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初快挙尽くしの2022スケートカナダ(後)

(続きです。)
さて、男子シングルはというと、今大会には昨季の世界王者宇野昌磨が出場しているということで、彼が優勝候補筆頭であることは論を待たず、対抗馬すらいないというのがアサイン時点での見方だったと思いますが、先週のスケートアメリカにおいて三浦佳生くんが273.19で2位に輝いたことで、にわかに競争が面白くなってきました。

そんな期待通り、SPの三浦くんは4S+3T、3A、4Tという構成をノーミスで滑り切って94.06(PCS40.79)。
スケアメのときに比べるとジャンプの軸が外れ気味だったものの、それを着氷するまでに修正できる感覚はお見事。
熱量と集中力を感じさせるヌーベルタンゴでした。

それに当てられたわけではないでしょうけど(グループも別)、SP最終滑走の宇野昌磨はコンビネーションの4Tで大きく着氷を乱してからの+1Tという規定未満の手痛いミス。
他の要素はまとめたとはいえ、これだと89.98(45.07)までしか伸ばせません。

こうして2人の間に約4点の差がついたことで、FSはよりいっそう興味深いものとなりました。
17歳の三浦くんが逃げ切ってGPS初優勝なるか、現王者が逆転して高い壁となるのか、いずれにしても日本のファンからすると楽しみです。
男女シングルとペアのトリオ優勝も確実でしたしね。

そんなFSでは地元カナダのキーガン・メッシングがマッテオ・リッツォ(イタリア)との熾烈な暫定1位争いを制して表彰台を確定させ、会場を盛り上げると、そこにまずは宇野昌磨の登場です。
宇野くんは4種4回転の構成ですから、これをある程度成功させれば逆転は十二分に可能ですが、ビッグジャンプは諸刃の剣でもあり、ミスが連鎖していってグダグダになる危険性もなきにしもあらず。
そういうドキドキのなか、冒頭4Lo、4S、4Fといずれもギリギリヒヤヒヤの着氷。
3S+2Aも慎重に跳んでいて、観ているこっちも疲れる前半戦でした。
一歩間違っていたら大遭難だったかも…。
しかし勝負どころの後半冒頭の4T+3Tはものの見事な成功!
続く3Aと4Tは着氷を乱すも(コンボならず)、結果的にはその4T+3Tが本当に大きかった。
終盤のステップは圧巻、締めのスピンはちょっとお疲れだったものの、183.17(90.25)、トータル273.15というまずまずのスコアを揃えました。

今季の宇野くんはジャンプばかりに集中していた昨季と違い”魅せる演技”を意識しているような気がします。
エッジの深さと正確性、身体の大きな動き、肩甲骨で支える腕の美しさ、そしてステファン・ランビエールばりの音の取り方。
SP『Gravity』もFS『G線上のアリア』も本当に素晴らしいです。
これぞ王者の演技という感じですし、「表現の宇野」という売り文句を久しぶりに思い出しました。

そして最終滑走の三浦佳生くんですが、6分間練習中に靴紐が切れてしまったことで4Loの調整が出来なくなり、FSではそれを外した構成になってしまいます。
そうなると4Tと4Sの失敗は許されなくなりますが、4T+3Tは成功させるも4Sで転倒、後半も4Tが大きく乱れてしまい、スコアは171.23(83.35)、トータル265.29に留まってしまいました。
結果は惜しくも2位。GPS初制覇は来季に持ち越しです。
スケアメとの連戦だったのでちょっと疲れもあったかもしれませんね。ジャンプの調子が落ちていました。

ただ、演技全体の流れが作れるようになってきたのは確かですし、ステップとスピンの強化も順調なこともあり、一戦ごとに力を付けていっているのが観ていてはっきりわかります。
たぶんGPファイナルには行けるでしょうし、そこでの成長を楽しみにしましょう!
若者が栄光への階段を駆け上がって行く様を!

というわけでこの2022スケートカナダは日本男子のワンツーフィニッシュで日本勢の3種目制覇が決まり、最高の大会となりました。
みんな本当によくやってくれました、おめでとう、ありがとう!
日本フィギュアの未来は明るい!

…最後に、テレビ朝日を始めとする日本のメディアは今大会の目玉として「紀平梨花の復活」を連呼していましたが、確かに紀平さんが2季ぶりにGPSに戻ってきてくれたことは嬉しい話題ではあるものの、紀平さんの現状を公平に見れば、諸手を挙げて「復活」と喜べないはずです。
残酷なことをいわせてもらえば、紀平さんの競技力は全盛期とは比較にならないほど落ち込んでいます。
今季の世界選手権の代表3枠だって厳しいと思いますし、目標とするミラノ・コルティナ五輪までにどれくらい復調するかも不透明というのが正直なところではないでしょうか。

むろんだからといって紀平さんに期待するな、といいたいわけではありません。
ただ、いまは真の復活をそっと見守るべきだというのが私の考えです。
エースだった頃と同じ注目度の方が残酷に思えます。
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