『THE ICE』2015(前)、最高の予感

『THE ICE』というのは本当に難しいアイスショーです。
出演者個々のプログラムはもちろん、群舞、それにペアプログラムもあるので、事前情報がないと、どうしも見逃してしまう部分がでてくる。
それを避けるために事前の情報を収集している方もいるでしょう。
しかし、私みたいにエンターテイメントは”珍しきが花”と思っている人間は、ある程度情報をシャットアウトしたいんですよね。
今年2015年の『THE ICE』は北海道から公演が始まって、大阪、名古屋、仙台で終わるというスケジュールのなか、私と相方が浅田真央に会いにゆくのは名古屋公演の2日目。
ですので、インターネットでちょっと調べればすぐに色んなことがわかってしまいます。
相方は私と違って、調べる派なので、あれやこれやと見て回って、かなりの情報を蓄えていました。
私はそれを「教えないで!」といって耳をふさいでいたわけですが、それでも相方が不敵な笑みとともに教えてくれたたったひとつの情報は、「今年は史上最高」とファンが評価しているらしいこと。

その言葉を胸に乗り込んだ7月30日の名古屋は薄曇りで、例年に比べて穏やかな暑さ。
しかし、会場の熱気はいつも通りで、浅田さんへのメッセージが書けるコーナーは長蛇の列、浅田さんがデザインしたという”PEACE”Tシャツはすでに売り切れ。
パンフレットを買ったときにスタッフさんが着ているTシャツを見る相方の目が野獣のように鋭かったのは内緒です。
そのパンフレットには浅田さんが『THE ICE』の思い出を振り返るコーナーや、振付師のローリー・ニコルと音楽担当のレノアのインタビュー記事があって、いつも以上にお買い得。
それを会場で読んでいるうちにいよいよ始まった2015『THE ICE』、わくわくするような舞踏音楽のなか、まず最初にリンクに入ってきたのは今年が初出演のカロリーナ・コストナー!手足の長い彼女が美しい姿勢でツーッと中央に滑ってきただけで会場のボルテージはマックス!
演出したひとはお客さんの気持ちがよくわかっている、これぞ”珍しきが花”!私も一瞬で心を掴まれました!
そして次々とスケーターたちが入場してゆき、リンクは華やかな舞踏会場に。
みなそれぞれが素晴らしいスケーターなので、リンクはまるで満開の花畑、思わずうっとりしてしまいました。
しかし、そこに主役の浅田真央の姿がありません。しかもいつもパートナーを務めているジェフリー・バトルはすでにコストナーの手を取っている。
「どうやって真央ちゃんは登場するんだ!?」、観客の多くはスケーターたちの楽しいダンスを眺めながらも、ソワソワしっぱなしだったに違いありません。
リンクでは仮面をつけたピエロたちが舞踏会を引っ掻き回し、大きな酒瓶を中央に置くと勝手に酒宴を始め出す大騒ぎ、「まさかあの酒瓶から真央ちゃんが…、
いや、人間が入れるサイズじゃない…」、舞台の照明が消えたり灯ったりを繰り返し、会場中がその度にドギマギしていると、いつの間にやらピエロのひとりが浅間真央に!
そして鳴り響く音楽はあの『仮面舞踏会』。
ひとの波をかき分けながら、凛とした姿でステップを踏む浅田真央。
あの頃、たったひとりでフィギュアスケートの闇と戦っていた浅田真央。
『仮面舞踏会』の音楽は少女の不安な気持ちと、それを自分で乗り越えようとしていった健気さを強く思い出させます。
そして、いまの浅田真央はあらゆるものを跳ね返し、泰然自若とした大人の女性へと成長を遂げている、それは本当に凄いことですし、素晴らしい演出のオープニングでした。
私と相方もこれが7回目の『THE ICE』ですけど、「最高」の一言です。
(※仮面のピエロは体つきや消去法でチャン、ミーシャ、リッポン、そしてもうひとりは女性らしい口元。どうやらこれが浅田さんみたいだったのですが、私は気付けず!こういうことがあるので事前情報が欲しくなるんですよね。)

オープニングの余韻を地元のノービス選手、河辺愛菜さんがシニア顔負けの美しいスケーティングで落ち着かせると次に登場したのはいきなりの小塚崇彦。
『エピローグ』という意味深なタイトルのエキシビションプログラムはとっても繊細な音楽で、それを丁寧になぞってゆく小塚くん。
得意のイーグルでもお客さんを虜にして、会場はアダルトで落ち着いた雰囲気に。さすがですねえ。
最後はDJから「婚約おめでとう!」の声がかかり、会場からも温かな拍手!
今季の小塚くんは”何か”を決意していることは間違いなさそうですから、私もそれをじっくり見守りたいと思います。
私個人としては小塚くんの”エピローグ”が思ったより長いものになることを期待していますけどね!

続いても日本勢で、髪を借り上げのベリーショートにした村上佳菜子さんが披露するのは今季のSP『ロクサーヌ』。
衣装は前衛的で振り付けも力強く、村上さんの”いいところ”が存分に楽しめました。
ただ、この日は体が緩そうで、ジャンプが抜けあったりと、万全ではなさそう。
それでもお客さんに精一杯のものを見せようという気持ちは伝わってきました。
村上さんは少女の頃からそういう部分を持っている選手でしたけど、それが人気の秘訣なのでしょうね。
それと、ベリーショートはとっても似合っていると思います!

ミーシャ・ジーはこれが『THE ICE』初出場ですけど、稀代の芸人スケーターとして、どんなプログラムを見せてくれるのか、観客の期待も大きいところ。
そしてDJの「日本のフィギュアファンのために用意したプログラム」という紹介とともに鳴り響くのは『Eye』のアコーディオン、しかもミーシャの動きと表情はあの”高橋大輔”そっくり!これには会場も大爆笑!
高橋っぽいレイバックスピンとあの決めポーズで『Eye』を終わらせると、続いてはみんな大好きのマンボ、〆はヒップホップスワンとまさにダイスケメドレー。
動きのひとつひとつはもちろん、表情もよく研究していて、単純なおふざけじゃないのがわかるので、観客の笑い声は本当に楽しげなものでした。
ミーシャは我々と同じく大のダイスケファンですね!私も大いに満足しました。
初登場にして『THE ICE』の観客の心をぎゅっと掴んだミーシャ・ジー。
来年のオファーも確実か?!

初登場といえば、このひと、アシュリー・ワグナーもそうなんですけど、NHK杯や国別対抗、ジャパンオープンなんかでお馴染みなので、なんとなくそんな感じはしません。オープニングからまったく違和感なかったですしね。
しかし、披露した今季のSPらしきプログラムは、なんとも捉えどころのない曲で、黄色い大きな水玉照明のなか、シースルーの衣装を着たワグナーが怪しげに踊ります。
どうやってまとめるんだろう、って私も観ていたんですけど、最後には一本の筋が通った感じになって終わるんですから、ワグナーはやっぱり演出力があります。
初めてのショーで難解なプログラムというのも自分に自信がある証拠でしょうしね。
そんなことを思っていたら、続けて親友のアダム・リッポンとのペアプログラム。
2人とも美男美女なので、もうそれだけで絵になります。
ただ、距離を取る役目のリッポンがなかなか上手く合わせられずに四苦八苦していて、ペアって難しいんだなあ、って改めて思いました。

続いてもアメリカ勢で、いまや『THE ICE』の男性群舞のリーダー格でもあるジェレミー・アボット。
引退を撤回し、今季も現役を続ける彼が見せたこの日のプログラムは、サムスミスの曲に乗せて、ひとりの男の日常とそこに潜む葛藤を芝居風に表現しているように私には見えましたけど、大胆かつ繊細な体の動き、ブレードのあらゆる部分をあやる方法で操る極上のスケーティングスキルがその芝居を自然に踊りに変えるんです。
こういう技は日本でいうと田中泯さんなんかがそうでしょうけど、アボットというスケーターは舞踊家といっていいのかもしれません。
もうジャンプはいりませんね、このひとには。
本当に素晴らしいプログラムで、いつの間にかアボットの世界、つまりは彼の心象風景に入り込んだような気分にさせられました。
なんだろう、この切なさは。
(※今年は本当に史上最高かもしれません。私も文字数が増えてしまってどうしようもないので、ここで前編とさせていただきます。)
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