が乱れ飛ぶ時代となってしまいました。
そして、その4回転は基礎点の高さと加点幅の広さというリターンのかわりに、ミスをすれば減点幅も大きく、そこに思いもかけない逆転劇と悲劇がない交ぜになり、競う側にとってはとてつもないプレッシャーを、観る側にはとてつもない興奮をもたらすこととなったわけです。
この2017世界フィギュア男子シングルは、そんな時代を象徴するような、かつてないスリリングな戦いとなるに違いありません!
そこで我々日本のファンが求めるのは羽生結弦と宇野昌磨のワンツーフィニッシュ。
羽生結弦の王者返り咲きも見たければ、新王者・宇野昌磨も見たい。
しかし、そこに立ちふさがるのは現王者ハビエル・フェルナンデスと四大陸の覇者ネイサン・チェン。
この2人を超えなければてっぺんは見えてきません。
まずはSPを”100.00”を目安に上手く乗り切り、表彰台を射程に収めることが大切です。
そうして有力選手が登場し始める第5グループ(全6)、ミハイル・コリアダ(ロシア)が4T+3T、3A、3Lzという構成をパーフェクトといっていい内容で滑り切っての93.28(TES42.51・PCS42.51)。
演技に流れがありましたし、得意のスピンでも違いを見せていましたね。
このコリアダの好演で火が点いたのか、続く金博洋(中国)も4Lz+3T、3A、4Tという難度の高いジャンプを揃えるノーミスの『スパイダーマン』。
今季はジャンプの調子がいまいちでしたけど、ここにきて修正してきたのは立派。
元気のいい大活劇で、糸撒きポーズもばっちり決めて、98.64(57.65・40.99)はパーソナルベスト!
ベテランらしく世界選手権にしっかり照準を合わせてきたデニス・テン(カザフスタン)も、4T、3Lz+3T、3Aを丁寧に着氷させ、力強さと気品に溢れるステップはボディバランスとエッジの正確さで観る者を圧倒。
終盤のスピンはちょっと疲れましたけど、やっぱり大一番に強いですね。SPは90.18(47.59・42.59)。
世界のフィギュアファンの注目を集める超新星ネイサン・チェン(アメリカ)は姿勢のいい滑りから、4Lz+3Tと4Fを決める衝撃的な滑り出し。ジャンプは両方とも食らいつくような感じでしたけど、降りるだけで凄い。
しかし、後半の苦手な3Aで腹ばいで転倒してしまう大きなミス。
この転倒の影響か、ステップでは入りで足元がふらつき、滑りもやや焦ったようになって、フットワークもいまひとつ。
17歳の若々しい演技は情熱に溢れていたものの、この日はそれが空回りした印象でした。
ただ、スコアは思ったより高めで97.33(55.22・43.11・減点1)。
シーズン後半のPCSの跳ね上がり方を見るに、全米スケート連盟は彼を本気で五輪王者にさせたいのでしょう。
私はネイサンよりもアメリカが怖い…。
そうしていよいよ最終グループ、その先頭が羽生結弦だったことで日本観客で溢れるヘルシンキの会場は早くもヒートアップ。もちろんテレビで観戦していた多くのファンも祈りと期待で早くも『Let's Go Crazy』だったはず。
そんなファンたちの思いを乗せて滑り始めた羽生結弦、冒頭の4Loを完璧に決めて会場を爆発させると、このところミスが続く4Sも決めた!…と思われたものの、軸が後ろに傾き、フリーレッグで踏ん張ってしまうと、ひとつ間を空けての+両手タノ2Tという惜しいミス。
悔しさを燃やしていたであろうキャメルスピンで前半を締めくくると、後半はそれを燃料にしたような弩迫力の3A!
ギターをかき鳴らすシットスピンといい、羽生結弦の魂の叫びがロックと共鳴する!
観客を囃して入ったステップでは力強い踏み込みでグルーヴを作り、ハイドロパフォーマンスで熱狂の渦。
最後のスピンもアドレナリン全開で回ると、観客を昇天させてのフィニッシュ。
世界選手権ということで入れ込み過ぎたのか、それがやや演技を硬くさせていたようにも見えましたけど、全体的にはまずまずの内容でした。4Sは本当にもったいなかった!
SPは98.39(52.04・47.35・減点1)。
+2Tがコンボにカウントされなかったのは仕方ないとして、減点1が謎だったんですけど、”コールから30秒で開始”というルールのタイムオーバーを取られたみたいです。
そんなに遅れていたかなあ…。
ちょっとした”逆風”を感じなくもありませんが、それこそが羽生結弦にとっての燃料であり、大好物です。
今季の羽生結弦は「シーズンのピークを3月に持ってくる作戦」ということですし、FSでは日本の太陽が白夜の国を真っ赤に染めるのを楽しみにしようではありませんか!
(後編に続きます。)

そして、その4回転は基礎点の高さと加点幅の広さというリターンのかわりに、ミスをすれば減点幅も大きく、そこに思いもかけない逆転劇と悲劇がない交ぜになり、競う側にとってはとてつもないプレッシャーを、観る側にはとてつもない興奮をもたらすこととなったわけです。
この2017世界フィギュア男子シングルは、そんな時代を象徴するような、かつてないスリリングな戦いとなるに違いありません!
そこで我々日本のファンが求めるのは羽生結弦と宇野昌磨のワンツーフィニッシュ。
羽生結弦の王者返り咲きも見たければ、新王者・宇野昌磨も見たい。
しかし、そこに立ちふさがるのは現王者ハビエル・フェルナンデスと四大陸の覇者ネイサン・チェン。
この2人を超えなければてっぺんは見えてきません。
まずはSPを”100.00”を目安に上手く乗り切り、表彰台を射程に収めることが大切です。
そうして有力選手が登場し始める第5グループ(全6)、ミハイル・コリアダ(ロシア)が4T+3T、3A、3Lzという構成をパーフェクトといっていい内容で滑り切っての93.28(TES42.51・PCS42.51)。
演技に流れがありましたし、得意のスピンでも違いを見せていましたね。
このコリアダの好演で火が点いたのか、続く金博洋(中国)も4Lz+3T、3A、4Tという難度の高いジャンプを揃えるノーミスの『スパイダーマン』。
今季はジャンプの調子がいまいちでしたけど、ここにきて修正してきたのは立派。
元気のいい大活劇で、糸撒きポーズもばっちり決めて、98.64(57.65・40.99)はパーソナルベスト!
ベテランらしく世界選手権にしっかり照準を合わせてきたデニス・テン(カザフスタン)も、4T、3Lz+3T、3Aを丁寧に着氷させ、力強さと気品に溢れるステップはボディバランスとエッジの正確さで観る者を圧倒。
終盤のスピンはちょっと疲れましたけど、やっぱり大一番に強いですね。SPは90.18(47.59・42.59)。
世界のフィギュアファンの注目を集める超新星ネイサン・チェン(アメリカ)は姿勢のいい滑りから、4Lz+3Tと4Fを決める衝撃的な滑り出し。ジャンプは両方とも食らいつくような感じでしたけど、降りるだけで凄い。
しかし、後半の苦手な3Aで腹ばいで転倒してしまう大きなミス。
この転倒の影響か、ステップでは入りで足元がふらつき、滑りもやや焦ったようになって、フットワークもいまひとつ。
17歳の若々しい演技は情熱に溢れていたものの、この日はそれが空回りした印象でした。
ただ、スコアは思ったより高めで97.33(55.22・43.11・減点1)。
シーズン後半のPCSの跳ね上がり方を見るに、全米スケート連盟は彼を本気で五輪王者にさせたいのでしょう。
私はネイサンよりもアメリカが怖い…。
そうしていよいよ最終グループ、その先頭が羽生結弦だったことで日本観客で溢れるヘルシンキの会場は早くもヒートアップ。もちろんテレビで観戦していた多くのファンも祈りと期待で早くも『Let's Go Crazy』だったはず。
そんなファンたちの思いを乗せて滑り始めた羽生結弦、冒頭の4Loを完璧に決めて会場を爆発させると、このところミスが続く4Sも決めた!…と思われたものの、軸が後ろに傾き、フリーレッグで踏ん張ってしまうと、ひとつ間を空けての+両手タノ2Tという惜しいミス。
悔しさを燃やしていたであろうキャメルスピンで前半を締めくくると、後半はそれを燃料にしたような弩迫力の3A!
ギターをかき鳴らすシットスピンといい、羽生結弦の魂の叫びがロックと共鳴する!
観客を囃して入ったステップでは力強い踏み込みでグルーヴを作り、ハイドロパフォーマンスで熱狂の渦。
最後のスピンもアドレナリン全開で回ると、観客を昇天させてのフィニッシュ。
世界選手権ということで入れ込み過ぎたのか、それがやや演技を硬くさせていたようにも見えましたけど、全体的にはまずまずの内容でした。4Sは本当にもったいなかった!
SPは98.39(52.04・47.35・減点1)。
+2Tがコンボにカウントされなかったのは仕方ないとして、減点1が謎だったんですけど、”コールから30秒で開始”というルールのタイムオーバーを取られたみたいです。
そんなに遅れていたかなあ…。
ちょっとした”逆風”を感じなくもありませんが、それこそが羽生結弦にとっての燃料であり、大好物です。
今季の羽生結弦は「シーズンのピークを3月に持ってくる作戦」ということですし、FSでは日本の太陽が白夜の国を真っ赤に染めるのを楽しみにしようではありませんか!
(後編に続きます。)


スポンサーサイト