政治利用や印象操作よりも、就活セクハラ問題を
元TBSワシントン支局長で16年6月からフリージャーナリストとなっている山口敬之氏に「レイプされ」、準強姦容疑で警察に被害届を出したものの、東京地検から不起訴処分を受けたという女性(詩織28歳との紹介)が、昨日(2017年)5月29日、顔を出しての記者会見を行いました。
「法律や捜査システムの改善につなげたいとの思い」からだそうですけど、なかなかに勇気のある行動です。
しかしながら、この記者会見を報じるメディアはどうだったかというと、テレビ朝日などは「山口敬之氏には安倍晋三総理についての著作があり、総理がとても信頼しているジャーナリストだ」というところに焦点を当て、不起訴処分についても、検察が総理に”忖度”したのではないか、というニュアンスで伝えていました(TBSは元身内のトラブルということで、かなり抑制的)。
その他でいうと、記者会見に先駆けて報じた『週刊新潮』も、山口氏が内閣情報調査室に依頼してトラブルをもみ消した、といった内容でしたしね。
つまり、「法律や捜査システム」について考えるのではなく、安倍政権叩きの材料にしたいということです。
ただ、この女性もメディアに利用されているだけかというと、そうではなく、「国会では共謀罪の審議が優先され、性犯罪の厳罰化を含む刑法改正が先送りされている」と訴えているんです。
これでは共謀罪成立阻止のために性犯罪厳罰化を利用していると思われても仕方ありません。
そもそも共謀罪法案ではなく、組織犯罪処罰法改正案ですしね。
さらにいうと、この女性が被害届を出した準強姦罪は、今国会に提出されている刑法改正案でも、その成立要件にはほぼ変更がありません。
準強姦罪は名称を〈準強制性交等罪〉に改め、被害者・加害者の性別に関係なく処罰すること、性交に準じた行為も処罰すること(性器以外での性交など)、そして非親告罪にすることがその改正案です。
準強制性交等罪になっても、”心神喪失もしくは抗拒不能となった相手を姦淫した場合”という最も重要な要件は変わらないわけです。
罪になるかどうかは、同意を得ないままに前後不覚の相手と性交に及んだかどうかなのです。
それを今回のケースでいうと、女性側の話では、山口氏と飲食している最中に意識を失うほど酩酊し、その後、気がついたらホテルのベッドの上だったというのですから、まさに準強姦ということができるでしょう。
しかし、2人が利用したタクシーの運転手やホテルの従業員の証言、ホテルの防犯カメラの映像などを用いて捜査した検察の判断は、嫌疑不十分の”不起訴”というものでした。
そのときの女性には判断能力があったということなのでしょう。
女性はこれが不満で、今回、検察審査会に不服申し立てをしたというわけです。
しかし、ここで不可解なのは、この不起訴が決まったのが昨年の7月であり、それから1年近く経っての不服申し立てということです。
納得できないのであれば、もっと早く行動を起こしてもいいわけですから、彼女のいう”共謀罪”が審議されている今国会を狙ったと勘ぐられても仕方ありません。
と、ここまでちょっと女性側に厳しく書いちゃいましたけど、もちろん私も性犯罪を憎む者のひとりですし、性犯罪の厳罰化や実情にあった改正には大賛成の立場です。
だからこそ、その政治利用には敏感になってしまうわけです。
女性の言葉や報道によると、今回の発端は2015年当時TBSワシントン支局長だった山口氏に女性がTBSへの就職相談をしたことだそうです(アメリカの支局での仕事)。
ジャーナリストを目指し、アメリカの大学で聴講などをしていた女性は、2013年に山口氏と知り合い、その後2人がメールなどでやりとりをしているなかで、山口氏から、「インターンなら即採用だよ。プロデューサー(有給)でも、詩織ちゃんが本気なら真剣に検討します」(2015年3月25日)などという甘い言葉を送られたこともあって、山口氏が一時帰国したときに東京でお酒を飲んだのでしょう。
こうやって流れと追うと、山口氏が支局長という立場を利用して女性に近づいたようにも見えます。
いわゆる”就活セクハラ”に近いと見ることもできるかもしれません。
最近だとDeNAやトヨタ自動車でこの問題が報じられていますよね。
そのときTBSがどう伝えていたのか私は憶えていませんけど、さすがに肯定はしていないはずです。
今回の女性も性犯罪被害よりも、就活セクハラで山口氏とTBSを責めるべきだったと思います。
その方が「レイプ事件を安倍政権が握りつぶした」という話よりも世間の共感を得られるのではないでしょうか。
むろん、利害が間に挟まった男女関係(同性関係でも)というのは、お互いに”下心”があると疑われるものですけどね…。


※まだ記憶に新しい内柴事件では、柔道家の内柴正人が大学の教え子に無理やり酒を飲ませて酩酊させ、それを負ぶってホテルに戻り、そこで性交に及びました。翌日、その教え子が抗議すると内柴は謝罪し、また周囲にも隠蔽を計ったことから、本人にも”同意なしでの性交”をしたという認識があったのは明らかであり、そのため準強姦罪による実刑判決が下されました。
これを今回のケースと比較すると、だいぶ違いがあるように思います。
「法律や捜査システムの改善につなげたいとの思い」からだそうですけど、なかなかに勇気のある行動です。
しかしながら、この記者会見を報じるメディアはどうだったかというと、テレビ朝日などは「山口敬之氏には安倍晋三総理についての著作があり、総理がとても信頼しているジャーナリストだ」というところに焦点を当て、不起訴処分についても、検察が総理に”忖度”したのではないか、というニュアンスで伝えていました(TBSは元身内のトラブルということで、かなり抑制的)。
その他でいうと、記者会見に先駆けて報じた『週刊新潮』も、山口氏が内閣情報調査室に依頼してトラブルをもみ消した、といった内容でしたしね。
つまり、「法律や捜査システム」について考えるのではなく、安倍政権叩きの材料にしたいということです。
ただ、この女性もメディアに利用されているだけかというと、そうではなく、「国会では共謀罪の審議が優先され、性犯罪の厳罰化を含む刑法改正が先送りされている」と訴えているんです。
これでは共謀罪成立阻止のために性犯罪厳罰化を利用していると思われても仕方ありません。
そもそも共謀罪法案ではなく、組織犯罪処罰法改正案ですしね。
さらにいうと、この女性が被害届を出した準強姦罪は、今国会に提出されている刑法改正案でも、その成立要件にはほぼ変更がありません。
準強姦罪は名称を〈準強制性交等罪〉に改め、被害者・加害者の性別に関係なく処罰すること、性交に準じた行為も処罰すること(性器以外での性交など)、そして非親告罪にすることがその改正案です。
準強制性交等罪になっても、”心神喪失もしくは抗拒不能となった相手を姦淫した場合”という最も重要な要件は変わらないわけです。
罪になるかどうかは、同意を得ないままに前後不覚の相手と性交に及んだかどうかなのです。
それを今回のケースでいうと、女性側の話では、山口氏と飲食している最中に意識を失うほど酩酊し、その後、気がついたらホテルのベッドの上だったというのですから、まさに準強姦ということができるでしょう。
しかし、2人が利用したタクシーの運転手やホテルの従業員の証言、ホテルの防犯カメラの映像などを用いて捜査した検察の判断は、嫌疑不十分の”不起訴”というものでした。
そのときの女性には判断能力があったということなのでしょう。
女性はこれが不満で、今回、検察審査会に不服申し立てをしたというわけです。
しかし、ここで不可解なのは、この不起訴が決まったのが昨年の7月であり、それから1年近く経っての不服申し立てということです。
納得できないのであれば、もっと早く行動を起こしてもいいわけですから、彼女のいう”共謀罪”が審議されている今国会を狙ったと勘ぐられても仕方ありません。
と、ここまでちょっと女性側に厳しく書いちゃいましたけど、もちろん私も性犯罪を憎む者のひとりですし、性犯罪の厳罰化や実情にあった改正には大賛成の立場です。
だからこそ、その政治利用には敏感になってしまうわけです。
女性の言葉や報道によると、今回の発端は2015年当時TBSワシントン支局長だった山口氏に女性がTBSへの就職相談をしたことだそうです(アメリカの支局での仕事)。
ジャーナリストを目指し、アメリカの大学で聴講などをしていた女性は、2013年に山口氏と知り合い、その後2人がメールなどでやりとりをしているなかで、山口氏から、「インターンなら即採用だよ。プロデューサー(有給)でも、詩織ちゃんが本気なら真剣に検討します」(2015年3月25日)などという甘い言葉を送られたこともあって、山口氏が一時帰国したときに東京でお酒を飲んだのでしょう。
こうやって流れと追うと、山口氏が支局長という立場を利用して女性に近づいたようにも見えます。
いわゆる”就活セクハラ”に近いと見ることもできるかもしれません。
最近だとDeNAやトヨタ自動車でこの問題が報じられていますよね。
そのときTBSがどう伝えていたのか私は憶えていませんけど、さすがに肯定はしていないはずです。
今回の女性も性犯罪被害よりも、就活セクハラで山口氏とTBSを責めるべきだったと思います。
その方が「レイプ事件を安倍政権が握りつぶした」という話よりも世間の共感を得られるのではないでしょうか。
むろん、利害が間に挟まった男女関係(同性関係でも)というのは、お互いに”下心”があると疑われるものですけどね…。


※まだ記憶に新しい内柴事件では、柔道家の内柴正人が大学の教え子に無理やり酒を飲ませて酩酊させ、それを負ぶってホテルに戻り、そこで性交に及びました。翌日、その教え子が抗議すると内柴は謝罪し、また周囲にも隠蔽を計ったことから、本人にも”同意なしでの性交”をしたという認識があったのは明らかであり、そのため準強姦罪による実刑判決が下されました。
これを今回のケースと比較すると、だいぶ違いがあるように思います。
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