2014GPF男子FS(前)、不可解採点での新規開拓

今年2014年のGPFがバルセロナで行われると聞いたとき、「珍しいところでやるなあ」と思われた方も多いと思うんですけど、私もスペイン開催というのはちょっと記憶にありません。
もっとも、フィギュアスケートというのは冬季競技といっても屋内型ですから気候はあまり関係ありません。イスタンブール杯というのもあるくらいですしね。
おそらく、国際スケート連盟(ISU)からすれば、伝統国での人気が頭打ちになっている状況を鑑みて、新天地を求めて試行錯誤しているのでしょう。
そういえば今季はスペイン関連のプログラムを選んでいる選手が多くいますけど(普通は世界選手権開催地にちなんだ曲が増えます)、もしかしたらISUから何らかの示唆があったのかもしれませんね。
人気拡大、競技人口拡大の努力を怠ればあっという間に廃れてしまうのが現代スポーツです。
そんなわけで今回のGPFに欠かせないのは地元スペインのハビエル・フェルナンデスの活躍。
それによってスペインでのフィギュア熱を盛り上げたいというのはフィギュア界の総意かもしれません。
ただ、その重圧からかフェルナンデスはSPで2つの大きなミスを犯して5位スタート。
優勝は難しいでしょうけど、せめて表彰台に立つ、もしくはその気迫を見せて欲しいところですよね。
では、テレビで観た男子FSを振り返ってみたいと思います。

SPでは4Tの転倒のあって最下位と出遅れた無良崇人ですが、最初の滑走者ということで会場からは大きな手拍子や歓声。バルセロナのお客さんはフィギュアを存分に楽しんでいますねえ。
この雰囲気を追い風に、好プログラム『オペラ座の怪人』で逆襲だ!
とばかりに、4T+3T、4T、3Aと立て続けに無良くんらしい爆発力のあるジャンプを披露して会場は大盛り上がり。
そして、愛を謳うステップではありったけ情熱を込めた滑り、これは優勝したカナダ大会の再現もあるか、と思われた後半冒頭が1Loに抜けるミス。
これですこく嫌な感じになったものの続く3A+2T、3Fはしっかり着氷!ここは強さを見せた!
ただ、このあたりから疲労の色が濃くなってきて、キャメルスピンを回ったあとの3Sからの3連続はぐしゃっと崩れる感じ。ここは曲を盛り上げるところだっただけに手痛いミス。
そんななか、コレオも気持ちのみで引っ張っていただけに最後の3Lzは観ていてドキドキしましたけど、得意のこのジャンプを軽々決めたのはさすがの一言。
動かない体に鞭うつように最後のコンビネーションスピンを必死に回って演技を終えた無良くんは不出来な内容にがっくり。
NHK杯からジャンプミスが多かったので、ジャンプで力んで演技全体に余裕がなくなってしまったかもしれません。
しかも、このプログラムは曲調を変える場面とジャンプを重ねているので、そこにミスが出ると演技全体も不明瞭になってきてしまいます。そこもまた残念。
FSは157.02(TES80.76・PCS76.26)、合計235.37。
無良くんにはとにかく気持ちの余裕、もしくは無心・無欲という状態が必要なのかもしれませんね。
そういうときほどいい演技をしますし、逆に重圧がかかった大会では…。
全日本では無の境地だ!

黄色い声援のなか登場したハビエル・フェルナンデスはSPの失態を取り返さんとばかりに出だしから気合の入った滑り。
いつもと顔つきまでも違ったように見えるなか、スピード感のある助走からクリーンな4T!
続いても同じような助走からの4回転予定、でしたけど、これは力んだような3S+2T。こういう失敗は嫌いじゃありません。
そしてイーグルからの3Aは抜群!
いつもより力感のあるシットスピン、ステップはいつも通りのノタクラした感じですが、巧みなマイムでそれをフォロー。
フェルナンデスが持っている洒脱さや茶目っ気が『セビリアの理髪師』にもよく似合っています。
課題の後半も気合の4S、流れのある3F+1Lo+3S、美しいイーグル3Loと連続で成功させて観客の期待に大きく応えると、逆転表彰台も見えてきた!
…はずでしたけど、1Lz+2Tになる嫌なミス、3Tは軽々、終盤のコレオとスピンはいつもよりへばらずにまずまずまとめていましたけど、相変わらず場面場面がぶつ切れで、いいところと悪いところがくっきり分かれいました。
まあしかし、会場の熱気を受けて、やる気の伝わる演技でした。そういう意味では好演といえるんじゃないでしょうか。こういうフェルナンデスを久しぶりに見ました(いまのコーチに付く前)。ぜひ続けて欲しいですよね。
FSは174.72(87.50・87.22)、合計253.90。
これにはちょっとした驚きと戸惑い。「こんなにスコアが出るんだ…」というのが正直な感想。
ステップとコレオのGOE、それとPCSがその原因なのでしょうけど、あやふやな部分で得点を稼ぐ選手のスコアはほんとわかりにくいですね…。

6分間練習前も笑顔で選手たちの雰囲気を和らげるナイスガイ、セルゲイ・ボロノフ(ロシア)は珍しく4Tをオーバーターンしてスタートしたものの、続く3A+2T、3T+3T(予定は4回転から)、3Lzをしっかり降り、的確というしかないスピン、独特の振り付けで観客を煽るステップという前半戦。
ニヒルなハンサムが踊ると『マンズ・マンズ・ワールド』も妙にクールです。
後半も3A、3S、3Lo+2T+2Lo、2Aを高い集中力で着氷し、ノリノリで鮮やかなコレオ、安定したスピンで会場を大いに沸かせて、満足そうな表情でフィニッシュ。プログラムの面白さをしっかり表現していたんじゃないでしょうか!
そして27歳とは思えぬジャンプの高さには脱帽です。
ボロノフは演技を彩るつなぎは多用せず、プログラム全体の流れやメリハリを大事にするといった昔ながらのフィギュアスケート。それがまた観ている者にシンプルながらしっかりした印象を残すんですよねえ。
FSは160.05(83.05・77.00)、合計244.53。
このスコアを聞いた会場はやや冷やかに。
おそらく、フェルナンデスと比べて低すぎるのではないか、と感じたのでしょう。
今回のFSでいうと、技術要素の基礎点ではボロノフが0.26上だったので、GOEとPCSが2人の勝負を分けたわけですけど、観客はそのあやふやな部分が15点近くも離れていたとはとても思えなかったのでしょう。私も同感です。
しかも、SPでは5点ほどボロノフが上だったんですから、SP・FSの2つの演技を思い出してみれば、ボロノフがトータルで勝つという方がずっとしっくりきます。
ほんと、よくわかりませんねえ。

SPでは87.02というスコアを残し(フェルナンデス79.18)、まずまずまとめた演技をすれば表彰台も堅いと思われたマキシム・コフトゥン(ロシア)ですが、フェルナンデスのスコアを振り切るのは容易ではありません。なにせコフトゥンのFSのベストスコアである166.24(85.96・80.28)とほぼ同じ水準が求められるのですからね…。
ただ、そのベストを出した2014GPSフランス大会FSのときは予定ジャンプを全て降りたとはいえ、いくつかのジャンプはクリーンに決めていませんでしたし、後半はスタミナを失ってコレオとスピンに精彩を欠いたので、そこは伸びしろです。19歳は日々進歩しているはず!
と、私は期待を込めて見守っていたのですが、冒頭の4S予定が2Sに抜けるという勝負を決めかねない大ミス…。
しかし、まだここからをクリーンにまとめれば一縷の望みはある!
そうとばかりにコフトゥンは綺麗な4T!3Aにも根性で+3T!一気に盛り返した!
そして高い身体能力を感じるシットスピン、体を大きく力強く使って情熱を込めるステップシークエンスで『エクソジェネシス交響曲第2部』とじっくりと表現。男子FSの前半ステップは体力を消耗しないような演じ方をする選手が多いので、かなり好印象。
後半の冒頭の3Aはバランスを崩しながらも上手くこらえた!これはでかい!
そこからの3Lz+2T、3Lz+2T、3S+2Tというところは曲の盛り上げどころであり、スコア的にも踏ん張りどころなので、これをうまく揃えたときにはコフトゥンからも笑みがこぼれます。
コレオシークエンスでは疲れも見えましたけど、ジャンプを降りてきた喜びで体を膨らませるように滑り、最後の2つのスピンは疲労感のなかでも気迫の回転!
演じ終えた際はスポーツマンらしい充実した表情を浮かべていました。
いやあ、熱っぽい演技に胸を打たれましたし、プログラムの質も上がってきたんじゃないでしょうか。途中からは勝敗も忘れて楽しませてもらいました。
しかしFSは155.25(76.35・78.90)、合計242.27。この時点で3位。
これにはキスクラのコフトゥンも頭を抱えたようになっていましたけど、私ももうちょっと出るんじゃないかと思っていましたよ。「え?」って感じの表彰台落ちです。
冒頭が2Sに抜けたとはいえ、他の部分の技術要素はフランス大会より良かったと思いますし、演技全体もよくねばれていました。
「それなのにあんまりだ!」、コフトゥンじゃなくたってそう叫びたくなるってものです。ロシア選手権のライバルとなるボロノフにも負けちゃっていますし…。
まあ、ボロノフとの勝敗は微妙なところでしょうけど、フェルナンデスに比べればトータルでは上ではないでしょうか。
ISUがフェルナンデスの表彰台を既定路線にしたければ、段をもうひとつふたつ増やせばいいんです!

フィギュアは競技であり、芸能であり、興業なのでしょうけど、こんなわけのわからない採点をやっていて新規のファンを増やせるのでしょうか、大いに疑問を感じます。
地元選手が勝てばお客さんも喜ぶはず、なんてのは逆にお客さんをバカにした態度だと思いますぜ。
(長くなってきたので後編に続きます。)
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