香港デモと蟻の一穴
中国本土への容疑者引き渡しを可能にする『逃亡犯条例』改正案に危機感を抱いた香港市民がデモを開始したのが、今年2019年の3月31日。
立法会での採択が迫った6月からはその規模が100万人単位となり、今日8月30日現在もデモが繰り返されています(※メディアでは6月9日をデモのスタートとしているところが多いようです)。
香港のデモといえば、香港のトップである行政長官の”普通選挙”を求めた14年の雨傘運動が有名ですが、そのときは11週間ほどで終了してしまいましたから、今回の香港市民は粘り強く戦っているといっていいでしょう。
前回はデモ側の内部対立などもあってフェイドアウトしてしまいましたが、今回は”ここで折れてしまえば、中国共産党によって、香港の自由は完全に奪われてしまう”という危機感があるようです。
明日8月31日~9月1日には最後の戦いとでもいえる大規模デモが計画されているそうですし、世界の目が香港に注がれることは間違いありません。
むろん、中国共産党政府もそれを見過ごすわけはなく、「香港駐屯部隊の交代」を名目に、人民解放軍の増強がすでに終わっていますから(5000人→8000人→1万人)、”第二の天安門事件”を危惧する声も挙がっています。
しかし、世界の目は、それを監視し、抑止する力になるはずです。
いまは89年とは違い、世界がネットで繋がれているんです。
香港市民がスマホで撮ってアップした動画は、すぐに拡散されます。
中共がいくら情報統制しようとしても、完全に遮断することはできないんです。
世界のひとびとに香港市民が届ける情報を直視しようとする意志があれば、それが武力介入を抑止する力になるはずです。
それにしても、今回はデモ隊同様、中国共産党政府の粘り強さもかなりのものです。
14年は普通選挙を求めるデモを叩きつぶしたわけですが、これはないものねだりを却下したのですから、断固たる姿勢を貫いたのも頷けます。
しかし、今回は〈逃亡犯条例改正〉という、なかったものをあるようにしようという横暴ぶりですから、中共の方が意地になっているともいえます。
デモが100万人単位になり、中共には世界からも批判の目を向けられているのですから、改正案を取り下げたって、マイナスはないはずなんです。ないものがないままなんですから。
ところが、中共政府は方針を変えようとしません。
ロイターが伝えたところによると(8月30日)、香港のキャリー・ラム行政長官が取り下げを提案したのに、中共はこれを拒否し、逆に長官に対して、デモ側のいかなる要求にも応じないよう厳命したといいます。
なぜ中国共産党政府はこんなにも頑ななのでしょう?
専門家の分析をいくつか見てみると、改正案の取り下げ=デモ側の勝利ということになってしまえば、それが成功体験となり、色んなデモに波及するのを恐れているというのです。
普通選挙を求めるデモ、さらには独立を求めるデモに繋がってしまえば、”ワン・チャイナ”が崩壊しかねないというわけです。
なるほど、の一言ですね。
しかし、力による解決もまた、ワン・チャイナの失敗を意味しかねません。
有無をいわさず抑え込めば、必ず反発が生まれます。
ちなみに、香港と同じく一国二制度が敷かれているマカオは親中で、デモもほとんど見られませんでしたが、この19日にマカオ市民による香港デモを支援する集会が計画されていたんです。
ところが、その拡大を恐れたマカオ政府(中共の傀儡)が集会の許可を出さず、さらにリーダー格の7人を拘束するという荒業に打って出ました。
親中のはずのマカオ市民たちも、自分たちに自由がないということに気づき始めれば、香港のようになってゆくかもしれません。
そして、中共が一国二制度という甘言を弄して併合を企んでいるのが”台湾”です。
経済重視の親中派も存在する台湾ですが、香港デモを見て、世論は反中にシフトしているようです。
香港のデモが成功するかどうかわかりませんが、蟻の一穴になる可能性は十分あります。
中国大陸の歴史を変えたのは、常に蟻のような小さき人民たちなのです。
ちなみに、現代の中国には〈蟻族〉といって、大学入学枠拡大によって大量に生まれた地方出身の大卒者で、競争の激しさから望んだ職に就けず、都会に残るためだけに低所得に甘んじている不満層が200万人もいるとのことです。
中国には居住の自由がないため、就職していないと都市戸籍が交付されませんから、どんな仕事でも我慢しているわけです。
農村に戻ればより貧しい生活が待っているのでしょう。
そういうひとたちがデモを起こしたとき、中国が本当に変わるような気がします。

立法会での採択が迫った6月からはその規模が100万人単位となり、今日8月30日現在もデモが繰り返されています(※メディアでは6月9日をデモのスタートとしているところが多いようです)。
香港のデモといえば、香港のトップである行政長官の”普通選挙”を求めた14年の雨傘運動が有名ですが、そのときは11週間ほどで終了してしまいましたから、今回の香港市民は粘り強く戦っているといっていいでしょう。
前回はデモ側の内部対立などもあってフェイドアウトしてしまいましたが、今回は”ここで折れてしまえば、中国共産党によって、香港の自由は完全に奪われてしまう”という危機感があるようです。
明日8月31日~9月1日には最後の戦いとでもいえる大規模デモが計画されているそうですし、世界の目が香港に注がれることは間違いありません。
むろん、中国共産党政府もそれを見過ごすわけはなく、「香港駐屯部隊の交代」を名目に、人民解放軍の増強がすでに終わっていますから(5000人→8000人→1万人)、”第二の天安門事件”を危惧する声も挙がっています。
しかし、世界の目は、それを監視し、抑止する力になるはずです。
いまは89年とは違い、世界がネットで繋がれているんです。
香港市民がスマホで撮ってアップした動画は、すぐに拡散されます。
中共がいくら情報統制しようとしても、完全に遮断することはできないんです。
世界のひとびとに香港市民が届ける情報を直視しようとする意志があれば、それが武力介入を抑止する力になるはずです。
それにしても、今回はデモ隊同様、中国共産党政府の粘り強さもかなりのものです。
14年は普通選挙を求めるデモを叩きつぶしたわけですが、これはないものねだりを却下したのですから、断固たる姿勢を貫いたのも頷けます。
しかし、今回は〈逃亡犯条例改正〉という、なかったものをあるようにしようという横暴ぶりですから、中共の方が意地になっているともいえます。
デモが100万人単位になり、中共には世界からも批判の目を向けられているのですから、改正案を取り下げたって、マイナスはないはずなんです。ないものがないままなんですから。
ところが、中共政府は方針を変えようとしません。
ロイターが伝えたところによると(8月30日)、香港のキャリー・ラム行政長官が取り下げを提案したのに、中共はこれを拒否し、逆に長官に対して、デモ側のいかなる要求にも応じないよう厳命したといいます。
なぜ中国共産党政府はこんなにも頑ななのでしょう?
専門家の分析をいくつか見てみると、改正案の取り下げ=デモ側の勝利ということになってしまえば、それが成功体験となり、色んなデモに波及するのを恐れているというのです。
普通選挙を求めるデモ、さらには独立を求めるデモに繋がってしまえば、”ワン・チャイナ”が崩壊しかねないというわけです。
なるほど、の一言ですね。
しかし、力による解決もまた、ワン・チャイナの失敗を意味しかねません。
有無をいわさず抑え込めば、必ず反発が生まれます。
ちなみに、香港と同じく一国二制度が敷かれているマカオは親中で、デモもほとんど見られませんでしたが、この19日にマカオ市民による香港デモを支援する集会が計画されていたんです。
ところが、その拡大を恐れたマカオ政府(中共の傀儡)が集会の許可を出さず、さらにリーダー格の7人を拘束するという荒業に打って出ました。
親中のはずのマカオ市民たちも、自分たちに自由がないということに気づき始めれば、香港のようになってゆくかもしれません。
そして、中共が一国二制度という甘言を弄して併合を企んでいるのが”台湾”です。
経済重視の親中派も存在する台湾ですが、香港デモを見て、世論は反中にシフトしているようです。
香港のデモが成功するかどうかわかりませんが、蟻の一穴になる可能性は十分あります。
中国大陸の歴史を変えたのは、常に蟻のような小さき人民たちなのです。
ちなみに、現代の中国には〈蟻族〉といって、大学入学枠拡大によって大量に生まれた地方出身の大卒者で、競争の激しさから望んだ職に就けず、都会に残るためだけに低所得に甘んじている不満層が200万人もいるとのことです。
中国には居住の自由がないため、就職していないと都市戸籍が交付されませんから、どんな仕事でも我慢しているわけです。
農村に戻ればより貧しい生活が待っているのでしょう。
そういうひとたちがデモを起こしたとき、中国が本当に変わるような気がします。


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