2014GPF女子SP、ロシア娘に負けない本郷理華

”バルセロナ”といえば常に建築中の大教会堂と世界有数のサッカークラブで有名であり、ひとでごったがえした熱気あふれる都というイメージでから、今年2014年のフギュアスケート・グランプリファイナルがここで行われると聞いたときは、多少なりとも違和感があったものです。
しかし、まあ冬季競技といってもフィギュアは屋内型ですから、気候はあまり関係ありません(氷の維持費が嵩むだけ)。
国際スケート連盟(ISU)としても大会開催地域を世界各地に広めたいという思いがあるのでしょう。
そういう戦略のためにも出場選手たちはスペインのひとびとに大いにアピールしたいですよね。
GPSが終わり、日本で出場権を勝ち取ったのは男子シングルの3選手だけだったのですが、女子シングルでもアメリカのグレイシーゴールドが怪我を理由に出場を辞退し、なんと本郷理華さんが補欠から繰り上がり。ロシア大会の優勝が大きかった!
これで日本女子のGPFは14年連続出場に記録を伸ばすことができましたし、あとは12年連続表彰台だ!
というわけで、まずは女子SPのテレビ放送を振り返ってみたいと思います。

今季がGPSデビューで、もちろんファイナルは初めての本郷理華さん。リンクサイドでは強張った表情を見せていたものの、6分間練習ではいつもと変わった様子もなく、一番手で始まった本番も落ち着いた内容でした。
まずは3T+3Tを今季一番といいたくなるような出来で決めると笑顔がこぼれ、長い手足をやや持て余したスピンを2本回ってからの後半3Fも落ち着いて着氷、2Aも華麗に跳躍し、ステップシークエンスでは解放されたように伸びやかな動き。『海賊』を魅了する踊りは観客をも虜にしたのか、ステップでは大きな手拍子が鳴り、その盛り上がりを受けた勢いのあるコンビネーションスピンで堂々たるノーミスフィニッシュ!素晴らしくクリーンな内容でした!
それにしても本郷さんの舞台度胸には感服しますね。堂々たる演技でした。
演技全体に勢いと伸びやかさ、爽快感があって、彼女の個性がよく出ていたと思います。
SPは61.10(TES33.96・PCS27.14)でパーソナルベスト!
もうちょっと点数をもらってもいいような内容でしたけど、本郷さんは技術要素や演技技術の細部がまだ磨かれていないので、なかなか積み重ねができません。そこは今後の課題であり、”伸びしろ”ですよね。
競技後のインタビューでは「GPFは周りがいい選手ばかりですけど、自分もそのなかに交じって調子が上がってきたかも」とはにかむ本郷さん。そういう状況をプレッシャーではなく、プラス思考に変えられる、それが彼女の強さなんでしょうねえ。好印象でした!

10代の選手のなか、ひとり貫録十分なアシュリー・ワグナー23歳(アメリカ)は、3Fステップアウトでコンボにならず、正確かつ音楽とも調和したスピンを2本回ってからの2Aはよし、しかしイーグルからの3Lo+2Loではバランスの悪い根性降り、というようにジャンプはいまひとつ。
ただ、終盤のステップではディープエッジで迫力を醸し出す、雄大な『スパルタカス』。その世界観そのままの最後のレイバックスピンもベテランらしい演出。ミスがあっても演技全体をまとめるのはさすが。
SPは60.24(29.84・30.40)。
このワグナーの演技を観ていて思ったのですが、今季の女子シングルを席巻している若手たちはスケーティング技術がつたないので、ワグナーの滑りですら際立って見えます。
浅田真央や鈴木明子、カロリーナ・コストナーというスケーティングで魅せられる選手が懐かしいですね。

安定感が売りだったはずが、今季はどこか噛み合わない演技が続くユリア・リプニツカヤ(ロシア)。
体型変化もあるでしょうけど、私はルッツとフリップのエッジがメンタルに影響しているのではないかと思っています。SPでもルッツを外していますしね。
なんて思っていたら、このSPでは鮮やかな3Lz+3Tでスタート(前のフランス大会では3T+3Tでノーミスながら同国のラジオノワに負けたのもあるかも)。
柔軟性を生かしたキャメル、要素と動きの多いステップで息もつかせぬ前半戦、後半に入っても2Aと3Fを勢いよく跳んで、最後は代名詞である2本のキャンドルスピンで会場を大いに沸かせ、本人も笑顔がこぼれていました。
演技後は手ごたえ十分といった表情でガッツポーズをしていましたし、気合がビシバシ伝わってくる好演。ルッツを入れることで気持ちも前向きになっていたのかもしれません。
得意の芝居はもちろん、前半は細かな動きが主体、後半はスケートスピードで盛り上げるという演出もメリハリが効いていて、見応えのある『メガロポリス』でした!
しかし、スコアは66.24(34.58・31.66)とあまり伸びません。
これにはリプニツカヤもモジャ毛のコーチも渋い顔。昨季は同じような演技で70点以上は出ていましたからね。
私はルッツにエラーでも取られたのかと思ったのですが、プロトコルで確認してみると、エラーはフリップの方(ルッツはクリーン)。
リプニツカヤは両方ともエッジが微妙なのですが、よく取られていたのはルッツの方だったので、これには戸惑っているでしょうねえ。フリーが心配です。

今季は最初のカナダ大会を見事な優勝(191.81)で飾るも、地元ロシア大会で失速(2位173.43)したアンナ・ポゴリラヤ。
今季は世界のメダルを狙っているであろう彼女ですから、ロシア選手権を前に、不調が一過性のものなのか気になるところ。
しかし、このSPでも最初の3Lzが詰まって単独に(ロシア大会と同じ)、長い足を生かした豪快なスピン2本で自らを鼓舞するも、後半の3Loではリカバリーで付けた+3Tで回転不足気味の転倒。ただ、+2Tではなく+3Tを選択した気合は伝わってきました。転倒後の苦手の2Aもしっかり跳んでいて、メンタルの強さも見せましたしね。
終盤はパワー溢れるステップで『アルビノーニのアダージョ』の勇壮さを醸し出し、最後のレイバックスピンまで気持ちは切れていませんでした。
出場選手のなかではスケートスピードが際立っているので、それが演技全体の迫力に繋がっていると思いますし、雑な部分もずいぶん少なくなってきて、昨季からの成長は素晴らしいですね。
ただ、成長期もあってか、今季はジャンプのフィーリングがおかしいので、そこは何とか調整しなくては。
SPは61.34(32.34・30.00)。
本郷さんより高いのはやや納得しかねるのですが、PCSの部分や成功した要素の出来栄えに差があるのは事実ですから、そこの評価具合が私とジャッジとで異なるのでしょう。
ポゴリラヤは本郷さんと似たタイプなので、本郷さんも手本にしたいですよね。

今季絶好調のエリザベータ・トゥクタミシェワは、完璧な3T+3Tのセカンドに片手を上げるタノジャンプを付けるという、女子では離れ業でのスタート。しかし、続いての浮き上がるような3Lzでは大きくオーバーターン。
昨季までの彼女ならがっくりきそうですが、今季の彼女は気にする様子もなく、シンプルで正確なシットスピンを回ると、手の動きと大きな表情で彩るゴージャスなステップシークエンスへ。
体全体もよく動いていて、リンクも大きく使えていたので、本当に見栄えがしました。ここまで好成績を残している自信と調子の良さが演技を際立たせているといっていいでしょう。
後半の2Aもタノを付けての楽々とした飛翔、終盤のスピンも余裕綽々で、それが民衆の心までを浮き立たせる踊り子のようでした。バルセロナの賑やかさとまさにリンクする『ボレロ』だったんじゃないでしょうか!
SPは67.52(35.89・31.63)。
ミスがあったのに、リプニツカヤより高いのか…、とは思いますが、技術要素の完成度が高く、演技にも一貫したコンセプトと呼吸があって、本当に面白いプログラムでした。
今季のトゥクタミは本物ですね。

GPS2連勝で優勝候補本命として乗り込んできたエレーナ・ラジオノワ(ロシア)は3L+3Tを軽々跳ぶと、長い足が邪魔そうなスピンをエネルギッシュに回るといういつも通りの前半戦。
しかし、後半の3Loでまさかの転倒という落とし穴。これで焦ったのか、2Aも詰まった感じ。
それでも終盤は気合を入れたコンビネーションスピン、ボディバランスのいいステップシークエンスをがガチャガチャと踊って、フラメンコギターをアグレッシブに全身で表現しようとしていました。
SPは63.89(33.63・31.26)。
ミスは残念でしたけど、今季は安定しているラジオノワですから、SP首位のトゥクタミを逆転することも十分可能でしょう。
こういう状況の方が勝負としては面白いですよね!

このGPFは、世界的にみれば、今季の世界選手権を占う大会という位置づけであり、それはまた今大会4人も出場選手を出しているロシアの選手権を占う大会でもあるわけですが、本当に拮抗した面白い戦いだと思います。
ただ、我々日本人の視点でいえば、本郷さんが表彰台に立てるかどうかも気になるんです。
私は大会前からある程度チャンスがあると思っていました。絶望的ではないと。
それはリプニツカヤとワグナーがGPSでは調子が上がっておらず、ポゴリラヤもロシア大会で調子を落としていたからです(痩せすぎですよね)。
このSPを見ていると、ワグナーとポゴリラヤは上向いていない様子、リプニツカヤはいいSPを滑ったとはいえ、FSで失速傾向なのでまだまだわかりません。
とにかく本郷さんは自分の演技に集中するだけです。ロシア大会FSのようなゾーンに入ればチャンスはあります。

私を含めた周りの期待は気にしないで、がんばって!
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