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スケートカナダ2021、衝撃のワリエワ!

先週のスケートアメリカで数年ぶりの敗北(3位)を喫し、不安が残る五輪シーズン開幕となったネイサン・チェンですが、このスケートカナダではノーミスのSP106.72で五月蠅いアメリカメディアを黙らせます。
そしてFSではジャンプ構成を落として4回転はサルコウとフリップとトウループだけにしたのが奏功した結果、大きなミスなくまとまって200.46、トータルでも307.18まで伸ばしての優勝。強さを見せつけました。
ただ、ジャンプのタイミングはばらついていて、いいときのバランスとはほど遠いものでしたから、調子はあまりよくないという印象です。
股関節を少し痛めているとの情報もありますが、五輪では出来るだけベストな状態で羽生結弦と戦って欲しいですから、回復を祈っています。

男子シングルの日本勢は山本草太が225.74で7位、田中刑事は222.20で10位でした。
なんとも書いたらいいかわからない内容と結果でしたが、ジャージの胸に張られている日の丸をいま一度よく見つめ直し、次は頑張って欲しいものです。

そんな男子に比べ、女子たちはそれぞれに得るものがあった大会でした。
まず河辺愛菜はSPで混乱したかのようなミス連発で53.30(PCS29.29)に沈むも、FSでは冒頭から3A、3Lz+3Tと着氷すると、残りのジャンプも目立ったミスなく揃えてゆき、パーソナルベストの133.22(PCS62.91)、トータル186.52の9位と巻き返しました。
課題の回転不足はアンダーローテは取られなかったものの、q(4分の1足りない)が3ヶ所だった上にGOE(出来栄え加点)も低いので、そこを改善してゆけばまだまだ点数は伸びると思います。

樋口新葉もSPでジャンプのqや!(微妙エッジ)があって69.41(PCS32.97)という不満が残る評価から、FSでは3Aを国際大会初成功させ、後半頭が2Lzになってしまった他のジャンプはまずまず揃え、本人も「自信に繋がった」とのことでした。
FSは135.86(PCS67.71)、トータル205.27で6位。
こうなると今後はSPへの3A導入でしょうけど、悲願の五輪出場権獲得のために安全策を取るのか、攻めてゆくのか、難しい選択になるでしょうね。

一昨年の体調不良から昨年復帰した三原麻依ですが、コンディションも徐々に上向いているのか今季は体つきも少ししっかりしてきました。
SPでは3Lz+3Tの回転にqがついて67.89(PCS31.36)に留まるも、FSでは”クリーンシート”という感じの演技でPBの142.12(PCS65.29)、トータルもPBで210.01!
初の210点台に三原さんも大喜び!やったね!
三原さんらしい儚さと透明感に満ちた『Fairy of the Forest』もいいプログラムですし、今季の彼女はなにかやってくれそうな期待感に溢れています。
ただ、ここで気になるのはPCSの低評価です。
三原さんの演技はいま流行の”繋ぎてんこ盛り”ではなく、美しいスケートや繊細な身のこなしで成り立っていますから、どうしても点数に結びつきません。
スタミナの問題もあるかもしれませんが、自分のスタイルを貫きつつ、ある程度トレンドを抑えるのも大事でしょうね。
もうちょっとPCSが伸びていたら今大会も4位ではなく表彰台だったと思います。

さて、優勝争いとなるロシアの3選手の戦いですが、19-20シーズンを席巻したアリョーナ・コストルナヤは昨季からの不調が続いたままで、SPは3Aをなんとか着氷しての75.58(PCS34.11)とまずまずだったものの、FSでは3Aステップアウト、3Lzからのコンボが+2Tというスタート。後半はゴージャスな3F+3Tを決めはしましたが、最後の3Lzがぐらりとして138.96(PCS67.89)、トータル214.54。順位は3位。
ジャンプだけではなく、演技全体も完成度が低く、復活にはもう少しかかりそうです。

昨季は久々の世界選手権に出場しただけではなく涙の2位をもぎ取ったエリザベータ・トゥクタミシェワは今季もその好調を維持していて、3Aをクリーンに跳んでのSPは81.24(PCS35.51)。
FSでも3A2本を余裕綽々で決め、中盤の3Fをこらえた他は豪快なジャンプを揃え、砂漠の町の踊り子と化した『Arabia』で会場を大いに魅了し、最後までエネルギッシュに滑り切っていました。
24歳のいまが全盛期です。
FSは151.64(PCS71.31)、トータル232.88。
会場の反応を見てもわかるように、人気+実力+実績という意味でトゥクタミシェワは現在の女子シングルの女帝です。浅田真央や
カロリーナ・コストナーからその座を引き継ぎ、フィギュアスケート界を引っ張っているトゥクタミシェワには私も大きな敬意を抱いています。
願わくは初の五輪出場が叶うといいですよね、応援しています!

トゥクタミのスコアはスケートアメリカで優勝したトゥルソワの232.37より高いんですけど、表彰台のてっぺんは別の選手でした。
その名はカミラ・ワリエワ。
今季シニアデビューの15歳ですが(4月生まれ)、この選手は本当にやばい。
今月上旬のフィンランディア杯でも4Tと4Sを武器にトータル249.24という世界記録を叩き出していましたけど、そこで転倒していた3Aを今大会ではSPで成功させて84.19(PCS36.15)。
FSでは3Aはステップアウトするも、4Sと4T+3Tと4Tを含む他のジャンプはどれも高品質。軸を作るのが速くて回り切って降りてくるんですから本当に凄い。
FSは驚異の180.89(74.74)、トータル265.08もまるで男子のスコア。もちろん優勝です。
スピンやステップも鍛え込まれていますし、今後も負けるイメージがまったく沸きません。
表現面はガチャついた繋ぎでアリバイを作り、振り付けをなぞっているだけですが、ロシアのエース点という”フィギュアあるある”でPCSもわけのわからないくらい出ていますし、こうなるともう無敵といっていいでしょう。
唯一の欠点を挙げるとすれば、3Aはまだものにしていない様子なのでそこに漬け込む隙があるとは思いますが、SP・FSの両方でそこを大きくミスっても240点は出るでしょうから、他の有力ロシア女子が一世一代の演技をしなければ追いつけません。

このところのロシア女子はみなフィジカルが強く、それが子供の頃から徹底的に鍛え込まれ、国内で激しく切磋琢磨して代表になってくるわけですが、ワリエワはその集大成的存在といっていいでしょう。
スケーティングスピードがそんなにないのに高難度ジャンプをバンバン決めるフィジカルはまるでジュニア男子のトップレベルのようですし、そこに安定性や美しさがあるのですから本当に突き抜けています。まさに異次元です。

ロシアはそんなワリエワを基準に今後も選手を輩出してくるでしょうし、他の国のスケート連盟はもうお手上げですよね。
ワリエワが切り開いた次元は他国にさらなる絶望感を与えたに違いありません。
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