fc2ブログ

全柔連はパワハラと徹底的に戦うべき

「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」とか「巨人軍は常に紳士たれ」とかレアル・マドリのフェアプレイとスポーツマンシップの象徴である白いユニフォームとか、スポーツは往々にしてその精神性をアピールしてくるわけですけど、そういうモットーを掲げるのは、つまりはそれがなかなか出来ないからです。
これの一番わかりやすい例は、「人間教育」を重視するといって柔術から進化した柔道でしょう。
武士の世が終わっても残る尚武の風潮と荒くれどもの存在をどうにか制御するために嘉納治五郎がひねり出した崇高なる虚構としか思えません。
なにしろ、柔道が出来て140年にもなろうというのに、その現場から暴力やハラスメントがなくならないのですからね。

この2月26日(2021年)に全日本柔道連盟の山下泰裕会長が記者会見を開いて説明したパワハラ疑惑とそれの隠蔽疑惑も、世間一般の受け止めは「またか」という呆れたものだったはずです。
過去に問題が起きる度に内部で議論し、再発防止の仕組みを作ってきたというのに根本は変わらないのでしょうか?
柔道や柔道家の精神性はやはり健全化しないんでしょうか?
本質的には暴力と抑圧を肯定するものなのでしょうか?

…なんて私もがっかりしていたんですけど、報道をよく見ると、そのパワハラ疑惑をかけられている前事務局長・吉田行宏氏は柔道畑のひとではなく、銀行や証券会社や政府系ファンドでの経験がある会計の専門家とのことです。
新事務局長も企業系経営者なので、公益法人制度改革後(平成20年)の全柔連が公益財団法人であることを維持するために外部から仕事のできる人材を招聘しているのかもしれませんね。事務局は全柔連の運営を実質的に行っている部署のようです。

そしてその吉田前事務局長のパワハラ行為がなぜ”疑惑”のままかといいますと、コンプライアンス委員会による調査が終わり、当事者へのヒアリングを行おうとしたところ、吉田氏と連絡がつかなくなり、さらには辞表を提出して全柔連を去ってしまったというのです。
全柔連の規定では「本人に弁明の機会が与えられたあとにに処分を下す」ことになっているそうで、それが出来ないまま吉田氏が辞めてしまったために”疑惑”のままになっているというのが山下会長からの説明でした。
まあ筋は通っている、かな…。
ただ、吉田氏の退職は1月27日とのことですから、それから記者会見が行われるまで1ヶ月もかかっていて、それもメディアで報じられるのを受けてのものですから(自ら発表するつもりはなかった模様)、”隠蔽”というそしりは免れないかもしれません。
なにより、当人の退職を理由に”疑惑”のままで放置するというのもモヤモヤしたものが残ってしまいます。ここでは”引き分け”はいらないはずです。

もっとも、今回このパワハラ疑惑が表に出てきたのも、全柔連が過去の経験を生かして設置した内部通報窓口が機能したためですから、騒動はむしろ誇るべきです。
山下会長は「自分の責任が大きい」といって引責辞任を仄めかしていましたけど、そこまでする必要はないと思います。
それよりも、パワハラは名誉棄損罪や侮辱罪、脅迫罪や暴行罪で訴えることもできるわけですから、全柔連から離れたとはいえ吉田氏のしたことを明らかにするべきです。
裁判所に受理されなくても、有罪に持ち込めなくても、あらゆる方法でとことん戦って、”柔道界はパワハラを絶対に許さない”という姿勢を示すこと。
それが未来に繋がる行動です。
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト



プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード