2014全日本フィギュア女子シングル(前)

浅田真央が休養、鈴木明子が引退した2014年全日本フィギュア女子シングルのテーマはどうしたって”世代交代”。
女王争いは村上佳菜子さんと宮原知子さんと本郷理華さんの三つ巴になることが濃厚で、誰が勝っても初優勝。
そこに評価の高いジュニア選手たちがいかにからんでくるか、本当に楽しみな大会です。
というわけでSP・FSをテレビ観戦した感想を手短に。

ジュニアGPFでも5位に入った永井優香(98年11月生まれ)は、このところあまり見なくなった動きと滑りが優雅で品にあふれたタイプの好選手。
もちろんジャンプの能力も高く、SPでは3T+3T、3Lzと成功、後半の2Aが抜けたのは残念でしたけど、その直前のスパイラルでもぶれていましたし、初出場の緊張があったのかもしれませんね。終盤はちょっとリズムを乱してSPは58.00(TES31.92・PCS26.08)で6位。
FSは3Lz+3Tを笑顔で降り、3Lz+2Tも決めていいスタートを切ったものの、エラーが気になるフリップは1Fに。
ステップとコレオは氷に吸い付くようなスケートが美しい『序奏とロンド・カプリチオーソ』。
後半冒頭の2A+3Tが回転不足気味の両足着氷になるも、その後の3本のジャンプを粘り強く着氷したのは立派でした。
手足を大きく優雅に使えているのがいいですね。
本人はすごく悔しそうな顔をしていましたけどFSは110.55(56.23・54.32)、合計168.55。
鮮烈な全日本デビューといっていいんじゃないでしょうか。

GPF6位の中塩美悠さん(96年10月生まれ)のSPは3T+3T、3F、2Aを跳んでノーミス。
ステップでの力強いディープエッジでもわかるように、演技全体も高いフィジカル能力を生かした迫力ある『フォッシー』でした。SPは60.07(34.35・25.72)の4位。
表彰台も狙える位置で迎えたFSは冒頭の3Lz転倒、抜けた2Loという厳しい出だしでしたけど、2A+3T+2Tをびしっと跳んだことで蘇り、続く2A+3Tも成功、後半は3Fの着氷を乱したものの、3S+タノ2T、最後の3Sは根性で着氷。
終盤は疲労が見えていましたけど、そのなかでジャンプを跳ぶだけではなく、コレオも演技になっていしたし、負けん気の強いいい選手です。
しかしFSは98.36(49.20・50.16・減点1)、合計158.43とあまりスコアが伸びません。
これは回転不足(UR)の判定のせいです。

今年の女子シングルは妙に回転不足の判定が国際大会以上に厳しかったわけなんですけど、なんでそんなジャッジ傾向を取るのか、本当にわけがわかりません。小塚崇彦が大会後に「女子は回転不足が厳しすぎてジャンプを不安そうに跳んでいる。もっと気持ちよく演技させてやるべきだ」と苦言を呈していましたけどまさにその通りです。
観客はいい演技を観たいのですし、この全日本の評価というのは今後の世界選手権やジュニア選手権、四大陸選手権にも繋がってゆくわけですから、辛いジャッジなど自国選手の足を引っ張っているだけにすぎません。
審判の権威を見せつけたいだけなのかもしれませんが、それがかえって権威を貶め、観客や視聴者の疑念を膨らませて
いることに早く気付くべきです。
今井遥さん(総合11位)、大庭雅さん(12位)、松田悠良さん(15位)などはSP・FSともにまずまずまとめたように見えたのに点数が低くてびっくりしました。後でプロトコルを見ると、信じられないくらい回転不足が付いているのですから、これではこの大一番に向けて努力してきた選手が本当に可哀想です。

全日本ジュニア2位の坂本花織さん(00年4月生まれ)のSP『黒い瞳』は3F+3T、3Lz(!)、2Aという高いジャンプ構成で57.81(35.17・22.64)。SPは7位。
スピンの回転速度で『黒い瞳』のアップテンポなリズムを奏でていたのが印象的でしたけど、スケーティングとフットワークがまだまだという感じだったのでPCSも伸びなかったのでしょう。
そしてFSでは3F+3T、2A+3T、3Lをクリーンに決めて抜群のスタートを切ると、後半も3Sと3Lz(エラー)を連続成功、続くコレオスパイラルでは早くも疲労が見られたものの、3F+2Tを何とか着氷させ、ステップでは足ふらつく場面があるも、2Aも成功!
最後のコンビネーションスピンも集中した回って、本当に粘り強い演技でした。本人も手を叩いて気迫の表情!
いまの自分の力を出し切ったという意味では「パーフェクト!」といっていいんじゃないでしょうか。凄いものを見せてもらいました。
会場中がスタンディングオベーションでしたけど、私もそこにいたら間違いなく立ち上がって大きく拍手をしていたことでしょう。
FSは109.65(60.29・49.36)、合計167.46。
背中の筋肉が凄かったですし、ジャンプにも動きにも切れがあって、フィジカル能力の高さがうかがえます。
そして本番で自分の力を発揮できるメンタルの強さも兼ね備えているわけですから、今後が本当に楽しみな選手です。

そんな坂本さんと同学年ながら今季はジュニアGP優勝1回、GPF3位、全日本ジュニア優勝と実績を積み上げてきたのは樋口新葉さん(2001年1月生まれ)。大会が始まる前からメディアでも注目されていた選手です。
しかしSPでは大きな2Aを跳んだあとの3Lz+3Tはやや着氷が乱れ(判定はUR)、後半の3Fもエラー気味。
これじゃスコアはあまり伸びないかと思われましたけど、SPは64.35(36.07・28.28)という高得点で3位。
軸の正確なスピンは3本ともレベル4(1本は不出来)、スケートスピードを生かしたステップがレベル3だったのはもちろん、演技に流れと勢いがあったせいかPCSも好評価でしたね(ジュニア女王としての実績点も加味されているのでしょう)。
ただ、初めての全日本ということで、その緊張感が体を固くさせていたのもまた事実。
それを乗り越えたいFSでしたけど、出だしが1Lzにパンク(コンボ予定)、それでも3Loと3Sを決めて流れを作り直すと、エッジが力強くてぶれないステップシークエンスで観る者を驚かせ、気合の入った表情で跳んだ後半冒頭の2A+3Tは素晴らしい飛翔、続く3Lzは惜しくもオーバーターンからの+3Tになるも、これは最初のコンボ予定のリカバリーなのですから、後半セカンドトリプル2回は凄いことです。
しかもこの樋口さんの素晴らしいのは後半に入ってからもスピードがまったく衰えず、エラー気味の3F、2A+2T+2Loを勢いよく成功させると、これをでもまったくそれは衰えず、スケートも氷をしっかりとらえていました。これだと演技の質も維持できますよね。
FSは117.47(61.79・55.68)、合計181.82。
FSではスピンで目に見えるミスがあったように全体的にはなかなか自分をコントロールできなかったようですね。樋口さんも悔し涙を浮かべていました。
ただ、それでもジャンプを粘り強く着氷させ、曲を表現するという部分でもしっかり音を聞いていたと思います。
まだまだ振り付けやフットワークで曲を彩るという部分に拙さはありますが、それは年齢とともに上達してゆく部分ですし、それよりもいまは曲の流れを作ることができる才能を持っていることを楽しみにしたいところです。
また、樋口さんはジャンプの勢いやスケーティングスピードに注目が集まりがちですけど、スピンの技術や基本的なフットワークがとても正確で癖がないのもスムースな成長に繋がってゆくと思います。
そして何よりも勝気な雰囲気がいいですよね、私もファンになっちゃいました。
今後は3Aや4Sに挑戦してゆく予定だそうですし(それがあればFSでエラーのフリップを跳ばなくていいようになりますね)、日本全土をハラハラワクワクさせてくれる存在になるといいですね!
(優勝を争う後編に続きます。)
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