2015世界フィギュア・女子FS(前) 選手たちの意地
この2015世界フィギュアが始まる前の日本女子”3枠確保”は、ランキングや実力からいってかなり微妙なところでしたけど、SPが終わってみると3・4・5位という好位置につけるのですから大和撫子は逞しい!
こうなると人間、”欲”が出てくるものですから、どうしたってメダルを考えちゃいます。
宮原さんの銅メダル、あると思います!
というわけで、新日本女王のさらなる飛躍に期待しながらテレビ視聴した女子FSの様子をざっくばらんに。
日本勢のライバルでありながら、怪我での調整不足もあってSP8位に沈んだグレイシー・ゴールド(アメリカ)でしたけど、このFSの『オペラ座の怪人』では牙をむいてきました。
まずは3Lz+3Tを果敢に決めると、2A+3Tはやや軸ぶれながらしっかりまとめ、3Loもよし、正確なスピン2本で前半を終わらせ、後半冒頭のウォーレイからの3F(エラー気味)でふらり、3Lzでステップアウトと崩れかかるものの、3S+2T+2Tを気迫で着氷して流れを取り戻すと、ステップシークエンスでは伸びやかなスケーティングで美しいクリスティーヌへと変じ、2Aも成功、形のいいレイバックスピン、最後のコレオも食らいつくようにスピードを落とさず、いい雰囲気のまま笑顔のフィニッシュ。
演技面でも質の高いスケーティングを主体に、優雅で大らかな個性をよく表現していて、「さすが」の一言でした。
FSは128.23(TES65.15・63.08)、合計188.96。
不調のなかでも変わらぬ誇りの高さ。来季はしっかりと体を作っていって欲しいですよね。
後輩のがんばりに負けてはいられないのは全米女王のアシュリー・ワグナー。
同じくSPでは11位と出遅れ、もはや悲願のメダルはかなり厳しい状況ですが、それでも全力を尽くさねばならぬのが歴史ある全米女王の責任。
…なんて発破をかける必要はまったくなし!
このFSのワグナーは最初からエンジン全開で、勢いのある2Aからスタートすると、3Lz+3T(やや回転不足か)も強引に決め、2A+2Tも軽々。スケートが走って物凄いスピード感。
2本のスピンもその勢いのまま正確でパワフルに回ると、後半の3Lo+1Lo+3S(やや回転不足気味)も豪快に着氷、3Fはややバランスを崩すもこらえ、得意のイーグルからの3Loはばっちり。
ステップでもエネルギッシュかつ大胆に攻め、表情豊かに『ムーラン・ルージュ』の世界を演出すると、最後の3Lzも着氷、終盤のコレオの勢いも衰え知らずで気迫を存分にまき散らし、自分の存在価値を高らかに歌い上げるようなコンビネーションスピンで終幕!
まさに圧巻のFS、一瞬たりとも目が離せませんでした。
ジャンプの回転不足やルッツのロングエッジという細かい指摘はあると思いますが、高難度のジャンプ構成、高品質の技術要素、研ぎ澄まされた集中力とパワー溢れる演技、ワグナーを代表する最高のプログラムになっていたと思います。
のっけからお客さんを自分の世界にぐいぐい引き込んで、総立ちにさせた、これぞフィギュアの醍醐味、これぞ全米女王!
FSは127.20(62.74・64.46)、合計185.01。この時点で暫定2位のため表彰台は絶望的。
今季はルッツを鍛えて3Lz+3Tを導入するなど恐るべき進化を見せたワグナー、来季も世界のメダルを目指して欲しい!
アメリカの3番手ながら大器の片鱗を見せつけまくっているポリーナ・エドモンズ、お姉さん達に続け!
『Fairy Dance』のティンカーベルに扮したエドモンズ、冒頭の3Lz+3Tはややぶれながら上手くバランスを直して着氷、妖精らしく舞ってからの3F(エラー気味)+1Lo+3Sはややギクシャク、ステップでは高速ツイズルが鮮やかでスピンも高速回転、身体能力はやはり高い。
後半冒頭は降りに工夫をこらした2Aで演出し、3Lzと3F(エラー気味)もしっかり着氷、しかし、スピンシットを挟んでの3Lo+2Tは力のない着氷、どうやらスタミナが切れてきたみたいで、コレオに勢いが出ず、2Aも両足気味に。最後のビールマンスピンは長身が映えて綺麗でしたけど、全体的にはちょっと尻すぼみの印象でした。
FSは116.12(58.45・57.67)、合計177.83。
体型変化も落ち着いてきたみたいですし、来季は怖い選手になりそうです。
足首の怪我でほとんど調整ができていないというアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)はSPでは1転倒と食い下がったもののFSは
かなり不安。
それが的中する形で1Lzのスタート、たどたどしい3Lo+1Lo+3S、ウィンドミルスピンは豪快、しかしステップではいつもより元気がなくなかなか『火の鳥』が燃え上がりません。
後半の3F+タノ2を必死に着氷、このあたりからなんだか足元が覚束ない感じ、そして3Lzは腹ばいになる大転倒、やはり調整不足は明らかか。
しかし、普通なら演技を止めてしまいかねない大転倒の後でもポゴリラヤは前だけを見据えた表情で立ち上がりると2Aを成功、さらに挑んだ2A+3Tは完全にダウングレードになりながらの転倒。
無謀なジャンプでしたけど、ポゴリラヤの負けん気の強さを象徴する場面でした。
それでもこのあたりが限界だったのか、ふらふらの3Lo、コレオスパイラルにも勢いが出ず、目には薄ら涙も。
最後は意地でキャメルとレイバックをしっかり回って、全力を絞りつくしたフィニッシュ。
それにしても凄いド根性でした。これでまだ16歳なんですからロシアというのはどういう国なんでしょう!
FSは99.81(48.20・53.61・減点2)、合計160.31。
来季も国内での争いは熾烈でしょうけど、この日のド根性があれば、またきっと勝ち抜ける!
いよいよ始まった最終グループ、「ウォー!」という大歓声のなか一番手で登場したのは地元中国の李子君。
可愛らしい顔立ちをしていますし、アイドル的な人気なんでしょうねえ。
その声援に応えて3F+3Tの成功でスタートした李子君でしたけど、次の2A+2Tで崩れるようなお手つき(転倒か)。
励ましの拍手のなか立ち上がって3S+2Tを決めたものの、どうもこの日はスピードが出てきません、ステップシークエンスももっさり。声援が重圧になっていたのか、ガチガチでした。
後半冒頭の3Fも手探りのような感じで、3Lz(エラー)では回転不足気味の転倒、2Aを降りて大きな拍手をもらうも、コレオはパワーと勢いがなく、最終盤に寄せ集めた得意のスピンはへとへとでプログラムを盛り上げるには至らず、最後の片手ビールマンでなんとかお客さんを喜ばせたものの寂しい『ムーンリバー』になってしまいました。
FSは103.39(50.27・54.12・減点1)、合計16522。
しなやかさや淑やかさが特徴の選手ですけど、結果を出してゆくためにはやはりフィジカルを上げてゆかねばなりません。
脱アイドル宣言だ!
(※日本3人娘の活躍が楽しみな後編に続きます。)

こうなると人間、”欲”が出てくるものですから、どうしたってメダルを考えちゃいます。
宮原さんの銅メダル、あると思います!
というわけで、新日本女王のさらなる飛躍に期待しながらテレビ視聴した女子FSの様子をざっくばらんに。
日本勢のライバルでありながら、怪我での調整不足もあってSP8位に沈んだグレイシー・ゴールド(アメリカ)でしたけど、このFSの『オペラ座の怪人』では牙をむいてきました。
まずは3Lz+3Tを果敢に決めると、2A+3Tはやや軸ぶれながらしっかりまとめ、3Loもよし、正確なスピン2本で前半を終わらせ、後半冒頭のウォーレイからの3F(エラー気味)でふらり、3Lzでステップアウトと崩れかかるものの、3S+2T+2Tを気迫で着氷して流れを取り戻すと、ステップシークエンスでは伸びやかなスケーティングで美しいクリスティーヌへと変じ、2Aも成功、形のいいレイバックスピン、最後のコレオも食らいつくようにスピードを落とさず、いい雰囲気のまま笑顔のフィニッシュ。
演技面でも質の高いスケーティングを主体に、優雅で大らかな個性をよく表現していて、「さすが」の一言でした。
FSは128.23(TES65.15・63.08)、合計188.96。
不調のなかでも変わらぬ誇りの高さ。来季はしっかりと体を作っていって欲しいですよね。
後輩のがんばりに負けてはいられないのは全米女王のアシュリー・ワグナー。
同じくSPでは11位と出遅れ、もはや悲願のメダルはかなり厳しい状況ですが、それでも全力を尽くさねばならぬのが歴史ある全米女王の責任。
…なんて発破をかける必要はまったくなし!
このFSのワグナーは最初からエンジン全開で、勢いのある2Aからスタートすると、3Lz+3T(やや回転不足か)も強引に決め、2A+2Tも軽々。スケートが走って物凄いスピード感。
2本のスピンもその勢いのまま正確でパワフルに回ると、後半の3Lo+1Lo+3S(やや回転不足気味)も豪快に着氷、3Fはややバランスを崩すもこらえ、得意のイーグルからの3Loはばっちり。
ステップでもエネルギッシュかつ大胆に攻め、表情豊かに『ムーラン・ルージュ』の世界を演出すると、最後の3Lzも着氷、終盤のコレオの勢いも衰え知らずで気迫を存分にまき散らし、自分の存在価値を高らかに歌い上げるようなコンビネーションスピンで終幕!
まさに圧巻のFS、一瞬たりとも目が離せませんでした。
ジャンプの回転不足やルッツのロングエッジという細かい指摘はあると思いますが、高難度のジャンプ構成、高品質の技術要素、研ぎ澄まされた集中力とパワー溢れる演技、ワグナーを代表する最高のプログラムになっていたと思います。
のっけからお客さんを自分の世界にぐいぐい引き込んで、総立ちにさせた、これぞフィギュアの醍醐味、これぞ全米女王!
FSは127.20(62.74・64.46)、合計185.01。この時点で暫定2位のため表彰台は絶望的。
今季はルッツを鍛えて3Lz+3Tを導入するなど恐るべき進化を見せたワグナー、来季も世界のメダルを目指して欲しい!
アメリカの3番手ながら大器の片鱗を見せつけまくっているポリーナ・エドモンズ、お姉さん達に続け!
『Fairy Dance』のティンカーベルに扮したエドモンズ、冒頭の3Lz+3Tはややぶれながら上手くバランスを直して着氷、妖精らしく舞ってからの3F(エラー気味)+1Lo+3Sはややギクシャク、ステップでは高速ツイズルが鮮やかでスピンも高速回転、身体能力はやはり高い。
後半冒頭は降りに工夫をこらした2Aで演出し、3Lzと3F(エラー気味)もしっかり着氷、しかし、スピンシットを挟んでの3Lo+2Tは力のない着氷、どうやらスタミナが切れてきたみたいで、コレオに勢いが出ず、2Aも両足気味に。最後のビールマンスピンは長身が映えて綺麗でしたけど、全体的にはちょっと尻すぼみの印象でした。
FSは116.12(58.45・57.67)、合計177.83。
体型変化も落ち着いてきたみたいですし、来季は怖い選手になりそうです。
足首の怪我でほとんど調整ができていないというアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)はSPでは1転倒と食い下がったもののFSは
かなり不安。
それが的中する形で1Lzのスタート、たどたどしい3Lo+1Lo+3S、ウィンドミルスピンは豪快、しかしステップではいつもより元気がなくなかなか『火の鳥』が燃え上がりません。
後半の3F+タノ2を必死に着氷、このあたりからなんだか足元が覚束ない感じ、そして3Lzは腹ばいになる大転倒、やはり調整不足は明らかか。
しかし、普通なら演技を止めてしまいかねない大転倒の後でもポゴリラヤは前だけを見据えた表情で立ち上がりると2Aを成功、さらに挑んだ2A+3Tは完全にダウングレードになりながらの転倒。
無謀なジャンプでしたけど、ポゴリラヤの負けん気の強さを象徴する場面でした。
それでもこのあたりが限界だったのか、ふらふらの3Lo、コレオスパイラルにも勢いが出ず、目には薄ら涙も。
最後は意地でキャメルとレイバックをしっかり回って、全力を絞りつくしたフィニッシュ。
それにしても凄いド根性でした。これでまだ16歳なんですからロシアというのはどういう国なんでしょう!
FSは99.81(48.20・53.61・減点2)、合計160.31。
来季も国内での争いは熾烈でしょうけど、この日のド根性があれば、またきっと勝ち抜ける!
いよいよ始まった最終グループ、「ウォー!」という大歓声のなか一番手で登場したのは地元中国の李子君。
可愛らしい顔立ちをしていますし、アイドル的な人気なんでしょうねえ。
その声援に応えて3F+3Tの成功でスタートした李子君でしたけど、次の2A+2Tで崩れるようなお手つき(転倒か)。
励ましの拍手のなか立ち上がって3S+2Tを決めたものの、どうもこの日はスピードが出てきません、ステップシークエンスももっさり。声援が重圧になっていたのか、ガチガチでした。
後半冒頭の3Fも手探りのような感じで、3Lz(エラー)では回転不足気味の転倒、2Aを降りて大きな拍手をもらうも、コレオはパワーと勢いがなく、最終盤に寄せ集めた得意のスピンはへとへとでプログラムを盛り上げるには至らず、最後の片手ビールマンでなんとかお客さんを喜ばせたものの寂しい『ムーンリバー』になってしまいました。
FSは103.39(50.27・54.12・減点1)、合計16522。
しなやかさや淑やかさが特徴の選手ですけど、結果を出してゆくためにはやはりフィジカルを上げてゆかねばなりません。
脱アイドル宣言だ!
(※日本3人娘の活躍が楽しみな後編に続きます。)


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