冷遇と普通の県

私がまだ関西に住んでいる頃のことですが、故・横山ノックさんの大阪府知事時代はタレント知事だったこともあって頻繁にテレビニュースで取り上げられていました。
そんななか、いまでも私の記憶に残っているのは、ノックさんが「これから東京に陳情にゆきます。アポなしで」と不敵に笑いながら記者に応えている場面。
ノックさんは府の行革を進めたことでいまでも一定の評価を受けていますけど、当時のテレビなんかではよく「中央政界とのパイプがあって、陳情が上手い」といわれていました(参議院議員を4期も務めていたせいでしょう)。

日本の都道府県というのは自主財源に乏しく、国からの地方交付税に頼らざるを得ないので、それをいかに引っ張ってこられるかというのが知事の大きな仕事になります。ですから中央官庁出身の知事が大半なのです。、
しかし、日本には47もの都道府県があるわけで、知事のひとりひとりが各省庁の大臣や上級官僚に直接会って話がしたいと思っても、簡単に約束は取り付けられません。
ノックさんが「アポなしで」と笑ったのは、自分にはそれでも大臣や役人に会うだけのパイプや手腕がある、と誇っていたからでしょう。
それも含めて知事の能力です。
大臣や高級官僚に会えなければ族議員などに陳情するわけで、上京するたびに手ぶらで帰ってくるような知事ならば、それは能力がないということでしかありません。

それなのに沖縄県の翁長雄志新知事がこの1月にサトウキビ交付金関係の要請と全国知事会出席のため上京した際、政府の大物との面談が叶わなかったとなると、マスコミがこぞって政権批判しているのですから私には不思議でなりません。
何か要望があったら知事の側が政府や省庁にガンガン押しかけてゆくというのが日本の政治です。いいか悪いかはおいておいて。
翁長知事はなぜそれをしないのでしょう?待っていたら政府の方から話を聞きにきてくれるなんてことはないはずです。
それは国と地方の上下関係という以上に、47も都道府県があるという物理的な問題です。
ちなみに、翁長知事が昨年末に就任の挨拶で上京した際には、山口俊一沖縄担当大臣と面談しているのですから、政府は一定の礼儀は尽くしていると思います。
それなのにマスコミは政府が沖縄振興予算の減額を検討していることと合わせて、「沖縄いじめだ!」とかいって総バッシング。
そもそも翁長さんは12月の沖縄県知事選挙において、”米軍基地反対の立場”でもって政府自民党系候補の仲井眞弘多前知事と戦って勝ったひとです。政府関係者が笑顔で会ってくれるわけはないですし、もしそんなことをすれば政府自民党としても仲井眞さんに対して顔が立たない、それが普通の感覚でしょうに。

また、振興予算の減額ですが、沖縄県民が米軍基地反対の知事を選んだということは、基地に頼らない県づくりを目指すと標榜したことに他なりません。むろん振興予算というのは基地の迷惑料のようなものですから、それを「いらない」といったのと同様です。
私はそういう沖縄県民の意思を支持します。
基地というのは永遠にそこにあるものではありません。アメリカの戦略もあるでしょうし、日本が今後自衛力を高めてゆくとすれば縮小せざるを得ないものです。そんなものにいつまでも頼っていてはいけませんし、沖縄は新たなる産業を盛り上げてゆくべきです。

そして、そういう時代の沖縄県知事は(他の都道府県知事のように)積極的に中央政府・中央官庁に働きかけをしなければ
ならないのはいうまでもありません。それが米軍基地に頼らない”普通の県”になるということです。
そういう意味で、翁長知事が相応しいのかどうか、私はそこに矛盾を感じています。
いったい沖縄のひとたちは新しい沖縄のかたちをどう考えているのでしょう?
「冷遇」とばかりいっているうちは普通の県にはなれないと思います。
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