NHKがぶっ壊される前に
〈NHKから国民を守る党〉の存在が世に知られるようになったのは、代表である立花孝志氏が2015年に船橋市議会議員に当選し、翌16年に立候補した東京都知事選挙の政見放送で、「NHKをぶっ壊す!」と連呼した頃からだと思います。
NHKが放送する政見放送でそれを「ぶっ壊す!」ですから、なかなかシュールでした。
ちなみに、この立花氏は元NHK職員で、不正経理を内部告発したことが遠因となって退職に追い込まれたということになっています(本人談)。
そういう経歴ですから、おそらく私怨もあって「NHKをぶっ壊す!」になっているんでしょうね。
そんな〈NHKから国民を守る党〉は、立花氏がひとりで立ち上げたワンイシュー政党であり、船橋市議当選もなにかの偶然かと思われましたし(氏は大阪府出身)、東京都知事選挙に立候補するにあたって市議を辞職した上に知事選も落選したことで、フェイドアウトするのが普通です。
ところが立花氏はそれ以降も精力的に活動し、今年2019年4月の統一地方選挙では首都圏と関西都市圏で47人を擁立すると、26人を当選させたんです。信じられないほどの成果です。
党の資金源は立花氏の「YouTubeだけ」とのことですし、まさにワンマン政党ですが、そのワンマンにエネルギーとカリスマがあれば、世の中が変わるということでしょうか。
これで勢いに乗ったN国党は、この7月の参議院選挙で比例98万7885票を獲得して1人の当選者(立花氏)を出すと同時に選挙区での得票率2パーセントをクリアして”政党要件”も獲得しちゃいました。
これで政党交付金ももらえますし、討論番組や討論会にも呼ばれることになりますから、党勢が拡大する可能性もあるかもしれません。
それにしても、「NHKをぶっ壊す!」だけでこんなことが起きるなんて、NHKはどれだけ国民に嫌われているんでしょう。
よくいわれる理由は、”受信料が高い””予算が多すぎる””無駄な番組が多い””職員の給料が高い””職員の不祥事が多い””報道が偏向している”などなどですけど、おそらく多くの国民が感じていることなのだと思います。
しかもそれが改善される気配すらなく、ワンセグやインターネットからも受信料を取ろうと画策しているのですから、余計に国民から嫌われるというものです。
NHKの予算は国会で審議されることになっていますが、一生懸命な議員もおらず、ほぼ素通りという状況のなか、国民が無力感と憤りを感じていたところに、N国党という救世主が現れたというわけです。
私は”NHKをぶっ壊せ”とまでは思いませんが、NHKが肥大化しすぎているとは感じています。
予算規模が7000億、職員数が1万人以上というのは、民放キー局の3倍以上です。
組織の規模でいうと、官庁(行政機関)に近いくらいなんです。
NHKは「政府からの独立性」を免罪符にしていますが、国民からの監視と管理が必要なのは間違いありません。
では、なぜこんなにNHKが肥大化したのか?
30年前の1989年に4000億円だった予算は、2019年には7000億に膨らんでいます。
これは受信料収入が増えたからですけど、地上波の月額は1989年が1030円で(90年は1320円)、2019年は1260円ですから、そんなに上がっていないんです。
不思議ですよね?
このカラクリは89年から始まった衛星放送です。
この受信料は別途2000円1000円ほどかかり、地上波契約しているひとの9割がこの衛星放送にも加入しているので、その分がそっくりそのまま予算拡大に繋がっているわけです。
(※地上波の受信料も衛星放送の受信料も、消費増税の度に上昇。)
ただ、契約者のみなさんに聞きたいんですけど、NHKの衛星放送ってそんなに観ています?
各種調査を見ても、地上波の半分の視聴率もないのですから、そんなものに高額な受信料を支払うなんて、かなりおかしな感じがします。
それなら衛星放送の契約をしなければいい、といいたいところなんですけど、スカパーやWOWOWといった民間の衛星放送が観たくて屋根やベランダにアンテナを設置すると、NHKの集金人がかっ飛んできて「BSの分も払え!」と迫ってくるのですから、渋々支払っているひとも多いんじゃないでしょうか。
NHKの衛星放送は、メジャーリーグ中継を筆頭に極めて視聴率の低い番組も多いですし、月額合計2200円以上も支払っている契約者はもっと怒るべきです。
そもそも、NHKは収入(受信料)と支出(予算)がほぼ同額ですけど、これが間違っているんです。
日本にとって、日本国民にとって、どのくらいの規模の公共放送が必要なのか、という観点から予算を考えるべきです。
入ってきたお金を使い切るという仕組み自体が異常としかいいようがありません。
実をいうと、NHKの予算は89年の衛生放送導入前からずっと右肩上がりで、その10年前の1979年には2100億ほどだったものが89年には4000億となり、ほぼ倍増しています。
ただし、その間、受信料は月710円→1030円しか上がっていません。
では、どうやって予算がこんなのにも増えたのか?
その理由は”世帯数の増加”です。
みなさんご承知のように、NHKは”世帯ごと”に受信料を取りますが、戦後の日本の世帯数が核家族化によってどんどん増えるのに合わせ、NHKの予算も上昇していったんです。
たとえば、記念すべきカラー契約が始まったのが1968年で(記念すべき人口1億人突破もこの年)、そのときの世帯数が2700万強。NHKのカラー受信料が月465円。
80年の世帯数が3600万弱で受信料が880円。
90年の世帯数は4000万で受信料が1320円。
世帯数増と受信料増の二重取りがNHK肥大化のカラクリといっていいでしょう。
取れるだけ取って、いらない番組を作るというのがNHKの歴史というわけです。
いうまでもなく、”公共放送として必要な事業規模はどのくらいなのか?”、というところから予算を組むべきです。
それが出来て初めてNHKは国民のための放送局になれるんです。
ぶっ壊される前に解体的出直しをせねばなりません。


(追記;BS受信料の金額が間違ったので訂正しました。)
NHKが放送する政見放送でそれを「ぶっ壊す!」ですから、なかなかシュールでした。
ちなみに、この立花氏は元NHK職員で、不正経理を内部告発したことが遠因となって退職に追い込まれたということになっています(本人談)。
そういう経歴ですから、おそらく私怨もあって「NHKをぶっ壊す!」になっているんでしょうね。
そんな〈NHKから国民を守る党〉は、立花氏がひとりで立ち上げたワンイシュー政党であり、船橋市議当選もなにかの偶然かと思われましたし(氏は大阪府出身)、東京都知事選挙に立候補するにあたって市議を辞職した上に知事選も落選したことで、フェイドアウトするのが普通です。
ところが立花氏はそれ以降も精力的に活動し、今年2019年4月の統一地方選挙では首都圏と関西都市圏で47人を擁立すると、26人を当選させたんです。信じられないほどの成果です。
党の資金源は立花氏の「YouTubeだけ」とのことですし、まさにワンマン政党ですが、そのワンマンにエネルギーとカリスマがあれば、世の中が変わるということでしょうか。
これで勢いに乗ったN国党は、この7月の参議院選挙で比例98万7885票を獲得して1人の当選者(立花氏)を出すと同時に選挙区での得票率2パーセントをクリアして”政党要件”も獲得しちゃいました。
これで政党交付金ももらえますし、討論番組や討論会にも呼ばれることになりますから、党勢が拡大する可能性もあるかもしれません。
それにしても、「NHKをぶっ壊す!」だけでこんなことが起きるなんて、NHKはどれだけ国民に嫌われているんでしょう。
よくいわれる理由は、”受信料が高い””予算が多すぎる””無駄な番組が多い””職員の給料が高い””職員の不祥事が多い””報道が偏向している”などなどですけど、おそらく多くの国民が感じていることなのだと思います。
しかもそれが改善される気配すらなく、ワンセグやインターネットからも受信料を取ろうと画策しているのですから、余計に国民から嫌われるというものです。
NHKの予算は国会で審議されることになっていますが、一生懸命な議員もおらず、ほぼ素通りという状況のなか、国民が無力感と憤りを感じていたところに、N国党という救世主が現れたというわけです。
私は”NHKをぶっ壊せ”とまでは思いませんが、NHKが肥大化しすぎているとは感じています。
予算規模が7000億、職員数が1万人以上というのは、民放キー局の3倍以上です。
組織の規模でいうと、官庁(行政機関)に近いくらいなんです。
NHKは「政府からの独立性」を免罪符にしていますが、国民からの監視と管理が必要なのは間違いありません。
では、なぜこんなにNHKが肥大化したのか?
30年前の1989年に4000億円だった予算は、2019年には7000億に膨らんでいます。
これは受信料収入が増えたからですけど、地上波の月額は1989年が1030円で(90年は1320円)、2019年は1260円ですから、そんなに上がっていないんです。
不思議ですよね?
このカラクリは89年から始まった衛星放送です。
この受信料は別途
(※地上波の受信料も衛星放送の受信料も、消費増税の度に上昇。)
ただ、契約者のみなさんに聞きたいんですけど、NHKの衛星放送ってそんなに観ています?
各種調査を見ても、地上波の半分の視聴率もないのですから、そんなものに高額な受信料を支払うなんて、かなりおかしな感じがします。
それなら衛星放送の契約をしなければいい、といいたいところなんですけど、スカパーやWOWOWといった民間の衛星放送が観たくて屋根やベランダにアンテナを設置すると、NHKの集金人がかっ飛んできて「BSの分も払え!」と迫ってくるのですから、渋々支払っているひとも多いんじゃないでしょうか。
NHKの衛星放送は、メジャーリーグ中継を筆頭に極めて視聴率の低い番組も多いですし、月額合計2200円以上も支払っている契約者はもっと怒るべきです。
そもそも、NHKは収入(受信料)と支出(予算)がほぼ同額ですけど、これが間違っているんです。
日本にとって、日本国民にとって、どのくらいの規模の公共放送が必要なのか、という観点から予算を考えるべきです。
入ってきたお金を使い切るという仕組み自体が異常としかいいようがありません。
実をいうと、NHKの予算は89年の衛生放送導入前からずっと右肩上がりで、その10年前の1979年には2100億ほどだったものが89年には4000億となり、ほぼ倍増しています。
ただし、その間、受信料は月710円→1030円しか上がっていません。
では、どうやって予算がこんなのにも増えたのか?
その理由は”世帯数の増加”です。
みなさんご承知のように、NHKは”世帯ごと”に受信料を取りますが、戦後の日本の世帯数が核家族化によってどんどん増えるのに合わせ、NHKの予算も上昇していったんです。
たとえば、記念すべきカラー契約が始まったのが1968年で(記念すべき人口1億人突破もこの年)、そのときの世帯数が2700万強。NHKのカラー受信料が月465円。
80年の世帯数が3600万弱で受信料が880円。
90年の世帯数は4000万で受信料が1320円。
世帯数増と受信料増の二重取りがNHK肥大化のカラクリといっていいでしょう。
取れるだけ取って、いらない番組を作るというのがNHKの歴史というわけです。
いうまでもなく、”公共放送として必要な事業規模はどのくらいなのか?”、というところから予算を組むべきです。
それが出来て初めてNHKは国民のための放送局になれるんです。
ぶっ壊される前に解体的出直しをせねばなりません。


(追記;BS受信料の金額が間違ったので訂正しました。)
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