『THE ICE』2015(後2)、最高の『THE ICE』

(続きです。)
2013-2014シーズンに一度引退をしながら、2015年の世界選手権が地元中国での初開催だということもあって復帰し、銅メダルを獲って素晴らしい形で競技生活を終えたホウ清とトウ健。
ショーではチン・パン&ジャン・トンと呼んだ方がしっくりくる2人ですが、引退して少しゆっくりするかと思っていたので、まさかこの『THE ICE』に出演してくれるとは私も思ってもいませんでした。しかも2011年以来なのですからサプライズゲストといってもいいでしょう。
ただ、演技の方は少し不安だったんです。全てを賭けた地元での世界選手権を終えたら、体も心も緩むのが普通ですものね。
しかし、チン・パン&ジャン・トンは違った!
無駄なものを削ぎ落し、鍛え上げられた肉体は全盛期そのまま、愛をベースにした持ち前の同調性と互いを深く信頼しているからこそできる思い切りのいい豪快な技の数々、そして長い年月をかけて作ってきた類まれな芸術性。
世界選手権でSP4位から逆転のメダルを獲得したFS『Io Ci Saro』(短縮版)を、そのときと同じような気迫で挑み、内容的にも完璧、我々にも2人の興奮と喜びを分けてくれたような素晴らしい時間でした。
会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、ここまでで一番といっていい盛り上がり。
たぶん、みなさん「まだまだ続けて!」と願ったことでしょうけど、2人にも夫婦として(婚約中)の第2の人生設計があるでしょうし、私もこの日の美しい演技を胸のなかにそっとしまっておきたいと思います。
やっぱりこの2人は凄い。

パン&トンが残した強烈な余韻のなか、普通のスケーターならかなり滑りにくそうなところですけど、カロリーナ・コストナーはそのぽわっとした微笑みと芸術作品のような姿勢で、リンクインしてきただけでその場を自分のものにしてしまうのですから、さすがの一言。
『THE ICE』は今年が初出演ということで、”生コストナー”そのものが初めてというお客さんも多かったのか(私と相方も!)、コストナーに注がれる視線というのは恐ろしく集中したもので、彼女が演技を始めると会場は水を打ったように静かになりました。
そんな妙な空気のなかでしたが、コストナーはまるで見られているのを意識していないかのような心の自由を感じる滑り。
持ち前の伸びのあるスケートはもちろん、独創的で美しい身のこなし、静と動を上手く使ったリズムの作り方。
真の芸術がそうであるように、自然に目を奪われる美しさこそが、彼女のスケートの本質なのでしょう。
コストナーを生で観て、好きにならないひとはいない、と断言できます。
私も虜になりました。
また来て欲しい!ほんとお願いします!

『THE ICE』は2年目だというのにすっかり馴染んだパトリック・チャンはビートルズの名曲(『Dear Prudence』+『Blackbird』)にのってどこまでも伸びてゆくような演技を披露。
スケーティングのいい選手が多い『THE ICE』でもチャンのそれは際立っていて、ただスピードがあるだけではなく、重心のブレがまったくないので、リニアモーターカーを思わせるような迫力があって、しかもターンを挟んでもスピードが落ちるのではなく、逆に加速するような勢いがあるのですから鳥肌が立ちます(Blackbirdだけに)。
そのスケーティングがあるお蔭で、演技も純度が増し、濃度はありながらもすっきりとプログラムをありのままに楽しむことができるのもチャンの魅力。
また、1年の休養期間中に表現の面でもより闊達になっていて、以前に比べて解放感があります。世界観が大きくなったといって
いいでしょう、どこまでも羽ばたいていってしまいそうでした(オープニングのピエロの演技も楽しかったですし、芝居も本当に上手)。
しかし、競技に復帰する今季、大切なのはジャンプ。
新ジャンプの導入はなさそうなので、以前の構成をミスなく跳ぶことが重要になるでしょう。
太腿の筋肉に頼らず、タイミングで跳んだときは素晴らしいジャンプを見せるチャン。
そのタイミングはメンタルに左右されがちですけど、休養中にそこが大きく成長しているような気がします!

そしていよいよ『THE ICE』2015も大詰め、トリを飾るのはもちろんこのひと、「日本中が愛してやまない至高の存在」、浅田真央!
プログラムはエキシビション『踊るリッツの夜』、燕尾服にシルクハット、手にはスティックという奇術師姿の浅田さんが楽屋裏セットでメイクを直したところから演技をスタートすると、あとは元気いっぱいに跳んだり滑ったりの約4分間。
息もつかせないとはこのことで、重そうな衣装を着こんで、よくもまああれだけ動けるものだと感心してしまいました。
この馬力こそが浅田真央ですよね。
また、2Aでちょっと詰まっちゃったんですけど、あとのジャンプを気合の表情で成功させた負けん気も浅田さんらしさ。
浅田さんの持ち味を存分に楽しめました。
ただ、難をいうならば、もうちょっと長く観たかった!
あっという間に終わっちゃって、真央ファンの相方なんて、「もう終わっちゃったの、嘘でしょ」とかいって、縋るような目でリンクを去る浅田さんを追っていました。せめて6分くらいにして欲しいですよねえ。
それにしても浅田真央というひとはリンクの上だと芝居も本当に上手い。遠目でも表情が生き生きしているのがわかって、動きも大らかかつ正確なので、演技の意味がよく伝わってきます。CMなんかだと、そうでもないので、やっぱり天性のアイススケーターなんでしょうね。少女の頃からリンクでの芝居は堂々としていました。
そんな具合に至高の存在の表現の幅がまたひとつ広がったエキシビションですけど、この芝居力はきっとFS『蝶々夫人』の方にも生かされると思います。
今季が本当に楽しみになってきました!

今年は出演者も多く、内容の濃い『THE ICE』でしたけど、フィナーレも大人数だけに華やかそのもの。
名古屋での楽ということもあって、選手たちは疲れた体から絞りつくすような滑りを見せ、その汗の煌めきがスポットライトに反射して本当に美しかった。
そしてフィナーレの最後、DJから「みなさんにアンケートしたもう一度見たい浅田真央のプログラム第一位」というアナウンスがあって、発表されたのは『Por una cabeza』!
これには会場もおおっという盛り上がり、そこにあの黒と赤の衣装に身を包んだ浅田さんがバトルを伴って現れたときはさらにおおおっー!という地鳴りのような大歓声!
2010-11シーズンからもう一段大人びた浅田真央が躍るタンゴの妖艶さといったらどうでしょう、パートナーのバトルはもちろん、曲さえも手玉に取っているかのような大胆な演技、彼女が本当に素晴らしい成長を遂げたのだとまたひとつ実感することができました。バトルとの同時2Aもばっちり決まってカッコよかった!
いま、思い出しながら書いていても、ゾクゾクしてきます。
もう一度観たいプログラムなのに、さらにもう一度観たくなってきました!

こうして『THE ICE』2015(7月30日名古屋第2部)もフィナーレのフィナーレを迎え、選手たちがチャリティTシャツに着替えての場内一周、そして会場と一体になった恒例のダンス(女性陣はふわふわの短いスカートをはいていたのですが、コストナーの足の長さにびっくり仰天)。
ここは楽しさと寂しさが入り混じったなんともいえない時間です。
それにしても今年は本当に楽しかった、ぐったりするほど大満足でした。
”史上最高の『THE ICE』”という前評判は伊達じゃありません。
出演者がいつもの年より多かったのもそうでしょうけど、なんといっても浅田さんの出番がとにかく多かった。
オープニングからピエロ真央、思い出深い『仮面舞踏会』(アンケート2位)、トリオ女神プロ、ダンスレッスン、『踊るリッツの夜』、そしてバトルとの『Por una cabeza』。
始まりから終わりまで座長・浅田真央が引っ張る、まさに浅田真央のショー、これに満足しないファンはいません。

しかし、その”史上最高”という評価ですが、それは今年だけに与えられたものかといったらそうではないと思うんです。
多くの出演者が何度も『THE ICE』に来てくれて、連帯が深まっているのももちろんですし、「もう一度観たい浅田真央」というコーナーが作れることもまた9回目という『THE ICE』の歴史があってのものでしょう。浅田真央の選手としての成長、そして人間としての成長もそうです。
それに私は毎年、ショーが終わった後に「最高だった」と感じてきましたし、それはファンのみなさんも同じことだと思います。
その積み重ねこそが『THE ICE』の魅力であり、出演者とファンの『THE ICE』への愛着が素晴らしい雰囲気を作るので、初めてのお客さんも一発で好きになってリピーターになってさらに積み重なってゆく、それもまた『THE ICE』です。

来年も”最高”の『THE ICE』になるのは間違いない!
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