国産バターの未来を考える

ながの東急で開催中の〈初夏の北海道物産展〉(5月21日~6月2日)のチラシを眺めていた相方が、「またマルセイバターサンドの値段が上がった!」と憤っていたので、ちょっと調べてみると、今年2015年3月から「原材料の高騰」を理由に1個5円高くなっているとのことでした。
この原材料とはおそらく”バター”のことだと思うんですけど、日本ではここ数年毎年のように「品不足」、「スーパーの棚から消えた」なんていって大騒ぎしていますよね。一昨日5月26日には農水省が業務用バターの緊急輸入を行う方向だとの報道もありました。

このバター不足が起こるのは決まって初夏と秋、つまりは暑くなり始めと寒くなり始めです。
日本の乳牛の99%を占めるホルスタインは暑さと寒さに弱く、近年は特に暑くなるのが早いせいで乳の出が悪くなる(猛暑による体調不良と牧草の質の低下)、という専門家の分析があるようです。
放し飼いの鶏の卵も同じ時期に生産量が落ちますし、それが自然というものなのでしょう。
しかし、生産量が落ちる時期は毎年決まっているわけですから、それを補填するために繰り返される”緊急”輸入というのは少々馬鹿げていますよね。計画的に輸入すればいいだけです。

そのバターの輸入についていうと、国産は外国産に比べて価格がかなり高いので、生産者保護のために関税がかけられていて、一定の輸入量(600トン)までの1次関税が35%、それを超えた分の2次関税は29.8%+1kgあたり179円。
これだけでもかなり重いのですが、〈農畜産業振興機構〉なる農水省所管の独立行政法人が「酪農家への助成」を名目に、1kgあたり806円の輸入差益を輸入業者から取るのですから、ケーキ屋さんの手元にバターが届く頃にはだいたい元の3倍くらいの値段になってしまうんです。
ちなみに、日本で流通している国産バターはだいたい100g200円、外国産もそれと同じくらいなので(※2次関税がかかる商品はこれより割高)、もともとは100g100円しないはずです。
ですから、もし、TPPでバターが自由化され、その額で日本の消費者が外国産バターを購入することができるようになれば国産バターは壊滅的なダメージを受けるのは間違いありません。
たぶん、業務用は全て外国産、スーパーの棚の大部分も外国産になり、国産で残るのは品質やイメージを向上させてブランド化している一部の商品だけになるのではないでしょうか。

私も一消費者として、安いバターは大歓迎です。
国内の酪農家への影響を考えなくもありませんが、生乳の輸入は難しいので、その部分で酪農家は守られるはずですし、そう心配はいらないのではないかと思っています。
けれども、バター生産の技術や伝統を守るという意味では国産バターの灯を消してはならないとも思っています。
そのためにはブランド化だけでは力不足です。何か付加価値を生み出さねばなりません。

そこで思い出したのは、欧米のバターは「日本の豆腐のようなもの」という言葉です。
これはかつての日本人が毎朝、豆腐を近所の豆腐屋さんで買っていたように、欧米人も出来立てのバターを毎朝牛乳屋さんで買っていたという意味でしょう(手作りという意味かもしれません)。日本でも気の利いたホテルなんかでは朝食に出来立てのバターを出すところがありますよね。
これだと生乳の”鮮度”が命ですから、使うのはもちろん国産生乳、そこに”出来立ての味”という付加価値を添えて提供すれば、国産バターは十分にやっていけるのではないでしょうか。
もちろん、日本にはバター屋などはありませんから、実際にはスーパーやコンビニといった小売り店での販売になるのでしょうけど、”出来て数日”を目指せば十分だと思います。
つまり、国産は”出来立て”、外国産は”安さ”という棲み分けです。

私のアイデアが実現性があるのかどうかはわかりませんが、輸入差益を助成金にするなどといったやり方を続けるよりは
ずっとましだと思います。
農水省も農畜産業振興機構も日本の酪農の未来をもっと本気で考えてほしいものです。
もう時間はありません。
こちらも鮮度が命です。
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