2015カナダW杯、準決勝イングランド戦(後)

(続きです。)
後半は両チームとも交代なし。
試合の展開も前半と変わらず、キック&ラッシュのイングランドとそれに耐えてから攻撃に移ろうとするなでしこ。
しかし、なでしこはラインが下がっているせいもあって、なかなか前線にボールが渡りません。
今大会のなでしこはリードを許したこともなければ、同点に追いつかれたこともなかったので、1-1の状況は観ていても胃がキリキリします。

そして後半は立ち上がりからイングランドペース、15分に調子の悪そうだったテイラーが下がるも、あまり影響がなく、17分にはバイタルでちょっとスペースが空いたと思ったら、強引なシュート!これはバーに救われましたが、寄せが甘いと本当に危険。
19分にはあ相手の右サイドからの攻撃、守備にいった鮫島が倒されたように見えたのに笛がなく、そのこぼれ球をシュート、ここは海堀がナイスセーブ!今大会の海堀はキレてますね。
そのあともCKの連発から、長身右ウィングのスコットのマークが外れてヘッド!やられた!と思われたもののわずかに枠の外、ふう…。
このあたりは本当に苦しい時間帯でした。

しかし、イングランドの肉弾戦のキック&ラッシュなんかに負けてはいけません。
こんなサッカーが決勝に進むなど、女子サッカー全体の後退です。
女子サッカーを進化させるのは我らがなでしこジャパンなんです!

そうしてイングランドの猛攻に耐えてきたわけですが、段々とイングランドの運動量が落ちてきます。
休まず走ってガンガン当たるを繰り返し続けるのもさすがに疲れたのでしょう。
それを見た佐々木監督は25分に大野を下げてジョーカー岩淵真奈を投入。爆発してくれ!
この日の大野はあまりよくなかったですね。「負ける気がしない」という自分の言葉に力んだのかも。

代った岩渕は26分にいきなり左サイドで仕掛け、するどいセンタリング、これはイングランドDFに阻まれるも、そのときの対応で相手右SBのブロンズが足を激しくつってピッチの外へ。
岩渕は27分にも仕掛けからの思い切ったシュートで雰囲気を変えます。
凄まじい存在感でした。

イングランドがバテてきたのと岩淵の投入で流れは完全になでしこのもの。
31分には宮間の正確なクロスから阪口がヘッド、しかしヒットしきれず。
今大会の宮間は人工芝のピッチにやや苦しめられてパスの精度が上がってきませんけど、ここぞというときはいいボールが来ます。
しかも攻守に渡ってボールロストがほとんどないので、味方は”困ったら宮間”という感じでボールを預けられるので、本当に頼りになりますよね。

後半40分、イングランドは最後の交代カードとしてエースのカーニーを投入。
普通は延長を考えて我慢するものですけど、それだけチーム全体に疲労が見えていたということでしょうね。
逆に佐々木監督は交代カードを切る気配はなし。
延長(15分×2)までゆけば必ず勝てる、という余裕すら感じました。
こっちにはなんといっても”澤穂希”という取って置きのカードもあるのです!

42分には岩渕が相手を背負ってボールキープからのファウル獲得。逞しくなりましたねえ。
なでしこはピッチの11人も決して無理をしません。
”相手の攻撃をしっかりケアしてからセイフティーな攻め”。
そういう割り切りで90分を終わらせ、延長で片をつける、そんな王者ならではのどっしりしたコンセンサスが感じられました。

試合が膠着し、延長戦が濃厚という雰囲気のなか、提示されたロスタイムは3分。
へばったイングランドはなでしことは違った意味で、苦しさから逃れるために延長戦を求めるような集中力のないプレイ。
その差が形となってあらわれたのが46分、中盤の混戦からイングランドが軽く縦に入れてきたところを熊谷が易々カット、そして狙っていたかのように右サイドの川澄へパス、これを見て慌ててずるずると下がるイングランドDF、川澄はこれを好機とドリブルで持ち上がると、相手DFとGKの間を狙った鋭いアーリークロス、なかに走っているのは大儀見と岩渕、相手DFは後ろ向きの守備、これは通りそう!
そんな絶妙なクロスでしたけど相手CBのバセットが必死に足を延ばしてカット!
くそ!と思われたそのとき、クリアボールが勢いよくバーを叩くとそのまま真下へ、大きく弾んだボールはゴールラインを割ったかのようにも見える、判定はいかに?!
そしてやや遅れて笛を吹いた主審はゴールの宣告!
まさかのオウンゴールで日本勝ち越し!
(※今大会はボールにチップ入っていてゴールラインを割ったかどうかは機械判定。審判はそれを確認したのでしょう。)

ロスタイムはわずかに残っていたものの、オウンゴールにがっくりきたイングランドは闘志を再び燃やすことができず、そのままゲームセット。
この結果、なでしこは2大会連続の決勝進出!
いやあ、本当に苦しいゲームでした。イングランドは日本をよく研究していましたし(CKの電車ごっこ待ちを体格のいい選手で囲んで動けないようにしたところなど)、自分たちのサッカーを90分間徹底していたのも怖かった。ボール支配率はなでしこが58%だったものの、シュートはイングランド15、なでしこ7でしたからね。サッカーの質は別にして、チームとしては本当に素晴らしかったと思います。
ただ、イングランドは後半途中から明らかにガス欠を起こしていたので、ゲームの流れ自体はずっとなでしこのコントロール下に置かれていたのでしょう。ソツのない戦いぶりには貫録すら感じられました。たとえオウンゴールがなかったとしても延長でゴールを決めていたのはなでしこだったと思います。

試合後、佐々木監督は「疲労があってプレイの質が上がらなかった。決勝はサッカーを楽しんで思い切ってゆく」と語っていましたけど、相手は五輪決勝で苦杯を喫したアメリカですから、こっちも挑戦者として思い切ってぶつかってゆけるはずです。
キャプテン宮間は、「五輪では金メダルを持っていかれたのでW杯は渡せない」と決意表明していましたけど、これは日本国民みんなの思いです。
そしてその”みんな”でいえば、試合後のインタビューを受ける選手はみな、負傷離脱した安藤梢のユニフォームを着せた熊のぬいぐるみを手にしていたんです。
”23人”みんなで掴んだ決勝戦、みんなの笑顔で終わりましょうよ!

私はなでしこジャパンには連覇をする資格があると思う。
理由はプレイの質だけではなく、彼女たちの態度です。
この試合でのイングランドは自分たちのサッカーを貫き、王者を存分に苦しめたのですから本当に立派でした。
そんなチームにとってオウンゴールという結末は本当に残酷です。敵ながら同情してしまいます。
それがあるから宮間はインタビューで、「アンラッキーなゴール」と相手の立場に寄り添ったコメントを残していましたし、エース大儀見はバセットに声をかけ、一緒に涙を流していました。
2人はチェルシーLFCで一緒にプレイしていた仲間でもありますけど、対戦相手をリスペクトする姿勢、それこそが王者の資格です。
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