野球観戦事故の責任はどこに

プロ野球のナイターといえば、一昔前は毎晩のようにテレビ中継していましたけど、いまは年間数えるほどしかありません。
なので今日(6月6日)、NHKで中継されているのを外出先でちらっと観たときは、ちょっと戸惑ってしまいました。
あとで結果を確認したところ、そのジャイアンツ×ホークスのゲームは1点を争う白熱の展開で、とっても面白そうでした。
お客さんも視聴者も大いに満足したのではないでしょうか。

今日はそんな具合にプロ野球にとってはめったにない良き日だったわけですが、海の向こうのメジャーリーグからはそれとは逆の痛ましい事故が届いていました。
5日に行われたレッドソックス×アスレチックスの試合で、試合中に折れたバットが内野席に飛び込み、女性観客の頭部に直撃してしまったのです。
試合はもちろん中断され、血みどろの女性がタンカで運ばれてゆくと、スタジアムは凍ったようになっていました。
メジャーリーグではすっぽ抜けたバットやファウルボールが観客席に飛び込んでお客さんが怪我をすることはよくありますけど、いわゆるベースボールの不文律で主催者は一切の責任を取らないことになっています。
”自己責任”というよりも、観客も”プレイヤーのひとり”という考え方なのでしょう。
しかし、今回の事故は警察の発表によると「生死にかかわる重症」とのことですから、何か議論が起こるかもしれませんね。

この不文律は日本も踏襲しているわけですが(考え方でなく形として)、今年(2015年)3月、それを覆すような判決が札幌地裁で下されました。
日本ハムファイターズ主催のゲームで、ファウルボールが右目を直撃し、失明してしまった30代女性が4650万円の損賠賠償を求めていた裁判で、「安全策を怠った」として主催者側の責任が認定され、4190万円の支払いが命じられたのです。
これは野球の常識を破壊するような判決でした。
日本でもファウルボール事故はありますけど、その多くは”示談”で終わって裁判にはなりませんし、主催者側が負けたというのも聞いたことがありません。
チケットに”怪我は自己責任”という内容が書いてありますし、場内アナウンスで「ファウルボールにはご注意ください」と呼びかけているので、主催者側はそれを逃げ口上にしていたわけです。
今回はそれが通じなかったので、日ハムもびっくりしたに違いありません。

これは私の想像ですが、近年のプロ野球のスタジアムでは、”臨場感”がひとつの合言葉になっていて、ファウルグランドを狭めた
エキサイティングシートや、外野フェンスを改造したホームランテラスなるものが誕生し、内野席の防護ネットを外す動きも盛んなので、裁判官は以前に比べてスタジアムが”危険”になっている、という認識を示したのではないでしょうか。
確かに”臨場感”というのは”危険”とも隣り合わせで、訴えられた札幌ドームでも、防護ネットを外してからは年間約100件のファウルボール事故が起きていることが裁判で明らかにされています。
札幌ドームは日ハムのホームゲーム以外でも使われていますけど、それでも年間70試合前後でしょうから、1試合に1件以上の
事故が起きていることになります。
もちろんこれは札幌ドームだけが極端に多いということは考えられませんから、他のスタジアムでも似たり寄ったりの数字なのでしょう。
怪我の程度はわかりませんが、お客さんは”観戦に行けば怪我をする可能性がある”という認識を持たなくてはなりません。
しかも、怪我をしても主催者は責任を取るつもりはないんです。
日本ハムも判決を不服として、控訴しています。

ちなみに私は野球観戦に行くときは基本的に外野にしか座りません(外野席のないスタジアムなら内野の上の方)。
へたれといわれても、ファウルボールが怖いんです。
野球観戦というと、私は何か食べたり飲んだりしながら、のんびり観たい方なので、”臨場感”なんてあまり欲しいとも思いません。打球音や野手の動き、走塁判断の醍醐味だけで十分に楽しめます。
なのでエキサイティングシートではなく、セイフティシートが欲しいくらいです。

札幌地裁の判決は野球ファンも野球関係者も賛否両論のようでしたけど、スタジアムの座席に”安全度”を付ければすべて解決するように思います。
そのためにも、まずは”硬球が危険”だということを周知徹底せねばなりません。
その役目はプロ野球球団を多く所有するメディアにあるはずです。
それなのに、夜のテレビニュースでも新聞でもプロ野球の報道量は飽き飽きするほど多いのに、危険性についてはほとんど時間と文字を割いてくれません。
そういうのは報道ではなく、”宣伝”というのです。

これまで我々日本国民は宣伝ばかりを見せられてきたのですから、”自己責任”とだけいわれたって困ります。
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