本格的なコーヒーとは

コーヒーというのは現在地球上で最も親しまれている嗜好飲料(非アルコール)ですが、ライバルのお茶とは違い、様々な淹れ方があるのは本当に面白いですよね。
歴史的にいえば、煮出して上澄を飲む方法から始まり、1700年代初頭に布で濾す方法(ネルドリップ)が考案されてからは味わい方が一変し、1800年代初頭にはサイフォン、1900年代初頭には加圧式(エスプレッソ)やペーパードリップが誕生して現在に至っているというわけです。
他にも水出しやプレス式などがあって、そのどれが一番いい方法なのか、いまだに答えがないのもコーヒーの魅力かもしれません。

…と、私は思っているのですが、一般的にはサイフォンとネルドリップが”本格的”で、ペーパードリップは家庭的、それ以外は変わり種という認識をお持ちの方も多いですよね。
サイフォンやネルドリップが”本格的”という印象になってしまうのは、喫茶店の多くがこの方式を採用していて、それを見たお客さんが「家庭じゃ無理」と感心するからだと思うんです。
でも、その”本格的=美味しい”なんでしょうか?
私は喫茶店がサイフォンやネルドリップを採用している理由の大半は、味ではなく、経営的な理由だと思っています。

たとえばオフィス街の、マスターひとりで切り盛りしているような喫茶店で、カウンターに小さなサイフォンをずらりと並べているような風景がありますよね。
マスターは注文が入るとサイフォンをセットし、次々と火を点け、お湯が上(漏斗)に上がってきたら豆をかき混ぜ、下(フラスコ)にコーヒーが落ちたらお客さんに出す。
このサイフォン式のいいところは、最初に決まった量のお湯と豆をセットして火を点けておけば、後はほとんど手がかからないことです。
ですからその間にマスターは他の仕事をすることができる。
見た目もいいですし、喫茶店にサイフォンが多いのはそういうわけです。

そしてネルドリップはというと、これで一杯一杯淹れる喫茶店はほぼ”ない”といっていいでしょう。
ネルは状態を維持するのが大変なので、普通は大きなものを使って一度に数杯、もしくは十数杯分を淹れ、それを保温するか温め直して、注文が来る度にお客さんに出すのが一般的です。
私もネルドリップは豆の味を最も素直に抽出する方法だと思いますけど、一杯一杯淹れられないのであればその魅力も
半減するといわざるを得ません。
(※ネルは目が細かいのでコーヒーが滑らかになる上、ペーパーや水出しでは抽出されにくい油も通します。)
コーヒーを一度に大量に淹れる方法というのは巨大サイフォンを使ったり、水出しにしたりとありますけど、味の安定感とコスト(水出しは豆が多めに必要)を考えると、ネルドリップがベターだということで広く採用されているのでしょう。

ここ数年、コーヒーを飲む文化というのは飛躍的に進歩しました。
その理由は農園での生産から徹底的に管理された、いわゆるスペシャリティコーヒーの素晴らしさが世界的に認知されたからです(フェアトレードに繋がっています)。
コーヒー好きのひとは”品種と農園”で豆を選ぶようになっているわけです。
ですから飲むときは当たり前のようにストレート(ブレンドなし)、淹れるのも飲む分だけということになります。
そのためか最新の喫茶店では”ハンドドリップ”などと称して、注文が来るたびに店主がヤカンを手にコーヒーを淹れていますよね。
その場合は大抵ペーパードリップです。
少ない量を注文が来る度に、となれば味の面でも経営的にもこれがベストなのでしょう。
そして、現在の最先端がこれならば、それは”本格的”ということになります。

ただ、ハンドドリップなどと大仰にいいますけど、これって普段我々が家でやっている淹れ方ですよね。
”本格的=家庭的”というわけです。
これからの喫茶店というのは、そのハンドドリップの技術を競うようになるのかもしれません。
なんか地味ですけど…。
数台のサイフォンを巧みに使いこなすのを見る方が私は好きです!
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