日本バスケのごたごたとプロスポーツ

自分にない考え方を価値観を聞いたとき、ひとは脳の奥底が開くような感じを覚えるものですが、そういう意味で外国や外国人というのはいい先生だと常々思います。
最近、私が「はっ」としたのも、国際バスケットボール連盟(FIBA)のパトリック・バウマン事務総長が、トップリーグが統合できずに国際試合からの締め出しを食らった日本バスケットボール協会(JBA)に対して出した統合計画案のなかにあった、”企業チーム容認”という項目でした。

FIBAがJBAに対して制裁を加えた理由について、来日したバウマン事務総長は、「日本のバスケ界が大きく成長しないのは、トップリーグが2つに分かれていることがひとつの理由だ」と記者会見で述べていましたけど、もともと日本のバスケのトップリーグは社会人チームで構成されるスーパーリーグひとつだけでした。
しかし、そのスーパーリーグにはプロ化を目指す(急ぐ)チームとそうでないチームとの対立があり、それがまとまらないまま2004年に新潟アルビレックス脱退して立ち上げたのが現在の日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)というわけです。
もともとスーパーリーグはプロ化を意識して、それまであった日本リーグを2001年にプレミア化したものです。
おそらうJリーグのようにプロ化によってバスケ人気を拡大しようとしたのでしょう。
ただ、それは遅々として進まず、痺れを切らしたチームがあったということです。
しかも、それはリーグの分裂というより、実際は機構の分裂に等しいものでしたから、ことは穏やかではありません(その後長い間、bjリーグ所属の選手が日本代表に選ばれなかったのもその証拠といえます)。

そうしてリーグは2つに分かれたものの、私はそのせいでバスケ人気が下がったとは思いません。
むしろプロチームが増えて底辺は広がったはずです(長野県にもチームがあります)
もっとも、日本のバスケが発展したかといえば、その判断は難しいものがあります。
なにせ、男子バスケ日本代表は40年近く五輪に出場できていませんし、ワールドカップだって近年では開催国だった2006年大会にしか出ていないんです。ひどい体たらくといえるでしょう。
(※女子代表はアテネ五輪出場、世界選手権は2002年大会以来出場なし。)
FIBAからしたら、人口も多く、経済規模も大きい日本でバスケが人気になれば、世界的にも好影響があると期待していたのに、それを裏切られ続けてきた歴史ということができるかもしれません。
2006年の日本開催のワールドカップも起爆剤とはならず、逆に運営費で13億円という赤字を出したことが悪印象として残りましたからね…。

FIBAとバウマン事務総長は、「日本のバスケ界が一致団結して成長発展していって欲しい」という趣旨の言葉を繰り返していました。
そして、その象徴たるトップリーグは絶対にひとつであるべきだ、といっているわけです。
ただ、そこで面白いのが、「プロかプロでないかは問題ではない。大企業が競技に投資したいなら拒否するのはバカげている」というバウマン事務総長の言葉です。
我々もよくスポーツ組織をプロとアマに分けますが、その決定的違いとはなんでしょう?
ひとことでいえば、”独立採算”です。
プロ組織というのはファンを集め、協賛企業を集め、そのお金でもってチームとリーグを運営する。
アマ組織というのは親会社からお金をもらって運営す。もちろん入場収入やスポンサー収入がある場合もありますが、主体となるのは親会社からの資金ということです。

日本では〈実業団〉など呼ばれるそのアマ組織ですが、これの恐ろしいのは親会社の経営状態に大きく左右されるということです。
バブル崩壊後に、野球やバレー、陸上、冬季競技の実業団チームがいくつも潰れてしまったのは記憶に新しいところです。伝統チームも多かったのに実に”あっさり”したものでした。
もちろん、プロ組織だって潰れないわけではありません。
ただ、独立採算というのは自己責任ですから、ファンを増やしたり、地域に密着したり、協賛企業を増やしたりという足場固めは実業団より必死にやります。いや、やらざるをえません。そして、それが”しぶとさ”に繋がるわけです。
たとえば、Jリーグは収入の多いクラブばかりではありませんが、1988年の横浜フリューゲルス以降潰れたクラブはありません。苦しければ苦しいなりに規模を縮小して存続してゆくのです。
そうやって市民のなかにクラブが根付いてゆく、それが西洋流のプロスポーツの考え方です。

そう、私が「はっ」としたのは、日本にはそういう考え方が根付いていないと、バウマン事務総長に指摘されたような気がしたからです。

日本のプロスポーツといえば長らくプロ野球のことでした。
しかし、そのプロ野球の実情というのは本来あるべきプロ組織の姿ではありません。
すべての球団に親会社の名前がついていることでもわかるように、プロ野球の本質は実業団野球と変わらないんです。
額の多寡はありますが、親会社が資金を注入しなければ、いまの規模でチームを運営できる球団はひとつもないんです(あのジャイアンツですら親会社の系列のテレビ局に放映権を買ってもらわないとダメ)。
たとえば2004年にバファローズが消滅したのも親会社が経営から手を引いたからですが、これも本来のプロ組織ならば存続するはずなのです。あの事件はプロ野球が真のプロスポーツではないことの証拠でしょう。
また、いびつなことに、昭和28年に国税庁が出した〈職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について〉という通達をもとに、親会社が球団に対して行った支出や欠損金の穴埋めが”広告宣伝費”として認められているので、親会社はそれで税負担を軽減することができるんです。ちょっと乱暴ですが、プロ野球選手の年俸の一部が税金から支払われて
いるといってもいいかもしれません。
しかも、これは日本のプロスポーツのなかでプロ野球のみにしか認められていないのですから、一刻も早く廃止して欲しい通達です。

日本人はそういうプロ野球を長い間プロスポーツだと思ってきたので、アマ組織とプロ組織を明確に分けることをしないのでしょう。
そこに気が付いたバウマン事務総長は、「実業団容認」と譲歩したのだと思います。
では、我々日本人はその”譲歩”を容認すべきなのか。
まずはそういう議論から始めて、みんなで「はっ」としようじゃありませんか。
それが真の発展や成長に繋がると私は思います。
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