出会いの秋味

先日、魚屋さんにでっぷりとした秋鮭の切り身が並んでいるのを見て、衝動的に購入して家で焼いて食べたのですが、その濃厚でありながら滋味あふれる旨味と、しっとりもっちりとした食感には心から大満足しました。相方などは熊のような勢いで食べていましたからね。
そうやって鮭の脂が体に染みるのを感じながら、そういえば秋鮭って〈秋味〉ともいうよねえ、なんて相方と話をしていたわけなんですけど、私個人としては、鮭ってそんなに秋らしい魚というイメージがないんです。新巻鮭のせいか、どちらかというと冬の味覚というイメージなんですよね。

この〈秋味〉といういい方が一般的に定着したのは、キリンビールが〈キリン秋味〉というビールを1991年に発売開始したのがきっかけではないでしょうか?
きちんと調べたわけではありませんが、80年代には〈秋味〉なんてあまり使っていなかったと思うんです。
ひょっとしたら、いまでも”秋味=ビール”という連想の方が多いかもしれません。
インターネットでワード検索してみても、”秋味 ビール”の方が”秋味 鮭”よりヒット数が多いんです。

そもそも秋鮭を秋味と呼ぶのは、東北地方や北海道だけだそうです(越後の東北寄りも)。
産卵するために生まれ故郷の川に戻ってきた秋鮭の大群を、秋の恵みとして感謝したことから始まったのでしょう。
ところによっては秋鮭の遡上はまさにお祭り騒ぎで、みんな家から飛び出して、川辺でその銀色の鱗が陽の光に煌めくのを雀躍しながら眺めると聞いたことがあります。
そういう感動というのは、その地域のひとしかわからないものですよね。

そういう意味でいえば、日本各地にその土地土地の”秋味”があると思うんです。
たとえば私の住む長野県のそれは”キノコ”になるしょう。
秋になるとスーパーなんかでも何種類もの天然キノコが売られ、様々な香りを発しています。
数も質もその日限りのことなので全国的な流通には乗らず、すべて地元信州で消費されますから、県外の方はキノコが信州の秋の風物詩だということはあまりご存じないかもしれません。
そしてその天然キノコを見て、信州のひとが感じる秋の到来。
その感覚もまた地元ならではのものです。

ちなみに私は秋鮭を焼いて食べたとき、キノコも一緒に焼いて食べました。
鮭の切り身は軽く塩コショウをふった後、小麦粉をつけてからオリーブオイルを引いたフライパンで焼いたわけですけど、その脇に塩コショウしたキノコも並べたわけです。
焼き上がったらら、サラダ野菜をセットしておいたお皿にうつし、味付けはニンニク山椒味噌のソース。
鮭もキノコも味噌が合います。
(※ニンニク山椒味噌は、すりおろしたニンニクと味噌と砂糖、酒を鍋で練り合わせ、最後に山椒粉を振り入れたものです。)

信州の秋味であるキノコと、東北・北海道の秋味である鮭を一緒に食べることで、気持ちがひとつになったような気がしました。
信濃川を信州まで登ってきた鮭の大助の姿が見えるようです。
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