2017GPSアメリカ大会・女子シングル(後) 真の復活はまだ先
(続きです。)
2週間前のNHK杯ではジャンプに勢いがなく、回転不足も目立って5位(191.80)に終わった怪我明けの日本女王・宮原知子。
常識的に考えれば、わずかな期間で調子を上げるのは難しいわけですが、このアメリカ大会のSPでも3Lz+3Tが回転微妙なステップアウト、後半3Loも回転が微妙な着氷となり、ジャンプはNHK杯のときとさほど変わりません。2Aも躊躇うような助走になっていました。
ただ、演技全体ではよく気持ちが入っていて、自分のやることやれることに集中しているのがよくわかり、スピンは相変わらずの高品質、ステップシークエンスも細かい動きを散りばめて技巧的にも表現的にも素晴らしいものがありました。
もっとも、フィギュアの採点はジャンプが占める部分が大きいので、そこがしっかり決まらないと厳しいですけど…。
なんて思っていたらSPは70.72(TES36.77・PCS33.95)!
微妙に見えた回転もアンダーローテ(UR)が付いておらず基礎点はそのままでした。フィギュアの判定には”幅”がありますから助かりましたね。
また、他の有力選手がスコアを伸ばせなかったことでSPは1位となり、FSの出来いかんでは復活優勝も見えてきました。
そのFSの最終滑走で登場した宮原さんは衣装もメイクも髪型もばっちりな『蝶々夫人』。
出だしは力強いスケーティングからの3Lo、これはやや回転が微妙か、続いては難所の3Lz+3Tでしたけど、これもやや微妙な回転。3Fもタイミングが合わずにややヒヤッとする着氷。
紙一重のジャンプばかりで緊張感のある序盤でした…。
そこからはコンパクトなキャメルスピン、代名詞の両回転スピンで会場を沸かせ、ステップでは強化されたフットワークとターンのキレ、表情とマイムもしっかりしていて物語性も抜群。
そこから曲調がしっとりと落ち着き、勝負の後半は3Lz2T+タノ2Lo(ルッツの回転が微妙)、2A+3Tはよし、ウォーレイを挟んでの3Sは気迫の飛翔!
宮原さんの強みともいえる終盤も持ち前のスタミナは十分で、情熱が乗り移ったコレオ、2Aもしっかり跳んで、音楽と同調しながらの完璧なレイバックスピンでフィニッシュ!ブラヴォ!
大きなミスなく演技をまとめ、本人も満足そうな表情でした。
いやあ、よくここまで仕上げてきました。私もちょっと身震いしました。女王の意地と五輪にかける執念を見ました。
ただ、課題のジャンプが十分に回転していたかどうかは微妙なところで、残念ながら昨季の状態まではあと一歩というのが本当のところだと思うんです。
そして、出てきたスコアはFSは143.41(72.23・71.08)、合計214.03。
私は宮原さんのファンなので復活優勝は嬉しいといえば嬉しいんですけど、このスコアには戸惑いがありました。
回転が微妙なジャンプが3~4ヶ所あったと思うので、スコアがこれより10点近く低くても私は驚きません(※テレビ解説の織田信成さんも2ヶ所ほどは回転不足を断言していました)。
SPもそうでしたけど、なぜ唐突にこのような甘い採点がきたのか色々と勘ぐってしまいます。
宮原さんが優勝したことによって、名古屋でのGPFに樋口新葉さんの進出が決定したのも出来過ぎた話ですしね。
日本のスポーツメディアはこの結果を受けて、「宮原知子、完全復活」だの「帰ってきたミス・パーフェクト」だのと書いていましたけど、これは逆に宮原さんに失礼ってものです。このアメリカ大会が”いいときの宮原知子”のはずがありません。
厳しいいい方をすれば、今回の優勝はジャッジに助けられたものです。GPSでの標準的な判定ならば、いくつもの回転不足を取られ、スコアは伸び悩んだことでしょう。
いまの宮原さんはミス・パーフェクトどころか、ジャッジの匙加減ひとつで順位が変動する不安定な選手に過ぎません。
もっとも、これまで何度もジャッジに泣かされてきた宮原さんはそんなことは百も承知でしょう。今回の甘い採点が続くなど露ほども期待していないはずです。
彼女の克己心や高潔さというのは、ジャッジ(ISU)や日本スケート連盟に頼らないことで磨かれてきたものです。
いまの宮原さんは全日本までに状態をもう一段階上げ、本当のミス・パーフェクトになることしか考えていないはずです。
女王復活への賛辞はそのときまでとっておきましょう!

2週間前のNHK杯ではジャンプに勢いがなく、回転不足も目立って5位(191.80)に終わった怪我明けの日本女王・宮原知子。
常識的に考えれば、わずかな期間で調子を上げるのは難しいわけですが、このアメリカ大会のSPでも3Lz+3Tが回転微妙なステップアウト、後半3Loも回転が微妙な着氷となり、ジャンプはNHK杯のときとさほど変わりません。2Aも躊躇うような助走になっていました。
ただ、演技全体ではよく気持ちが入っていて、自分のやることやれることに集中しているのがよくわかり、スピンは相変わらずの高品質、ステップシークエンスも細かい動きを散りばめて技巧的にも表現的にも素晴らしいものがありました。
もっとも、フィギュアの採点はジャンプが占める部分が大きいので、そこがしっかり決まらないと厳しいですけど…。
なんて思っていたらSPは70.72(TES36.77・PCS33.95)!
微妙に見えた回転もアンダーローテ(UR)が付いておらず基礎点はそのままでした。フィギュアの判定には”幅”がありますから助かりましたね。
また、他の有力選手がスコアを伸ばせなかったことでSPは1位となり、FSの出来いかんでは復活優勝も見えてきました。
そのFSの最終滑走で登場した宮原さんは衣装もメイクも髪型もばっちりな『蝶々夫人』。
出だしは力強いスケーティングからの3Lo、これはやや回転が微妙か、続いては難所の3Lz+3Tでしたけど、これもやや微妙な回転。3Fもタイミングが合わずにややヒヤッとする着氷。
紙一重のジャンプばかりで緊張感のある序盤でした…。
そこからはコンパクトなキャメルスピン、代名詞の両回転スピンで会場を沸かせ、ステップでは強化されたフットワークとターンのキレ、表情とマイムもしっかりしていて物語性も抜群。
そこから曲調がしっとりと落ち着き、勝負の後半は3Lz2T+タノ2Lo(ルッツの回転が微妙)、2A+3Tはよし、ウォーレイを挟んでの3Sは気迫の飛翔!
宮原さんの強みともいえる終盤も持ち前のスタミナは十分で、情熱が乗り移ったコレオ、2Aもしっかり跳んで、音楽と同調しながらの完璧なレイバックスピンでフィニッシュ!ブラヴォ!
大きなミスなく演技をまとめ、本人も満足そうな表情でした。
いやあ、よくここまで仕上げてきました。私もちょっと身震いしました。女王の意地と五輪にかける執念を見ました。
ただ、課題のジャンプが十分に回転していたかどうかは微妙なところで、残念ながら昨季の状態まではあと一歩というのが本当のところだと思うんです。
そして、出てきたスコアはFSは143.41(72.23・71.08)、合計214.03。
私は宮原さんのファンなので復活優勝は嬉しいといえば嬉しいんですけど、このスコアには戸惑いがありました。
回転が微妙なジャンプが3~4ヶ所あったと思うので、スコアがこれより10点近く低くても私は驚きません(※テレビ解説の織田信成さんも2ヶ所ほどは回転不足を断言していました)。
SPもそうでしたけど、なぜ唐突にこのような甘い採点がきたのか色々と勘ぐってしまいます。
宮原さんが優勝したことによって、名古屋でのGPFに樋口新葉さんの進出が決定したのも出来過ぎた話ですしね。
日本のスポーツメディアはこの結果を受けて、「宮原知子、完全復活」だの「帰ってきたミス・パーフェクト」だのと書いていましたけど、これは逆に宮原さんに失礼ってものです。このアメリカ大会が”いいときの宮原知子”のはずがありません。
厳しいいい方をすれば、今回の優勝はジャッジに助けられたものです。GPSでの標準的な判定ならば、いくつもの回転不足を取られ、スコアは伸び悩んだことでしょう。
いまの宮原さんはミス・パーフェクトどころか、ジャッジの匙加減ひとつで順位が変動する不安定な選手に過ぎません。
もっとも、これまで何度もジャッジに泣かされてきた宮原さんはそんなことは百も承知でしょう。今回の甘い採点が続くなど露ほども期待していないはずです。
彼女の克己心や高潔さというのは、ジャッジ(ISU)や日本スケート連盟に頼らないことで磨かれてきたものです。
いまの宮原さんは全日本までに状態をもう一段階上げ、本当のミス・パーフェクトになることしか考えていないはずです。
女王復活への賛辞はそのときまでとっておきましょう!


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