2014GPF男子SP、羽生結弦復活の兆し

バルセロナで行われた2014GPF男子シングルの一番人気はもちろん地元スペインのハビエル・フェルナンデス。
彼が6分間練習に姿を現しただけで会場が黄色い声に包まれるのですから、その大半は女性ファン。さすがです。
ただ、テレビ画面には日の丸がいくつも見えて、日本からのお客さんもかなりの数。日本3選手への声援もなかなかのも。
バルセロナでフィギュアの大会が開催されることはめったにありませんし、日本のフィギュアファンのみなさんからすれば、
大教会堂やサッカースタジアムといった観光もできて、かなり楽しめるのではないでしょう。
もちろん旅のいい思い出は日本選手の活躍があってこそですけどね!
というわけで、寒い冬の日本からテレビ観戦した男子SPを振り返ってみたいと思います。

今季は開幕前の怪我でB級大会を棄権したり、GPS初戦で衝突アクシデントがあったりと、どうも波に乗れない世界王者、羽生結弦。GPFもぎりぎりの順位での出場と相成りました。
しかし、直近のNHK杯では復調の兆しが見えていましたし、現地での練習映像もなかなかいい感じ。やはりこのひとが優勝候補筆頭なのでしょう。あとはその調子を本番で出せるかどうかの気持ちの問題です。
まずはふわりとしたスケートでショパンの『バラード』にすうっと入った羽生結弦、冒頭は明確なステップからの4T!これを今季初めて綺麗に決めた!
そしてその流れのまま、軽やかな踊りからのシットスピンとキャメルスピンの連続も音楽と調和した美しさ。ここは彼の男性離れした柔軟性とスピンの技術あってこそ。
後半も滑らかなスケートで世界を広げてからのカウンターからの3Aは完璧な着氷!しかもそこからすぐさまイーグルへ移行して空気をなだめたと思ったら、また加速し、今度は課題の3Lz+3T、しかしファーストで軸が前のめりになって、無理やり付けた3Tで惜しくも転倒。ここは立つかと思ったんですけど、立てないものですねえ。本人も悔しそうにペロリと舌を出していました。
しかし、そこからのステップシークエンスでは軽いスケートと重いスケートを駆使してバラードの自由に揺れ動く曲調を表現し、最後のコンビネーションスピンはそれだけで作品と呼べるような完成度。
演技全体も曲の揺れを感情の揺れへと転化させ、観客に訴えかけるような滑りができていたと思いますし、またひとつ成長したなあ、と感服しました。ステップでの緩急、足元の細かい技術、上体の使い方は際立って印象に残りましたね。
次はジャンプをすべて降りて、真の完成だ!
SPは94.08(TES51.11・PCS43.97・減点1)。

今季好調のセルゲイ・ボロノフ(ロシア)はそれを証明するように、最初の4Tでバランスを崩しながらもしっかり3Tを付けてのスタート。ここでニヤリとニヒルな笑みを浮かべたのは『死の舞踏』の雰囲気か。
そして正確なスピン、丁寧なステップ、後半の長い助走からの3A、3Loも決めた!
〆はコンビネーションスピンからエントランスに工夫のあるシットスピンで曲調をこれでもかと盛り上げて、ノーミスフィニッシュ!会場からは大歓声!
しっかりした演技、ベテランの落ち着き、今季のボロノフは手ごわいですね!
スコアは84.48(45.90・38.58)でしたけど、これには会場からブーイング。羽生くんに10点近く離されているせいでしょう。あまりフィギュアを観ないであろうバルセロナのお客さんにしたら疑問や不満が出ても当然です。同じようなジャンプ構成ですしね。
ただ、私はボロノフのベストスコアを知っているので、この日の演技を観終えたときは、「86点くらいかなあ」と思いましたけど、それより低かったので、プロトコルで確認するとステップが珍しくレベル2、3Aも思ったよりGOEがもらえていなかったので、それが原因なのでしょう。ステップの取りこぼしの理由はちょっとわかりませんが、3Aは助走の長さですかね。まあしかしこのくらいのスコアの”幅”はままあることなので私はそうは気になりません。たぶん、86点出ていてもバルセロナのお客さんはブーイングだったでしょうしね。
ここはフィギュアの採点のわかりにくさです。
いまは各技術要素、各表現要素でこつこつと点を積み重ねてゆく方式なので、羽生くんのような選手は本当に強いですし、ボロノフのような選手はあまりスコアが伸びません。大雑把な印象ではボロノフはかなりよかったので、そこが点数に繋がるような評価システムがあってもいいのでしょうけど…。

前のNHK杯では優勝のチャンスを逃した無良崇人。今回はその悔しさをぶつけたいところでしたけど、6分間練習から表情が冴えず、4Tで転倒する場面も。
始まった本番でも同じような表情から4T転倒のスタート。緊張しちゃっていたんでしょうか。
しかし、3Aは彼らしい爆発的な大きさを見せ、これで調子を取り戻すかと思ったら、スピンのバランスが悪くて、後半の3Lz+3T(リカバリー)も着氷を乱してしまいます。
しかし終盤のステップはいい雰囲気、最後のシットスピンもダイナミックなフライングで入って自分を鼓舞するようでした。
それにしてもジャンプのミスがもったいなかった。バルセロナのためとした思えない『カルメン』だっただけに残念。
SPは78.35(40.98・38.37)。
GPFは失うものは何もない大会なのですから、FSでは思い切って滑って欲しいですね!
無良くんの『オペラ座の怪人』ならば絶対に会場も盛り上がります!

GPS初戦は見事な優勝を飾るも2戦目は精彩を欠いた町田樹。
今季はフィギュアスケートの可能性に挑戦しつつ、世界のてっぺんを取る戦いなのですから、今大会ではその足掛かりを作りたいところ。
しかし、冒頭の4T+3Tをステップアウトで不穏な立ち上がり、それでもステップからの3Aは町田くんらしい切れ味、この日はスピンもよく回って前半の流れを切らしません。
そしてステップシークエンスでは丁寧なフットワークと情感溢れる振り付けで『ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲』を明瞭に映し出し、終盤の盛り上がりどころでの3Lzもクリーン!よし!
最後は集中したコンビネーションスピンで物を語るようにしてフィニッシュした町田くん。ちょっと悔しそうでしたけど、まずまずの内容だったと思います。
SPは87.82(45.32・42.50)。
靴に関する報道がありましたけど、いまはちょっとジャンプに思い切りが欠けているような印象がありますし、それがプログラム全体の勢いをやや削いでいるようにも思います。
しかし、まあ、いまは雌伏のとき。シーズン全体が好調というのは難しいものです。
いまの調子のなかでベストを尽くした後に爆発が待っている!

今大会の主役、ハビエル・フェルナンデスは脇を上げるセクシーポーズで会場のボルテージを一気にマックスへと導くハードロック。ファンが待ち望むのはハビエルの笑顔のみ!
…だったのですが、冒頭の4Sは回転途中で落ちてくる大転倒、続くコンボもバランスを崩した2Lz+3T、これでパニックになったのか、なんでもない繋ぎでつまずくミス、後半の超技巧的入り方の3Aも着氷がふらり。
序盤から本人もがっくりきて、演技全体に元気なし。せっかくの地元開催でしたからね…。
見せ場のステップも簡略化して動きの質も落ちていましたし、同情したくなっちゃいました…。
SPは79.18(40.22・40.96・減点2)。
嫌な話、私はこの大会ではホームのフェルナンデスに異常な高スコアが出ると思っていたんですけど、PCSは控えめで、つまづいたところ(たぶん)のディダクションはやや厳しく、ちょっと意外でした。
ただ、着氷を乱したジャンプが加点されていたり、回転が微妙だった4Sが認定されていたり、精彩を欠いたステップがレベル4で加点1.60だったりするところは”守られている”という感じなので、審判員のなかも色々なのかもしれませんね。

ただひとりGPS2連勝での出場だというのにどこか影の薄いマキシム・コフトゥン(ロシア)はビッグジャンプで存在感を出したいところでしたけど、4T+3Tで軽くステップアウト、4Tはまずまず(ステップから直ちになっておらず)、3Aでオーバーターンと、どうも上手くゆきません。踏み切りが前かがみになる癖が出ちゃいましした。
ただ、スタイルのいい長身を生かしたスピンやステップは見栄えがしましたし、プログラム全体はまずまずまとまっていたと思います。FSではもうちょっと大胆に攻めて欲しいですね。
SPは87.02(46.94・40.08)。
このマキシム・コフトゥンは間違いなく素晴らしい才能を持っています。
私はそれを恐れているほどです。

この結果、男子SPは1位羽生くん、2位町田くん、3位コフトゥンという順位。
この日の調子を見る限り、表彰台もこの並びになっているような気がしますが、無良くんの活躍で日本人表彰台独占というドラマも見たいですし、ハビエルの意地も見たい。
バルセロナには波乱が似合うんじゃないでしょうか!
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード