2015四大陸選手権・男子FS(後)

(続きです。)
SPで2位以下に9点近い大差を付けたデニス・テン(カザフスタン)ですが、安定感があるタイプではないので少しも楽観視はできません(今季のGPSでは2戦とも150点に届かず)。
優勝するためには序盤のビッグジャンプをいかにまとめるかが大事になってきますが、冒頭は力みながらもそれを上手く抑えて4T成功、4T3Tも素晴らしいキレ、3A+2Tややこらえる形ながらも着氷!これで視界が開けた!
ヨーヨー・マの『ザ・シルクロード・アンサンブル』にのって、まさにその遥かな道のりを辿るかのような伸びやかなコレオシークエンス。スケーティングの正確さは絹糸を思わせます。
そうして勝利を確実にしたい後半冒頭3Aはオーバーターンするも、3F+1Lo+3Sはしっかり決め、3Lzは降りた後にターンで彩る余裕、3Loと2Aも無事着氷。
ステップシークエンスでは砂漠の民の踊りを見事に氷の上で表現、音楽を捉える感性の豊かさと、見事なボディコントロールとスケート技術、まさに圧巻でした。
ただ、このステップの終盤から疲労が見え、続いてのシットスピンはやや崩れる感じ、それでも集中力だけは切れずに最後のコンビネーションスピンはしっかりと回って堂々のフィニッシュ!この大会ではやはり格が違う!
全力を絞りつくしたデニス・テンは氷の上に寝転がり、胸を鞴のように上下させていましたけど、本当に充実した演技でした。いくつかあったミスも気になりませんでしたよね。
FSは191.85(100.45・91.40)、合計289.46。
SPからそうでしたけど、この大会のデニスには気前よく点が付いています。カザフスタンが冬季五輪招致を計画しているのでその影響もあるかもしれませんね…。
デニス・テンといえば全力演技が特徴で、それが演技の熱気を生む反面、力が入り過ぎてミスが出るというタイプでしたけど、今季はやや演技を抑制的にして安定感を求めているようにも見えます。彼ももう21歳、大人になったということでしょうか(私は青い時代の方が好み)。
彼のコーチはエヴァン・ライサチェクを金メダリストにしたフランク・キャメルですし、今後は手堅く勝ち星を積み上げて、金メダル候補の地位を作ってゆくものと思われます。
日本勢とは激しくも清々しい戦いをして欲しいですよね!

私が優勝を願っていた宇野昌磨くんですが、デニス・テンのスコアを抜くのは現実的には不可能。
こうなれば”2位”はしっかり確保したいところ。
しかし、冒頭の4Tでお手つきステップアウト、助走からいつもとリズムが違っていました。
こうなると次のジャンプが心配になりますけど、イーグルからの3Aはばっちり成功!、3A+2TもOK!この修正能力には痺れました!
正確なスピンの後は色気を振りまくようなステップシークエンス、17歳の少年が醸し出す大人の雰囲気はまさに芸の力、宇野昌磨は現代の『ドンファン』だ!
こうなればもうゾーンに入って、観客を魅了したままフィニッシュへと向かう、それが宇野くんのパターンですが、この日はやはり何かがおかしかったのか、後半冒頭の2A+1Lo+3Sでまさかの転倒。
それでも3Sと3Loを見事に決めたのは立派、しかし3Lzを回避しての2Aはやや詰まり気味、足にきているのだとしたら、キャメルスピンの後のコンボはかなりやばい…。
しかしここで3F+3Tをばっちり決めるのだからさすが宇野昌磨!
終盤のコレオではさすがに疲れの色が見られましたけど、そこは持ち前の技術でカバーして、最後は正確無比のコンビネーションスピンで大団円!よく滑りきりました!観ていてぐいぐい引き込まれました!
ただ、演技全体に緊張が見られたのは確かで、シニアのチャンピオンシップはこれが初めてとういうのもあるでしょうし、
全日本2位になったことで大会前に注目が集まったというのもプレッシャーになったのかもしれません。これもいい勉強ですね。
演技を終え、へとへとになった宇野くんは心底悔しそうで、目にはうっすら涙も。
表彰台に立つためには閻涵の259.47を越えなければなりませんが、これはかなり微妙…。
そうして出てきたスコアは167.55(86.11・82.44・減点1)、合計256.45、惜しくもメダルに届きません。 
大きなミスが1つだけならば、とか2Aではなく3Lzならば、とかタラレバがいいたくなりますけど、PCSもしっかり評価されていましたし、技術的に負けたなら仕方ありませんよね。
宇野くんもほんと悔しいと思いますけど、その思いは世界ジュニアにぶつけてください!栄冠を勝ち取るとの待っていますぜ!

日本男子の複数メダルもあるかと思われた状況から一転、”メダルなし”も見えてきた最終滑走、村上大介くんが笑顔を浮かべながらリンクインしたのは私にはちょっと意外でした。初の世界選手権がかかっていた全日本のFSではガッチガチでしたからね。
これならやれる、本当に頼む、救ってくれ日本を!
日本中がそういう願いに包まれるなか、村上くんは4S、4S+2Tと的確に着氷し、スピンを挟んだ3A+3Tも成功!抜群の立ち上がり!
その成功の実感をかみしめるようなコンビネーションスピンで前半を終わらせ、後半冒頭の3Aもクリーンジャンプ!勝負所を抑えた!
これでゾーンに入ったのか、3Lz、3Loも機械のように着氷!まさにこれはNHK杯の再現だ、いく、これはいける!
ステップシークエンスではリラックスした丁寧な動きに笑顔も映え、3Fも成功、最後の3Sはやや詰まるも無事着氷すると、重たいものから解放されたようなコレオ、ぶれのないキャメルスピンで爽快なフィニッシュ!曇りのないピアノ協奏曲第2番でした!
やり切った村上くんは氷上に満足そうに寝転がり、立ち上がると最高の笑顔で「DICE!DICE!」の声援に応えます。
本当によくやってくれました、まさに救世主です!
しかしスコアは173.61(91.47・82.14)、合計256.47で、わずかにメダルに届きません!
コンボが2つしかなかったとはいえ(規定では3つまで)、SP・FSの両日でクリーンプログラムを揃えたのは村上くんだけだったので、メダルを取れないというのはショックの一言。村上くん本人も演技後に驚いていましたよね。
まあ、それだけこの大会のレベルが高かったということでしょうけど本当に残念。
来季は村上くんも4T導入など、基礎点を上げてゆきたいですよね。そうすれば全日本のメダルもより見えてくるはずです。
遅れてきた大介2世に期待しましょう!

これで日本男子は2007年以来となるメダルゼロ。
しかし、我々は宇野くんと村上くんがメダルに相応しい演技をしたことを忘れてはなりません。
2人ともチャンピオンシップデビュー戦とは思えぬ活躍だったと思います。
もし、開催地が日本であれば、2人とも表彰台に立っていたことでしょう(今大会はソウル)。
ただ、今回もアメリカによる豪快なファリス押しがあったように、四大陸選手権というのは何が起こるかわからない大会です。
不測の事態を跳ね除けるだけの実力をつけてゆくしかないのです。
がんばれフィギュア日本男子!
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