fc2ブログ

2022世界フィギュア、男子シングルをざっくりと

宇野昌磨の嬉しい初優勝が印象的だった世界フィギュア2022・男子シングルですが、SPが終わった時点では宇野・鍵山優真・友野一希の3人が1~3位に立っており、「66年ぶりの一ヶ国による表彰台独占なるか」というのがちょっとした話題になっていました。
まあこの大会は宇野くんと鍵山くんは優勝候補だったので表彰台の2つは確実視されていましたけど、独占という楽しみが増えたのは友野くんのおかげといっていいでしょう。
友野くんがSPで101.12(PCS43.74)のPBを叩き出せたのは、苦手としているスピンでレベルを取りこぼさなかったからだと思うんですけど、プランタン杯かわずか1週間でそこを修正したのは本当に立派でした。
三浦佳生くんの代役として急遽出場していることを考えればなおさらです。
これは内緒ですが、ヴィンセント・ゾウとイリア・マリニンがいたので、私は友野くんのSP3位はまったく予想していませんでした。
ごめんなさい!

ただ、SPで4位以下とのスコア差は大きく作れたわけではありませんし、表彰台に立つためにはFSで自己ベスト(171.89)を大きく上回る180点ほどが欲しいところです。
少なくとも3本の4回転は全てクリーンに入れる必要があり、もちろんそれは簡単なことではありません。
そうして緊張と期待が高まる友野くんのFSでしたが、冒頭の4T+3Tが乱れると続く4Sは転倒…。
ここで勝負ありという感じでしたし、後半の3Aからの3連続も単独3Aもミスっちゃったので清々しいほどノーチャンスでした。
FSは168.25(PCS87.28)、トータル269.37で6位。
悔しい結果で終ったものの今季の友野くんは安定して260点台を出していましたし、4Tの確率も高かったですし、一段階実力が上がったことは確かです。この23歳は本人が語っているように「どんどん進化」しているんです。
来季もそれがさらに進むことを期待しています!
演技は相変わらずエンターテイメント性に溢れていた!

五輪で銀メダルだったこともあり、大会前は宇野昌磨よりもオッズが高かったといってもいい鍵山優真ですが、それが平常心を狂わせたのか、SPでは3Aでポカをして105.69の2位。
ただ、首位の宇野くんに付けられた4点差はFSで十分に取り返せるものでしたから(FSのSBは鍵山が約20点上)、焦る必要はまったくなく、FSで自分の演技をある程度完遂できれば自然と優勝は転がり込んできたはずです。
今季の鍵山くんは1ミスくらいでFSをまとめることがほとんどだったので、いつも通りでよかったわけです。
しかし、そのいつも通りがままならないのが初の世界一というものなのでしょう。

FSでは冒頭の4Sは綺麗に成功させたものの、続く4Loは明らかな回転不足(ダウングレード判定)。
それでも4Tと3Aを伸びやかに着氷し、視界はまだまだ開けています。
正確なスピン、吸い付くようなスケーティングでのステップシークエンスで徐々に雰囲気が高まって行き、後半冒頭の4Tオイラー3Sをビシッと決めてGladiate!これで優勝が見えてきた!
と思ったのも束の間、3F+3Lo予定が+2Tになって雲行きが怪しくなると、最後がまさかの1Aに…。
私も唖然としてそこから数秒、記憶が飛びました。
今季の安定感からすると、いまでも信じられません。
本人もショックだったでしょうけど、それでも緊張を切らさずに高品質の滑りを続け、締めのスピンも正確無比に回っていたのは評価すべきですね。
FSは191.91(PCS93.38)、トータル297.60で2位。
本人も試合後に「よくわからない緊張でおどおどした」といって優勝がちらついていたことを認めていましたし、それを乗り越えて集中できなかったことを悔やんでいました。
大舞台での優勝を意識した大会はこれが初めてでしょうから仕方ないかな…。
鍵山くんは世界ジュニアでSP1位からのFS5位で銀メダルだったように、ちょっと緊張しいのところがあるのでそれは今後の課題でしょうね。
(そのかわりSP大失敗からのFS大逆転もけっこうあります。追い詰められると闘争心が湧くタイプ。)

ちなみにFS最終滑走の宇野昌磨はSB(187.57)を大きく上回る202.85(PCS96.14)までスコアを伸ばし、トータル312.48での完全優勝。
鍵山くんと対照的に、優勝をもぎ取りにゆくような攻めの姿勢が印象的でした。そうして”シルバーコレクター”という過去の自分を振り払ったわけです。
鍵山くんも若い頃の宇野くん同様にシルバーコレクターっぽい雰囲気を醸し出しつつあるので、いまの先輩の姿をよく見て、勉強して欲しいものです。

また、この大会は3位のゾウが277.38だっただけではなく、4位のクヴィテラシヴィリの272.03、5位のプルキネンも271.68ととてもハイレベルでした。
263.79の9位に終わったアメリカの17歳イリア・マリニンも、SPでは100.16を記録するなど「アメリカフィギュアへの神様からの贈り物」といわれる実力の片鱗を見せつけました。
我々は日本勢が来季以降の男子シングルを席巻することを期待しますが、世界はそれを簡単に許してくれないはずです。
日本男児たちはさらなる進化を求め、戦い続けなければなりません。
それが本田武史、髙橋大輔、羽生結弦らが作ってきた伝統です。

来季も『君が代』をリンクに響かせてくれ!
今季は本当によくやってくれた、ありがとう、おつかれさま!
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト



プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード