佐野デザイン問題に思う

2020東京五輪のロゴデザインに”パクり疑惑”が持ち上がり、その釈明会見で「デザインの考え方が違う」と真向否定して難を逃れたかに見えたデザイナーの佐野研二郎さんですが、そのすぐあとにデザインを請け負ったサントリーのトートバックに完全なる”トレース”が発覚し、いま(8月19日段階)ではすっかり世間の信頼を失ってしまいました。

五輪のロゴはベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ているという指摘はあるものの、”T”と”円”で構築されたデザインはそんなに独創性のあるものでもありませんし、リエージュ劇場も大きな劇場ではなく、ロゴも商標登録されていないことを五輪組織委員会が確認しているので、手続き的には問題はなかったと私も思います。「似ているが違うものだ!」と強弁していればいつしか批判の声も収まったことでしょう。
しかし、サントリーのパクリバッグが発覚したことで、それも苦しくなりました。
手続きの上では正しくても、感情の面でいえば、すでに国民は佐野さんの五輪ロゴを拒否してしまっています。

しかも、サントリーのバッグで”BEACH”と書かれた矢印看板のデザインをトレースされたアメリカ人のデザイナーは”挑戦状”とばかりに自分がデザインした五輪ロゴをHP上に発表し、一種の売名行為、おちょくり行為を許してしまっているんです。
こういう話題に世界のメディアが食いついてゆけば、これはもう佐野研二郎個人のの恥ではなく、日本と東京の恥になってしまいます。

佐野デザインはすでにプロジェクトとして動き出してしまっているせいか、五輪組織委はこのデザインで押し通すことを明言し、リエージュ劇場のデザイナーがIOCにロゴの使用差し止めを提訴したことへも猛反発しています。
けれども佐野デザインはもうすでに相撲でいうところの”死に体”です。
日本人の感覚でいえば負けを認めるところまできているわけです。
私は組織委と佐野さんが水面下で話し合い、佐野さん側からデザインを取り下げたいという要望があった、ということにして、互いに賠償や何かはなし、ということで手を打ち、新デザインを公募するべきだと思います。
普通に考えればもうあのデザインは使えません。

佐野さんのデザインに関しては、問題になっている五輪やサントリーのものだけではなく、過去のデザインのパクり疑惑もネット上では検証が繰り広げられています。
私もそういったサイトや掲示板をいくつか見ましたけど、やばいものが多い、という印象です。
佐野さんは雑誌のインタビューで自ら語っているように、もともとあったデザインに手を加えて新たなものにする、というのが得意なデザイナーのようですけど、それがときとして一線を越えてしまうのかもしれませんね。
サントリーの件は事務所スタッフがトレースしたもので、佐野さんはそれを監修をしただけとのことですが、そういうボスのやり方を下が見習ったのではないかと私は思っています。

ただ、日本におけるデザインのパクリ問題は、佐野さん個人だけではなく、深く追及してゆけばかなりの広がりを見せるのではないでしょうか。
日本は内需のしっかりした国ですから、基本的には国内で作ったものを国内で消費して、それを海外に積極的に売りにゆこうとはしません。そうでなくとも色んな商売が成り立つわけです。
ですから、商品のデザインだけではなく、たとえば小説や映画や漫画、音楽などでもパクリに近いものが横行してきたといっていいでしょう。
ネットが普及する以前はそういうことに気付くひとも少なければ、パクリを発見してもそれを拡散してくれるひとも少なかったわけです。
広告代理店やメディアはそれを知っていても黙っているものです。その方が商売としてはいいわけです(今回のパクり問題もネットが発信源)。
しかし、いまはもうそういう時代ではありません。鎖国は終わったのです。日本人もオリジナリティというものに対して細心の注意を払わねばなりません。
佐野問題はそれを我々に教えてくれたといっていいでしょう。

東京五輪は色んな意味で日本が変わるチャンスにしたいですよね。
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード