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2023女子W杯、モロッコ代表が示した女子サッカーの意義

ムスリム女性(ムスリマ)の伝統的なベールである〈ヒジャブ〉と女子サッカーといえば、試合中にそれが外れてしまった選手がいると、敵味方関係なく選手が集まって壁を作り、観客の視線やテレビカメラからその選手を守ることが”いい話”として世界的に報じられたことがいくつかありました。
しかし2014年以前にれを聞いたことのあるひとはいないはずです。
というのも、それまではFIFAが管轄する試合では”頭に被りものをしてはいけない”というルールがあって、ヒジャブを身に着けた女性は試合に出ることができなかったのです。
00年代からイスラム国家でも女子サッカーが受け入れられるようになっていたなか、そのルールの改定を求める声があったものの、
FIFAは「布が首に巻きついて窒息するかもしれない」などといった苦しい言い訳をしながらヒジャブをなかなか許可しませんでしたが、2014年についにそれを解禁したのです。
(※2011年からFIFAで副会長を務めるヨルダンのアリ王子がヒジャブ解禁を積極的に進めたといわれています。)

ムスリマ選手のすべてがヒジャブを着用するわけではなく、個人の選択の自由ですが、2014年頃からアジア連盟やアフリカ連盟でイスラム国家の女子代表が成績を伸ばし始めたのですから、ヒジャブ解禁がひとつのきっかけだったことは確かです。
女子アジアカップだと2010年大会まで本戦まで進んできたイスラム教国家はゼロだったのに、14年大会にはヨルダンが初出場し、18年大会からは複数のイスラム教国家が本戦でプレイするようになりました。
アフリカネイションズカップでも似たような状況になっていて、イスラム教国家が本戦に進出するのももはや珍しくありません。

そして現在行われている2023女子W杯です。
モロッコ代表は2022アフリカネイションズカップで準優勝してイスラム国家として初めて女子W杯の本戦にやってきたことで大会前から話題になっていましたが、GS第2戦で韓国代表を1-0で破り、初勝利をも掴んだのです。
しかもその試合ではCBのヌハイラ・ベンジナ選手が女子W杯で初めてヒジャブを着用してピッチに立っていたのですから、本当に記念すべき試合でしたし、世界中のムスリマ選手に勇気と希望を与えたに違いありません。
これからは女子サッカーでのヒジャブが当たり前になって、イスラム教国家の女子チームもどんどん強くなって行くことでしょう。
アジアでもサウジアラビアが国を挙げて女子サッカーを強化しているので、そのうち我らがなでしこジャパンと激闘を繰り広げるようになるかもしれませんね。

そんなヒジャブはサッカー以外のスポーツや五輪でもちらほら見かけるようになりましたが、スポーツ用品メーカーもそんな流れをよく見ていて、NIKEなどは軽量で通気性に優れ、しかもピン留め不要のスポーツヒジャブをすでに販売しています。
ヒジャブの裾の部分をスポーツブラに挟み込んで固定して外れにくくしてあるというのですから、なかなかよく考えられている品物です。
モロッコのベンジナ選手のヒジャブはPUMA製でしたけど、これを機会にPUMAもスポーツヒジャブに参入してくるでしょうし、世界のムスリマ人口を考えるとけっこうなビジネスチャンスなのかもしれません。
もちろん、逞しいムスリマたちは世界的企業の野心をも利用して自分たちの社会進出に繋げて行くことでしょう。
WIN-WINというやつです。

「スポーツには世界を変える力がある」というのはネルソン・マンデラがアパルトヘイト後の南アフリカをラグビーでひとつにしようとしたときの言葉ですが、いまはイスラム世界がスポーツによって大きく変わろうとしています。
そしてその象徴こそが女子サッカーなのです。
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