安全保障関連法案と世論調査

安倍晋三内閣が今国会に提出している安全保障関連法案は、安倍さんを支持している層にも支持していない層にも不評でしたけど、ついに今日7月15日、野党の大反対のなか、衆院平和安全法制特別委員会において自民・公明の賛成多数で可決され、次は衆院と参院に送られ法案成立のながれとなりました。

その”大反対”でいうと、テレビニュースなんかではほとんどの局が否定的に伝え、野党がいっているのと同じように「法案への国民の理解が進んでいない」と声を揃えていました。
”国民の理解”に関しては私も同じ意見ですが、その責任の所在については野党やマスコミと意見が異なります。

安全保障関連法案は特別委員会で110時間も審議されたものの、その時間の何割が”内容”に関するものだったのでしょう?
”違憲・合憲論争”や”存立危機事態論争”、はたまた自民党議員による”新聞批判”、そんな話で時間でずいぶん時間が無駄になってしまったような気がしてなりません。。
もちろん、それらが大切でないとはいいませんが、今後の日本の防衛や海外貢献がどのように変わるのか、という話をする上では”横道”といっていいでしょう。
ですから、審議時間が足りないのであれば、その責任は野党にあります。
そしてまた、国民の理解が進むために協力すべきマスコミも、”横道”ばかりを報道し、すべての責任が与党にあるように叫びまくる。こいう騙しのテクニックはお手の物ですね。
今国会を見ていると”国民の敵”が誰なのかよくわかるというものです。

”国民を騙す”といえば、この審議の最中に各マスコミが行った世論調査もそうです。
朝日新聞は14日に「安保法案、国民支持広がらず 各社調査で「反対」目立つ」と銘打って、マスコミ各社の世論調査の結果を乗せていました。
記事によれば、大多数は”反対6割、賛成3割”という結果で、産経・FNNのみが必要49.0%、必要ない43.8%だったとのことです。
ただ、これってちょっとおかしいですよね。世論調査ってだいたい各社同じくらいの数字になるはずです。
そこで数社の結果を調べてみたら、面白いことがわかりました。

まず読売新聞(7月3日~5日)では、「安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、
自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか。」と質問して、賛成36、反対50、答えない14とういう結果。
もうひとつ、「安倍首相は、安全保障関連法案を、今開かれている国会で成立させる考えです。あなたは、今開かれている国会での成立に、賛成ですか、反対ですか。」と聞いて、賛成25、反対63、答えない12。

FNN(6月27日~28日)では、「あなたは、日本の安全と平和を維持するために、今、国会で審議中の安全保障関連法案の成立は必要だと思いますか、必要ないと思いますか。」と聞いて、必要だ49.0%、必要ない43.8%、わからない・どちらともいえない7.2%。
「あなたは、安全保障関連法案を、会期が延長された今の国会で成立させることに、賛成ですか、反対ですか。」との問いには、賛成31.7%、反対58.9%、わからない・どちらともいえない9.4%。

朝日新聞(7月11日~12日)では、「今の国会に提出された安全保障関連法案についてうかがいます。集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法案に、賛成ですか。反対ですか。」と聞いて、賛成26、反対56。
「安全保障関連法ができたら、日本の平和と安全を守ることに、役立つと思いますか。役立たないと思いますか。」では役立つ31、役立たない42でした。
(なぜ、”どちらでもない”がないのか気になります。)

マスコミが”独自”に行っている世論調査をどこまで信頼していいものかという疑問はありますけど、比較してみてわかるのは、質問の仕方によって似たようなことを聞いていても答えが違ってくるということです。
読売新聞とFNNのそれには”平和と安全ため”というニュアンスがあるのに対して、朝日新聞はそれを次の質問に移し、かわりに”集団的自衛権”や”自衛隊”という言葉があるのですから、問われた側の深層心理にかなり影響を及ぼすのではないでしょうか。
また、各社とも、安全保障法案の”必要性”を問うた場合と、”今国会での成立”という限定的な質問には結果に差があることもよくわかります。
もっといえば、今国会で審議している法案とはまったく別な話で、「日本の安全保障と海外貢献に関する明確な法律は必要だと思いますか?」と聞けば、かなり多くの賛同が得られるのではないかと私は思うんです。

そもそも、”もっと信頼がおける世論調査”である選挙結果でいえば、2014年12月の衆院選挙でも、2013年7月の参院選挙でも与党が圧勝してるんです。
しかも自民党総裁でもある安倍晋三総理は前々から”集団的自衛権”や”国際貢献の強化”を主張していますし、党のマニフェストにもはっきりと書いているわけです。護憲から自衛隊容認に変節したどこぞの眉毛総理とは違うんです。
それでもって大勝しているのですから、多くの国民がそれらに賛成したということです。
ただ、現在反対が多いのは、同じく安倍総理が主張し、マニフェストに書いてある”憲法改正による”が抜けていることによって、”現憲法”という制約のなかで法案がややこしくなってしまい、そこを野党とマスコミにこぞって攻撃され、よけいにわかりにくく
なっているためだと私は見ています。

私は先ほど与党に責任はないと書きましたが、あるとすれば、それは憲法改正から逃げているという部分でしょう。
逆に、野党やマスコミにいいたいのは、この法案がわかりにくいのであれば、与党に対して憲法改正を提案し、協力すればいいんじゃないでしょうか。
安全保障などというものは根本的に議論した方がずっとわかりやすいに決まっています。

ちなみに野党第一党である民主党が4月に発表した安全保障政策というのは、これまでの日本政府が行ってきた曖昧模糊としたものの継承であり(周辺事態法や特措法)、集団的自衛権については「安倍内閣が進めようとしているものには反対」というのですからわけがわかりません。
民主党は集団的自衛権に関する党としての意思統一ができていないので、おかしな話になってしまうのでしょう。
その点を6月の党首討論で安倍総理に追及された岡田克也代表は、「周辺事態については周辺事態法の中身を充実させ、個別的自衛権も使って対応する」と述べていましたけど、周辺事態法というのは第一条に

「この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。」

と書いてありますから、”現実的”には集団的自衛権の話になりますよね。
自公政権の安全保障関連法案というのはその現実から目を背けていないだけずっとましです。

そう、我々国民の側も、「目を背けるのか、直視すべきなのか」、マスコミ各社にはそんな質問を世論調査に加えてみてはどうでしょう。
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