10年ぶりのイラン戦の価値

サッカーイラン代表といえば、あの〈ジョホールバルの歓喜〉のときの対戦相手であり、アジアのライバルのひとつですが、組み合わせの妙といいますか、ここ10年、W杯予選でもアジア杯でも対戦がないのですから、ちょっと意外です。
10月13日のアウェイ・テヘランでの親善試合は、2次予選シリア戦で中東に遠征しているのを好機に、ハリルホジッチ監督が強く希望したそうですが、この試合の実現はサッカー協会の手柄といっていいでしょう。ハリルジャパンの”現在地”を知る意味ではとってもいい指標になるはずです。
なにしろ、この2015年、日本代表は同格以上の相手とはひとつも戦っていないんです(アギーレ監督のときも)。
それでは2018年のロシアW杯が見えてくるはずはない!

この日のスタメンは、ハリル監督が事前にいっていたように、シリア戦から5人を入れ替え、GK西川周作、4バックに酒井高徳・吉田麻也・※森重真人・※米倉恒貴、Wボランチは※柴崎岳と長谷部誠、攻撃的MFは本田圭佑・香川真司・※宇佐美貴史、1トップに※武藤嘉紀。
基本となる部分は変わらないので、あまりテストマッチという感じはしませんが、それもハリル監督が新しい選手だけではなく、自分のチームの現在の力を試したいという思いからなのでしょう。
私もイラン戦を単なる新戦力の発掘にするのはもったいないと思っていました。
そんななか期待したいのは武藤と柴崎。この2人がレベルアップすればそのままチーム力の底上げに繋がります。

ただ、ゲームが始まるとイランの当たりの強さと積極的な攻撃に日本は後手に回って、少しもいいところがでません。
左右のサイドをガンガン走られて、そこからクロスを中にいる選手に合わせてくるのですが、その対応も甘く、なんどか肝が冷えるシーンがありました。点を取られないのが不思議なくらいでしたね。
それでもどうにか凌いで、前半は0-0で終わるかと思ったロスタイム、吉田がPAで不用意に相手選手の足を引っかけてPKを献上、西川が驚異的なセーブでいったんはシュートを止めるも、こぼれ球を蹴り込まれイランが先制。
吉田は31分にも米倉からのバックパス(扱いづらい酷いパス)をトラップミスして相手に奪われ、ファウルで止めてイエローをもらうなど、集中力が欠けていました。このひとは定期的にこういう日がありますよね…。

まあ守備は米倉(主力がいる試合で初出場)が慣れない左SBに入っていたり、クラブで調子の上がらない高徳を起用せざるを得なかったりと(内田篤人も酒井宏樹も怪我)、エクスキューズはあると思うんですけど、攻めに関してはいったいどういったらいいんでしょう。
イランの当たりが強いといったって、中盤から前の選手は柴崎以外すべて欧州リーグの経験がある選手で、そんなものには慣れているはずなんです。それなのにちょっと激しくこられたらまったく攻めが機能しなくなるって、ほんと情けなくなってきます。
ハリル監督のサッカーは以前のジャパンと比べて選手個々の距離がやや広いので、それで連携が難しいのかもしれませんが、それでもなんとかするのが、香川だったり、本田だったりの仕事のはずです。
特に香川は酷かった。
本田は決定機は作れなかったもののまずまず攻めには絡んでいましたけど、香川はどこにいるのかわからないくらい。
その香川は後半頭からベンチに下がって清武弘嗣が同じトップ下に。
これは最初からの予定だそうですけど、知らなかったら懲罰交代に見えます。

前半は久しぶりのイラン戦、しかもアウェイということで相手を見過ぎた部分もあると思うんです。
後半は自分たちのやり方を再確認して、ぜひいいところを見せて欲しい。
このままじゃランク通りの実力差だとイランサポーターに笑われてしまいます!(イラン39位、日本55位)
すると、後半3分の日本の右サイドからの攻め、アタッキングサードで本田がボールを持ち、その横を高徳が駆け上がったのにイランDFがやや気を取られたその瞬間、本田が隙をつくような武藤へのピンポイントクロス!
これにたまらず相手GKが飛び出すも、パンチングが中途半端になって、それが武藤の背中に当たって、そのままゴールイン!
相手のミスのようなプレイですが、武藤はイランDF2人に囲まれながらも競り負けていなかったのですからそこは評価されるべき。

これで落ち着いた日本はボールも保持できるようになり、13分にはCKから清武が上手く反転して宇佐美にパス、宇佐美が自分を追い越して独走していった武藤にスルーパス、武藤のトラップがやや流れ、シュートは上手くゆかなかったものの、若手たちによるいい形のカウンターでした。
清武は香川と違って、中盤や最終ラインからボールを引き出して前線に繋ぐ仕事をしてくれるので攻撃が凄くスムースになっていましたよね。
黒子になることができるのも清武の魅力でしょうね。相手選手とファイトする気迫も見せていたのも好印象。

後半20分過ぎくらいからはイランがバテてきて明らかに日本ペース。
イランはホームということで前半飛ばしすぎましたね。
途中交代の原口元気(14分←宇佐美)が仕掛けてファウルを取ったり、武藤を右にやって1トップに入った岡崎慎二(21分←本田)は泥臭いポストプレイやプレッシャーを受けながらのシュートで相手に脅威を与えていました。計算が立つとはこのこと。
ただ、新戦力としては他に柏木陽介(27分←柴崎)、丹羽大輝(30分←高徳)、南野拓実(43分←武藤)が登場したものの、残念ながら主力を脅かすようなプレイを見せることはできませんでした。南野は時間が短すぎますけど…。

この試合の収穫は”清武弘嗣”のみといっていいでしょう。
「俺が俺が」という選手が多い攻撃陣を上手く操っていましたし、ハリル流の”縦に速いサッカー”もクラブでやっているので慣れたものです。しかもセットプレイでの右足の精度はいまの代表では間違いなくナンバー1なのですからここでも使える。
しばらくトップ下は清武に預けてみるべきだと私は思います。
彼ならばハリル流と、これまでの日本の細かいパスサッカーをミックスできるのではないかと私は期待しています。
(※ハリル流にこだわりすぎるのはナンセンス。)

それにしてもこのイラン戦は久しぶりに緊張感を楽しめました。
やはり強豪との真剣度の高い勝負は見応えがあります。
残念ながら試合全体でいえば、日本はまだまだハリルのサッカーが浸透しておらず、イランが上回っていましたけど、「次は日本が!」というモチベーションにもなりますし、こういう相手と切磋琢磨して、自分たちのレベルとアジアのレベルを引き上げることはとっても大切だと思います。
中東の環境に慣れるという意味でもアウェイのイラン戦こそ定期戦にしてはどうでしょう?

テレビ視聴率(日本時間午後10時半キックオフ)は12.3%とあまり伸びませんでしたけど、それよりも大切なものがある!
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