新国立競技場問題の責任は

2520億円という費用が大多数の国民から「高すぎる!」と批判されていた新国立競技場ですが、今日(2015年)7月17日午後、記者団の前に立った安倍晋三総理は「五輪は国民ひとりひとりに祝福されるものでなくてはならない」と述べ、「ゼロベースで計画を見直す」と明言しました。
これはデザイン選定からやり直すという意味で、そのため、2019年9月にラグビーW杯日本大会には間に合わないとのことですが、現在の計画案はあまりにもお金がかかりすぎるので、安倍総理の英断だと私は思います。

ただ、白紙撤回しただけでは今回の”新国立の高コスト問題”を終わりにしてしまっていいわけではありません。
なぜ1300億円(2012年)だったものが2520億円に膨らんだのか、という根本的な部分もそうですし、これまで使ってしまったお金(デザイナー報酬や設計見積もり等)はまったくの無駄になってしまったわけですから、”責任”というものが生じてくると思うんです。

その”責任”でいえば、2012年のデザインコンクールで審査委員長を務め、新国立建設のための有識者会議のメンバーでもある建築家の安藤忠雄さんは最もそれが重い人物のひとりですが、高コストが問題視され始めてからはまったくといっていいほどコメントを出さなかったばかりか、7月7日に行われた建設承認のための会議に欠席してしまったのですから、”無責任”としかいいようがありません。
もちろん安藤さんは世論やマスコミから大きな批判を受けました。いつもメディアを使ってかっこいいことばかりをいっているひとですしね。
そんなわけで、昨日16日になって弁明会見を開かざるを得なかった安藤さんですが、そこで語った内容はというと、
「会議の日は大阪で講演会があって出席できなかった。去年、大手術をしたので移動も難しい(大阪在住)」、
「私たちが頼まれたのはデザイン案の選定までで、基本設計や実施設計はまた別」、
「なんで2520億円もかかえるのか私も聞きたい。ひとりの国民としてなんとかならんのかと思います」、
「2020年の五輪開催を勝ち取るために、斬新でシンボリックなザハ案(キールアーチ)を選んだ。ザハ案は国際約束なので外すわけにいかない」、
などといった言い訳と知らんぷり。

まず、安藤さんは自分の立場を「デザインを選んだだけ」というものにしたいようですが、有識者会議の正式なメンバーであることは紛れもない事実です。そしてその有識者会議において、着工への道筋が正式承認されるという仕組みだったわけですから、責任の範囲が「デザイン案選定まで」ということはありえません。
7日の会議を欠席したから責任がない、というのであればよけいに無責任というものです。
また、講演会や体調を理由にしていましたけど、安藤さんの公式サイトをのぞくと、7月7日の講演予定はありませんし、「去年、大手術をして移動が難しい」という体調も、今年の1月と2月には東京で講演をしていますし、4月なんて北海道でもやっているじゃないですか。弁明会見でも元気そうにしゃべりまくって予定の20分を軽くオーバーしていたのですから、とても体調が悪いように見えません。
本人は嘘をついている気持ちなどないかもしれませんが、誰が聞いたって嘘ですよ、これ。
まあ自分自身もその嘘を信じ込んでいるようですから、おそらくこのひとをこれ以上追及しても無駄なのでしょう。刑事や民事で訴えられる事案でもありませんし。
ようするに責任ある会議のメンバーに選んでしまったことがそもそもの間違いだということです。

そしてもうひとり、ぜひ国民に説明責任を果たして欲しいのは、東京五輪組織委員会会長であり、新国立建設の有識者会議のメンバーでもある森喜朗元総理です。
新国立競技場は、2020年の東京五輪だけではなく、2019年のラグビーW杯でも使用される予定で工事が計画されたものであり、森元総理は日本ラグビー協会会長として、W杯招致に大いに尽力した人物でもあります。
安倍総理が”白紙”会見をする前に森元総理と会って、見直しについての話し合いを持ったことでもわかるように、世間一般でも森元総理はザハ案をもとにした工事計画にこだわりを持っていると考えられてきましたし、多くのメディアでもそういうニュアンスで伝えられてきました。
もっといえば、森元総理とラグビーのせいで費用がかさんでいるという批判もあったほどです。

その批判に対し、17日の安倍総理との会談を終えた森元総理は、「もともとあのデザインは生ガキがたれたみたいで嫌だった」、「ラグビーのために工期を急ぐことはない、他でやればいい」と全面否定。
割とあっさりしているので私などはびっくりしました。
ただ、7月14日に行われたという産経新聞のインタビューでは、「2019年のラグビーW杯だけじゃなくてプレオリンピックに間に合わせないと世界中の笑い者になるぞ」との言葉もあるので、やはりこだわりはあったのだと思います。
しかし、安倍総理からも説得された森元総理は五輪組織委員会会長として2020年を迎えるという”栄誉”を選んだのでしょう。
あんまりごねるとその立場も危ういですからね。
(※2002年のサッカーW杯も国立競技場での試合はなかったので、ラグビーW杯だからといってナショナルスタジアムで行わなくてはならないというわけではないと思います。)

ちなみにこのインタビューは産経ニュースで全文が読めるのですけど、森総理が色々とぶっちゃけていてかなり楽しめました。
自分に都合のいい事実ばかりを小出しにしていって、責任の所在を曖昧にするという”森喜朗節”は健在です。
ただ、最後の方で、「僕も無報酬だよ。わずかばかりの議員年金は家内に渡してね。日当は手をつけず組織委のメンバー全員の盆と暮れの打ち上げ代に貯めてるんです。」と軽口をいったのは間違いでしたね。
”報酬”はもらっていないはずなのに”日当”が発生しちゃってます!

そんな森総理の面白いインタビューですが、私が注目したのは、「あの有識者会議っていうのは、そんなことを決める会議ではないんですよ。投票権もないし。グラウンドの恩恵を預かる陸連とかラグビー協会とかサッカー協会とか学識経験者とかに「こう決まりました」って報告するだけ。」という部分です。
”そんなこと”というのはザハ氏のデザインのことなのですが、費用や工期にしても、”報告を受けただけ”、だとしたらどうでしょう?
有識者会議というのはいったい何のためにあるのか意味がわかりませんし、すべての責任は”報告をする側”にあるように思えてきます。
では、有識者たちに”報告をした”のは誰なのか。

我々はちょっと忘れがちになってしまいがちですが、新国立競技場というのは〈独立行政法人日本スポーツ振興センター〉のものなんです。
ですから、デザインコンクールや有識者会議を主催するのもここですし、もっといえば審査員や有識者を選ぶのもここということになるでしょう。
そしてこの日本スポーツ振興センターは文部科学省の外郭団体であり、文科省や財務省の天下り先になっているのですから、新国立競技場問題の責任がどこにあるかは明白です。

有名建築家や元総理の影に隠れている連中に出てきてもらいましょうよ。
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